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介護経営情報(2015年11月13日号)

2015/11/17

◆利用者の声―福祉用具21製品、住宅改修6種類に検討要望
厚労省、電動歩行器を保険適用へ 来年度から貸与に追加

――厚生労働省
厚生労働省は11月9日、「介護保険福祉用具・住宅改修評価検討会」を開催した。「検討を要する福祉用具の種目」、「検討を要する住宅改修の種類」を議題とし、介護保険への種目・種類の追加などを、利用者・保険者からの要望等を踏まえ検討した。

厚労省はこの日、新たにロボット技術のセンサーやモーターなどを用いて動作を自動で制御するタイプの高齢者向けの歩行器を、介護保険制度の福祉用具貸与の対象に加える方針を固めた。これまで検討会の構成委員から課題となっていた「坂道での安全性」を、テクノロジーで進化させていることなどが評価された。委員から大筋で了承を得た。介護報酬を議論する社会保障審議会介護給付費分科会を年内にも開き提案し来年4月から実現する見込み。

「福祉用具」は利用者に役立ち、介護者の負担軽減が図られるなど重要な役割を果たし、「住宅改修」は、利用者が在宅生活を継続して福祉用具を効果的に活用するために必要とされる。このため、介護保険でそれぞれ給付対象とされている。
今回、厚労省は「福祉用具・住宅改修に対する要望に関する調査」の結果を示し、要望が福祉用具21製品、住宅改修6種類寄せられていることを説明。
また、福祉用具18 製品・住宅改修4種類について検討した。
たとえば、福祉用具では、貸与種目範囲への服薬支援機器の追加が提案された。機器は軽度認知症や認知症前段階の人に向けた意識づけ・飲み忘れ防止のため、音声と点滅で時間を知らせ服薬を促すもの。有効性に関し、利用者の認識度・服薬意欲向上に繋がり、機器による服薬指導・残薬チェックで服薬状況把握や介護者の負担軽減の効果が見込まれている。そこで、厚労省は次のように論点を示した。

投薬管理は治療用の観点から使用されるものではないか
要介護高齢者に特化した利用とは限らないのではないか
在宅での服薬は自己管理であるため、自立支援・介護者の負担軽減に資するものではないか

一方、住宅改修では、屋内外の車いす移動のためにスロープを設置することができない場合、電動リフトなどを使い「段差の解消」をする工事を給付対象とする提案がされた。
今後、12月までに第2回目を開催し、同月、社会保障審議会介護給付費分科会での議論を経て、2016年4月告示改正を実施する予定だ。

◆高齢者の「多剤処方減少への評価」に意見割れる
中医協総会 薬剤使用の適正化等をテーマに議論

――厚生労働省
次期2016年度診療報酬改定に向けての「見直し議論」が佳境を迎えている。11月6日の中央社会保険医療協議会(中医協総会)では、厚労省側から「個別事項・薬剤使用の適正化等」をテーマに、「長期処方」と「高齢者への多剤処方」、「新医薬品の処方日数制限(14日ルール)」、「一般名処方に対する評価」などをめぐって議論した。

厚労省事務方は「高齢者ほど処方される薬剤数が増加し、2疾病以上の慢性疾患をもつ高齢者は平均約6剤の処方が行われ、認知症の高齢者も平均約6剤処方されている」と指摘した。
高齢者の多剤処方対策としては、厚労省から次のような提案があった。医療機関と薬局が連携するなどして高齢者の処方薬剤数を減少させる取り組みを行った場合を評価するなどとして(1)薬剤の長期処方に何らかの制限などを設けるべきか(2)高齢者について多剤投与を是正した場合の評価を行うべきか(3)残薬の解消に向け、処方せん様式に「薬局での残薬調整の可否」に係る医師の指示欄を設けるべきか(4)後発医薬品の使用促進に向けてどのような取り組みを行うべきか―が提案された。

厚労省の「高齢者への多剤処方」に関する論点をまとめると、「多種類の服薬に起因する有害事象を防止するとともに、服薬アドヒアランス(適正な服用)を改善するために、医療機関において、または医療機関と薬局が連携して、多種類の服薬を行う患者の処方薬剤を減少させる取り組みを行い処方薬剤数が減少した場合、評価する」と要約される。
これに対して診療側委員からの反対意見はなかったものの、中川俊男委員(日本医師会副会長)は「医療機関と薬局の連携ではなく、かかりつけ薬局との連携を評価してほしい」と要望。一方、幸野庄司委員(健康保険組合連合会理事)は「多剤処方の減少は本来業務だ。できていないことを、できたとして評価するより、できていない場合に減算する」よう求めた。幸野委員の姿勢は「評価ではなくペナルティーの設定を検討すべき」と踏み込んでいる。

厚労省は、新医薬品の処方日数制限(14日ルール)について緩和の方向性を示したが、支払側、診療側委員共に「現行の14日が原則であり、厳守すべき」との声が総意で、例外については「理由書」や「都度の審査」による対応が必要とされた。結局委員からは同意を得られなかった。一律的な一般名処方普及にも、診療側から「信頼性に劣る」として異議が出ている。
◆厚労省、2015年度介護報酬改定検証調査への協力依頼
再々依頼 特に未回答の介護保険施設・事業所へ要請

――厚生労働省
厚生労働省は最新の介護保険最新情報vol.501を公表したが、10月3日に発出した介護保険最新情報vo.342で周知した「平成25年度介護報酬改定検証・研究調査」への協力依頼を引き続き行っている。
厚労省は、2015年度介護報酬改定による効果の検証・調査研究を行い、2018年度の介護報酬改定に必要な基礎資料を得ることを目的に、社会保障審議会介護給付費分科会に介護報酬改定検証・研究委員会を設置し、調査を実施している。
この依頼は再々依頼の「督促はがき」の意味を持つが、すでに正規の提出期限は過ぎているものの、引き続き提出することは可能だという。特に未回答の介護保険施設・事業所への協力を求めている。この後、11月20日に市町村票、同25日に事業所票を締め切る。すべての調査内容を締め切るのは11月30日としている。

●調査内容(平成24年度調査)
<介護報酬改定効果検証>
平成24年度の介護報酬改定における個々の改定が企図した効果を挙げているかについて、実態調査を行った上で、検証及び分析を行う。
(1)サービス付き高齢者向け住宅等の実態に関する調査研究(調査票提出締切り済み)
(2)地域の実情に応じた定期巡回・随時対応サービス・小規模多機能型居宅介護等の推進に関する調査研究事業(調査票提出締切り済み)
(3)複合型サービスにおけるサービス提供実態に関する調査研究事業(11月15日(金)締め切り)
(4)集合住宅における訪問系サービス等の評価のあり方に関する調査研究(11月15日(金)締め切り)
(5)介護老人保健施設等の在宅療養支援及び医療提供のあり方に関する調査研究事業(11月15日(金)締め切り)
(6)短期入所生活介護等における緊急時のサービスの提供状況に関する調査(11月15日(金)締め切り)

<介護報酬改定調査研究>
平成24年度の介護報酬改定において、次期介護報酬改定に向けて調査・研究を進めることが必要であるとされた事項について、必要な基礎資料を得るための調査設計及び集計、分析方法等について検討を行う。
(7)要支援者・要介護者のIADL等に関する状態像とサービス利用内容に関する調査研究事業及び予防給付の提供実態に関する調査研究事業(11月15日(金)締め切り)
・要支援者の状態像と介護予防サービスの提供に関する実態調査
・予防給付の提供実態に関する調査
(8)認知症対応型共同生活介護のあり方に関する調査研究事業
(9)認知症の人に対する通所型サービスのあり方に関する研究
(10)介護サービス事業所における医療職のあり方に関する調査研究事業(11月15日(金)締め切り)
(11)生活期リハビリテーションの効果についての評価方法に関する調査研究(11月15日(金)締め切り)

【今後のスケジュール】
9月
○ 介護報酬改定検証・研究委員会・調査票(最終案)の決定――終了
○ 社会保障審議会介護給付費分科会・調査票(最終案)の了承――終了
10月
○ 調査実施(一部は12月調査実施予定)
12月
○ 集計

2016年1月・2月
○ 分析・検証
3月以降
○ 介護報酬改定検証・研究委員会による▼調査結果に対する評価を実施
○ 社会保障審議会介護給付費分科会による「介護報酬改定検証・研究委員会から報告された調査結果などを決定(予定)」などを予定している。
この後、・介護報酬改定検証・研究委員会から報告された調査結果について了承する運びとなる。

◆セブン‐イレブンの高齢者等地域見守り事業 始まる
東京都内初、品川区社協と連携 見守り拠点の役割目指す

――株式会社セブン‐イレブン・ジャパン
株式会社セブン‐イレブン・ジャパン(東京都)は、2015 年 11 月 2 日、東京都品川区と品川区社会福祉協議会(蓼沼 恵美子会長)と地域社会における安全・安心の取り組みの一環として『民間企業と連携した高齢者 等地域見守りネットワーク事業に関する協定』を締結したと発表した。

この取り組みは、高齢化社会の進行や単身世帯の増加、地域商店街の小売店舗をはじめとする様々な地域拠点の減少といった社会環境の変化が進む中、厚生労働省が地域の社協との組み合わせで郵政(郵便局)やドラッグストア構想(具体案は未定)とともにこの施策を提唱した。
品川区とセブン‐イレブンが連携・協力して、 地域の高齢者等の見守り活動を通じて安全・安心な街づくりを推進していくもの。 セブン‐イレブン・ジャパンとして、東京都内の市区町村との高齢者支援に関する協定の締結は、 今回が初。 セブン‐イレブンは、今後も地域社会との連携や「セブンミール」を中心とした宅配サービスに努めるというコメントを行った。最大手のコンビニが始めたことでコンビニ各社、ドラッグストア、などへの波及効果が期待できる。

具体的には、食事宅配サービス「セブンミール」や、セブン‐イレブン店舗での日常業務を通じて、高齢者などの見守り活動を実施し、異変を察知した際には指定された在宅介護支援センターに連絡するなどの支援を行う。
現在、セブン‐イレブン・ジャパンは石川県、福岡県、千葉県、宮崎県、福島県、三重県、長野県、大阪府、山梨県の1府8県と、171の市町村との間で「高齢者等の支援に関する協定」を結んでいる。東京都内の市区町村との高齢者支援における協定は、今回が初となる。

セブン‐イレブン・ジャパンは地域社会との連携や、「セブンミール」などの宅配サービスの拡充などにより、今後も、ユーザーの利便性の高いコンビニエンスストアを目指すとしている。今後、高齢者だけでなく児童、生徒を含む地域全体での意識の高まりをどのように盛り上げるのか、形(システム)や入れ物(建物)といったハードの次には、人間的な目線や配慮のソフト面の充実が必須となろう。

(画像は、セブン-イレブン・ジャパンのホームページより)

●セブン-イレブンの『高齢者等の支援に関する協定』(個別協定)締結状況
全国 180 体(1 府 8 県 171 市町村)で締結 (2015 年 10 月末時点)
【都道府県】1 府 8 県
・石川県 2012 年 3 月 3 日 地域見守りネットワーク構築事業に関する協定
・福岡県 2013 年 11 月 25 日 「見守りネットふくおか」協定
・千葉県 2014 年 7 月 31 日 「ちば SSK プロジェクト」等に関する協定
・宮崎県 2014 年 11 月 14 日 「みやざき地域見守り応援隊」協定
・福島県 2015 年 3 月 26 日  福島県地域の高齢者等の支援に関する協定
・三重県 2015 年 5 月 27 日  「三重県の高齢者見守り」等に関する協定
・長野県 2015 年 8 月 19 日  長野県地域見守り活動に関する協定
・大阪府 2015 年 9 月 18 日  大阪府高齢者にやさしい地域づくり推進協定
・山梨県 2015 年 10 月 23 日 山梨県地域の高齢者等の支援に関する協定
【市町村】 171 市町村(1 道 20 県)

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