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介護経営情報(2015年11月20日号)

2015/11/24

◆定額負担の金額、「高額設定」の意見が大勢
中医協・総会 紹介状なしの大病院選定療養

――中央社会保険医療協議会(中医協)
次年度の診療報酬改定案を審議している中央社会保険医療協議会(中医協)の総会が11月18日開催された。この日は、「2014年度診療報酬改定の結果検証に係る特別調査」の速報結果で、「明細書の無料発行の実施状況調査」などの概要が公表された。速報によると、明細書を無償発行しているのは、400床以上の病院98.4%、400床未満の病院でも96.6%と高率だが、一般診療所では78.4%、歯科診療所54.7%にとどまることが分かった。また、かかりつけ医がいる患者は、病院外来患者の73.3%、診療所患者の85.0%と高率で、当該医師を選んだ理由は、「自宅や職場・学校に近いから」に次いで多かったのが、「人柄などが信頼できる医師がいるから」だった。

この日の中心テーマは、紹介状なしの大病院診時にかかる選定療養―に関して(1)定額負担を求める大病院の範囲、(2)定額負担を求めない患者・ケース、(3)定額負担の金額(初・再診時)、(4)制度を導入した場合の初診料、外来診療料の評価――の論点をさらに詰める議論が行われた。

これまで大病院の定額負担徴収の問題は、紹介状を持たない患者が対象。200床以上の病院では現在、定率の患者一部負担金とは別に、「選定療養」の仕組みにより、患者負担を求めることができる。新制度は、「選定療養」を大病院について義務化する構想だが別の新たな仕組みを作る。大病院の定義も定まってはいない。
骨子案では、「特定機能病院と500床以上の病院」が対象で、定額負担の額は「5,000円~1万円」となっているが、徴収対象病院や徴収額などの詳細は、中医協や中央医療審議会などで議論して決定、療養担当規則などで定める仕組みになっている。

この日総会で(3)に関して、厚労省は前回、徴収金額の最低金額を国が設定することなどを提案。さらに、今回、新たな論点として「医科・歯科併設の医療機関で、医科・歯科で異なる金額設定とすることの金額を含め、どう考えるか」と提示。厚労省案は金額提示に幅を持たせている。
具体的な金額では、医科の初診時は、「3,000円程度」、「5,000円程度」、「1万円程度」の3案を例として提示。再診時は、「1,000円程度」、「初診時の最低金額の約4分の1」、「同約2分の1」の3案をそれぞれ提示した。歯科では、初診時の特別の料金を医科と比べた水準である「医科の最低金額の6割程度」と「医科の最低金額と同等程度」の2案を示した。

<構成委員の意見> 料金に関して、診療側の松本純一委員(日本医師会常任理事)は「若干、高額に決めるべき」と主張したほか、「患者の調査で受診を控えるのはいくらで、何%の患者が控えるのか資料提出してほしい」と求め、具体的金額は示さなかったが「支払えない金額の根拠となるデータ」を要求した。また、万代恭嗣委員(日本病院会常任理事)は「混乱を招くので、初診・再診には差をつけるべき」と主張。再診時には不要との意見も出ている。再診患者についても、厚労省は「1,000円程度」「初診の額の4分の1」「初診の額の2分の1」といった目安を示している。

支払い側の幸野庄司委員(健康保険組合連合会理事)も「5,000円くらいが妥当ではないか。再診は少し高めに設定し、別の病院に行ってもらうのが妥当。抑制が必要だ」と述べた。幸野委員は「診療所から紹介状を持って受診する患者では、実質的に4,350円の負担をしている」ことを示し比較例示した。

なお、(4)に関して、今回、厚労省は(a)紹介状なしの大病院受診時の定額負担の導入に伴い定額負担を徴収する場合の初診料・外来診療料の評価、(b)現行の紹介率・逆紹介率が低い医療機関における減点の取り扱い―の2点について、現状を維持し、今後、定額負担導入による外来機能分化の状況などを踏まえ、検討することを提案している。

◆厚労省、訪問介護等の事務所開設、「住居専用地域」でも可
訪問入浴、病医院除く訪問看護等、17種の事業所を明確に

――厚生労働省
厚生労働省は11月13日、「介護保険最新情報」vol.503を公表、掲載内容に「建築基準法における老人福祉センターその他これに類するものの取り扱い」に関する通知(国土交通省)を出し周知を行っている。
これは都市計画で「住居専用地域」と位置づけられた場所でも訪問介護など看護提供の事務所を設置できるという建築基準法の解釈を、国交省が同日に各都道府県へ発出した通知で示した。同時に厚労省も「介護保険最新情報」vol.503でこれを全国の関係機関へ発出したもの。

「老人福祉センター、児童厚生施設その他これらに類するもの」の建築基準法での取り扱いは、これまで、都市計画法による住居専用地域であっても「騒音の発生等により近隣の居住環境を害するおそれがない集会・通園施設である社会福祉施設」に該当するとして、建築物制限の緩和がされてきた。
しかし、訪問介護・看護サービスを提供するための事務所は取り扱いが明確ではなく、2015年6月30日に閣議決定された「規制改革実施計画」で、住居専用地域に事務所を設置できるように、必要な措置が求められていた。
通知は、これを受けて、国交省が取り扱いに関し、介護保険法で定める訪問介護、訪問入浴、訪問看護(病院・診療所以外)、定期巡回・随時対応型訪問介護看護など17種の事業所も、「老人福祉センター、児童厚生施設その他これらに類するもの」として、住居専用地域に建設できることを明確化した。

厚労省は同日、介護保険最新情報vol.502で公表し、同日付の「養介護施設従事者等による高齢者虐待の再発防止および有料老人ホームに対する指導の徹底」、「介護保険施設等における高齢者虐待等に対する指導・監査等の実施」などに関する通知も掲載した。
通知は、養介護施設従事者らによる深刻な高齢者虐待などが複数の事業所で報告されたため、「高齢者虐待の防止、高齢者の養護者に対する支援等に関する法律」に基づき、高齢者虐待の未然防止、早期発見、適切な対応に努めることを求め、機動的な事前通知なしの指導監査実施などの留意事項を周知している。
訪問介護・看護サービスを提供するための事務所はこれまでは必ずしも明確にされていなかったため、一部の地域では開設の許可がなかなか下りないケースがあったという。
政府は6月30日に閣議決定した「規制改革実施計画」で、「住居専用地域であっても訪問介護サービスを提供するための事務所を設置できるようにすべき」と指示、法律の解釈を明確にするよう国交省に求めていた。
今回の通知で国交省は各自治体に、訪問介護などの事務所が「住居専用地域」でも建てられる「老人福祉センター」に含まれると説明した。国交省は、「地域包括ケアシステムの構築に向けて要望が多かった。今回の対応で訪問サービス事業所の立地が制限される懸念はなくなる」としている。

◆患者の望む終末期医療支援で全国に相談チーム設置
厚労省 来年度から200以上の医療施設で設置目指す

――厚生労働省
厚生労働省は11月13日、来年度から治療で回復の見込みがなく死期が迫った患者と家族に対し、終末期医療の必要な情報を提供する専門の相談支援チームを全国に整備する方針を固めた。日本は高齢化率25%、平均寿命が80歳を超え、年間死者数が120万人に上る。厚労省はこの事業を通じ、「多死社会」を見据えた終末期医療の在り方を検討、将来の医療・介護提供体制見直しにもつなげる考えだ。

厚労省は2014年度から、全国15の医療機関でモデル事業を行ってきた。来年度は、相談支援チームのメンバーに北海道から九州まで8ブロックで計16回程度、終末期医療の意思決定に関連する法的知識など必須科目の相談員養成の研修を行い、200以上の医療機関で設置を目指す。
終末期医療では、患者の意思が分からず家族や医療現場が判断に悩むケースが目立つ。事前にチームと話し合って治療方針を決めておくことで、患者の希望に添った「最期」の実現につなげたいとしている。支援チームの相談員は、本人が本当に望む最期を迎えられるよう、患者と話し合い、治療方針の決定にも関与する。来年度予算の概算要求に、相談員養成の研修費用など約1億円を計上する。
相談員には終末期医療の専門的研修を受けた医師・看護師のほか、在宅療養に向けた助言など生活面を支える医療ソーシャルワーカーらを想定する。
①病院や自宅など、どこで最期を迎えたいか、②人工呼吸器装着や蘇生措置を行うか③胃ろうなど栄養補給や痛みを緩和するための投薬を行うか――などを患者と話し合い、情報不足に陥りがちな患者・家族の不安を取り除き、希望がかなうよう調整する。意思表示ができなくなった場合に備え、事前指示書の作成も促す。

厚労省が2014年3月に成人男女約2100人が回答した意識調査では、事前指示書の作成に「賛成」と答えた人が69%を占める一方、実際に作成しているとした人は2%にとどまった。ただ、医療現場では、延命治療をどこまで施すかなど患者の意思が不明だったり、患者と家族の考え方が食い違ったりするケースもあり、厚労省はこうした対応が困難な事例を集め、課題を探る取り組みも進める方針。
医療・介護サービスが必要になっても、施設でなく住み慣れた地域で生活を続けられるよう転換を進める厚労省は、今回の事業を端緒に、終末期医療に関し国民的議論を喚起したい考え。一方、患者が本当に穏やかな最期を迎えられる環境を整えるには、在宅でみとり(看取り)を担える人材の育成や緩和ケアの充実も必須で<地域包括ケアセンター>実現には欠かせない過程ともいえよう。

▽終末期医療
終末期医療 重い病気で治療を尽くしても回復する見込みがない患者に対する医療。心身の苦痛を和らげ、残る時間を穏やかに過ごせるよう配慮すること。厚労省は2007年、本人の意思決定を基本とし「医療行為の不開始や中止は医療・ケアチームが慎重に判断する」との指針を策定。
政府の有識者会議「社会保障制度改革国民会議」は2013年、「超高齢社会に見合った『地域全体で治し・支える医療』の射程には(末期の患者が)より納得し満足のできる最期を迎えられるよう支援することも入る」とし、国民的合意形成や体制整備の重要性を提言した。

◆介護事業20周年迎え介護領域の社内シンクタンク設立
「ベネッセ シニア・介護研究所」~未解決のテーマに挑む

――株式会社ベネッセホールディングス
株式会社ベネッセホールディングス(HD/本社:岡山市)は、新たに介護領域の社内シンクタンク「ベネッセ シニア・介護研究所」を 2015 年 11 月 11 日に設立したと発表した。 11 月 11 日は「介護の日」でもある。
ベネッセHDは、1995 年に介護事業をスタートし、業界に先駆け今年で20 周年を迎えた。グループで介護事業を担う株式会社ベネッセスタイルケアでは、「その方らしさに、深く寄りそう。」(キャッチフレーズ)ことを大切に、286 拠点の高齢者向けホーム及び住宅(うち 282 拠点は有料老人ホーム)を展開。約 1万 4,000 名の施設利用者(居住者)を受け入れる「有料老人ホーム」のリーディングカンパニーとなった(数値は2015 年 11 月 11 日発表時点)。

「ベネッセ シニア・介護研究所」の設立は多くの利用者が生活する現場を持つこと、そして20年間で培った介護の知見を強みとし、高齢化社会に役立つ調査・研究と、社会や介護業界全体に対して発信・貢献することを目的としている。本研究所の活動を通して、現場の実態や利用者、家族・介護スタッフの声を発信するとともに、高齢者・介護に関する未解決のテーマの調査・研究に取り組み、「年をとればとるほど幸せになる社会」の実現に貢献していくとしている。

●所在地 〒160-0905 東京都新宿区西新宿 2-3-1 新宿モノリスビル 5F
所長 滝山真也 (株式会社ベネッセホールディングス執行役員、株式会社ベネッセスタイルケア 代表取締役社長)。名誉顧問 長谷川和夫 (社会福祉法人浴風会 認知症介護研究・研修東京センター 名誉センター長、 聖マリアンナ医科大学 特別顧問・名誉教授)。顧問 遠藤英俊(国立長寿医療研究センター 長寿医療研修センター長)、甲斐一郎 (東京大学名誉教授)、菊谷武(日本歯科大学教授 口腔リハビリテーション多摩クリニック院長)

●調査・研究 の軸 1.高齢者・介護に関する未解決のテーマに取り組む 2.現場の取り組みやご利用者・ご家族・介護スタッフの声を発信する 3.介護人材の成長とキャリアにフォーカスした研究を行う。
※上記の具体例として入居者の家族に実施した「施設(高齢者向けホーム)入居者・保証人を対象とした『介護に関する意識調査』」(速報)も合わせて発表した(9月調査、4,384名から回答)。

▼調査結果の特徴
主に入居前の環境や入居前後の心境について報告されている。

1.【入居検討のプロセス】 家族主導が 8 割を超え、介護期間 6 カ月以内で入居したケースが約半数。十分な準備が出来ない まま入居検討の機会がやってくることが多い。施設への入居は家族主導で検討されるケースが 84.6%で、そのうち 64.0%は本人が独居のケースであった。入居までの介護期間は、全体では「介護歴なし」が 25.6%と多く、「6 カ月以内」が 48.4%と約半 数を占めた。家族と同居している高齢者について家族主導で入居を検討する場合は、「介護歴なし」の割合が低く、介護を経験してから入居に至るケースが多い。

2.【入居の検討に際しての悩み】 家族同居のケースでは「自宅介護へのこだわり」や「家族以外の介護への罪悪感」を感じる人の割合が高い。 全般的には施設内での人間関係や看取りをしてもらえるかどうかなどの入居後の生活の不安について悩んだという回答が半数を超えていた。家族主導で入居を検討したケースに注目すると、「自宅介護への こだわり」や「家族以外の介護への抵抗・罪悪感」に悩んだという回答は、家族同居の方が独居よりも 9 ポ イント程度高かった。

3.【入居の検討に際して心の支えになったもの】 多くの場合は「人」が支え。医師・ケアマネジャー等の地域の専門職や、入居検討先の施設の従業員を挙げたケースが多い。 人そのもの、人の言葉・話、人の態度・対応など、検討に関わった「人」がさまざまな面で支えになっている。支えになったという回答が最も多かった「人」は、独居では医師・ケアマネジャーなど地域の専門職 (36.8%)、家族同居では入居検討先の施設の従業員(40.7%)であった。

4.【入居後の変化】 家族同居の場合、入居後に「気持ちが前向きになった」人が 7 割以上、「入居者と家族の関係が良 好になった」ケースも半数以上。 家族以外の介護への罪悪感に悩んだ人の割合が高い家族同居のケースにおいて、入居後は「気持ち が前向きになった」人が 72.1%、「入居者との関係が良好になった」と回答した人が 56.2%に上った。

5.【介護に対する向き合い方】 自らの経験から、介護は一人や家族だけで抱え込まず、介護のプロや経験者の力を借りることが 必要との意見が多い。 一人や家族だけで抱え込まずに他の人やプロの手助けを借りることが必要とする意見が多かった。ま た、プロの手を借りることにより入居者の状態の改善や、入居者・家族の関係が改善したことをメリットとして挙げる意見も多かった。

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