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介護経営情報(2016年3月18日号)

2016/3/23

◆4月から介護施設への抜き打ち実地指導 可能に
重なる施設での虐待を受け事前通告なしと判断

――厚生労働省
厚生労働省は3月10日、全国介護保険・高齢者保健福祉担当課長会議を開催し、都道府県などが介護施設へ定期的に行っている実地指導について、「抜き打ち実地指導」を可能とする方針を伝えた。川崎市の有料老人ホーム転落死のような介護施設での虐待が急増しているためで、虐待の疑いがある場合は事前通告なしに行う必要もあると判断した。この日の会議で事前通告の必要性を定めている指針を改定するとして、4月から実施する方針。ただ、介護施設の急増で立ち入りをする職員の不足は深刻化しており、虐待の増加を食い止められるか不透明な面もある。
厚労省によると、介護施設の職員らによる高齢者への虐待は2014年度中に300件が確認された。前年度より35・7%増え、8年連続で過去最多を更新した。

実地指導は、サービス内容や職員配置といった入居者の処遇に問題がないか確認するため、定期的に実施している。自治体による介護施設への実地指導は、指定更新期間内に1回、担当者が事業所へ出向いて行われていた。内容はケアマネジメントやコンプライアンスに添った適正な運営が行われているかをみるもので、主に運営面と報酬請求面について指導する。
運営面では、ニーズに応じた適正なケアプランの作成、虐待防止や身体拘束防止の取り組みの促進などについて、運営指導マニュアルに基づいて指導する。報酬請求については報酬請求指導マニュアルに基づいて指導し、様々な書類を点検する。例えば、就業規則、資格証明書類、勤務割り表、業務日誌、介護給付費請求明細書、給付管理表など、膨大な書類の用意が必要になる。

従来、「必要な書類をそろえておいてもらわないと効果的な指導ができない」という理由からあらかじめ通告がされていた。しかし、これが改定されると、今後は都道府県などが抜き打ちで実地指導に入った場合に、その目的などを文書で示せば良いことになる。厚労省は、緊急性はないものの不正の情報が寄せられた施設などを抜き打ちの対象に想定。例えば、職員不足で日常的に入居者を身体拘束しているといった実態を把握できる可能性が大きくなるとみている。

抜き打ちの対象になるのは市民から不正の情報が寄せられた施設などで、日常的に虐待が行われているといった実態が明らかになるのではないかとみている。

◆電子処方箋、今年4月から解禁へ
地域医療連携ネットワーク稼働地域で順次運用開始

――厚生労働省
厚生労働省は、今年4月から医師が患者の薬を指示する処方せん(箋)の電子化(電子処方箋)を解禁する。これは今年2月10日に開催された医療のIT(情報技術)化を議論する医療情報ネットワーク基盤検討会において、厚労省が示した「電子処方せんの運用ガイドライン(案)」が大筋で了承されたことを受けたもの。
事務方の厚労省はこれまで、電子処方せん運用ガイドライン(案)に若干の修整を加える作業を行い、同時に、3月に処方せんの電子的な作成・交付・保存を可能とするe-文書法(*)に基づく省令改正を行い、次にパブリックコメント実施を経て、4月からの施行に間に合わせる。
これからの方向として地域医療連携ネットワークなど実施環境の整った地域で順次運用を開始するが、電子化は希望する市町村や都道府県の単位で始める。地域の医療機関同士が患者の情報を共有している地域医療連携ネットワーク(全国約200ヵ所)の枠組みを使って行う。
ほぼ全ての薬局が対応できるまでの移行期の対処法として、医療機関は患者の診察を行い、処方内容や処方箋IDなどを記載した「電子処方箋引換証」(電子処方箋の識別番号)を患者に交付する。患者は薬局に引換証を提出する。電子処方箋に対応していない薬局の場合には、引換証を紙の処方せんに変換することを患者に説明し、電子処方箋の運営主体に対して処方せんの無効化を要求する。

このシステムの基本は医師が処方する薬のデータを地域の専用サーバーに送り、薬局がデータを呼び出して患者に薬を出すことで稼働する。電子メールによる処方箋の送受信については、医療情報の安全なやり取りを完全に確保できないとの判断により、ガイドライン案では採用しないことを明記した。
これによって薬局が年間7億枚を超える処方せんをパソコンで打ち込む作業時間、作業中の転記や入力ミス、整理、保管する事務作業がなくなりコスト負担が大幅に減少する。薬局は使った処方せんを紙のままか、画像データとして取り込んで3年間保管しなくてはならない。
処方せんの電子化は、医療機関や薬局の連携や服薬情報の一元的・継続的把握の効率化につながるため、電子お薬手帳との連携も求める。患者から依頼があれば、調剤の結果を電子お薬手帳の運営主体に送信するなど連携を確保する。厚労省の目標として2020年度以降は全国に広げ、患者がマイナンバーカードだけで薬を受け取れる仕組みも検討する。

*「医療情報ネットワーク基盤検討会」(座長=大山永昭・東京工業大像情報工学研究所教授)が電子処方箋を運用するため2014年度から実証実験に入り、処方箋の使い回しやシステム障害といった「電子化に伴う問題点」への対応を済ませたうえガイドラインをまとめた。
*現在、電子的に処方箋を発行・交付・保存することを認めていないe-文書法による厚生労働省令(厚生労働省の所管する法令の規定に基づく民間事業者等が行う書面の保存等における情報通信の技術の利用に関する省令)。e-文書法に基づき、各省の省令で、書面の作成・ 交付・保存に代えて電磁的に作成できるものを定めている。

◆介護保険サービス利用者41万人増の493万人 健康日本21推進委
「高齢者の就業や社会参加」男64%、女55.1%(目標80%)

――厚生労働省
厚生労働省は3月15日、「健康日本21(第2次)推進専門委員会」を開催し、「目標項目の進捗状況」を報告した。健康日本21は平成25年度から10年間の計画である。その基本方針や理念、具体的な目標などについては、平成24年に改正された健康増進法第7条に基づき厚生労働大臣が定める「国民の健康の増進の総合的な推進を図るための基本的な方針」(略称―基本方針)の中に盛り込まれた。
基本方針は次の5項目。
1健康寿命の延伸と健康格差の縮小
2生活習慣病の発症予防と重症化予防の徹底(NCDの予防)
3社会生活を営むために必要な機能の維持及び向上
4健康を支え、守るための社会環境の整備
5栄養・食生活、身体活動・運動、休養、飲酒、喫煙及び歯・口腔の健康に関する生活習慣及び社会環境の改善
NCDとは心臓血管病、がん、ぜんそくや肺気腫などの慢性肺疾患、そして糖尿病などの非感染性疾患を総称して非感染性疾患と呼ぶ。

厚労省はこの日、第3目標項目である「社会生活を営むために必要な機能の維持・向上に関する目標」として(1)こころの健康、(2)次世代の健康、(3)高齢者の健康――のそれぞれの健康に関して、目標、策定時の状況、現状値など進捗状況を報告した。

(1)では、「人口10万人あたり自殺者の減少」(目標値:2016年19.4人)で、2010年の23.4人から2014年は19.5人に改善。厚労省は今後も、自殺総合大綱(2012年政府改定)に基づく取り組みを推進するとしている。
また、「気分障害・不安障害に相当する心理的苦痛を感じている者」(目標値:2022年度9.4%)は2010年の10.4%から、2013年は10.5%に微増。保健所の相談・訪問指導、かかりつけ医、小児科かかりつけ医、看護師など対象のうつ病に関する研修、かかりつけ医と精神科医の連携会議の実施等の事業を実施し減少に努めるとした。
(2)では、「全出生数中の低出生体重児の割合の減少」(目標:2024年に減少傾向とする)で、2010年と2014年でいずれも9.6%と現状維持の状況。
(3)では、「介護保険サービス利用者の増加の抑制」(目標値:2025年度657万人)に関し、2012年度の452万から、41万人増加して2015年8月は493人増と報告。また、「認知機能低下ハイリスク高齢者の把握率の向上」(目標値:2022年度10%)に関し、2009年の0.9%から2012年は2.0ポイント改善し3.9%という状況。
「高齢者の社会参加の割合」(就業または何らかの地域活動に参加している人)は、目標値:80%(平成34年度)に対して平成20年現在での現状は、男性64%、女性55.1%。
今後の方向性として、厚労省は住民自身が運営する体操の集いなどの活動を地域に展開するほか、先進的な市町村の取り組みで効果的な介護予防を全国展開するとしている。

第2、第5の目標項目は次の通り。

第2目標項目:主要な生活習慣病の発症予防と重症化予防の徹底に関する目標
(1) がん(2) 循環器疾患(3) 糠尿病(4) COPD(慢性閉塞性肺疾患)
第5目標項目:栄養・食生活、身体活動・運動、休養、飲酒、喫煙及び歯・口腔の健康に関する生活習慣及び社会環境の改善に関する目標
(1) 栄養・食生活(2) 身体活動・運動(3) 休養(4) 飲酒(5) 喫煙(6) 歯・口腔の健康

◆全国組織の「居住支援協議会」の情報共有、連携図る 国交省
民間賃貸住宅の入居選別調査「高齢者入居に拒否感」消えず

――国土交通省
国土交通省は3月14日、「安心居住政策研究会」を開催し、「多様な世帯が安心して暮らせる住まいの確保に向けた当面の取り組み案」を議論した。この日、安心居住政策研究会は中間とりまとめ(概要)を発表した。
この会は本格的な人口減少・少子高齢化社会を迎える中、さまざまな世帯の安心な居住の確保に向けた目指すべき方向性と対策を検討するのが目的で設立、大学教授7名で構成。オブザーバーとして厚生労働省も参加している。
前回の会合では、今後の検討課題についてディスカッションを行ない、「高齢者世帯」「子育て世帯」「障害者世帯」に分けて取り組み内容の検討を行なうとともに、多世帯が交流するための推進方策も探っていくことが確認された。
「高齢者世帯」では、バリアフリー化、地域の中でのいきいきとした生活や活動の確保を、「子育て世帯」では、安全な構造や設備等を備えた住宅の確保、地域の中で安心して子育てできる環境づくりをテーマに提案。また、「障害者世帯」の課題として、健康・介護・医療の福祉サービスや生活支援サービスの確保等を挙げた。

発表された取り組み案では、民間住宅への入居の円滑化のため、地域の自治体・不動産関係団体、居住支援団体などで構成される「居住支援協議会」が全国をカバーする形で設立され、関係間で情報共有・連携が図られることが必要と説明。

今後の住宅の在り方で研究会構成員の意見を集約すると、「良好な住空間の提供に加え、コミュニティや福祉サービス等の拠点施設を備えた『スマートウェルネス住宅・シティ』の整備を、日常生活圏を目安に推進したい」、そのために「地域を挙げた居住支援の枠組みとして住宅、人、コミュニティなどをつなぐ窓口の『居住支援協議会』を設立し、活動の強化を図りたい」などというもの。
また、単にハードの「箱」として住宅の供給や仕様・性能の向上を図るだけでなく、そこに住む人のQOL(クオリティ・オブ・ライフ)の向上を図ることが大切。コミュニティなどを包摂する「住まい」の空間として、住む人の心が温まる「ハートフルな住まい」を目指すべき、という意見もあった。
居住支援の現状と課題に関して、民間賃貸住宅入居選別のアンケート調査結果を示し、入居を拒否している賃貸人の割合は、単身高齢者8.7%、高齢者のみ世帯4.7%、障害者のいる世帯2.8%と報告。また、入居に拒否感がある賃貸人割合は、高齢者世帯70.2%、障害者のいる世帯74.2%などに上り、2010年11月実施の調査から改善が見られないと指摘している。

そこで、居住支援協議会の取り組み強化の方向性と対策として、基礎自治体の市区町村単位で協議会を設立することが望ましいと強調。また、現在のところ事例はないものの、都道府県や市区町村の垣根を越えた生活圏域に着目した連携など広域で協議会設立も方法として考えられると述べている。
また、家主は高齢者・障害者の要配慮者の入居に対して、保証人の確保、入居中の安否などに不安を抱え、結果として入居選別をしている場合があり、家主の不安感を軽減するため居住支援サービスの活用が重要と述べている。

さらに、高齢者の安心な住まいの確保の進捗状況に関して、公的不動産(PRE)を活用したサービス付き高齢者住宅の供給の取り組み事例、ヘルスケアリートの活用事例やメリットなどの周知普及を図るとしている。このほか、2015年度から高齢者の住み替え後の住宅建設・購入資金のリバースモーゲージ(自宅を担保とした金融商品で高齢者世帯が資金調達するための手段)型住宅ローンを、住宅金融支援機構の住宅融資保険の付保対象に追加したことなどを報告している。

●居住支援協議会の役割
住宅セーフティネット法に基づく「居住支援協議会」は、地方公共団体、宅地建物取引業者、賃貸住宅管理業者、家賃債務保証業者、居住支援を行う団体などから構成される組織で、住宅確保要配慮者が民間賃貸住宅へ円滑に入居できる環境を整備するため、居住支援協議会を設置して、関係者間で情報を共有するとともに、必要な支援策について協議・実施する。居住支援協議会は、低額所得者、被災者、高齢者、障害者、子どもを育成する家庭その他住宅の確保に特に配慮を要する者(住宅確保要配慮者)が民間賃貸住宅に円滑に入居できるよう推進する全国組織。

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