新着情報

ホーム > 新着情報 > 介護経営情報(2016年5月27日号)

介護経営情報(2016年5月27日号)

2016/5/30

◆今夏をメドに「第4次産業革命官民会議」を設置
政府成長戦略素案、ビッグデータ活用し診療支援

政府は5月19日、産業競争力会議を開催し、「成長戦略:『日本再興戦略2016』素案」を提示し議論した。同会議の議長でもある安倍晋三首相は、政府の骨太方針と併せて5月末に閣議決定する成長戦略の柱にIoT(モノのインターネット化)や人工知能(AI)の活用を掲げる方針を正式に表明した。今夏をメドに「第4次産業革命官民会議」を設置し、国内総生産(GDP)600兆円実現への取り組みを実行に移したい考え。

安倍首相は会議で「まずは、3つの重点課題に取り組みます」として次の3項目を挙げた。
第1に、健康医療など有望な分野を特定し、企業や組織の垣根を越えて、データを共有・活用するプラットフォームの形成を促進する。
第2に、技術革新の動向を踏まえ、先手、先手で規制・制度を改革する。
第3に、第4次産業革命の時代を勝ち抜ける人材を育成する。初等中等教育でのプログラミング教育を必修化し、ITを活用した習熟度別学習を導入する。

素案では、新たな有望成長市場の創出のため「官民戦略プロジェクト10」を打ち出し、「第4次産業革命(IoT・ビッグデータ・人工知能)」や「世界最先端の健康立国へ」などを大きな施策の柱に掲げた。総合的な司令塔である「第4次産業革命官民会議」を設置するほか、「人工知能技術戦略会議」で研究開発・産業化戦略を具体化。規制・制度改革では、目標逆算ロードマップ方式、規制改革・行政手続の簡素化、IT化の一体的推進を実施する。
 
また、「世界最先端の健康立国へ」では、第4次産業革命で「医療」、「介護」の姿も一変すると説明。健康・予防サービスの成長余力は極めて大きく、ウェアラブル端末(時計型など身に着ける小型端末)の普及、健康・予防サービスに対する個人の嗜好の高まりや多様化を背景に、サービス需要は今後飛躍的に増大し、医療・介護費用の適正化効果も見込まれると指摘している。

そこで、レセプトや健康診断のデータに加えて、ウェアラブル端末等のIoTによるデータ収集を活用すれば、リアルタイムで個人の状況に応じた、効果的なサービス提供が可能と説明。技術革新を活かして、どのような「個別化健康サービスの提供」を後押しできるか検証すると記載している。
このため、鍵となる施策として、(1)ビッグデータ等の活用による診療支援・革新的創薬・医療機器開発(治療や検査のデータを広く収集して安全に管理・匿名化する新たな基盤「代理機関」等の実現)、(2)IoT等の活用による個別化健康サービス(レセプト・健診・健康データの集約・分析・活用)、健康・予防に向けた保険外サービス活用促進、(3)ロボット・センサー等の技術を活用した介護の質・生産性の向上(介護報酬や人員配置・施設基準の見直し等を含め制度の対応の検討)―の3項目を記載している。

◆「第4次産業革命官民会議」の具体的イメージは?
官民会議は政府の複数の会議をまとめる司令塔

政府の「第4次産業革命官民会議」の新設について、石原伸晃経済再生相は5月19日、産業競争力会議後の会見で、会議の構成委員である民間議員から「第4次産業革命を実現するうえで司令塔の設置は非常に重要。スピード感をもって規制、行政改革を進めてほしい」との要望があったことを明らかにした。時間的余裕はない胸の内を明かしている。
新たに生まれる「第4次産業革命官民会議」の具体的なイメージは、第4次産業革命を成長戦略の目玉に位置付け、予算も重点配分する見込みだ。人手不足を克服する生産性革命をはじめ、オールジャパン体制で産業・就業構造を変革する。
官民会議は従来の「未来投資に向けた官民対話」の機能を継承するが、構成メンバーは現在調整中。同会議を司令塔とし、「人工知能技術戦略会議」や「ロボット革命実現会議」、今後設置する「第4次産業革命人材育成推進会議」(仮称)など、関連する政府の複数の会議を統括する形が有力視される。
政府は第4次産業革命の実現により、20年に30兆円の付加価値創出効果を見込む。中期目標から逆算する形のロードマップを作成。産業競争力会議で進捗状況を適時確認する。企業による新たなビジネスモデルの構築を、行政による規制・制度改革で後押しし、官民協調による技術開発を推進する。
特に国全体へ普及させるカギを握る中堅・中小企業に対しては、小型汎用ロボットの導入コストを2割減らすほか、中小企業1万社のIT化を支援する。また、ビッグデータやロボットを活用して医療、介護現場を改革する。企業や組織の垣根を越えたデータ利活用を進める一方、サイバーセキュリティーを強化する。
 
成長戦略は、官民戦略プロジェクトとして、第4次産業革命など10分野を挙げ第2ステージに入る。第4次産業革命を軸に、企業内の豊富な内部留保を設備投資や技術革新、人材育成に振り向けさせ、生産性向上、潜在需要の開花を実現できるか―。これまでも法人税改革やコーポレートガバナンス(企業統治)の強化で就業者数が150万人以上増え、企業収益が過去最高の水準となった現状でも「民間企業の動きは本格的なものとなっていない」と、現状の経済状況のもどかしさを指摘する。それだけにスピードある実行力が求められ、議長役の安倍首相の真意もこの点にあるとされる。
成長戦略では、海外の成長市場を取り込むため、経済連携交渉や投資協定・租税条約の締結も進める方針を明記。20年までに100の国・地域を対象とする投資関連協定の署名、発行をめざす方針だ。

産業革命の歴史は、19世紀後半から20世紀初頭の蒸気機関の石炭エネルギーによる第1次産業革命(機械産業の登場)で近代化の夜明けを迎え、第2次産業革命は電力の活用によるオートメーション化、第3次産業革命は20世紀後半のコンピュータの活用(情報技術革命)、そして新しい第4次産業革命は、IoT(Internet of Things、モノのインターネット)により巻き起こる産業構造の変化だといわれている。

◆健康づくりにインセンティブを提供する取組みGL公表 
インセンティブ(ヘルスケアポイント)の取組み方で議論

厚生労働省は5月18日、「個人の予防・健康づくりに向けたインセンティブを提供する取組に係るガイドライン(GL)」を公表した。これは、2016年4月4日の「保険者による健診・保健指導等に関する検討会」で議論した、国民が健康づくりの取り組みを実践・継続するための施策案をまとめたもの。医療費の拡大、高齢者人口の増加。国の将来は高齢者医療と介護が大きな課題となっていることが背景にある。
ガイドラインでは、(1)基本的な考え方、(2)個人への分かりやすい情報提供、(3)個人にインセンティブを提供する方法、(4)個人へのインセンティブ提供に係る評価指標と報酬のあり方、(5)個人にインセンティブを提供する取り組みの効果、(6)個人にインセンティブを提供する取り組みの推進方策―の6項目をまとめている。
 
注目されるのは(3)と(4)の「インセンティブ」付与制度だ。
(3)では、個人にインセンティブを提供する取り組みとして、ヘルスケアポイント(物品などと交換できるポイント)を紹介。事業主の給与支払いと同時にポイントを提供することなどで、「保険料への支援」と呼ぶことも考えられるとした。また、個人の保険料(率・額)を変更することは困難であり、留意するよう呼びかけている。
「ヘルスケアポイント」とは、介護予防や健康増進につながる取り組みに対してインセンティブを付与することで、各自治体や企業ではポイントを貯めて現金や物品と交換、もしくは商品割引などができる仕組み。
厚労省では、2014年度から各自治体で既に実施していている取り組みの調査から始めていくという方針を示していた。「健康ポイント」ともいえるこの「ヘルスケアポイント制度」。健康に良いことをやればやるだけポイントがたまってお得というモチベーションを、介護予防に役立てていく狙いがある。
健康管理はもちろん、介護予防にも取り組むことで、介護が必要な人が減り、その分浮いたお金でヘルスケアポイントを発行し還元していく。そんな好循環が生まれる予感がするが議論と検討が必要なようでGLはその一歩と言える。まだまだ検討が始まったばかりの健康管理に対するインセンティブ付与制度だ。

(4)では、数段階に分けてインセンティブの仕組みを考えることが適切と説明。第1段階は、「健康づくりに参加するきっかけづくりとしてのインセンティブ」、第2段階は、「健康づくりが習慣化するまでの継続支援としてのインセンティブ」、第3段階は「本人に健康づくりの取り組みが習慣化した後の対応」と示した。
また、本人の積極的な取り組みを評価する方法として、「参加型(健康づくりの取り組みなどの参加を評価)」、「努力型(プログラム等の中での本人の取り組みを評価)」、「成果型(健康指標の改善を評価)」の3つの類型を提示。可能な限り複数の指標で、客観的な指標となるように工夫する必要があるとした。
 
さらに、報酬のあり方では、報酬の内容を、多様で魅力的なものにすることが重要と説明。ただし、金銭的な価値が高すぎると報酬を得ることのみが目的化するため留意が必要とし、金銭的な価値の水準は、透明・中立的な意思決定のプロセスで、事業の効果を検証・評価して決定するとした。
*「ヘルスケアポイント」とは、介護予防や健康増進につながる取り組みに対してインセンティブを付与することで、各自治体や企業ではポイントを貯めて現金や物品と交換、もしくは商品割引などができる仕組み。

◆障害者の生活介護棟を新設、児童と分けた福祉施設完成
豊橋市 福祉避難所にもなるホテルのような介護施設

――特定非営利活動法人『ソレイユ』
愛知県豊橋市の特定非営利活動法人『ソレイユ』は、災害時には福祉避難所としても機能する成人障がい者用の福祉施設を新設し、6月1日よりオープンする。5月21日にはお披露目イベントとして、地域の人たちに開放してアトラクションなどを行い、施設の存在を地域にアピールした。『ソレイユ』は「障がい者が人として人らしく生きる場の提供」を目指して幅広い年代の身体障がいや知的障がい、難病などを持つ人の活動を手助けしてきた。
今年で設立5周年を迎えるに当たって利用者の増加に伴い、施設を児童と成人とで分けることにした。そうすることでそれぞれに合うサービスを提供しようと、成人障がい者用の生活介護棟を新設したもの。

新施設は福祉施設というよりも、外観、内観ともにホテルや美術館のような雰囲気を持ち、そこに来ること自体を楽しんでもらえるように配慮したという。それは事故や病気による中途障がい者や家族にも楽しんでもらえるように意図しているからだ。
約600坪のグランドでは思い切り身体を動かして、カラオケルームも完備、作業室は障がいの度合いに合わせて5タイプの部屋で作業が出来る。広々とした部屋は車椅子でも動きやすく、虐待防止のための監視カメラも全室に設置している。100坪の多目的ホールは地域の障がい者を受け入れることが出来て、食堂、厨房、浴室などは長期的に生活を支えられるものにした。受け入れ可能な人数は通常40名であるが、最大80名までを想定している。
今回の「熊本地震」では既存の福祉避難所がうまく機能できなかったという教訓を得ているが、この施設は災害時にも利用可能な設備を整えた造りとなっている。

◇新施設概要
多目的ホール(約100坪)/カラオケルーム/食堂/厨房/浴室(借景風呂・機械浴2機)/バリアフリートイレ/更衣室/相談室2室/事務室/受入可能人数40名(MAX80名)/屋外施設:グランド約600坪/施設敷地内屋外広場約150坪/設計:STUDIO IC(株式会社ケイテック 金原圭吾)

◇特定非営利活動法人ソレイユについて
『ソレイユ』では、これまで児童から成人まで多くの障害者(身体障害者、知的障害者、精神障害者、難病)を受け入れてきたが、利用者の増加に伴い、施設を児童対象、成人対象として分離する事を決定。それぞれに合うサービスを提供するために成人障害者用の生活介護棟を新設した。
設計にあたり、外観・内観共に他の福祉施設とはまったく異質なイメージで計画を行い、ホテルや美術館のような洗練された空間を実現。この場所に通うこと自体に楽しみを感じてもらえるようにデザインすることで、先天的な障害の方だけでなく、事故や病気による中途障害者の方にも気持よく利用いただけるよう配慮している。また、利用者の家族や地域の方にも親しんでいただける施設を目指している。

お問い合わせ・ご相談はこちら

お問い合わせ・ご相談はこちら

お問い合わせ・ご相談はこちら

お電話
  • 【フリーダイヤル】0120-136-436
  • Tel.06-6222-0030
執務時間
  • 月曜日~金曜日
    午前9:00~午後5:30

お問い合わせメールフォーム

些細なことでも気兼ねなくお問い合わせください。「はい、日本クレアス税理士法人です」と電話を取ります。その後に「ホームページを見て」と言っていただけるとスムーズに対応できます。