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介護経営情報(2016年6月10号)

2016/6/13

◆社会保障審議会介護保険部会 要介護認定の見直しに着手
要介護認定、事務の簡素化・有効期間延長など
が論点 

――厚生労働省
厚生労働省は6月3日、社会保障審議会の「介護保険部会」を開催し、2017年度介護保険改定に向けた現制度の問題点の洗い出しが始まった。注目されるのは「要介護認定の見直し」―「業務の簡素化・効率化」を中心議題と位置づけ、「介護保険適用除外施設の住所地特例見直し」などの論点を提示して議論に入った。保険者の業務簡素化の狙いは、要介護認定などの業務を簡素化し、地域包括ケアシステムの構築に向けた業務により多くのマンパワーを配分できるようにするため。
介護サービスの第一歩となる要介護認定について、厚労省は現場からの要望として「事務量の増加などで現場の負担を軽減できる手段がないか」を検討していく。現在、要介護認定は、2つのステップで介護サービスの必要度をチェックしている。最初の1次判定では、市町村の調査員による基本調査と主治医意見書にもとづき、コンピュータ判定で行われる。その結果や調査員からの報告などを勘案し、学識経験者で構成する「介護認定審査会」が判断する(2次判定)。多くの委員が言及したのがこの2次判定の再考だ。

「要介護認定の見直し」に関し、厚労省は要介護・要支援の認定者数が2015年4月現在608万人に上り、これまでの15年間で約2.8倍に増加したと説明。認定者数の増加のペースは2009年度頃から加速して、市町村の要介護認定の事務量が増加していると指摘した。また、事務負担軽減のため、2015年度までに要介護認定の有効期間に関し、「市町村が設定可能な有効期間」を段階的に、新規申請12カ月、区分変更申請12カ月、更新申請24カ月に延長している。
これらを踏まえ、厚労省は論点として「保険者(市町村)等から要介護認定事務が負担との声があるが、要介護認定事務の簡素化・効率化をどう考えるか」、「要介護認定の有効期間のさらなる見直しの必要性をどう考えるか」と提示した。厚労省は認定の有効期間をさらに延ばすことも検討する方針を打ち出している。
 
多くの委員から指摘された「2次判定の再考」は、例えば。「 1次判定が覆らないことが確実なパターンがあれば、その2次判定は簡素化すべき」「 非常に重い状態の要介護5の人などは省いていいのでは」「 新規申請でなければ省略できるようにして欲しい」などに集約される。厚労省は「認定は制度の根幹で非常に重要。慎重に議論を深めていきたい」と話し、「今後、市町村などのデータを整理して実態の把握を進めつつ、有効な方策を考えていきたい」という。

次の「住所地特例」について、厚労省は「保険者の定め方を見直すべき」などとの提案をした。
「住所地特例」とは遠方などの介護施設に入所する場合に、転居先の自治体の保険に加入することになると、介護施設整備が進んでいる市町村の負担が過大になるため、転居前の市町村が、引き続き保険者になる特例制度をさす。
今回、厚労省は「介護保険適用除外施設(障害者支援施設や救護施設等)」を退所して、介護保険施設に入所する場合、住所地特例で適用除外施設の所在市町村が介護給付費を負担することになると説明。
しかし、障害者支援施設、救護施設等の適用除外施設については、適用除外施設の入所前に居住していた自治体が費用を負担する制度があるため、適用除外施設から他市町村の介護保険施設に移行した場合、費用を負担する自治体が変わる場合があると指摘した。
 
そこで、厚労省は「介護保険適用除外施設における住所地特例の見直し」の論点として、介護保険適用除外施設から退所して、介護保険施設等に入所した場合について、適用除外施設の所在市町村の給付費が過度に重くならないよう、保険者の定め方を見直すべきと提案。また、見直しは、特例の見直しの対象とする必要性が高い施設類型に限定すべきと述べている。

この日は検討テーマに「被保険者範囲」(現在「40歳以上」となっているが、これを引き下げてはどうかという論点)や「介護人材の確保(生産性向上・業務効率化等のため)」の論点も提示されている。

◆東京・ 国分寺市 認知症リスク判別の無料アプリ公開
スマートフォン用にアプリ化 全国初の試み

――厚生労働省
「もしかするとあなたは認知症の前段階であるMCI(軽度認知障害)かもしれません」―と宣告される前にチェックしてみようと、認知症の兆候を感じたら自宅でできる簡単な判別方法を無料で公開しているのが東京都・国分寺市。アプリ化は全国初の試みだ。
高齢化が進むなか、認知症の早期の発見につなげてもらおうと、国分寺市は、スマートフォンで簡単な質問に答えるだけでリスクを判別できる無料のアプリを作り、市のホームページで公開している。国分寺市の説明では、市内にいる認知症の患者は、去年11月の時点でおよそ3,500人と、高齢化に伴い年々増えている。 
このため国分寺市役所では一昨年、東海大学医学部などと協力して、今年5月から簡単な質問に答えるだけで認知症のリスクを判別できるサイトを作り、ホームページで公開してきたが、より手軽に利用してもらおうと、6月からスマートフォン用の無料アプリを作って市民に広く利用してもらおうとあらためて周知した。特にiPhone(アイフォン)とアンドロイドに対応したアプリがあり、さらに個人情報の入力も不要なため、同市では老若男女が無料で気軽に利用しやすい点をアピールしている。ただし医学的診断ではない。
なおこのアプリは、国分寺市役所で5月から公開してきた「認知症簡易チェックサイト」をアプリ化したものである。

アプリでは、「知っている人の名前が思い出せないことがある」「今、しようとしていることを忘れる」「探し物が多いかどうか」「物忘れが増えたかどうか」などの簡単な質問に答えると、3段階に分けてリスクが表示されるほか、心当たりがある人や家族が、簡単に認知症かどうかをチェックできる仕組みになっている。また公的相談を受け付ける地域包括支援センターの連絡先を調べたり、制度のリストが表示されるなどのサービスもある。
このサイトには本人向けのものとは別に、家族などが利用できるよう内容を変えた質問も用意されている。「これって認知症?」「わたしも認知症?」の2つのサイトがあり、「これって認知症?(家族・介護者向け)」では身近な人の状態をチェック、「わたしも認知症?(本人向け)」では自身の状態をチェックできる。

このほかにも同市役所では、認知症を簡単にチェックする方法を各種用意している。「認知症簡易チェックサイト」のパソコン用ページとスマートフォン用アプリに加え、認知症普及啓発用パンフレットにある「自分でできる認知症の気づきチェックシート」でも簡易チェックができる。この認知症普及啓発用パンフレット「知って安心認知症」の国分寺版は、電子ファイルが国分寺市役所のホームページからダウンロードできる。

国分寺市高齢者相談室の玉井理加室長は「認知症について不安を持っている人たちにアプリを有効に使ってもらい、気になるところがあれば気軽に行政の窓口や病院に相談してもらいたい」と話している。
*国分寺市(平成27年現在。人口―約12万人、世帯数―約57,500。外国人含む混合数)

◆政府、「アルコール対策基本計画」策定、初の決定
5省庁が一本化 横断的にアルコール障害に対応

政府は5月31日の閣議で、平成26年施行されたアルコール健康障害対策基本法(アル法ネット)に基づき、アルコール健康障害対策の総合的かつ計画的な推進を図るために、国として初めての「アルコール健康障害対策推進基本計画」を決定した。
日本には「未成年者飲酒禁止法」「酒に酔って公衆に迷惑をかける行為の防止等に関する法律」など、飲酒の規制や酩酊者の保護に関する法律はあるものの、多岐にわたるアルコール関連問題への包括的な施策を定めた法律はこれまで存在しなかった。関連する5省庁もアルコール飲料や飲酒問題に関与する際、それぞれ別個に動いており、統括する監督官庁が存在しない状態だった。

基本計画は、アルコールによる健康障害を減らすため、今後5年間で、生活習慣病のリスクを高める量の飲酒をする男性の割合を13%に、女性の割合を6.4%にそれぞれ減らすことなどを目標に掲げた基本計画が盛り込まれている。
基本計画では、飲酒に伴うリスクに関する知識の普及を徹底し、アルコールによる健康障害の発生を予防することや、予防や相談から治療、回復まで、切れ目のない支援体制を整備することを重点課題に位置づけている。その上で、今後5年間で、生活習慣病のリスクを高める量の飲酒をする人の割合を、男性は一昨年の15.8%から約3%減に、女性は8.8%から2.4%減にそれぞれ減らすことや、すべての都道府県に相談拠点とアルコール依存症の専門医療機関を設けることを目標に掲げた。
政府は、今後、すべての都道府県が地域の実情に即した基本計画を策定することを促すなどして、地方自治体や事業者、関連団体などとも連携しながら対策を進めることにしている。

アル法ネットの制定までの経緯
平成24年3月、「アル法ネット」の要望に応え、超党派による「アルコール問題議員連盟」が基本法の中身の検討に着手した。その後、関連省庁(厚生労働省・国税庁・警察庁・法務省・文部科学省など)、医療など専門家・当事者・家族・市民団体、酒類業中央団体連絡協議会へのヒアリングを重ね、11月にまとまったのが、「アルコール健康障害対策基本法骨子(案)」。タイトルには「アルコール健康障害」が使われているが、内容は、アル法ネットの基本法コンセプトを体現したものになっている。

「アル法ネット」の基本法コンセプトは、WHO(世界保健機関)の「世界戦略」で提唱された対策を実施するためには、国としての基本路線を定めた法律が必要とされた。そこで、アル法ネットでは、WHOの考え方に沿って「アルコールの有害な使用の低減」をめざし、最新のエビデンス(科学的根拠)を基本にした対策を行なうと決めた。さらに「教育・啓発・研修の充実」と「国によるアルコールの社会規制システムづくり」をめざし、その実現のためには地域における「関係機関の連携」を重視し、省庁横断的な「総合的で連携した対策」をめざすことも確認しあった。

◆2015年人口動態統計 死亡数が最多の129万人 
75歳以上が7割超 3.5人に1人が「がん」

――厚生労働省
2015年の日本の死亡数は129万人で過去最多を更新したことが、厚生労働省の2015年人口動態統計月報年報」で明らかになった。 調査結果の概要は、①出生数は増加 、出生率(人口千対)は前年と同率②死亡数は増加―死亡者のおよそ 3.5 人に1人は悪性新生物で死亡③自然増減数は減少―出生数と死亡数の差である自然増減数は9年連続減④死産数は減少⑤婚姻件数は減少したが⑥離婚件数は増加した。
死亡数の死因順位は(1)がん、(2)心疾患、(3)肺炎、(4)脳血管疾患となっている。死亡者数は前年に比べて1万7,424人増加した。75歳以上の高齢者の死亡数は1975年以降に増加し、2012年からは全死亡数の7割を超えている。

死亡者数に関して大阪大学大学院国際公共政策研究科の松林哲也准教授(公衆衛生学)らのチームが、厚労省の人口動態調査データの分析で明らかにした「バースデー・ブルー」という社会科学分野の社会医学、自殺予防に関する研究成果が興味深い。
同チームによると、欧米では、記念日を期待通りに過ごせず孤独感などの心的ストレスが増え、自殺が増加するとする「誕生日ブルー」(「バースデー・ブルー」)という仮説があるという。松林准教授は「文化が違う日本でも同じ傾向が示された。自殺の恐れがある人の誕生日が近づいたら、周囲がいっそう注意、サポートをする必要がある」と話した。
同チームは1974~2014年の人口動態調査データを分析した。自殺や事故で死亡したのは約207万人で、うち約8千人が誕生日に亡くなっていた。このうち誕生日に自殺した人は約4,100人で、それ以外の日の平均約2,700人の約1.5倍だった。交通事故や溺死、転落などによる死者数も誕生日に増える傾向があった。

人口動態統計の調査要約は次の通り
(1) 出生数は増加
出生数は 100 万 5,656 人で、前年の 100 万 3539 人より 2,117 人増加し、出生率(人口千対)は8.0 で前年と同率となっている。出生数を母の年齢(5歳階級)別にみると、29 歳以下の各階級では前年より減少しているが、30 歳以上の各階級では前年より増加している。また、出生順位別にみると、第1子では前年より増加しているが、第2子及び第3子以上で は前年より減少している。

(2)死亡数は増加
死亡数は 129 万 428 人で、前年の 127 万 3,004 人より 1万 7,424 人増加し、死亡率(人口千対)は 10.3 で前年の 10.1 より上昇している。死因別にみると、死因順位の第1位は悪性新生物(全死亡者に占める割合は 28.7%)、第2位は心疾患(同 15.2%)、第3位は肺炎(同 9.4%)となっており、死亡者のおよそ 3.5 人に1人は悪性新生物で死亡している。

(3) 自然増減数は減少
出生数と死亡数の差である自然増減数は△28 万 4,772 人で、前年の△26 万 9,465 人より 1 万5,307 人減少し、自然増減率(人口千対)は△2.3 で前年の△2.1 より低下し、数・率ともに9年連続で減少かつ低下している。自然増減数が増加した都道府県は、沖縄県(5,615 人)、愛知県(1,557 人)、東京都(1,537 人)、滋賀県(115 人)であった。

(4) 死産数は減少
死産数は 2 万 2,621 胎で、前年の 2 万 3,524 胎より 903 胎減少し、死産率(出産(出生+死産)千対)は 22.0 で前年の 22.9 より低下している。死産率のうち、自然死産率は 10.6 で前年と同率、人工死産率は 11.4 で前年の 12.3 より低下している。

3.5人に1人が「がんで死亡」 心疾患も増加
死亡数の死因順位は、(1)悪性新生物(がん) 37万131人(人口10万対の死亡率は295.2)、(2)心疾患 19万5,933人(同156.3)、(3)肺炎 12万846人(同96.4)、(4)脳血管疾患 11万1,875人(同89.2)、(5)老衰 8万4,755人(同67.6)となっている。
第1位のがんは、2015年の全死亡者に占める割合が28.7%となっており、およそ3.5人に1人が「がんで死亡」している状況だ。がんは1981年以降に死因順位の第1位になってから、一貫して増加している。
第2位の心疾患は、1985年に脳血管疾患にかわり第2位となり、その後も死亡数・死亡率ともに増加しており、2015年は全死亡者に占める割合は15.2%となった。
第3位の肺炎は1980年に第4位となり、その後も増加傾向が続き、2011年には脳血管疾患にかわり第3位となり、2015年の全死亡者に占める割合は 9.4%になった。
第4位の脳血管疾患は、1970年をピークに減少しはじめ、1985年には心疾患にかわって第3位、2011年には肺炎にかわり第4位となり、2015年の全死亡者に占める割合は8.7%まで低下した。

なお、性・年齢(5歳階級)別に主な死因の構成割合をみると、5~9歳ではがん・不慮の事故、10~14歳ではがん・自殺、15~29歳では自殺・不慮の事故、30~49歳ではがん・自殺がそれぞれ多くなっている。
年齢が上がるにつれ、がんの占める割合が高くなり、男性では65~歳、女性では55~59歳がピークとなっている。ここから「高齢者に対するがん治療は、年齢も考慮した治療が必要。がんの状態だけでなく、本人の意欲や平均余命、介護者の有無なども考慮して、患者ごとに適した治療方針が求められる」という問題意識が出てきている。
さらに、がんの主な部位別に死亡率を見ると、男性では「肺」がもっとも高く(1993年以降第1位)、2015年の死亡数は5万3,170人、死亡率は87.2となった。女性では「大腸」(2003年以降第1位)と「肺」が高く、「大腸」がんによる2015年の死亡数は2万2,867人、死亡率は35.5となっている。

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