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介護経営情報(2016年7月15日号)

2016/7/19

◆UR都市機構 高齢入居者の買い物、家事代行など後方支援
コンビニ大手3社が合意、UR団地の遊休スペースに出店

――UR都市機構
全国で1664団地(74万戸)を管理するUR都市機構は7月5日、URが展開する団地の空き店舗などにコンビニを誘致し、団地の利便性や活性化を図る取り組みを始めると発表した。セブン‐イレブン・ジャパン、ファミリーマート、ローソンの大手3社と連携協定を締結し、団地とコンビニが連携・協力したサービスを展開していく。

セブン―イレブン・ジャパン、ファミリーマート、ローソンとURが5日、連携協定を結んだ。UR側が主なコンビニに打診し、3社が応じた。基本的には首都圏や近畿圏を中心とするUR団地(旧称―公団住宅)で、かつてスーパーなどがあった空き店舗に出店する。
高齢化が進む入居者の買い物の生活支援につなげる狙いで、最初は約100カ所に設ける方針で家事代行サービスも検討する。
品ぞろえは小分けのおかずなど高齢者が好む食品や日用品を増やす。買い物代行や室内の掃除・修理サービスも受け付ける。店舗によってはラジオ体操などの住民交流会を企画し、店内のイートイン(飲食店で買った食料品をその店内で食べる)スペースを集会に使ってもらう。団地の管理人が不在の土日や夜は、店員が緊急時の窓口になることも検討する。
URは大規模団地が多く、コンビニ側は需要の掘り起こしを見込み、企業ブランドの向上も期待しているという。
一方で全国1664団地に住む高齢者世帯は約4割に達する。年200人前後の住民が孤独(立)死している。厚生労働省も重視し、「見守り」対策には地域が一体となってバックアップする「地域包括ケアシステム」でカバーしようとしているが、地域の人手不足などから十分とはいいがたい。また介護保険対象外のサービスもしにくいという現実的な問題もある。
UR担当者は「コンビニを拠点に生活支援サービス、防災・防犯拠点としての機能も兼ね備えたような高齢者が安心して暮らせる環境をつくりたい」と話す。URの構想は「運営する団地内で、居住者の利便性の向上や活性化を図る取り組みで、通常のコンビニとしての機能のほか、様々なサービスを提供する店舗を出店する。提供するサービスは各団地の状況により今後検討していく」とコメントしている。

現在、URは具体的には、団地建て替え・再生中の団地で実物の住棟を活用して居住ニーズに合わなくなった階段室型住棟にハード・ソフトの両面から様々な再生手法を施す工事を行なっている。住棟丸ごとのバリアフリー化や間取り、内装・設備の一新を行い、景観にも配慮した付加価値の高い住棟にして再レビューさせるための技術開発を行い、それを可能にする実証・試験を進めている。
ひばりが丘団地の再生実験
典型例として「ひばりが丘団地」(住宅戸数=2714戸。東京都田無市・東久留米市)が生まれ変わった。通称“ひばり”はURによると運営管理手法に「エリアマネジメント」を打ち出した。これは、地域における良好な環境や地域の価値を向上させるための、住民・地権者・事業主が主体となった取り組みのこと。
団地の老朽化が進んだために平成11年から、「ひばりが丘パークヒルズ」へ建て替えが進んできた。当該建て替え地区内で、実験改修の対象に住民が退出して解体予定の4階建、エレベーターなし、築50年の階段室型住戸3棟、2DK35㎡合計80戸が選定された。
当該団地の再生実験には共同研究者として竹中工務店等が参加。改修内容として外部共用廊下とエレベーター新設、共用部バリアフリー化、隣接または上下階住戸の2戸1化、SI分離によるメンテナンス性向上(PSユニット集約化と外部化)など老朽化した中層賃貸住宅再生のためのありとあらゆる手法・技術が集約されており、ここで実験された手法・技術は多くの建築関係者にとって極めて有益なデータとなると専門家は指摘している。
平成26年11月に、活動拠点「ひばりテラス118」がオープンし、団地再生において、UR都市機構と民間事業者が連携して住民と共に取り組む初のエリアマネジメントがスタートした。建替えによって生み出された敷地には、従来からあった保育園、児童館等の公共施設や商業施設の建替え・再配置の他、民間事業者による高齢者福祉施設、分譲住宅等が建設され、多様な世代が安心して住み続けられるまちづくりが進められている。この手法で「高島平団地」(東京都板橋区=10170戸)もリニューアルに着手している。今後の候補は豊島5丁目団地(同北区=4959戸)など、いずれも住宅戸数2000戸以上の大規模団地を予定している。

◆在宅医療によるQOLの評価指標づくりなどを協議
厚労省「全国在宅医療会議」が初会合 まず広報から

――総務省消防庁
厚生労働省は7月6日、高齢者らが自宅などで訪問による医療を受ける「在宅医療」について、医療・介護関係者や研究者、自治体の担当者ら34人が一堂に会した「全国在宅医療会議」の初会合を開催した。
全国会議(略称)の委員には、座長に大島伸一・国立長寿医療研究センター名誉総長、座長代理には新田國夫・日本在宅ケアアライアンス議長が就任したほか、在宅に関係する職能団体(日本医師会など8団体)や事業者団体(日本訪問看護事業協会など10団体)、学会(6学会)、研究機関(4機関)などの代表者らに自治体の担当者(埼玉県小鹿野町、横浜市、兵庫県)を加えた計34人が就いた。「住民代表」は1名で、「NPO法人 ささえあい医療人権センターCOML」(大阪市)の山口育子氏が就いた。
次の工程は今年9月に作業班(WG=ワーキンググループ)を設け、在宅医療による生活の質(QOL)の評価指標づくりや「在宅医療の臨床指標設定」などの分野を協議、来年3月をめどに推進に向けた重点分野を整理する。在宅医療研究を進めるため、厚労省のホームページで関連データを公開していく。
重要な今後の会議の進め方(案)
厚労省は、7月6日に開催された「第1回 全国在宅医療会議」の資料を公表した。議題は、1.在宅医療推進のための基本的な考え方(案)について、2.今後の会議の進め方(案)について、3.在宅医療に関する統計調査等のデータの活用について、4.在宅医療に関する統計調査等のデータの活用について、それぞれ整理されている。
中でも、2.今後の会議の進め方(案)やこれから取り組む市町村の施策に注目が集まっている。
団塊世代が75歳以上になる2025年の医療提供体制を示す「地域医療構想」では、全国の医療機関のベッド数は13年の1割程度(16万~20万床)減る一方、介護施設や高齢者住宅などで在宅医療を受けながら長期療養する高齢者が30万~34万人増えると政府は推計している。
在宅医療を推進するため、同会議では、その効果を評価するための指標づくりや、どんな病気や状態のときに利用したらよいか、国民にメリットを知ってもらう啓発普及のあり方などを話し合う。議論の結果は、都道府県がつくる地域医療構想や自治体の介護保険計画などの参考にしてもらう。
この日の会議では、在宅医療の主な担い手である地域の診療所の医師の負担軽減や、訪問看護師を増やす対策が必要との指摘があった。「みとり(看取り)や終末期の患者の急変時の対応も課題だ」といった意見も出た。近年増えている、体重が少ないまま生まれたり、生まれつきの病気や障害があったりするなどと、退院後に自宅でも医療ケアが必要な乳幼児らについても話し合う。
会議の構成員の気持ちの中には「エビデンス(科学的裏付け)に基づく在宅医療のメリットなどが国民に明確に情報提供されていない」という点で一致しているだけに、重要分野に「広報周知」も加わる。

在宅医療・介護連携の進め方~自らの市町村らしいシステム構築を
(1) はじめに - それぞれの市町村の状況に応じた施策の展開を
市町村における状況は一様ではない。人口の状況や地勢、医療・介護資源、これまでの取組み等に応じて、取りうる施策は変わってくる。市町村は、各種の研修、先行市町村の視察等を通じて様々な実施例を学びながら、地域包括ケアシステムの実現というゴールは踏まえつつ、自らの市町村らしいシステムの構築について検討し、将来的な在宅医療・介護連携のあり方を見据えた上で実施していくことが基本である。
※これまでの取組みについては、 (独)国立長寿医療研究センター 在宅連携医療部のウェブサイトhttp://www.ncgg.go.jp/zaitaku1/index.html にまとめているので、参考にされたい。
今後、在宅医療の推進、医療・介護連携を市町村中心で進めていくには、ノウハウの提供や研修の支援等が一層求められているため、国立長寿医療研究センターは、人材育成事業の進捗管理等の委託を受けてきたナショナルセンターとして、厚労省とともに、市町村等の支援にさらに努力していく。

(2) 市町村での事業の取組みのフローチャート
※ 地域包括ケアシステムを構築する組織図とは、地域を構成する資源やつながりを可視化させたものである。 現状においても組織図を作成することで連携状況が把握しやすくなる。
例)愛知県津島市における地域の組織図 (図 1)
例)鹿児島県肝属郡医師会立病院における地域の組織図 (図 2)
※地域のどの機関や部署がどのような役割を担い、どのように繋がっているのかを示す
(注―図の掲載は省略)

(3) 市町村における担当課の決定
在宅医療の推進については、これまで市町村になじみが小さく担当課が決まってい ないケースが多い。地域包括ケアシステムや在宅医療推進を所管する部門を新設する方法や現行の組織 体制で行う際には、保健、国保、介護等の関係部門が連携協議のうえ担当部署を決定することが望ましい。
現行の組織体制を活用する場合には、地域包括ケアシステムの体制構築において中心 的な役割を担う介護保険担当課が所管することが考えられる。なお、担当部局と関係部 局との庁内横断的な連携体制をつくることが重要である。
自治体によっては、これまで医療関係機関との関係が深い健康関係所管部局や国保担 当部局などが担当することも想定されるが、その際においても介護保険担当部局との 連携を十分にとれる体制を整えることが重要である。新たな業務であるので、担当者の育成や組織としての知見・ノウハウの集積のため、厚労省は十分な体制の構築や異動時の配慮をお願いしたい、としている。
例)愛知県 津島市 (図 3) =図は省略
※津島市では、高齢介護課内に在宅医療連携グループを作り、事務職、介護支援専門員の資格を持つ看 護師、医療ソーシャルワーカー各 1名を配置。事務職のコーディネートのもと、専門職は、医療機関や施設へのアウトリーチ等の場で、その専門性を十分に発揮し、地域の顔の見える関係作りに貢献した。
例)熊本県 熊本市(政令指定都市) (図 4)=同略

熊本市(政令指定都市)は、保健所内の医療政策課がこれまでの保健所活動の中で、医療施設を中心に 顔の見える関係を構築していることを有効利用し、医療サイドからの在宅医療・介護連携を進めた。さらに、介護面を担当している高齢介護福祉課との連携により医療と介護両サイドからの連携推進を行っている。

1,741の自治体別の在宅医療関連データ集を公開 厚労省
厚労省は7月6日、1,741の基礎自治体別に集計した「在宅医療に関連する統計調査等のデータ集」を公表した。データ集は厚労省が実施した統計調査等から、在宅医療に関連するデータを抽出・集約したもの。厚労省はホームページで公開することで、「在宅医療推進に必要な調査研究などに広く活用してもらいたい」と述べている。また、今後もデータ量の充実に努め、アクセス容易性にも配慮しながら、データを広く提供していきたいとしている。在宅医療に関連する統計調査等のデータ集の掲載ホームページは、次の通り。(excel対応)
 http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000061944.html

◆高齢化進行でがん患者最多 年間86万人
胃がんは東北地方や日本海側で高い傾向

――国立がん研究センター
国立がん研究センターは7月6日、2012年の1年間に新たにがんと診断された患者は推計約86万5千人で、前年より1万4千人増加したとする推計値を発表した。前年より約1万4,000人増加し03年に算出を始めて以来、過去最多となった。同センターは高齢化の進行が原因とみている。
がんの種類によって患者のがんり患率の割合に地域差があることがはっきりと出て、胃がんは東北地方や日本海側で高い傾向にあることも分かった。
同センターは、都道府県が「地域がん登録」として集計したがん患者や死亡者のデータを基に全国の患者数を推計した。新規の患者数は男性が約50万4千人、女性は約36万1千人。
がんと診断された患者数の推移を03年推計からみると、03年は約63万人だった。06年に約65万人を超え08年は約75万人を超えた。10年には80万人に達した。

これを部位別にみると、男性では(1)胃がん、(2)大腸がん、(3)肺がん、(4)前立腺がん、(5)肝臓がんの順で多く、女性は(1)乳房がん、(2)大腸がん、(3)胃がん、(4)肺がん、(5)子宮がんの順だった。男性では前立腺がんの増加が頭打ちになり、大腸がんが増加しているという。
「地域がん登録」は、都道府県のがん対策を目的に1950年代より一部の県で開始され、研究班が各地域がん登録からデータを収集する活動を開始して以降、年々参加都道府県が増加し、2010年は30県、2011年は40県、そして今回はじめて47全都道府県の登録データが揃った。

がん罹患率に地域差 40歳代後半から罹患率は増加
データから高齢化の影響を除くと、人口10万人当たりの患者数(年齢調整罹患率)は男性447.8人、女性305.0人で男女合計は365.6人。前年より0.2人分減った。
新規患者数が増えて年齢調整罹患率が減ったのは、統計上で高齢化要因を除いて算出したためで、同研究センターは「予防対策に独自に取り組む自治体が増え、増加に歯止めがかかった」としている。
全都道府県比較により、がん罹患率には地域差があることもはっきりした。地域住民の年齢構成の差を調整したうえで、都道府県ごとの発症率を全国平均と比較すると、男性では(1)秋田、(2)和歌山、(3)石川の順で高く、女性では(1)東京、(2)福岡、(3)石川の順で高かった。
がん発症率について全国平均を100とした場合、患者が多い目安の110以上の地域は、胃は男女ともに東北、北陸から山陰地方にかけての日本海側で目立つ。
肝がんは男女ともに山梨県や西日本で、肺がんは女性で北海道、近畿、九州北部で多い。大腸がんは男女ともに北東北、近畿、山陰地方で目立った。
また、性別・部位別・年齢階級別に罹患率をみてみると、男性では部位に関わらず40歳代後半から増加し始め、胃がんは70歳代後半まで増加が続き、大腸がんは年齢とともに罹患率が高まり、前立腺がんは70歳代がピークとなる――といった特徴がある。

◆労働協約改定・新設は「育児休業・介護休業」が最も多い
医療・福祉分野の労働者は前年比20.9万人増649.1万

――厚生労働省
厚生労働省は7月6日、2015年の「労使間の交渉等に関する実態調査」の結果を公表した。調査は労働組合と使用者の間の団体交渉・労働協約の実態を明らかにするもので、対象は、民営事業所における労働組合員30人以上の労働組合。平成27年6月30日現在の状況等について7月に調査を行い、2015年6月30日現在の状況に関し、3,215労働組合から回答を得ている
調査結果の特徴としては、労使間の交渉の結果、労働協約の改定がなされた又は新たに労働協約の規定が設けられた事項(複数回答)は「育児休業制度、介護休業制度、看護休暇制度」29.7%、「賃金制度」24.7%、「賃金額」23.0%、「休日・休暇」23.0%、と比較的高い率だった。これは労働環境が良い方向へ改善されていることを示している。

労働環境に関し、「医療・福祉」分野では、看護職が一旦離職すると医療技術の進歩への不安などから再就職が進まないことや、夜勤・交代制勤務などの厳しい労働環境が指摘されている。また、介護職は離職理由で「結婚・出産・育児」、「労働環境・雇用管理のあり方」、「収入が少ない」などが多く、労働環境の改善が必要との声も挙がっている。他方、2015年6月の医療・福祉分野の労働者総数は前年同月比20.9万人増の649.1万人で、このうち、常用労働者が同15.9人増の456.7万人、パートタイム労働者が同5.0万人増の192.4万人という状況(毎月勤労統計調査)。
 
実態調査の結果では、「正社員以外の労働者」の事項に関し、使用者側と話合いが持たれた労働組合は産業全体の48.9%で、このうち、医療・福祉では58.9%に上り、産業全体に比べ話し合いが持たれている状況。医療・福祉で、話し合いが持たれた事項(複数回答)は「正社員以外の労働者の労働条件」が47.1%で最も多かった。 
また、正社員以外に関する労働協約について、「規定がある」は産業全体の41.9%で、医療・福祉は43.2%。医療・福祉で、規定がある事項は「正社員以外の労働者の労働条件」が36.5%で最多。内訳は「賃金に関する事項」32.7%、「福利厚生に関する事項」27.8%、「契約の締結・更新・雇い止めに関する事項」26.9%の順に多かった。
このほか、労働協約の改定・規定新設がされた事項は、産業全体で「育児休業制度、介護休業制度、看護休暇制度」が29.7%と最多で、次いで「賃金制度」24.7%、「賃金額」23.0%、「休日・休暇」23.0%と続いた。

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