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介護経営情報(2016年8月26日号)

2016/8/31

◆40歳~64歳の介護納付金への総報酬割導入を検討 介護保険部会
次期介護保険改正の焦点「介護保険への総報酬割導入」議論開始

――厚生労働省
厚生労働省は8月19日、社会保障審議会の「介護保険部会」を開催し、次期介護保険改正に向け(1)費用負担、(2)利用者負担の2大側面からの検討を開始した。厚労省はこれまでも焦点になっている論点を整理して提示した。
この日は費用負担に関しては焦点の一つ、総報酬割などが議論された。介護納付金の総報酬割導入について、過去に関係審議会等において検討し、所得に応じた公平な負担とする観点から、段階的に総報酬制へ移行すべきとし「2016年末までに結論を出す」とされている。時期的にはすでに締め切りが迫った状態ある。

政府の骨太の方針「大綱」には現行の加入者割から総報酬割への変更をうたっている。これにより組合健保と共済組合の納付金負担が計1600億円増え、その分、協会けんぽの納付金負担が減るものの、同額の協会けんぽ向け国庫補助が削減される仕組みになる。
(注:後期高齢者支援金については、2017年度からの全面総報酬割導入に向けて、総報酬割部分が段階的に引き上げられている)

現行の介護保険では、第2号被保険者(40歳~64歳)が保険料を負担し、保険料は「介護納付金」として医療保険者に賦課されている。保険料は加入する医療保険の加入者数(人数)に応じて負担額が決められる(加入者割)。「介護納付金」に関連し、厚労省は資料を提示して、高齢化が進み介護給付費が増大する中、1人あたりの負担も増加し、2000年度の月額2,075円に対して、2016年度(概算)は、約2.6倍の5,352円になっていると指摘。主として中小企業の被用者が加入する協会けんぽと健保組合・共済組合の負担能力(総報酬額)の差は拡大し、特に、第2号被保険者に該当する40~64歳で特に差が大きいと指摘している。

次に厚労省は加入者数に応じて負担する場合、1人あたりの負担額が、各保険者(協会けんぽ、健保組合、共済組合)を通じて同額となると説明した。報酬に対する保険料負担額の割合(所要保険料率)は報酬の高い被用者保険者では低くなる一方、報酬の低い被用者保険では高くなると指摘。これに対し、「総報酬割」を導入し、被保険者間で各保険者の総報酬額に応じて負担(応能負担)する場合、財政力に応じた負担になり、同じ報酬であれば同じ保険料負担になると説明した。
さらに、総報酬割を導入した場合、負担割合は一律1.54%で、1人当たり負担額は、組合健保5,852円(現在比727円増)、協会けんぽ4,043円(同241円減)、共済組合7,097円(同1,972円増)となる試算を示した。
これらを踏まえ、厚労省は「介護納付金」に関する論点を、次のように提示した。
▽ 高齢化に伴い第2号被保険者(40~64歳)の保険料負担が増大していく中、各被用者保険等の保険者の負担する介護納付金に関する応能負担の必要性を、どのように 考えるか
▽ 仮に、介護納付金に総報酬割を導入する場合、具体的内容や、給付の適正化など現役世代の負担を軽減していく取り組みについて、どのように考えるか―。
◆介護保険部会、利用者負担の論点も議論
補足給付の不動産勘案でリバースモーゲージ論点

8月19日の社会保障審議会の「介護保険部会」では(1)費用負担に続き(2)利用者負担―の論点も議論した。利用者負担に関しては(ⅰ)補足給付、(ⅱ)利用者負担割合、(ⅲ)高額介護サービス費――などが議論された。
(i)に関し、厚労省は2005年介護保険法改正で、在宅の高齢者との公平性などの観点から、介護保険3施設(介護老人福祉施設、介護老人保健施設、介護療養型医療施設)とショートステイの居住費・食費を給付対象外としたと説明。しかし、低所得者が多く入所している実態を考慮し、住民税非課税世帯の入所者に関し、年金収入や所得等を勘案して、いわゆる補足給付(特定入所者介護サービス費)として、居住費・食費の補助を行っているとしている。

また、2013年の介護保険部会では、資産のうち換金が容易ではない不動産に関し、一定額以上の宅地を保有している場合、介護保険3施設入所者を補足給付の対象外とし、宅地を担保とした貸付を実施することができないか、引き続き検討を続けていくこととしていると説明。
厚生労働省補助事業の調査研究によると、利用者の不動産を担保に貸付事業を実施して死後に回収する「リバースモーゲージ(高齢者世帯が資金調達するための手段)」などについて、金融機関にとって魅力的ではない市場規模であり、最低でも500万円以上の貸付額でなければ担保融資としての費用対効果が見込めないと指摘。さらに、既存のリバースモーゲージは契約可能な年齢に上限付きとのケースがあり、相続人とのトラブルを避けるため、認知症者を含む高齢者との契約の支援が必要と課題が挙げられている。

これらを踏まえ、厚労省は利用者負担の「補足給付」に関する論点を、次のように示した。
▽ 経過的かつ低所得者対策としての性格を持つ補足給付に対して見直す点はあるか
▽ 不動産の勘案については、資産を預貯金の形で持つ人との公平性の観点や、地域 的な格差、民間金融機関の参入の困難性、認知症者への対応など様々な実務上の課 題等を踏まえ、どのように考えるか

介護納付金の総報酬制の導入に対して、介護部会構成委員から,「公平な負担をすべきであるが,導入には慎重な検討が必要」「長期的なビジョンが必要であり,いかにして市民の納得を得るかが問題」、「総報酬割は有力な選択肢になり得るが、所得が高い人には応能負担の考え方が納得できるか」などの意見がそれぞれ出された.

医療保険を踏まえた利用者負担割合などの検討も行なわれた。厚労省側は次の論点を示した。
● 利用者負担割合のあり方について、制度の施行状況や医療保険の患者負担割合を踏まえ、どのように考えるか。
● 高額介護サービス費のあり方について、制度の施行状況や医療保険の自己負担額の上限額を踏まえ、どのように考えるか―。

この日は全体を通して、介護納付金の総報酬制の導入に対しては保険者や都道府県行政の委員から「公平な負担をすべきであるが、導入には慎重な検討が必要」「長期的なビジョンが必要であり、いかにして国民の納得を得るかが問題」などの意見が出た。他の委員からは,「総報酬割は有力な選択肢になり得るが、所得の高い人には応能負担の考え方で負担してもらえるかどうか」などの意見がそれぞれ出された。介護の現場からは、第2号介護保険料の算定は「人数」と「所得」の攻防がキーワードという声が上がっている。
◆2016年度上半期特殊詐欺 被害者の約8割が高齢者―警察庁
65歳以上5,070件、被害額は198億4,000万円、依然高水準

――警察庁
警察庁は、8月17日、2016年度上半期(1~6月)の特殊詐欺の認知・検挙状況を発表した。発表によると、オレオレ詐欺など特殊詐欺の認知件数は6,443件で、前年同期より570件減少し、上半期としては5年ぶりに減少した。被害額は198億4,000万円で、昨年より41億8,000万円減少したが、依然として高水準で推移している。1件当たりの被害額は331万2,000円で、被害額は神奈川、静岡、愛知、 京都、大阪などの大都市圏において増加した。
被害者が65歳以上の特殊詐欺は5,070件、全体に占める割合(高齢者率)は78.7%で、前年同期より1.3ポイントと微増した。類型別では、オレオレ詐欺、還付金等詐欺、金融商品等取引名目の特殊詐欺で特に高齢者率が高かった。
検挙件数は、2,327件で前年同期より35.1%増となり、2011年以降最も多かった。犯行に悪用された預貯金口座の凍結を金融機関に依頼したり、通信事業者に携帯電話の契約者確認を求めるなど、犯行ツール対策を推進したことが、検挙率の増加につながった。

警察庁発表の詳細は次の通り。

平成28年上半期における特殊詐欺認知・検挙状況等
1 特殊詐欺の認知状況
(1)情勢全般
○ 認知件数は6,443件(前年同期比-570件、-8.1%)で、上半期として5年ぶりに減少。被害額は198.4億円(-41.8億円、-17.4%)で、昨年に引き続き減少。しかし、依然として高水準で推移。
○ 既遂1件当たりの被害額は331.2万円(-43.9万円、-11.7%)。
○ 11道県において被害額が前年同期比で半減した一方、神奈川、静岡、愛知、 京都、大阪などの大都市圏において増加。

(2)高齢者の資産を標的とした特殊詐欺 ア 高齢者率の状況
○ 高齢者(65歳以上)被害の特殊詐欺の件数は5,070件(-359件、-6.6%)で、その割合(以下「高齢者率」)は78.7%(+1.3P)。
○ 類型別では、オレオレ詐欺(95.6%)、還付金等詐欺(93.9%)、金融商品等取引名目の特殊詐欺(88.6%)で、高齢者率が特に高い。
○ 架空請求詐欺、融資保証金詐欺は、高齢者以外の年齢層にも被害が見られる。 イ 重点3類型の状況 ○ 特に高齢者率の高い重点3類型(オレオレ詐欺、還付金等詐欺及び金融商品詐欺※)の認知件数は4,874件(-322件、-6.2%)、被害額151.2億円(-29.3 億円、-16.2%)で、それぞれ特殊詐欺全体の75.6%(+1.6P)、76.2%(+1.1 P)。※「金融商品詐欺」は、金融商品等取引名目の特殊詐欺にこれと類似した架空請求詐欺を加えたもの。
○ 重点3類型のうち、還付金等詐欺が、認知件数1,561件(+419件、+36.7%)、 被害額18.9億円(+6.9億円、+58.1%)と増加。
○ オレオレ詐欺は、認知件数2,760件(-295件、-9.7%)、被害額80.1億円 (-7.4億円、-8.4%)と減少したものの、特殊詐欺全体のいずれも約4割を占め、手口別で最も多い。
◆2016年度上半期特殊詐欺 被害者の約8割が高齢者―警察庁
65歳以上5,070件、被害額は198億4,000万円、依然高水準

――静岡県
静岡県が編集した「百寿者に聞いた健康長寿の秘訣」(冊子)が参考になるという声が多く、各都道府県や企業、個人からも問い合わせが多いという。この冊子は、同県内の元気な100歳以上の高齢者26人に対して「健康長寿の秘訣」を調査し、冊子にまとめもので、県民の身近なお手本となるよう公表された。
調査対象は、概ね100歳の元気な長寿者で、調査方法は、訪問による聞き取り調査で行われた。男性6人、女性20人の26人で最高齢は106歳であった。調査内容は、「生活習慣」「趣味・日課」「生い立ち」「職歴」「モットー」などであった。監修と講評は、学校法人新静岡学園理事長 大坪檀(まゆみ)氏。

●調査結果の特徴
元気な百寿者は、「子孫の成長」「仲間との交流」「趣味活動」を生きがいとしているという回答が多く見られた。また、何らかの現役であることも多かった(105歳の歌人、100歳の看板娘、囲碁・ボウリング・グランドゴルフ・ゲートボールなどをしている)。
性格的には自分自身で前向きと答えた人が多く、5段階評価で4または5と回答した人が20人もいて、社会参加をしている人も多く、家族以外と週3日以上会話をしている人が19人もいた。
食生活では肉が好きでよく食べると回答した人が多い。「好き」と答えた人が21人、週3日以上食べる人が19人であった。飲み物では、急須で入れたお茶を毎日5杯以上飲む人も多い(22人)。
冊子に紹介されているみなさんに共通することは―
① お茶をよく飲む(1日に5杯〜以上)、
② テレビを視聴し、新聞や本などをよく読む(周囲に対する興味・情報収集)、
③ 家族や近所の友人などと会話(コミュニケーション)がある、
④ 性格が前向き(ポジティブ)である、⑤ハンバーグや焼肉、とんかつなど、肉料理をよく食べる、など。
それぞれのインタビューからの共通項は、多様な趣味と友人との交流を楽しみながら、前向き思考で日々を明るく朗らかに楽しんで過ごしているのが分かる。「お茶をよく飲む」「肉料理をよく食べる」などの食習慣とあわせて、健康長寿への多くのヒントを見つけることができる。

冊子に登場する藤枝市の澤山定吉さん―103歳の現在も多種多様な趣味(盆栽、絵画、詩吟、ゲートボール)で頭と身体を使うことが健康長寿の秘訣!!と鼻高々の日常を送っている。県では、健康長寿のためには、「適度な運動」「バランスのとれた食生活」「社会参加で自分の生きがいづくり」が必要です。この三要素がバランス良く成り立つことで健康長寿への道が拓けます―とアピールしている。静岡県は、さすが駿府の名物「静岡茶」の名産地だけあって商品PRも怠りなかった。

 

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