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介護経営情報(2016年9月23日号)

2016/9/28

◆保険診療のロボットスーツ 貸し出し事業始まる 
医療機器の承認 難病患者の歩行機能改善に期待

――厚生労働省
9月に入って、待ちに待った「ロボットスーツ」の公的保険診療が始まった。ロボットスーツで難病を保険治療、装着者(患者)の意思に従って動く―などなど新聞やテレビなどマスコミやネットでも連日のように明るいニュースとして紹介されている。
保険診療適用を受け本格的事業開始の発表をしたのは9月2日。HAL(ハル)の生みの親である、茨城県つくば市のベンチャー企業、サイバーダイン(英字名:CYBERDYNE)株式会社が先陣を切った。難病患者の歩行機能の改善が期待できるとして、国から医療機器としての承認を受けたもので同社はロボットスーツについてリハビリの現場などで普及につなげようと、医療機関に貸し出す事業を始めた。この特徴は、人・ロボット・情報系の融合・複合技術である【サイバニクス】技術を駆使した世界初のロボット治療機器という点だ。

9月から引き合いが始まり国立新潟病院と国立徳島病院で、ロボットスーツ「HAL®医療用下肢タイプ」を利用した難病患者の保険治療がスタートした。患者の下腿と足の筋萎縮と感覚低下を起こす10代の女性や四肢の筋力低下や筋萎縮や球麻痺を起こす50代男性など神経・筋難病患者の治療にHALを活用する。
新たに民間保険会社と協働する取り組みとして、大同生命保険株式会社と業務提携 契約を締結したことで話題は一気に拡散した。サイバーダインによると、今年9月2日時点で医療用HALの導入に関して多数の問い合わせと、「すでに25以上の医療機関から導入の内示を得ている」という。

このロボットスーツは、体を動かそうとする時に皮膚に流れる微弱な電流を捉えて、歩く動作を補助する。先天性ミオパチーや筋ジストロフィーなど、筋肉や神経が衰える8つの難病の患者が装着してトレーニングすると、歩行機能の改善が期待できるとして、2015年、医療機器として国の承認を受けたほか、16年4月には公的医療保険の適用の対象となった。

開発したサイバーダインは「症状の進行を抑制し、難病患者の健康寿命を延ばすため役立ててほしい。今後は脊髄損傷など、ほかの病気やけがにもロボットスーツを医療機器として使えるよう、臨床試験を進めたい」としている。
「日本神経治療学会」の資料には次のように紹介されている。「装着者が微弱な生体電位信号を皮膚から検出してパワーユニットを駆動し、装着者の動作意思に沿った動作が実現する。今まで治療法がなかった疾患を治療する」と紹介されている。
HALを使った治療について、国立新潟病院の副院長は次のようにコメント。「今まで全く治療方法がなかった神経・筋難病疾患に、この画期的な治療法が使えるようになった。他の様々な疾患にも、HAL®を使えるように適応拡大を進めていきたい」と述べた。

HALは2015年11月に厚生労働省に製造販売を承認され、16年4月にロボット治療として初めて一般の公的医療保険の償還価格が決定した。今後、各地の医療機関で使われるようになる見通しだ。
◆更新認定の有効期間上限、現行の2年→3年に延長提案
介護保険部会 2025年度の介護人材の需給ギャップ解消

――厚生労働省
厚生労働省が9月17日に開催した社会保障審議会の「介護保険部会」では、「保険者の業務簡素化(要介護認定等)」などを議論した。要介護(要支援)の認定者数は、2015年4月現在608万人で、この15年間で約2.8倍に増加しており、それに伴う市町村の要介護認定の事務量も増加の一途をたどっている。
厚労省は、要介護認定(更新)の有効期間は原則1年、上限2年としているが、要介護認定から2年経過した時点で、要介護度が変わっていない人が6割を占めると説明。さらに、3年経過した時点で4割であると説明した。あわせて、新規・区分変更認定の有効期間は原則6カ月、上限1年となっているが、1年が経過した時点で要介護度が変わっていない人の割合が4~5割であることとの均衡を図るため、更新認定の有効期間の上限を、現行の2年から3年に延長するよう提案した。
また、長期に渡り状態が変化していない人(状態安定者)は、要介護度も不変であると想定されることから、事務負担の軽減を図るため、二次判定の手続きを簡素化することもあわせて提案している。

この日は(1)介護人材の確保、(2)認知症施策の推進―などを議論した。
(1)に関し、「2025年に向けた介護人材にかかる需給推計(確定値)」では、2025年度の介護人材の需要見込みは253万人であるのに対し、供給は215.2万人の見込みで、現状のまま推移すれば37.7万人が不足するという。このため、「ニッポン一億総活躍プラン」では、介護ロボットの活用促進やICTを活用した生産性向上の推進などの施策を通して、介護人材の確保に取り組んでいくとしている。

厚労省は、介護ロボットの導入促進・開発支援や、ICTの活用などを要件とした訪問介護のサービス提供責任者の配置基準の緩和などを行ってきた一方、「帳票の必要性自体を精査し、内部作成文書や行政への提出文書について、あり方の見直しが必要」との見解を示し、論点を次のように提示した。
 ロボット・ICTを活用している事業所に対する、介護報酬や人員・設備基準の見直しを介護報酬改定の際に検討してはどうか
 法令上、事業者に提出が求められる書類などの実態把握を行い、法令上提出が必要な書類の見直しや、ICTを活用した書類の簡素化を進めるべきではないか

(2)では、「認知症初期集中支援チーム」に関し、2015年度末時点で287市町村に設置済みと報告。チームの活動について、適切な支援に繋がっていない人を医療・介護に繋げ、家族の負担を軽減させる効果が見られるが、本来の支援対象である初期の認知症の人ではなく、困難事例への対応が約半数を占めていると指摘。より効果的なチーム運用が課題と述べた上で、論点を次のように示した。
 認知症に関する医療・介護の連携をさらに推進していくため、その時の容態に合ったふさわしい場所で適切なサービスが提供される循環型の仕組みを構築していく観点を介護保険事業(支援)計画に盛り込むなど、各地域で計画的に取り組む必要があるのではないか。特に都道府県による市町村に対する適切な支援が必要ではないか
 認知症初期集中支援チームについて、早期に認知症診断が行われ、速やかに適切な医療・介護等につなげるための介入を行うという機能を果たしつつ、初期でない認知症の人への支援や困難事例への対応も必要とされていることから、より効果的にチームを機能させる必要があるのではないか、などが検討案に上がった。
◆厚労省、医療機関のホームページ、新たな法制化の方向
「特に美容医療について」医療情報の提供あり方検討会

――厚生労働省
医療広告等に関する相談苦情件数等が増加している。厚生労働省の「医療情報の提供内容等のあり方に関する検討会」の第3回会合がこのほど開かれ、同検討会が規制対象として検討する医療機関のホームページ(HP)について、医療法上の広告として扱わないという現行の運用を維持する一方で、現行ガイドラインに実効性を持たせるため、法制化する方向で議論を進めることになった。HPを含む医療広告への苦情・相談件数等は地方公共団体に寄せられた件数だけで、平成24年度から2000件を超え、以後26年までこの高い数値を維持している。HPに限っては1年間に20件を超え、この3年間に100件近くに達している。
特に、美容医療については、脱毛や脂肪吸引などを巡るトラブルが相次いでいることから、厚労省は美容医療に限らず、全ての医療機関のHPでの虚偽、誇大な表現を規制する新たなガイドラインを作成することになったもの。ガイドラインは、虚偽の内容や誇大な表現、不適切な表示を掲載しないよう求める。具体的には、効果があるように加工・修正した術前・術後の写真や、「絶対安全な手術」などの表現を禁じることを検討している。

現行医療法では、医療機関の広告に掲載できる項目を診療科名や手術の内容に限定しているが、HPは利用者自らが検索して閲覧するため広告には当たらないとして、別のホームページに閲覧者を誘導する「バナー広告」などを除き、規制の対象外となっている。しかし近年、美容クリニック等がHPで施術効果や安価な料金を誇張するなど、契約トラブルや健康被害の相談が増加していることから、厚労省が不適切な表示を規制する方向で検討を始めることになった。
HPへの規制を強化するために具体策として厚労省が提示したのは、①都道府県等における円滑な施行に資するため、新たな規制内容をガイドライン等において明確化 、②ネットパトロールによる監視体制の構築、③都道府県等において医療監視の体制強化に努め、医療法に基づく報告徴収権限を積極的に活用し、規制遵守を確認・徹底、④美容医療団体等の規制遵守の徹底に向けた取り組みに加え、プロバイダによる違反広告等の削除等によりインターネット上に規制順守を徹底する、⑤新たな規制が導入されるまで関係省庁、消費者団体などと連携して、不適切な医療広告、ウェブサイト等について指導を積極的に実施する-など。厚労省は法規制導入に合わせて、HPのガイドラインの内容についても明確化、変更する可能性があるとしている。

<国民生活センターの調査:美容医療に関する相談は2078件、その半数以上が販売方法や広告に問題のある相談>
独立行政法人国民生活センターの調査によると、2015年に同センターに寄せられた美容医療サービスに関する相談は2078件。そのうち、販売方法や広告に問題のある相談は半数以上の1110件だった。美しくなりたいという願望をくすぐる「プチ整形」「レーザー脱毛」「豊胸」「脂肪吸引」等に関する広告が、雑誌やテレビ、チラシなどで目につき、販売方法や広告に問題のあるものや、医師が行う美容医療施術において皮膚障害や熱傷など危害を受けたという苦情相談が寄せられている。その中には、「1週間前、インターネットで見つけた美容皮膚科に出向いてスキンケア4回コースを割引価格で契約し、1度施術した。光をあてるだけの施術で、効果が感じられずやめたいが、精算金が定価で計算され不満だ。」とHPの広告に起因した相談があった。
◆警察庁が「体感治安」を探る全国調査を初めて実施
5点満点で体感治安の全国平均は3.66

――社会福祉振興・試験センター
都道府県ごとに住民の「体感治安」を探る全国調査を警察庁が初めて実施した。全国の警察が把握した刑法犯件数は2002年をピークに減少しているが、地域の治安への不安を訴える声が根強いため、警察庁は昨年7、8月、全国の運転免許センターなどで免許更新者を対象に体感治安調査を実施した。各都道府県で1000人前後ずつ、計4万9844人から回答を得た。調査結果では体感治安が最も悪かったのは大阪で、最も良いのは山形だった。警察への信頼度が高い都道府県ほど、体感治安も良い傾向がみられた。

体感治安とは市民が実際に肌で感じる治安の状況に関する感覚を「体感治安」という。犯罪認知件数や検挙率といった統計上の客観的な数字で表される「指数治安」と違って、これは感覚的・主観的なもの。広島県警竹原署のアンケートの際に示された統計では、同地域での刑法犯の認知件数が、1959年が約600件で、昨年は約230件と、50年前のほうが現在の2.5倍ということであったように、この傾向は、実は全国的なものだという。
しかし、2004年(平成16年)に内閣府が行った「治安に関する世論調査」で、最近の治安に関する意識を調査したところ、「悪化している」という人が43%、「どちらかというと悪化している」とした人が44%で、合わせて87%もの人が悪化しているように思うと答えている。
調査では「地域の治安をどの程度だと感じるか」を尋ね、5点満点で回答を求めた。全国平均は3.66。都道府県別の平均値をみると、ベスト3は4点を超えた山形、島根、秋田。ワースト3は3.5を割り込んだ大阪、千葉、愛知だった。「地域の警察を信頼できると感じるか」も質問したところ、全国平均は3.45。ベスト3は福島、山梨、山形。ワースト3は神奈川、大阪、千葉だった。

昨年の刑法犯件数と比較しても、大阪は人口当たりの件数がワーストで、刑法犯が多いほど体感治安が悪い傾向にある。ワースト2だった東京の体感治安は全国平均を上回ったが、東京は警察への信頼度も全国平均より高く、体感治安を押し上げたとみられる。

調査結果は警察庁の「住民の意識調査に関する有識者研究委員会」(座長・松本正生埼玉大社会調査研究センター長)が9月2日に札幌学院大(北海道江別市)で開かれた日本行動計量学会で発表した。松本さんは「初めて都道府県別に体感治安を客観的に比較できるデータが得られた。地域の警察がどれだけ危機感を持つかが問われる。今後も調査を実施し、経年変化を追ってほしい」と話している。

◆都道府県別の調査結果◆
体感治安 警察信頼度(上位20まで)

1位 山 形 4.04
2位 島 根 4.03
3位 秋 田 4.72
4位 福 井 3.99
5位 鳥 取 3.95
6位 長 崎 3.85
7位 宮 崎 3.91
8位 新 潟 3.89
9位 岩 手 3.89
10位 長 野 3.89
11位 熊 本 3.88
12位 石 川 3.88
13位 青 森 3.86
14位 徳 島 3.86
15位 愛 媛 3.86
16位 高 知 3.84
17位 鹿児島 3.83
18位 大 分 3.82
19位 富 山 3.81
20位 佐 賀 3.81

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