FAXレポート

ホーム > FAXレポート > 医院レポート > 医療経営情報(2017年1月19日号)

医療経営情報(2017年1月19日号)

2017/1/25

◆在宅医療の診療ガイドライン作成へ
医師・看護師向けの臨床評価指標の開発も検討

――厚生労働省
1月12日、厚生労働省で全国在宅医療会議ワーキンググループ(WG)の第1回会合が開催され、在宅医療の診療ガイドラインを作成することが決まった。5月までに草案を作成し、6月から7月にかけてパブリックコメントを募集。9月までに公開することを目指す。また、同WGでは在宅医療の特性を踏まえた臨床評価指標の必要性も確認。3月に第2回目の会合を開催してさらに議論を深め、在宅医療の評価基準を確立させていく。

今回の取り組みの背景にあるのは、超高齢化社会の到来。自宅での療養や看取りが増えていくため、在宅医療の充実が推進されてきたが、これまでガイドラインが示されていなかったため、取り組む医療機関や医師によって考え方や手法が異なるのが現状だ。
会合では、在宅医療の多くが診療所を中心とした小規模組織により提供されている点を問題視。24時間対応が求められる激務であることも影響し、治療効果に対する研究が十分に行われておらず、体系的にまとめられていないとした。結果としてノウハウや研究成果が小規模組織内にとどまってしまうため、全国的に展開することが難しく、地域によってばらつきが生じる原因になっていると指摘している。

そうした状況を踏まえ、診療ガイドラインは個々の疾病の治療法ではなく、サービス全体にフォーカスを当て、在宅医療のエビデンスを構築する方針。字義どおりならば在宅医療は小児から高齢者まで年齢層を限定しないのが本来の姿だが、膨大なCQ(clinical question=臨床的疑問)が想定されるため、65歳以上の高齢者に限定してエビデンス構築のための調査を進めていく。

また、並行して進める臨床評価基準の作成のため、65歳以上の高齢者を対象にQOL(クオリティ・オブ・ライフ)調査を今後実施する予定。調査は「穏やかな気持ちで過ごしている」「充実した人生だったと感じている」「思い出やこれからの事を話す相手がいる」「介護サービスや在宅診療(看護)に満足している」の4項目で、在宅医療患者のQOLを重視した地域包括ケアの実現へとつなげていく意向だ。

◆受動喫煙対策強化法案、通常国会に提出へ 罰則付き適用を視野に
医療機関は敷地内全面禁煙が義務化される見通し

――厚生労働省
塩崎恭久厚労相は、1月13日の定例大臣会見で受動喫煙対策強化について強い意気込みを示し、1月20日に招集される通常国会で受動喫煙防止に関する法案を提出する方針を明らかにした。

会見では、2008年の北京オリンピック以降、オリンピックを開催したすべての国で罰則付きの受動喫煙防止対策がとられていることを強調。「大勢の方々にオリンピックやパラリンピックに来ていただこうということで、その際のおもてなしの心として、『受動喫煙は日本ではありません』という国に変えていかないといけない使命がある」と述べ、2020年の東京オリンピック・パラリンピック開催までに同様の法整備を行いたい意向をにじませた。

昨年10月に厚生労働省が発表した受動喫煙防止対策案では、主な公共施設や医療機関、学校、飲食店などを対象に、施設の種類によって「敷地内禁煙」「建物内禁煙」「分煙」と義務付けのレベルを変える内容が盛り込まれていた。医療機関は、この中でもっとも厳しい「敷地内禁煙」の対象で、建物内・外を問わず喫煙をすることができず、喫煙室の設置も認められない。
ちなみに、「建物内禁煙」は建物の外での喫煙室設置は認められるもので、官公庁や社会福祉施設、競技場が対象。「分煙」は飲食店やホテル、駅、空港などが対象で、建物内の喫煙室設置が認められるが、壁などで完全に仕切られたスペースであることが条件だ。

罰則については、喫煙した個人だけでなく、改善命令に従わない場合は施設管理者にも適用される案となっている。そのため、医療機関であれば、患者など外部の人間が敷地内で喫煙しないよう気をつける必要があり、罰則規定次第では監視体制を整えなければならない可能性もあるだろう。
国際オリンピック委員会(IOC)と世界保健機関(WHO)がオリンピック・パラリンピックの開催都市にスモークフリーを求めていることもあり、2020年には法適用が開始されるのは確実視されるが、厚労相は会見で、その前年のラグビーワールドカップ開催時での適用も示唆。今年中に法案を成立させ、早期に適用を開始させる可能性はかなり高いことが予想される。

◆世界初 健康・医療・介護を連結させたICTインフラ構築を目指し
厚労相を本部長とする「データヘルス改革推進本部」が発足

――厚生労働省
1月12日、厚生労働省は「データヘルス改革推進本部」を発足させ、第1回会合を開いた。健康・医療・介護分野を連結させたICTインフラを構築して、身近で予防・健康管理・重症化防止のための効果的なサポートを受けることができる環境の整備を目指す。同省によれば、構築するICTインフラの規模は、前例がないほど大きな規模となる予定。

日本は、世界でもっとも高齢化が進行している。高齢化率は26%と世界最高で、今後さらにその割合は増え続け、2050年には36%に達することが見込まれている。そのため、健康・医療・介護分野の果たす役割はより重要になっていくことが明らかだ。一方で、医療費を含む社会保障費は年々増加しており、抑制を図るためにも、健康上の問題がなく日常生活を送ることのできる「健康寿命」の底上げは急務と言える。

これらの分野の本質を考えれば、相互に緊密な連携をとるべきだが、縦割り構造などの弊害もあり、連携機能が働いていないのが現状。必然的に、患者である国民側としてのメリットも少ない状態となっており、たとえば災害時の被災者への医療提供や、医療的ケアが必要な障害児の救急受け入れがスムーズに進まない事例も多い。また、緊密な連携が実現できれば効率的な医療や介護が可能となるため、社会保障費の抑制にも貢献できる。

そこで「データヘルス改革推進本部」では、超高齢社会の問題解決に取り組むためにも「健康・医療・介護に関する国のあるべき姿」の検討に着手していく。国民にとって真に必要なサービス内容の特定を目指すという。そして、膨大な量となっている健康・医療・介護のデータを整理・分析し、新たに構築するICTインフラを「患者目線」にしたい意向。

同省挙げての取り組みになるのは、体制を見ても窺えよう。本部長を塩崎恭久厚労相が、本部長代行を厚生労働事務次官が務めるほか、12日の会合では「部局横断的に幅広く検討を行う」ことを明らかにしている。また、「予防・健康データWG」「医療データWG」「介護データWG」「ビッグデータ連携・整備WG」の4つのワーキンググループも設置予定。それぞれの有識者が議論を深めることで、より精度の高いICTインフラが実現することが期待される。

◆「新専門医制度」、研修を行う医療機関の拡大へ
医師の偏在を防いで充実した地域医療の充実を目指す

――一般社団法人日本専門医機構
1月13日、一般社団法人日本専門医機構は東京国際フォーラムで理事会を開催。「新専門医制度」について、より多くの医療機関で認定に必要な研修が行える仕組みにする方針を明らかにした。地域によって専門医が不足する「医師の偏在化」を解消するのが狙いで、2018年4月からの導入を目指す。

専門医は、特定の診療科や疾患領域について、高い専門知識や技術を習得した医師が認定される資格。しかし、日本では各学会が独自に認定を行っているため、統一された基準がない状況が続いている。2002年にメディアなどで専門医と広告することが可能となってから、専門医資格は乱立状態にあり、その質のばらつきが指摘されるようになった。

そうした状況を受けて、厚生労働省は2011年から専門医制度の見直しを検討。2014年5月に、学会に対して中立的な立場となる第三者機関として日本専門医機構を設立し、「新専門医制度」の構築を進めてきた。

「新専門医制度」は、19領域を持つ「基本領域専門医」と29領域を持つ「サブスペシャリティ領域専門医」の2つに大別しているのが大きな特徴。専門医資格を希望する場合は、医学部を卒業後に2年間の臨床研修を受け、さらに3年以上の研修を受ける必要がある設計にしている。

しかし、研修の実施機関を「大学病院などの基幹病院が中心」としたのが問題となっていた。それらの医療機関はほぼ都市部にあるため、地方での医師不足を助長するおそれがあるとの批判が相次いだ。当初は、今年4月からの導入を予定していたが、認定基準の見直しをせざるを得なくなった。今回の理事会で、大学病院のように指導できる医師を確保できない病院でも、一定の基準を満たせば研修先として認めるとしたのは、そうした背景があったからである。
 
認定基準を大幅に緩和した格好だが、そうなると今度は研修の質が問題となってくる。研修の具体的な内容は、今後さらに検討するとしているが、専門医の名にふさわしいレベルの知識と技術が習得できるプログラムだけでなく、指導の際のガイドラインも当然作成しなければならないだろう。新制度の導入開始まで1年強という限られた期間で、どこまでそれらの精度を高められるのか疑問視せざるを得ず、日本専門医機構がどのような検討を進めていくのか今後も注視していく必要があるのではないだろうか。

お問い合わせ・ご相談はこちら

お問い合わせ・ご相談はこちら

お問い合わせ・ご相談はこちら

お電話
  • 【フリーダイヤル】0120-136-436
  • Tel.06-6222-0030
執務時間
  • 月曜日~金曜日
    午前9:00~午後5:30

お問い合わせメールフォーム

些細なことでも気兼ねなくお問い合わせください。「はい、日本クレアス税理士法人です」と電話を取ります。その後に「ホームページを見て」と言っていただけるとスムーズに対応できます。