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介護経営情報(2017年3月3日号)

2017/3/10

◆受動喫煙防止法案の骨子固まる 施設管理者への罰金 最大50万円
介護施設は「建物内禁煙」に 有料老人ホームやサ高住は対象外

――厚生労働省
 3月1日、厚生労働省は受動喫煙防止強化対策案を盛り込んだ健康増進法改正案の骨子を発表した。禁煙と定められた場所で喫煙した場合は、喫煙者本人だけでなく施設管理者も罰則の対象となり、喫煙者本人は最大30万円、施設管理者は最大50万円の罰金を科せられる。

 施設の種類によって禁煙のレベルが異なり、学校や医療機関は、建物外の喫煙も禁止されるもっとも厳しい「施設内禁煙」の対象となる。社会福祉施設は、2番目に厳しい「建物内禁煙」の対象で、喫煙室の設置も認められない。有料老人ホームや特別養護老人ホームの1人部屋、サービス付き高齢者向け住宅などは自宅と同じ「私的使用場所」と位置付けられるため対象外。ただし、多床室など共用性が高い場所は禁煙となるほか、施設管理者には「建物内禁煙」などの掲示も義務付けられるため、介護事業者にとっては急ぎの対応が迫られると言えよう。

国が受動喫煙防止対策の強化を急ぐのは、2020年に東京オリンピック・パラリンピックが開催されるからだ。国際オリンピック委員会(IOC)と世界保健機関(WHO)が開催都市にスモークフリー(たばこの煙がない環境)を求めており、2008年の北京オリンピック開催以降、すべての開催都市で罰則付きの受動喫煙防止対策が実施されている。たとえばイギリスやアメリカのニューヨーク、カナダのバンクーバー、ブラジルでは教育機関、医療機関、官公庁をはじめ、ホテルや飲食店、バス、タクシー、鉄道、船舶まですべて屋内・社内禁煙を実施しており、喫煙専用室も設置していない。

 国は、東京オリンピックの前年である2019年にラグビーワールドカップ日本大会が開催されるため、それまでに法整備を行いたい意向。そのため、現在開会中の通常国会に改正法案を提出するべく調整を急いでいる。

なお、今回の改正法案で対象となるたばこは、紙巻きたばこや葉巻などの「燃焼によりより使用する製造たばこ」であり、「かみ用」「かぎ用」は対象外。最近増加している電気加熱式たばこは、ひとまず対象とするものの、受動喫煙による健康影響が明らかでなければ追って政令により対象から除外する方針を固めている。

◆介護保険制度の自治体向け基本指針の原案を提示
「高齢者虐待の防止」「人材の確保・資質の向上」などを初めて明記

――厚生労働省
2月27日、厚労相の諮問機関である社会保障審議会の介護保険部会が開かれ、介護保険制度の自治体向け基本指針の原案が提示された。自治体は3年に1度、介護事業の運営計画を策定するが、この基本指針がガイドラインとなる。その中で、今回初めて「高齢者虐待の防止」「人材の確保及び資質の向上」が明記されたほか、地域包括ケアシステムを構築するための「地域ケア会議の推進」も盛り込まれた。

昨年2月に発表された厚生労働省の調査によれば(※)、2014年度の介護職員による虐待は相談・通報件数が1,120件、虐待と判断されたのが300件。2012年度と比べると倍増の結果で、8年連続で過去最多を更新している。

※「平成26年度 高齢者虐待の防止、高齢者の養護者に対する支援等に関する法律に基づく対応状況等に関する調査結果」

虐待に至った理由としては「教育、知識、介護技術の問題」が6割超を占めており、単に人手不足を解消するだけでなく「資質の向上」が今回の基本指針に盛り込まれた理由はここにもあると言えよう。

なお、昨年9月にUAゼンセン日本介護クラフトユニオンが実施した「高齢者虐待に関するアンケート」では、事業所で高齢者虐待に関する研修を受けているとの回答者が64.9%いたのに対し、「現状で十分だと思いますか」との問いに対して「十分である」との回答者はわずか17.0%。「どちらかといえば不十分」「不十分」とした回答者がゼンタの45.9%を占めており、研修を行うだけでなく、その内容を再考する必要性があることがわかる。

自治体の運営計画にどの程度の内容が盛り込まれるのか現時点では不透明だが、こうした現状を踏まえると、施設の信頼度を向上させるためにも、介護事業者自らが虐待を起こさないための取り組みを生み出し、実践することが重要となってくるのではないだろうか。

◆徘軽度認知障害を早期発見できるiPad向けアプリがリリース
認知症リスク低減運動プログラムも搭載「アタマカラダ!ジム」

――株式会社キャピタルメディカ
2月23日、医療機関向けの運営・経営支援を手がける株式会社キャピタルメディカはiPadアプリ「アタマカラダ!ジム」をリリースすると発表した。約10分でできる軽度認知障害(MCI)の早期発見テストや認知症リスク低減運動プログラムを搭載しており、介護施設向けに販売を開始する。要介護者の認知症発症を防止するためのアプリケーションとして検討する価値がありそうだ。

「アタマカラダ!ジム」は、認知症治療専門病棟を含む22病院の経営支援を行うキャピタルメディカが、フィットネスクラブ「Jexer(ジェクサー)」などを展開する株式会社ジェイアール東日本スポーツと共同で開発。監修は東京大学大学院薬学系研究科機能病態学教室の富田泰輔教授が手がけている。

開発にあたっては、富田教授の監修のもと、認知症のリスク低減に関する世界各国の学術論文をレビュー。その結果、認知症のリスクを低減するには、有酸素運動を行いながら記憶や計算、視空間認知、概念的思考など脳機能を司る各部位を刺激するプログラムを実施することが有効と判断。ジェイアール東日本スポーツのノウハウを生かし、「運動×脳刺激プログラムコンテンツ」を誕生させた。

リリース前のトライアルとしては、キャピタルメディカの介護事業子会社である株式会社クラーチが運営する7施設で先行導入を実施。現場からは「飽きさせない工夫が多数あり、利用者の笑顔が絶えない」「日々のレクリエーションに彩りが加わった」との評価を得ているという。

 厚生労働省の調査によれば、65歳以上の15%が認知症を発症しており、その数は462万人にのぼる(2012年時点)。その前段階と言われる軽度認知障害は約400万人いると推計されており、65歳以上の4人に1人が「認知症予備軍」である可能性がある。軽度認知障害は、認知症と違って健常状態に戻る可能性があるため、早期に予防プログラムを行うことが効果的だと言える。そうした意味で、介護施設におけるリクリエーションの一環として取り組むこともできるこの「アタマカラダ!ジム」は注目に値するアプリケーションではないだろうか。

◆野村不動産ホールディングス、介護住宅事業へ参入
都内に介護付き有料老人ホームを持つ事業者と資本提携を結ぶ

――野村不動産ホールディングス株式会社
3月1日、野村不動産ホールディングス株式会社は、介護施設運営会社と資本提携および業務提携を締結し、介護住宅事業へ参入すると発表した。超高齢化社会を迎えるにあたって、介護事業に参入する不動産会社が続出しており、今回の野村不動産ホールディングスの決定を受けてさらにその流れが加速しそうだ。

今回、野村不動産ホールディングスが提携を結んだのは、福岡市に本社を持つ株式会社創生事業団。創生事業団は、社会福祉法人を含めた14の法人で構成される創生会グループの中核企業で、運営する介護系施設の床数は約5,000床を誇る。野村不動産ホールディングスは、同社と業務提携契約を結ぶとともに、その子会社である株式会社JAPANライフデザインへ第三者割当増資の引受け(議決権割合49%)を行い、資本提携契約を結んだ。

JAPANライフデザインは、東京都内で有料老人ホーム3施設を運営している。野村不動産ホールディングスは、すでに新たな成長領域として高齢者住宅事業を加えており、2015年3月には野村不動産ウェルネス株式会社を設立。「今日より健康な、明日を」をスローガンに掲げ、健康寿命の延伸に特化して生涯の自立生活を目指すサービス付き高齢者向け住宅の市場投入を目指してきた。そのため、今回の資本提携・業務提携によって有料老人ホームとサービス付き高齢者向け住宅の双方をグループ傘下に収めた形となる。

野村不動産ホールディングスの基幹ブランドは、高級住宅街を中心に分譲しているマンション「プラウド」。2011年からは、首都圏の郊外を中心に「オハナ」の展開を始めており、有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅をそれらの近隣に展開することで、より付加価値を高めようとする狙いがあるのは間違いない。

今後、人口減少によって新築マンションのニーズが先細りするのは確実。一方で介護需要は右肩上がりに伸びていくため、今後も大小問わず不動産会社が介護事業に参入してくるだろう。介護事業者にとっても、不動産会社と連携を結ぶことによるメリットは大きいため、どの企業がどういった形で参入をしてくるのか、状況を注視する必要があるのではないだろうか。

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