ホーム > ブログ > 会長ブログ > 新幹線お掃除の天使たち(11/23)
こんにちは、大阪市中央区の上田公認会計士事務所の上田です。
立冬も過ぎ、そろそろ年末に向かってのカウントダウンが始まっています。
何かと慌ただしくなる時期ですが、皆様いかがお過ごしでしょうか。
さて、皆様は出張や旅行で東京駅を利用される際、新幹線の降車口の前に姿勢よく整列した清掃員をご覧になられたことはありませんか?
彼女たちは、JR東日本の清掃員、その名も「テッセイ」と呼ばれる方たちです。
彼女たちの仕事ぶりはこうです
新幹線の各ドアに一列に整列、列車の到着を待ちます。列車の到着後、お客様に丁寧に一礼。すべてのお客様が降車すると、颯爽と車内に入り、テキパキとした動きで清掃を始めます。その動きは正確で無駄がなく、約7分でその全作業を終えます。
到着から折り返し運転までの少ない時間ですべての作業をこなすその完璧な仕事ぶりは、日本だけでなく海外のメディアにも紹介され、その様子を写真に収めようと外国人がカメラを構える様子も既にお馴染みとなっています。
今回は、そんな彼女たちを題材にした著書『新幹線お掃除の天使たち』(遠藤功著)より、なぜ、彼女たちがこれ程まで世界から注目される存在になれたのかをご紹介します。
最強のチームと呼ばれる『テッセイ』。
実は、彼女たちは、最初から最強だったわけではなく、ごく普通の清掃員でした。
そんな彼女たちを変えるために立ち上がったのが、同じJR東日本のグループ会社から異動してきた矢部輝夫氏。
当時、現場では「自分たちはしょせん清掃員」という意識が蔓延していたといいます。
彼は、そんな現場に様々なアイデアを提案し『テッセイ』を最強チームへと導いていきます。
1、休憩室にエアコンの設置
矢部氏がまず手がけたことは、現場の環境の整備でした。
当時、清掃員の待機所にはエアコンが十分に備えられておらず、清掃員の不満も溜まっていたといいます。清掃業務という身体を動かす仕事なのに休息をとる場所が快適でない。ここに疑問をもった矢部氏は上司に掛け合い、多額の費用をかけてすべての部屋にエアコンを設置しました。
今まで、どれだけ訴えても取り付けてもらえず、諦めていた。そんな清掃員たちへの大きなサプライズとなったのはいうまでもありません。
2、やる気のある社員は正社員に
これまで、テッセイの正社員になるにはまずパートからスタートし、45歳を超え、センター長や現場長の推薦が必要でした。つまり、若い人が正社員になることはできませんでした。
そこで矢部氏はこの人事制度を変える決断をします。具体的には、20歳以上で1年以上経験があれば正社員への採用試験を受けられるようにしました。
矢部氏は『やる気があり、能力の高い人はどんどん正社員に採用すべきだ。公平で透明性の高い制度にすれば、現場は活性化し、会社は必ずよくなる。』という信念を持っていました。
3、現場主導のボトムアップ型の会社に
ボトムアップ型の会社とは、端的に言えば、一人ひとりが主役になる全員経営のことです。トップダウン型の逆の意味と言えば理解しやすいのではないでしょうか。
従業員それぞれが創意工夫をし、様々なアイデアを出し合う、そして、それが業務改善やサービスの向上に活かされる。矢部氏はそんな自主性、自発性の高い現場を作りたかったのだといいます。
テッセイの代名詞でもある全員整列や退場、お客様への一礼、季節を感じさせる様々なキャンペーン。実は、これらはすべて現場からのアイデアで実施されているそうです。
また、コンコース内に設置されている多機能トイレやベビー休憩室もテッセイの働きかけによるものだそうです。
以上、一部ではありますが、著書よりご紹介させていただきました。
現場の清掃員の意識を変え、世界に注目される存在までに上り詰めたテッセイ。
そんなテッセイを支える『現場力』。
現場で働く者の声を聞き、取り入れていく事により働く者の自主性、自発性が高まります。これこそ、会社を向上させる上で、欠かせない事なのだとテッセイは教えてくれます。
今度、東京駅を訪れる際には、ぜひ彼女たち働きぶりに目を向けてみてください。
皆様のクリニック経営に少しばかりは参考になるのではないでしょうか。