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介護経営情報(2017年5月12日号)

2017/5/17

◆「小規模多機能型」、人員基準や利用定員等を見直しへ
介護利用者ニーズに応えるため、基準を緩和し事業所を増やす方針

――厚生労働省
 5月12日、厚生労働省は社会保障審議会介護給付費分科会を開催。小規模多機能型居宅介護(小多機)について、さらなる普及が必要であるとし、人員基準や利用定員数等を見直して事業所を増やしていく方針を明らかにした。

 小多機は、2006年に創設された介護サービス。「通い」を中心に「泊まり」「訪問」の3サービスを組み合わせて提供することで、要介護度が中重度になっても在宅での生活が継続できるよう支援する仕組みだ。利用者数は2012年10月に約60,000人だったのが2016年4月には約85,200人まで増加しており、事業所数も3,849カ所から4,984カ所と増えている。

利用者数の増加に伴って、2015年度の介護報酬改定では登録定員(利用可能定員数)の上限引き上げを実施。当初の25人から29人にしたことで、2016年4月時点の1事業所あたりの利用者数は17.2人まで増えた(2014年10月時点では16.5人)。また、利用者の45%が要介護3以上の中重度者であることもわかっている。

 こうした状況を踏まえ、厚労省は登録定員数のさらなる引き上げを検討。要介護3以上の中重度者への介護サービスを月額定額制の小多機でまかなえるようにすることで、介護費の抑制へとつなげたい狙いが透けて見える。

 しかし、そもそも小多機は少人数登録制にすることでアットホームな環境を整え、地域で要介護者を支えるためのコミュニティを生み出すために創設された制度。登録定員を増やすことは、その前提を覆すことにもなりかねない。また、小多機の職員数は2016年10月の調査で平均14.23人。不足していると感じている現場は約4割もあり、登録定員数を増やせば利用者一人ひとりに対するケアの質が低下する恐れもある。

また、中重度の利用者が増えていくことを考えれば、職員のスキルアップも欠かせない。今後、小多機に対する政府の支援が手厚くなっていくことは間違いないが、中長期的に安定した事業所経営を行っていくのであれば、スキルアップを促しつつ職員の体制強化を図っていく必要があり、安易に小多機施設を増やしていくことでリスクが増す可能性もある。今後の議論がどのように推移していくかを見守り、どの程度の介護報酬加算が期待できるのかを見極めてから戦略を寝る必要があるのではないだろうか。

◆自民党、介護・看護従事者への夜勤手当の拡充を提言
介護分野の人手不足解消のため、高齢者の職域拡大も

――自由民主党
5月10日、自由民主党の一億総活躍推進本部は「一億総活躍社会の構築に向けた提言」を発表。その中で、介護・看護従事者の夜勤手当を拡充するべきだとした。また、介護分野の人手不足を解消するため、高齢者の職域拡大も強力に進めるべきだとしている。

提言によれば、夜勤手当の拡充をするのは女性の活躍を支援するため。女性が安心して働けるようにするため、特に育児と介護が同時進行する「ダブルケア世帯」へのサポートが急務だとしている。そのためには、「支える側」である介護施設で働く介護職員の処遇改善が必要だという考え方だ。とりわけ、夜間帯のデイサービス提供体制を充実させるために、2018年度の次期介護報酬改定で、夜間帯の加算措置を十分に検討し、職員の夜勤手当拡充につなげるべきだとした。

人手不足解消のための施策としては、高齢者の職域拡大を提言。具体的には、現在70万人規模で社会参加の促進に寄与しているシルバー人材センターのさらなる機能強化を図ることが必要だとしている。現在、同センターでの1週間の就業時間は20時間から40時間までに緩和されているが、この施策をより広域で展開させ、2020年には緩和実施地域を500地域まで拡大させたいとした。併せて、同センターを活用する高齢者の平均賃金水準を現状の1.5倍まで引き上げることを目標に掲げている。

夜勤手当の拡充については、具体的な金額や拡充割合が示されていないため、どの程度の処遇改善が期待できるか不透明。単に処遇改善の方向性を示したに過ぎないとの見方もできる。しかし、高齢者の職域を拡大して人手不足を解消しようという策は、ある種合理的であると言えよう。前述したように、シルバー人材センターの会員数は70万人超。これだけでは介護分野の人手不足解消にはつながらないが、65歳以上の人口は3,000万人以上いるわけで、施策次第では会員数を増やしていくことは決して困難ではない。もちろん、自民党や政府が適切に広報していくことが欠かせないが、事から離れた中高年世代を対象とした介護の入門研修制度導入も検討されている現在、介護の現場からもこうした動きを積極的に伝えていくことで、雇用の可能性が広がっていく可能性があるのではないだろうか。

◆8カ国・20機関が出展する「介護職外国人採用支援フェア」
外国人スタッフ受け入れに関するセミナーも同時開催

――株式会社メディパス
5月26日に、東京・秋葉原の秋葉原UDXギャラリーで「介護職外国人採用支援フェア」が開催される。手がけるのは、介護・医療機関の経営支援や介護・医療従事者の人材紹介などの事業を展開する株式会社メディパスと、株式会社高齢者住宅新聞社。海外から技能実習生を送り出す8カ国・20機関がブース出展する予定で、直接自由に情報交換をすることが可能なほか、外国人スタッフの採用を支援するセミナーも開催される。

昨年11月に、出入国管理・難民認定法が改正され、外国人が日本で働きながら技術を学ぶ「技能実習制度」の対象職種に「介護」が追加された。今年秋より施行される。今まで、介護現場での外国人労働者受け入れは、経済連携協定(EPA)ルートのみに限定されていたが、他の国からも受け入れられるようになる。また、技能実習期間が最長5年間まで延長されるため、外国人が介護施設で実務経験を積みながら介護福祉士資格を取得しやすくなり、かつ資格取得後も長期間日本で働くことができるようになる。

しかし、実際に外国人を職場で受け入れるには、その国の文化や生活習慣などを理解しなければスムーズにいかない。大手の介護事業者や人材サービス会社はスタッフをアジア各国に派遣し、調査を進めているが、中小の事業者は時間的にも予算的にもそこまでの余裕があるとは言えないのが実情だ。

そこでメディパスは、国内にいながら各国の送り出し機関と直接情報交換ができる機会として今回のフェアを開催。「外国人介護スタッフの受け入れ成功の秘訣」「技能実習制度の仕組みと注意点」「2018年医療・介護ダブル改定を踏まえた今後の予測」をテーマとしたセミナーも開催し、外国人採用を支援する。参加費は1人25,000円、同一法人から2名以上参加の場合は1人20,000円(いずれも税別)。参加申込みはメディパスのコーポレートサイト内に設けられた申し込みフォームから(http://medicalplatform.jp/)

◆サクシード、女性の転職支援サービス「なでしこ介護士」を開始
ワーク・ライフ・バランスを重視したマッチングを実施

――株式会社サクシード
5月12日、教育・福祉業界の人材派遣・紹介事業を手がける株式会社サクシードは、女性介護職のための転職・就職支援サービス「なでしこ介護士」を開始したと発表。求職者の希望と介護施設のニーズの双方を満たすマッチングを目指すことで、介護業界の人材不足解消に貢献していきたいとした。

 「なでしこ介護士」は、転職サポートの経験が豊富な女性コーディネーターが求職者の相談に乗るのが特徴。ライフプランや現状の悩みなどをヒアリングし、男性には言いにくい「女性ならではの悩み」にも対応する。

 また、女性が働きやすい職場環境の実現に取り組んでいる企業の求人を積極的にピックアップ。具体的には、子育てサポート企業として厚生労働大臣の認定を受けている「くりみんマーク」や仕事と自らの身内の介護を両立できる職場環境に取り組んでいることを示す「トモニンマーク」を取得している企業など、ワーク・ライフ・バランスが実現しやすい企業の求人情報を提供。履歴書作成のアドバイスや職場見学・面接のセッティング、雇用条件の交渉、現在の職場の退職サポートまで、求職者が転職・就職を実現するまでのプロセスを一貫して支援していく。もちろん、求職者は無料で活用できる。

 介護現場では女性職員の需要が高いが、せっかく介護職員初任者研修や実務者研修、介護福祉士などの資格を取得していても、「育児や身内の介護などとの両立ができない」といった理由で離職するケースも少なくない。逆に言えば、時短勤務が可能だったり、育児休暇や介護休暇が取りやすかったりすれば、働ける女性は現状よりも増えること間違いないだろう。

政府が「働き方改革」に力を注いでいる現在、ワーク・ライフ・バランスが実現できる職場がスタンダードになっていく可能性は高い。質の良い人材を確保するとともに、「働きやすい介護事業者」としてのイメージを確固たるものとするためにも、女性がどのようなライフステージにあっても働きやすい職場環境を整えるのが、今後の介護事業所に求められているのではないだろうか。

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