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介護経営情報(2017年10月20日号)

2017/10/27

◆技能実習「介護」開設3年以上の事業所のみ受入可能
夜勤や緊急時の対応も条件付きで容認 訪問系サービスは対象外

――会計検査院
 10月19日、会計検査院は会計検査院法第36条(※)に則り、厚生労働大臣あてに「有料老人ホーム等の入居者が利用する訪問介護に係る介護給付費の算定について」と題した意見を表示。同一建物減算の有無によって、訪問介護の回数が異なる現状について、「保険給付の公平性が確保されていない」として改善を求めた。

 近年、有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅(サ高住)は増加の一途を辿っている。「平成28年版厚生労働白書」によれば、高齢者向け住まいの区分のうち、2012年度から2015年度までの間で減ったのは、今年度末に設置期限を迎えて介護医療院へと転換されるケースが多い介護療養型医療施設のみ。残りは軒並み増えており、とりわけ有料老人ホームは対2012年度比で140%増、サ高住は255%像となっている。これらの入居者のうち、要介護者は訪問介護の居宅サービスを利用できるが、その訪問介護事業所が併設もしくは隣接している場合は同一建物減算が適用され、介護報酬は1割減となる。

 これは、訪問介護を提供する事業所にとって「移動等の労力が軽減される」ことを考慮した制度。しかし、前述したように有料老人ホームやサ高住の数が大幅に増えているため、介護給付費も増大しているとして、適切な運用がなされているか会計検査院は19都道府県の41市区町村に対して会計実地検査に踏み切った。その結果、同一建物減算が適用されない場合と比べて、訪問介護の回数が増加している現状が明らかとなった。利用者にとってみれば、有料老人ホームやサ高住に入居したほうが、より多く訪問介護を受けられるということになっており、公平性に欠けると判断された格好だ。

有料老人ホームやサ高住を運営する事業者と、併設・隣接する訪問介護事業所が同じ法人であるケースがほとんどであることも、今回槍玉に挙げられた要因のひとつだろう。今後、地域包括ケアシステムの構築を進めていくうえで、有料老人ホームおよびサ高住、そして併設事業所の数も増えていくことが想定されるため、「利用者によって訪問介護を受けられる回数が異なる」状態を解消できるような制度改正を厚労省に求めたというわけである。当該事業者にとっては、今までよりもシビアな運営が必要になりそうな意見表示であり、来年度の介護報酬改定にかかわる議論にも影響を及ぼしそうだ。

※会計検査院法第36条
会計検査院は、検査の結果法令、制度又は行政に関し改善を必要とする事項があると認めるときは、主務官庁その他の責任者に意見を表示し又は改善の処置を要求することができる。

◆豊島区の混合介護モデル事業、参画事業者の要件案固まる
来年1月公募 2月仮選定 当初は短時間提供の生活支援が中心か

――東京都豊島区 選択的介護モデル事業に関する有識者会議
10月17日、東京都豊島区の「選択的介護モデル事業に関する有識者会議」が開かれ、国家戦略特区制度を活用したいわゆる混合介護(豊島区は選択的介護と呼称)のモデル事業に参画する事業者の要件を提示。今後のスケジュールも提示され、来年1月に公募、2月には仮選定をして5月に採択決定。8月には事業を開始したいとしている。

介護保険サービスと介護保険外サービスを柔軟に組み合わせて同時提供する混合介護は、原則として禁止されている。しかし、介護サービスは限られた内容にとどまらざるを得ないのと、事業者にとっても収益アップが望めないため、規制改革推進会議などが混合介護の解禁を呼びかけてきた。

これを受けて、2月に東京都の小池百合子知事が国家戦略特別区域会議で、混合介護のモデル事業を豊島区でスタートさせると発表。6月にはこの有識者会議が立ち上げられ、これまで2回討議を重ねてきた。この日の会議では、「優先的に検討するサービス」を選定。ペットの世話や電球交換、窓拭き、話し相手、買い物代行といった「短時間で提供できる不可的な生活支援サービスの一体的提供」および「生活支援におけるICTの活用のサポートの一体的提供」、通院介助と買い物支援の組み合わせなどが該当する「居宅外/外出先での介護の提供」「送迎経路上の立ち寄り、途中乗車・下車」が選ばれた。

参画事業者の要件としては、「豊島区内に指定訪問介護事業所を有している」こと、「定期的に選択的介護サービスの利用状況、利用者の満足度、労働生産性等を定量化してデータとして提出できる」こと、「複数名の業務従事者を配置できるなど人員体制の整備ができ、十分な管理能力があること」が挙げられている。来年1月早々には公募をスタートさせ、同月中に審査・ヒアリングも実施予定となっている。

◆性同一性障害の通称名、介護保険証にも記載可能に
戸籍上の氏名は裏面の余白に 医師の診断書や確認書類も必要

――厚生労働省老健局介護保険計画課
10月18日、厚生労働省老健局介護保険計画課は介護保険最新情報Vol.608「被保険者証の氏名表記について」を発出。性同一性障害を有する場合、通称名を介護保険証に記載できるとした。これまでは裏面に記載することが認められていたが、表面に記載できるようにしたことで、「見た目」と異なる名前で呼ばれる精神的苦痛などに配慮した形となる。

介護保険証は本人確認書類としても使用できるため、戸籍上の氏名も併記する必要がある。具体的には、裏面の余白に備考として「戸籍上の氏名は○○○○」と併記すればいい。従来、表面に戸籍名を記載していたのを通称名に変更するため自治体に届け出る場合は、性同一性障害を有することが確認できる医師の診断書や、通称名が社会生活上日常的に用いられていると確認できる書類(健康保険証や仕事などで使用している名刺など)を添付しなければならない。介護保険証のほか、介護保険負担割合証についても、申し出れば同様に取り扱われる。なお、性別表記については変わらない。万一、自治体が通称名記載を認めない場合、文書によって本人に通知される。

今回、介護保険証に通称名の記載が認められたのは、昨年7月、国民健康保険で同様の措置が取られたことに端を発する。今年8月31日には、すべての健康保険証で記載できると通知。会社員向けの健康保険組合や協会けんぽなどのほか、後期高齢者医療の保険証も同様に通称名の記載ができることとなった。

この措置によって、介護事業者側が注意しなければならないのは、介護報酬請求だ。これまで戸籍名で申請していたものを、「介護保険証の表面の氏名欄に記載された氏名」、つまり通称名で申請しなければならない。また、利用者の心情に配慮し、居宅サービス計画書や施設サービス計画書に記載する氏名も変更しなければならないため、ケアマネジャーにも周知を徹底しておく必要がある。なお、厚労省は自治体側にシステム改修は求めておらず、窓口で都度対応をしていく形になりそうだ。

◆記載が義務付けられた福祉用具貸与の商品コード一覧を公開
11月の介護給付費請求分から記載が必要に

――厚生労働省老健局高齢者支援課・老人保健課
10月19日、厚生労働省老健局高齢者支援課・老人保健課は介護保険最新情報Vol.609を発出。介護給付費明細書に記載する福祉用具貸与の商品コード一覧を公表した。公益財団法人テクノエイド協会のホームページに掲載されている(http://www.techno-aids.or.jp/visible/index.shtml)。福祉用具貸与事業者は、11月の介護給付費請求分(10月の福祉用具貸与分)からこのコードを記載する必要がある。コードの記載がなければ、介護給付費の請求は返戻される。

福祉用具貸与をめぐっては、一般的な水準よりも極端に高額な貸与価格が存在していることから、介護給付費の適正化に向けて厚労省が対策を進めてきた。現在、適切な価格を設定するため各商品の貸与価格を把握しており、来年の春から夏にかけて全国平均貸与価格を公表するとともに、価格に対して一定の上限を設ける方針を固めている。上限は「全国平均レンタル価格+1標準偏差」として、来年10月から施行する予定。

この貸与価格の上限を設けるための一連の作業を効率化するために、商品コードの統一が必要だった。というのも、これまで介護給付費請求書への記載は、もっとも広く使われている「TAISコード(タイス:福祉用具情報システム)」もしくは世界共通の商品識別番号であるJANコード、もしくはメーカー名および商品名のローマ字のいずれかを記入すればよかったからだ。別々のコードが混在しているため、福祉用具貸与の実情を分析するのが困難であることは明らかだった。

そこで、厚労省は8月に「5桁-6桁(半角・英数字)」からなる「福祉用具届出コード」を新設すると発表。メーカーなど福祉用具関連事業者に対し、9月末までに取得することを求めていた。5桁が企業コードであり、6桁が商品コードとなる。新製品など、10月1日以降に初めて貸与されるものは「所定の手続きを経てTAISコードを取得」もしくは「暫定的な商品コードとして『99999-999999』を使用」するよう指導。もちろん、後者はTAISコードの取得を前提としたものだ。

なお、新たな「福祉用具届出コード」は、半角英数字を左詰めで記載。英字は大文字で、企業コードと商品コードの間は半角ハイフン(-)でつなぐことが定められている。同一商品を複数貸与している場合は給付費明細書の行をわけて記載する。

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