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介護経営情報(2017年12月1日号)

2017/12/11

◆特養、「見守り機器」設置で夜勤職員配置加算が算定可能に
入所者数の15%以上の設置条件で従来よりも少ない職員配置でOK

――厚生労働省 社会保障審議会 介護給付費分科会
 厚生労働省は11月29日の社会保障審議会介護給付費分科会で、介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム、特養)で「見守り機器」を設置した場合、従来よりも少ない職員配置でも「夜勤職員配置加算」を算定可能にする方針を明らかにした。短期入所生活介護(ショートステイ)も同様の措置を講じる。

 ここでいう「見守り機器」とは、ベッド上の入所者の動向を検知できる機器のこと。センサーと心拍計などを連動させ、ベッドからの転落や徘徊などによる離床を遠隔でも把握できる仕組みだ。最近は、バイタル測定システムを搭載したタイプも増えており、呼吸状態の異常といった体調の変化も感知できるほか、一連のデータを即時可視化できるため、記録業務の軽減にもつなげられる。

 つまり、「見守り機器」を導入することで、夜間の定期巡回を減らせるだけでなく、効率的な介護が期待できるというわけだ。当然、夜勤に必要な人員を抑制できるため、人手不足に苦しむ介護事業者にとっても、介護費の伸びを最小限に留めたい政府・厚労省にとっても導入するメリットは大きい。

 具体的な算定要件としては、これまで夜勤の最低人員基準を「1人以上」上回らなければならなかったが(※)、「0.9人以上」に緩和する方針。事実上、夜勤に必要な人員を減らすまでには至らないが、夜勤の勤務時間を減らすなどして人件費を調整することが可能になる。今後、運用件数が増えて安全性の確保が立証されれば、さらに要件が緩和される可能性も出てくるだろう。

 また、要件を満たすのに必要な導入台数としては、入所者数の15%以上となる。入所者数25名の場合は3.75台であり、導入さえ決めれば要件を満たせる台数と言えよう。事業者にとっても大きな設備投資とならずに済むのではないか。

※特養の夜勤人員基準は、入所者25名以下の場合1名以上、26~60名の場合は2名以上、61名以上の場合は3名以上。ユニット型の場合2ユニットごとに1名以上。

◆機能訓練指導員の対象資格に「はり師」「きゅう師」を追加
デイサービス、特養など 半年以上の実務経験を求める方針

――厚生労働省 社会保障審議会 介護給付費分科会
 厚生労働省は11月29日の社会保障審議会介護給付費分科会で、機能訓練指導員の対象資格に「はり師」「きゅう師」を追加する意向を示した。

新たに機能指導訓練員の対象となるのは、「はり師」「きゅう師」として一定の実務経験を持つ人材。専門学校や大学の鍼灸学科を卒業して国家試験に合格した直後の人材は起用できない。さらに、機能指導訓練員が配置されている介護事業所で半年以上勤務し、機能訓練指導に従事することが条件となっている。

機能訓練指導員の規定が設けられている介護サービスには、通所介護(デイサービス)や介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム、特養)のほか認知症対応型通所介護(認知症デイサービス)、短期入所生活介護(ショートステイ)、特定施設入居者生活介護。いずれも1名以上の機能訓練指導員を配置することが求められている。

現在、機能訓練指導員の対象資格として認められているのは、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、看護職員、柔道整復師、あん摩マッサージ指圧師の有資格者。これまで、利用者の日常生活やレクリエーション、行事を通じて行う機能訓練については、前述の有資格者以外の生活相談員や介護職員が兼務することが認められていたため、「はり師」「きゅう師」の有資格者が機能訓練を行っている事業所もある。ただし、「平成28年度老健事業『介護サービスにおける機能訓練の実態調査』」によればその割合は極めて低く、デイサービス事業所の場合1.6%、特養の場合1.2%、ショートステイの場合0.9%、特定施設入居者生活介護の場合1.6%と低く、認知症デイサービスに至っては0%だった。

とはいえ、東洋医学的なアプローチが身体機能向上に寄与することは一定の実績があるだけに、自立支援に重点を置いた介護政策を推し進めたい政府・厚労省としては、携わることができる医療従事者の間口を広げた形だ。機能訓練指導員が計画的に機能訓練を実施した場合は「個別機能訓練加算」を算定することが可能となるため、機能訓練を強化させる契機にもなるのではないだろうか。複数の介護サービスを展開する事業者にとっては、鍼灸整骨院への事業展開にもつなげられるだけに、経営面での幅の広がりも期待できそうだ。

◆デイサービスにアウトカム評価を導入 ADLの維持・改善を高評価要介護3以上の利用者数が一定以上の場合に適用

――厚生労働省 社会保障審議会 介護給付費分科会
 厚生労働省は11月29日の社会保障審議会介護給付費分科会で、通所介護(デイサービス)にアウトカム評価を導入するとした。利用者の日常生活動作(ADL)の維持・改善の度合いが一定の水準を超えた場合に手厚く評価するのが目的だ。

 これは、自立支援を重点化し、要介護者の減少を目指す政府方針を踏まえてのもの。成果をきっちりと評価することで、介護事業所のモチベーションをアップさせ、介護の効率化を図る。

 アウトカム評価の指標には、ADLにおける機能的評価を数値化させたBarthel Index(バーセルインデックス)を用いる。バーセルインデックスは、食事や車イスからベッドへの移動、洗顔や歯磨き、爪切り、耳かき、ひげそり、整髪などの身体整容、トイレ動作、入浴、歩行、階段昇降、着替え、排便コントロール、排尿コントロールの計10項目を5点刻みで点数化し、その合計点を100点満点として評価するものだ。評価期間内だけにとどまらず、継続的に自立支援への取り組みを促すため、評価期間修了後もバーセルインデックスの測定や報告を実施した場合は、より高く評価する。

 さらに、データの信頼性を確保するため、一定以上の利用者数があることも要件に含める。比較的要介護度が重い利用者へのサービス提供を想定していることから、要介護3以上の利用者数の割合が一定以上であることも要件化される見通し。機能訓練以外のサービス提供もしっかり実施できるよう、定期的に食事および入浴介助を提供した実績も求める。

 厚労省としては、バーセルインデックスという結果を数値で可視化できる指標を採用することにより、「科学的介護」を推し進める意図があることは明らかだ。データが蓄積されればより効率的な介護が期待できるほか、医療との連携もスムーズになることは間違いない。介護の成果を数値化して評価する仕組みを整えることができれば、介護事業のあり方も劇的に変化することが予測されるため、どのような結果が出るのか今後も注視していく必要があるだろう。

◆「介護職員処遇改善加算」、減算区分の「IV」「V」を廃止
加算の取得推進には引き続き積極的に取り組む方針

――厚生労働省 社会保障審議会 介護給付費分科会
 厚生労働省は11月29日の社会保障審議会介護給付費分科会で、「介護職員処遇改善加算」の見直し案を提示。減算区分である「加算IV」「加算V」は廃止とする方針を明らかにした。廃止までには一定の経過措置を設ける。

 政府が掲げる重点政策のひとつである「介護離職ゼロ」を実現するには、介護サービスを担う介護職員の人材確保を進める必要がある。「介護職員処遇改善加算」は、字義通り介護職員の給与アップを目指して設けられた。現在は5つの区分に分かれており、職務内容や職責に応じた賃金体系を整備していること、研修の機会を確保していること、経験や資格に応じて定期昇給する仕組みを整えていること、そして賃金改善以外の職場環境を改善していることなどが要件となっている。

 各項目をどの程度達成できているかで加算額が異なる設計で、今年4月には最上位区分となる「加算I」を新設し、月額3万7,000円アップを実現している。逆に、達成項目数が少ない下位2つの区分は減算となる(加算IVは加算III×0.9、加算Vは加算III×0.8)。減算区分というディスインセンティブを設けたのは、介護事業者に健全なマネジメントと職場環境整備を求めるのが狙いだった。しかし、「加算IV」「加算V」とも導入後の取得率は1%程度と低いため、一定の目的を達成したと言える。介護報酬の請求・支払に関わる作業を簡略化させて事務負担を軽減させるほうが得策と判断したのではないだろうか。

 なお、引き続き待遇改善を図っていくため、上位区分が取得できるよう介護事業所に対して働きかけを継続させていく考えも示した。今年度から実施している「介護職員処遇改善加算の取得促進特別支援事業」の予算を来年度予算でも要求しており、同制度の周知・広報や事業所へのアドバイス・指導などを続けていく。

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