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医療経営情報(2018年9月20日号)

2018/10/15

◆昨年度の概算医療費、過去最高の42.2兆円        伸び率は+2.3% 受診延日数の伸び率は-0.1% 

――厚生労働省
厚生労働省は9月21日、「平成29年度 医療費の動向」を公表。概算医療費は42.2兆円と過去最高を記録した。2016年度と比べると約0.9兆円の増加。伸び率は+2.3%となった。医療機関を受診した「述べ患者数」に相当する「受診延日数」の伸び率は-0.1%で、2年連続の減少となっている。

医療費の内訳を診療種類別にみていくと、もっとも多いのが入院で17.0兆円。2016年度に比べて0.5兆円増加している。次いで入院外が14.4兆円で、こちらは0.2兆円の増加。歯科は2.9兆円で2016年度とほぼ変わらない。調剤は7.7兆円で、0.2兆円の増加となっている。

概算医療費は2014年度に初めて40兆円に達した。翌2015年度は、C型肝炎の新薬であるハーボニーやソバルディが保険適用されたことにより、前年度比+3.8%と大幅に医療費が伸び、41.5兆円となった。2016年度はその反動で伸び率がマイナスとなり、41.3兆円に落ち着いている(調剤の伸び率が-4.8%であったこともそれを証明している)。これらの経緯を踏まえると、昨年度の伸び率+2.3%は、高齢化などによる自然増の結果と受け止めることができよう。

なお、1日当たり医療費は1万6,500円で、2015年度から400円増えた。伸び率は+2.4%。診療種類別にみると入院が3万6,200円で前年度比700円増(+2.0%)、入院外が8,700円で前年度比200円増(+2.1%)、歯科が7,000円で100円増(+1.3%)、調剤が9,200円で前年度比200円増(+1.8%)となっている。

医療機関の種類別に見ていくと、病院(大学病院、公的病院、個人病院含む)が前年度比0.5兆円増の22.7兆円。個人病院のみ、0.02兆円の減少となっている。診療所は0.1兆円増の8.7兆円、歯科が0.05兆円増の2.92兆円、保険薬局が0.21兆円増の7.71兆円。

ちなみに、診療所の診療科別医療費を見ると、減少しているのは外科(-164億円)と産婦人科(-5億円)のみ。もっとも伸びているのは内科で350億円増、次いで整形外科が264億円増、眼科が226億円増となっている。

◆厚労省、来年度の薬価改定を2回実施する方針
4月と10月に 消費税増税対応のため

――厚生労働省 中央社会保険医療協議会総会
厚生労働省は9月26日の中央社会保険医療協議会総会で、来年4月と10月に薬価の臨時改定を実施する方針を提示した。10月に臨時改定を行うのは、同時期に消費税が10%に引き上げられることが理由。翌2020年は通常の薬価改定があるため、実質的に1年間で3回改定を行うこととなりそうだ。

消費税増税に伴って薬価の臨時改定を実施すること自体は既定路線だった。なぜならば、診療報酬は非課税のため、医療機関や調剤薬局は仕入税額控除を受けることができないからだ。運営上の仕入れでは消費税を負担しているため、それに相当する額をこれまでも診療報酬で補填してきた。1989年の消費税導入時は+0.76%、1997年に3%から5%へと増税されたときは+0.77%、2014年に8%へと増税されたときは+1.36%引き上げられた(2014年の引き上げの内訳は、診療報酬本体が+0.63%、薬価が+0.73%)。

 しかし、薬価の次回通常改定は2020年4月となっている。そこに反映される市場の実勢価格は、来年9月時点の薬価調査(※)の結果に基づくこととなるため、直後の10月の臨時改定後の実勢価格を反映できない恐れがある。そこで、薬価引き下げを4月に済ませておき、10月の改定では消費税分の上乗せのみにしようというわけだ。

当然、それぞれの引き下げ幅は緩やかなものとなる可能性が高い。しかし、1年強で3回も薬価が改定されるとなると、医療機関や調剤薬局の負担はかなり大きくなるだろう。実際、この日の総会でも「現場が対応しきれない」との意見が出ている。今後、10月の総会で関係業界からヒアリングを行い、消費税分科会や薬価専門部会・保健医療材料専門部会での議論を経て年内に結論を出す予定だが、厚労省がどのように調整していくか注目される。

※薬価を改定する際には、より適切な値にするため市場の実勢価格を反映させている。そのために実施しているのが薬価調査だ(1989年の消費税導入時は薬価調査を行わなかったが、過剰転嫁とならないよう「改定率×0.9」で算定している)。

◆回復期リハ・療養病棟のDPCデータ提出に新たな経過措置を設定        200床未満の病棟が主な対象に 精神病棟の病床数が多い病院へ配慮

――厚生労働省 中央社会保険医療協議会総会
 厚生労働省は9月26日の中央社会保険医療協議会総会で、DPCデータ提出が義務付けられている回復期リハビリテーション病棟や療養病棟について、当該病床数が200床未満の場合は新たな経過措置の対象とする方針を明らかにした。期間は2020年3月末までとなる。

 今年度の診療報酬改定で、DPCデータの提出を義務付けられる病棟が拡大された。従来義務付けられていたのは旧7対1・旧10対1入院基本料(改定後は急性期一般入院基本料、特定機能病院入院基本料、専門病院入院基本料)、地域包括ケア病棟入院料だったが、今年度から回復期リハビリテーション病棟入院料5・6、療養病棟入院基本料(許可病床数200床以上)もその対象となった。DPCデータの提出には大きな手間がかかるため、来年3月末までの経過措置が設けられている。

 しかし、中には回復期リハ病棟や療養病棟の病床数が少ないにもかかわらず、DPCデータ提出義務化の対象外である精神病棟の病床数が多いため、許可病床数が200床以上となっているケースもある。当然、そうした病院ではDPCデータ提出のための体制が構築できていない。厚労省はこのようなケースがあり得ることを見逃していたことを認め、「DPCデータ提出が要件となる病床数が200床以上の場合」と改めて規定。逆に当該病床数が200床未満である病院向けに、新たな経過措置を設けたというわけだ。

 なお、今年度の診療報酬改定では、DPCデータ提出を義務付ける病棟の拡大に伴い、データ提出加算の見直しも行った。データ提出加算1(200床以上)は120点から150点に、データ提出加算1(200床未満)は170点から200点に、データ提出加算2(200床以上)は130点から160点に、データ提出加算2(200床未満)は180点から210点にそれぞれ引き上げられた。そしてさらに、データの質を手厚く評価するため、未コード化傷病名の割合が10%未満の医療機関を対象に「提出データ評価加算」(20点、データ提出加算2が対象)も新設されている。

◆医師6,000人、看護師長7,500人を対象に勤務状況調査を実施 今年度改定の効果検証と今後の方向性を見出すのが狙い

――厚生労働省 中央社会保険医療協議会総会
 厚生労働省は9月26日の中央社会保険医療協議会総会で、「平成30年度診療報酬改定の結果検証に係る特別調査(平成30年度調査)」の調査票案を提示。医師の働き方改革をめぐっては、計1,500の病院を対象とする施設調査と、6,000人を対象とする医師調査、7,500人を対象とする看護師長調査、施設調査対象病院の薬剤部責任者1名を対象とする薬剤部責任者調査を実施する。10月には調査票を発送し、11月末までに回収して年内に集計分析を終え、来年3月末までに報告書を取りまとめる方針だ。

 今年度の診療報酬改定では、医療従事者の常勤配置や勤務場所に関する要件見直しを実施。医師や看護職員の負担を軽減するため「医師事務作業補助体制加算」の評価も引き上げている。今回の調査は、その効果がどのように表れているかを確認し、「医師の働き方改革」の推進につなげるのが目的だ。

 施設調査の対象となるのは、「医師事務作業補助体制加算」を算定している病院750施設と、算定していない病院750施設。同加算の算定の有無が、医師や看護職員の勤務状況にどのような影響を与えているのか検証する。

医師調査、看護師長調査は施設調査の対象病院に1年以上勤務する人が対象となる。医師は1施設につき4名で、外科系1名、内科系1名、その他2名を選んでもらう方式だ。看護師長は1施設につき5名で、一般病棟から2名、療養病棟1名、精神病棟1名、特定入院科1名。調査では入院・外来それぞれの延べ患者数や手術件数などを確認するほか、「医師事務作業補助体制加算」の届出をしていない病院に対しては、届出をしていない理由についても回答を求める。

 そのほか、「かかりつけ医機能等の外来医療に係る評価等に関する実施状況調査」「在宅医療と訪問看護に係る評価等に関する実施状況調査」「後発医薬品の使用促進策の影響及び実施状況調査」も実施。「かかりつけ医機能等~」では、今年度から新設された「機能強化加算」や「オンライン診療料」の状況も調査していく。

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