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介護経営情報(2019年7月12日号)

2019/7/29

◆介護予防、自治体の先進事例をヒアリング    民間企業との連携などで介護給付費抑制に成功した事例も

――厚生労働省
一般介護予防事業等の推進方策に関する検討会
 厚生労働省は、7月3日の一般介護予防事業等の推進方策に関する検討会で、4つの自治体から介護予防事業の先進事例をヒアリングした。民間企業と連携して保険外サービスの利用を促し、保険サービスの利用を抑制した事例などが紹介されている。

 ヒアリングを行ったのは、愛知県豊明市、東京都世田谷区、新潟県新潟市、宮城県大河原町の4自治体。とりわけ特徴的だったのは、愛知県豊明市の取り組みだ。同市は愛知県のほぼ中央に位置し、隣接する名古屋市のベッドタウン。約68,000人の人口のうち、高齢者人口が今年4月1日時点で17,715人となっており、高齢化率は25.7%と県の高齢化率よりも高い割合で推移している。今後、後期高齢者の伸びが著しいと推計されており、団塊の世代が全員後期高齢者となる2025年には、後期高齢者が前期高齢者の1.5倍以上になるとされる。独居高齢者・高齢者のみ世帯も増加しており、医療・介護ニーズが急増。医療費は全国平均、県平均の双方を上回っており、「要介護状態にさせない、重度化させない仕組み」が求められている。

 実際、介護予防が必要な要支援者の数は急激に伸びており、2006年を100%とすると、2014年時点で後期高齢者数が167%であるのに対し、要支援者数は418。この5年間で介護予防通所介護のサービス給付費は2.5倍、介護予防訪問介護のそれは1.5倍に伸びている。2015年3月に総合事業へ移行する前の「要支援者サービス利用1年後重度化率」も高く、要支援1の57%が重度化し、27%が要介護状態になるという全国平均値よりも高い重度化率だった。

 そこで、総合事業移行後は、通所事業で理学療法士による短期集中型リハビリを導入。3~6カ月(全30回)で日常生活に戻すプログラム「元気アップリハビリ」を標準支援とした。その結果、通所利用者の74%が「元気アップリハビリ」を選択し、従来の介護サービスの利用率を10%以下に引き下げることができたという。

 「通いの場」の活性化にも取り組んでいる。一般的には民家を活用するケースが多いが、スーパー銭湯や喫茶店、自動車販売店など民間事業者などと連携したスタイルを展開。喫茶店は市内に70店舗以上あり、見守りの場としても機能している。自動車販売店では、商談スペースを活用して毎日体操を実施。他には、寺院のお堂で健康麻雀を行うなどのユニークな取り組みも行っている。

 これらの取り組みのベースとなるのが、「保険外サービス創出促進協定」。2017年2月以降、フィットネスクラブやスイミングスクール、カラオケ店やドラッグストアなど計14社と締結している。市は連絡会議の開催と住民への周知を担い、事業者が把握する高齢者のニーズを吸い上げて効果的なサービスを創出している。

 結果、保険サービス給付費は大幅に下がっており、2018年度は通所サービスが総合事業移行前年度に比べて-21.7%、訪問サービスが同-23.7%となった。介護予防給付費の伸びも抑制されており、2018年度は対前年度比+0.16%と、伸びが初めて止まったという。「要支援者サービス利用1年後重度化率」も、2017年新規契約者の場合、70%が維持・改善と総合事業開始前より大幅に改善した。保険サービスに頼ることなく、しかも民間事業者が積極的に関与できるスキームによって介護給付費抑制に成功した豊明市のこうした取り組みは、他の自治体も参考にするべきだといえよう。

◆新介護データベース「CHASE」、初期仕様の収集項目が確定    30の「基本的な項目」と47の「目的に応じた項目」がベースに

――厚生労働省
科学的裏付けに基づく介護に係る検討会
 厚生労働省の有識者会議「科学的裏付けに基づく介護に係る検討会」は、7月4日の会合で、来年度から稼働予定となっている新たな介護データベース「CHASE」の初期仕様の収集項目を了承した。30の「基本的な項目」と47の「目的に応じた項目」をベースにしたものとなっている。入力は任意だが、次期介護報酬改定でインセンティブが導入される見通しとなっており、介護事業所にとっては対応が必須となりそうだ。

 30の「基本的な項目」は「できるだけ多くの事業所等においてCHASEに入力されるべき項目」と位置づけられ、性別や既往歴、服薬情報、同居人等の数・本人の関係性、栄養補給法、摂食・嚥下状況などが盛り込まれた。47の「目的に応じた項目」を入力するのは加算を算定している事業所が対象で、食事、排泄、入浴、移乗、かかりつけ歯科医、機能訓練などが入っている。

任意入力の「その他の項目」は、包括的自立支援プログラム方式などの評価方法や、食事時のポジショニング、低栄養のリスクレベルなど多数ある。要介護者の状態把握に効果的な項目が多いため、「CHASE」の運用が「科学的介護」の実現に寄与できるかどうかを左右する重要な部分となることが予想される。一方で、入力に際して介護現場の負担が増すことは間違いなさそうであり、手厚いインセンティブの付与が検討される可能性が高いのではないか。

そうなると気になるのが、介護ソフトとの連携だ。厚労省によれば、既存の介護ソフトで対応している項目は24項目にとどまる。主要5社とも対応している項目は、「居宅サービスガイドライン方式」「MDS方式・MDS-HC方式」「Barthel Index」、うつ・閉じこもりの評価での「興味・関心チェックシート」のわずか4項目。これまでいかに厚労省が介護データを軽視してきたかを露呈している。今後、介護ソフト各社が急ピッチで対応していくこととなるが、いかに入力を簡便化するかも問われることとなるだろう。そうした意味では、ベンダーの開発動向をチェックするとともに、厚労省がどのような働きかけをしていくかも注視する必要があるだろう。

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