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医療経営情報(2019年12月12日号)

2020/1/24

医院レポート , 新着情報

◆ 来年度の診療報酬改定、本体0.55%引き上げで決着 全体ではマイナス                            うち0.08%は働き方改革分 病床ダウンサイジング支援に84億円確保

――厚生労働省
中央社会保険医療協議会総会
加藤勝信厚生労働相と麻生太郎財務相は12月17日に大臣折衝を行い、2020年度診療報酬改定の改定率を決めた。医師の技術料や人件費にあたる本体部分は0.55%引き上げる。そのうち0.08%は、「消費税財源を活用した救急病院における勤務医の働き方改革への特例的な対応」。働き方改革への対応については、この0.08%(公費126億円程度)に加え、地域医療介護総合確保基金として公費143億円を確保。合計で269億円程度を投入することとなった。

診療報酬本体の各科改定率は、医科が+0.53%、歯科が+0.59%、調剤が+0.16%。薬価と材料価格はマイナス改定となり、薬価が-0.99%(うち実勢価等改定-0.43%、市場拡大再算定の見直し等-0.01%)、材料価格は-0.02%(うち実勢価等改定-0.01%)。これによって、全体では-0.46%のマイナス改定となり、厚労省側が財務省の“顔を立てた”形となった。

診療報酬改定率に関しては、想定の範囲内で決着した印象だが、注目は、病床ダウンサイジング支援として84億円程度の投入を決めた点だ。全額国庫負担の補助金であり、使途も問われない。稼働病床数を10%以上削減すれば、その病床数に応じて交付金が増額される仕組みとなる見込み。来年度限定ではあるものの、法改正を実施して2021年度以降もダウンサイジングを推進していく方針だ。地域医療構想には、2025年に向けて病床数を119万床まで減らすことが盛り込まれているが、遅々として進まないことを受け、業を煮やした形となった。

日本の病床数は諸外国と比べても過剰だとされる。OECD(経済協力開発機構)の調査によれば、日本の1,000人あたり病床数は13.1床。2位の韓国も12.0床と多いが、OECD加盟国で10床以上なのはこの2国のみ。3位のドイツは8.1床、福祉優良国とされるデンマークは2.2床、スウェーデンは2.3床となっている。病床数が多ければ患者にとっては医療アクセスが良好になるものの、医療費が増加するのが問題。政府としては、社会保障費を抑制するため、なんとしても病床削減を進めたいというわけだ。なお、概算要求では5,300億円を上限としていた社会保障費の自然増については、4,100億円程度に抑えることも決めている。

◆ 厚労省、オンライン診療の要件見直しを提案                            ガイドラインや診療実態に合わせた形へ

――厚生労働省
中央社会保険医療協議会
厚生労働省は12月18日、中央社会保険医療協議会総会でオンライン診療料の要件見直しを提案。7月に改訂したガイドライン(オンライン診療の適切な実施に関する指針)や診療の実態を踏まえた内容にする方針だ。

オンライン診療料は、2018年度の診療報酬改定で新設された。しかし、初診は原則対面診療としているほか、月1回の受診を6カ月継続してから初めて算定が可能になるなど、医療機関・患者の双方にとって使い勝手が良いとはいえない。いわばテストマーケティングのようなニュアンスでスタートした状態であり、短いスパンで見直しを行うことが前提となっていた。ガイドラインにも同様の方針は貫かれているため、策定から1年4カ月とあまり日が経っていないのにもかかわらず7月に改訂がなされた次第だ。

なお、7月に改訂されたガイドラインでは、訪問看護師がオンライン診療による医師の指示を受けて在宅患者の診療補助をすることを容認。さらに、初診対面診療の原則の例外として、緊急避妊薬の処方や、離島など「一人医師診療所」の医師が急病となった場合などを盛り込んでいる。一方で、診療報酬には、改定のタイミングが2年に1度ということもあり、これらの内容は反映されていない。診療の実態に合っていないものもあるため、改定のタイミングで要件を見直そうというのが厚労省の考えだ。

具体的には、まず「緊急時に概ね30分以内に対面診療が可能であること」を見直すべきとした。その根拠は、今年度実施した「平成30年度診療報酬改定の結果検証に係る特別調査」にある。治療の内容としてはオンライン診療の対象となるのに、要件を満たせないため受診できない患者数でもっとも多かった項目がこれだった。しかし、緊急時は救急病院の受診を選択するのが一般的であることから、「30分以内」とする必要性がないと主張。2018年3月に、診療報酬改定に伴って発出した疑義解釈の事務連絡に則り、「日常的に通院・訪問による診療が可能な患者」とする方向。また、「月1回の受診を6カ月継続」してからオンライン診療料の算定が可能になるとの要件も見直し、「直近3月の対面診療」と緩和する方針だ。

 さらに、離島やへき地など医療資源が少ない地域では、より柔軟にオンライン診療を活用できるように見直しを進めたいとした。とりわけ、「希少性の高い疾患」などの専門家に受診したい場合、かかりつけ医が同席してオンライン診療を受ける「D to P with D」が効果的だが、現在は算定可能な項目がないため、そこを評価したいとしている点は注目したい。一連の厚労省案は、都市部で活用が広がるほど利便性が向上するとは言えないだろう。しかし少なくとも、医療資源が乏しい地域の医療アクセスをサポートする手段としては充実していく可能性が高いのではないか。

◆ 救急病院の評価をさらに手厚く 働き方改革の観点から                      特定行為研修修了看護師による麻酔管理補助の評価も

――厚生労働省
中央社会保険医療協議会
 厚生労働省は、12月18日の中央社会保険医療協議会総会で、救急病院の評価をさらに手厚くすることや、特定行為研修を修了した看護師による麻酔管理補助を評価する方針を改めて示し、概ね了承された。

 2024年4月から、医師にも時間外労働の上限規制が適用される。原則として年間960時間以下にする方向で固まっている。これを「A水準」としているが、3次救急病院や年間1,000台以上の救急車を受け入れる2次救急病院の場合は、年間1,860時間以下とする「B水準」を適用する方針だ。この年間1,860時間以下は、研修医など短期間で集中的に省令経験を積む必要がある場合にも「C水準」として適用される。

 問題は、「B水準」が適用される救急病院に、受入件数が多い医療機関が偏る傾向があることだ。2017年度の「病床機能報告」によれば、年間1,000件以上を受け入れている救急病院が、受入件数の85%を担っているとの結果も出ている。それでいて、搬送件数が多いのにも関わらず医師数が少ない病院もあるため、手厚く評価することで医師数を確保させようというのが厚労省の狙いだ。評価の要件は今後の議論で決まるが、受入件数を基準としたものになると思われる。

 過剰な労働時間を余儀なくされている救急病院の医師に対しては、診療報酬改定でも特例の配慮がなされることが確定。12月17日の大臣折衝で、0.55%の引き上げとなった本体分のうち0.08%を「消費税財源を活用した救急病院における勤務医の働き方改革への特例的な対応」に回すことが決まっている。0.08%は、金額にして126億円程度。2017年度の「病床機能報告」によれば、年間救急搬送受入件数が1,000件以上の医療機関は1,442施設、2,000件以上は898施設。仮に1,000件以上の医療機関が対象となれば約873万円が投入される計算となる。劇的な効果を発揮する金額とはいえないまでも、時間外労働の報酬に多少の上乗せはできるといったところではないか。

 麻酔管理に関しては、特定行為研修を修了すれば看護師も実施可能な医行為がある。全身麻酔では麻酔導入時の「橈骨動脈ラインの確保」「直接動脈穿刺法による採血」「末梢留置型中心静脈ラインの確保」、麻酔維持期の「薬剤投与量の調整」「脱水症状に対する輸液による補正」「糖質・電解質輸液投与量の調整」「人工呼吸器の設定調整」「気管チューブ位置の調整」、麻酔覚醒期の「人工呼吸器からの離脱」「中心静脈ラインの抜去」が該当するとされており、硬膜外麻酔の場合は麻酔維持期の「薬剤投与量の調整」「脱水症状に対する輸液による補正」「糖質・電解質輸液投与量の調整」、術後の「硬膜外カテーテルによる鎮痛剤の投与及び投与量の調整」が該当するとされている。

 これらの業務を看護師に任せることでタスク・シェアリング、タスク・シフティングが実現し、医師の負担を軽減させるのが狙いであり、そのために診療報酬でも評価しようというわけである。厚労省は、麻酔管理料(II)の要件を緩和し、特定行為研修修了者でも担えることを明確化する方針を打ち出しており、看護師が特定行為研修の受講をすることを推進する効果も期待できそうだ。

◆ 厚労省、薬剤服用歴管理指導料の点数が低くなる来局期限を短縮する方針                           「かかりつけ薬剤師・薬局」普及のため同一薬局の利用を推進

――厚生労働省
中央社会保険医療協議会総会
 厚生労働省は、12月18日の中央社会保険医療協議会総会で、同一薬局を利用した場合に薬剤服用歴管理指導料の点数が低くなる期間を短縮する方針を示した。同一薬局の利用を推進し、「かかりつけ薬剤師・薬局」を普及させるのが狙い。調剤報酬は調剤料のシェアが大きいため、社会保障費の抑制を図る観点からも「対物業務」から「対人業務」への構造的な転換を進めるのが国の方針であり、今回の施策もその一手となる。

 薬剤服用歴管理指導料は、患者が安全に薬を使用するうえで必要な情報の収集・分析・管理・記録や、薬を渡す際の説明を評価する報酬。原則は53点だが、調剤基本料1を算定する個人経営の薬局の場合、6カ月以内に再度来局し、「お薬手帳」を持参している場合は41点となる。「お薬手帳」は、重複投薬の解消といった効果が期待できるほか、副作用・アレルギー歴が記録されていることから、患者側にとっては調剤費の自己負担分を減らすことが可能だ。

逆にいえば、薬剤服用歴管理指導料の点数が低くなる期間が短縮すると、患者にとっては「お得な期間」が減ることになる。2018年4月~9月調剤分のNDBデータで薬剤服用歴管理指導料を算定した患者数を見ると、6カ月間に2回以上薬局を訪問した患者は85%。これが3カ月間になると72%まで下がる。つまり、短縮期間を3カ月にすれば、約13%分の患者の来局回数が1回に減らせるわけで、それだけ薬局の業務負担および調剤費を抑制することにつながる。

調剤医療費の抑制は、社会保障費を抑制するうえで大きなポイントだ。2018年度の調剤医療費は7兆4,279億円。そのうち技術料が1兆9,311億円、薬剤料が5兆4,834億円、特定保険医療材料料が134億円。後発医薬品の使用を推進して調剤医療費全体としてはマイナスの伸び率を達成しているものの、技術料は2017年度に比べて+1.0%。2017年度の調剤医療費の技術料は1兆9,122億円と2016年度に比べて+3.4%の伸び率を記録している。

こうした状況を踏まえ、6月に閣議決定された「経済財政運営と改革の基本方針2019(骨太方針2019)」でも「調剤料などの技術料について、2018年度診療報酬改定の影響や薬剤師の業務の実態も含めた当該技術料の意義の検証を行いつつ適正な評価に向けた検討を行う」と明記。来年度の診療報酬改定の基本方針では、「薬剤調製などの対物業務から、薬学的管理などの対人業務への構造的な転換を推進するための所要の重点化と適正化を行う」としており、こうした対人業務に関わる調剤報酬の設計には今後も同様の調整がなされることが予想されよう。

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