NPO法人会計基準は2010年7月20日に公表され、特定非営利活動促進法改正(2012年4月1日施行)に合わせて2011年11月20日に一部改正となりました。NPO法人会計基準とは外部に対する会計報告書の作成指針です。実務的には、一般企業と同様の複式簿記、会計原則を用いて、財務諸表を作成することになりますが、ここではNPO法人特有の会計処理を例示します。
■ | 使途等が制約された寄付金等の取扱い 寄付等によって受入れた資産で、寄付者等の意思により当該受入資産の使途等につい て制約が課されている場合には、当該事業年度の収益として計上するとともに、その使途ごとに受入金額、減少額及び事業年度末の残高を注記する。 |
■ | 返還義務のある助成金、補助金等の未使用額の取扱い 対象事業及び実施期間が定められ、未使用額の返還義務が規定されている助成金、補助金等について、実施期間の途中で事業年度末が到来した場合の未使用額は、当期の収益には計上せず、前受助成金等として処理しなければならない。 |
1. | 活動計算書 営利企業における損益計算書に相当するフローの計算書で、NPO法人の経営内容を把握しやすくするため、資金収支ベースの収支計算書から改めることとなったものです。 |
■ | 提出する書類
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※活動計算書に変えて、旧法の収支計算書を提出することは、当分の間認められていますが、詳細は所轄庁に確認をしてください。所轄庁は、できる限り速やかに活動計算書への移行を望んでいます。
■法人税
収益事業を行う場合のみ課税されます。課税所得が赤字であれば税額は発生しませんが、申告は必要となります。法人税が課税される収益事業とは、そのNPO法人の事業が『特定非営利活動』か『その他事業』であるかは関係はありません。法人税が課税されるかどうかは、法人税法上の事業が『収益事業』に該当するかにより判断することとなります。
・法人税法上の収益事業とみなされるのは次の3つの要件すべてに該当する場合です。
【1】次の法人税法施行令の34業種のいずれかにあてはまる。
(1)物品販売業 (2)不動産販売業 (3)金銭貸付業 (4)物品貸付業 (5)不動産貸付業
(6)製造業 (7)通信業 (8)運送業 (9)倉庫業 (10)請負業 (11)印刷業 (12)出版業
(13)写真業 (14)席貸業 (15)旅館業 (16)料理飲食業 (17)周旋業 (18)代理業
(19)仲立業 (20)問屋業 (21)鉱業 (22)土石採取業 (23)浴場業 (24)理容業
(25)美容業 (26)興行業 (27)遊技所業 (28)遊覧所業 (29)医療保健業
(30)技芸・学力教授業 (31)駐車場業 (32)信用保証業 (33)無体財産権の提供等
(34)労働者派遣業
【2】継続的に事業を行っている。
【3】事業場を設けて行っている。
■法人住民税
収益事業を行う場合に課税されます。ただし、収益事業で所得が発生していない場合でも、法人住民税の均等割課税が発生します。ただし、収益事業を行わない場合、多くの自治体が、この均等割を減免しています。
■法人事業税、地方法人特別税
いずれも収益事業を行う場合に課税され、法人住民税と一緒に申告します。
■所得税
利子・配当等を受け取った場合には一般法人と同様に源泉徴収され、課税されます。また、人を雇って給与を支払う場合や税理士等に報酬を支払う場合には源泉徴収義務者となります。
■消費税、地方消費税
消費税は物品やサービスの対価に課税され、課税取引を行っていれば納税の義務があります。ただし、基準期間の課税売上高が1000万以下の場合には免税となります。設立1期目、2期目は一定の場合を除き課税されません。
■相続税・贈与税
いずれも個人から個人への財産の移転に対して、財産を受け取った側に課税する 税金で、NPO法人が遺贈や贈与を受けても、原則として課税されることはありません。
■その他
上記の他にも、印紙税、登録免許税、事業所税、不動産取得税、固定資産税、自動車取得税、自動車税等、NPO法人への課税はたくさんありますが、自治体によって減免制度がある場合もあります。