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つくし世代 「新しい若者」の価値観を読む

2015/4/10

大阪市中央区 上田公認会計士事務所の上田です。
花吹雪の舞うこの頃ですが、皆様はお変わりございませんでしょうか。

今回は、藤本耕平氏のご著書、『つくし世代 「新しい若者」の価値観を読む』をご紹介します。
藤本氏は1980年生まれで、一橋大学を卒業されて株式会社アサツー ディ・ケイ(ADK)に入社されました。入社以来マーケティング業務に従事してこられ、現在はADK若者プロジェクトのリーダーとして、若者研究をしておられるそうです。
本書は、藤本氏が携わった商品や広告コミュニケーションの事例を分析しながら、これからの若者の価値観に迫っていく内容です。

・つくし世代
本書における「若者」とは、「1992年に小学校に入学した人たちよりも若い世代」を指します。こうした若者は、「ゆとり世代」(2002年~2011年の間に行われていた「ゆとり教育」を受けた世代)や、「さとり世代」(デフレ時代を経験し、欲しがらないことを悟るしかなかった世代)というように括って表現されることが多いかと思います。欲がない、消費しない、というように、一見するとネガティブに感じる表現も多いです。
しかし藤本氏は、仲間とのつながりを大切にし、「みんなで楽しみたい、みんなで喜びたい」「自分一人ではなく、誰かのために」ということに関しては、他の世代にはない貪欲さを持っていると分析しています。「お互いに、つくし、つくされる世代」ということなのでしょう。
2015年の新成人を対象にしたあるアンケート調査の「自分はどんなタイプだと思うか」という問いに対して、約92%が「人からペースを崩されたくない」と回答し、約86%が「人に気を遣う」と回答しています。自分らしさも大切だけど、他人との協調性も同じくらい大切、というところでしょうか。
消費をしないと言われることもありますが、それは合理的でコストパフォーマンスを重要視しているだけなのかもしれません。様々なツールを用いて、無駄な手間やお金をかけず効率的に物を手に入れることが習慣化している世代だからでしょう。藤本氏が接する若者の意見では、「特に何でもない日に友達にサプライズプレゼントをする」「3,000円でシャツを買うより、3,000円で友達と飲む方がよい」というようなものがあるそうです。このように自分のペースで、コストパフォーマンスを意識しながら消費しますが、世間の常識や見栄のための消費は馴染まないそうです。日本の習慣であるお中元やお歳暮はその代表格となるようで、これには少し寂しい思いを感じましたが、時代の変化なのですね。

・1992年というターニングポイント
前述しておりますが、1992年というのは大きなターニングポイントであるそうです。その理由は4つあります。
①教育環境の変化…小学校の学習指導要領が大きく改訂され、「新学力観」に基づく個性尊重主義が打ち出されました。
②家庭環境の変化…統計上、共働き世帯数が専業主婦世帯数を上回りました。
③IT環境の変化…一家に一台のパソコンというのが当たり前になったのがこの世代だそうです。
④経済環境の変化…1992年は、バブル崩壊の年です。失われた20年と言われる時代に人格形成期や青年期の大半を過ごしてきたのが、1992年に小学校に入学した世代です。

このような環境の中で育ってきたため、「つくし世代」の若者は、それより上の世代とは異質のマインドを持っているのです。

様々な環境変化の中で育ってきた「つくし世代」の若者は、それより上の我々の世代とは感性が大きく違うのだと再認識しました。今は、シニアマーケットが隆盛の時代ですが、時が流れれば「つくし世代」の若者が消費の中心となってくることでしょう。この世代の方々の心をどう捉えて、どう動かすのか、これからのマーケティングにとって重要なことだと感じました。

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