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ウェルフェア・レポート 2015年5月11日号

2015/5/14

医療保険制度改革関連法案を修正議決し、参院へ送付 ~衆院本会議

医療保険制度改革関連法案は4月28日の衆議院本会議で、自民・公明・維新などの賛成多数で、渡辺博道・衆院厚生労働委員長の報告のとおり修正議決され、参議院に送付された。
渡辺委員長は、同法案に対する衆院厚労委での審査の経過や結果の報告について、「(24日の)質疑終局後、自民党および公明党より施行期日についての修正案が提出され、趣旨説明を聴取した。次いで原案および修正案について討論・採決を行った結果、修正案および修正部分を除く原案はいずれも賛成多数をもって可決され、本案は修正議決すべきものと決した。なお、本案に対し、附帯決議を付することに決した」などと説明した。

■「まず予防保健の充実や地域医療の改革などを」―― 民主・阿部委員
原案と修正案を一括した24日の衆院厚労委での採決前の討論では、阿部知子委員(民主)と堀内照文委員(共産)が反対討論した(賛成討論はなし)。
阿部委員は「本法案は後期高齢者支援金を被用者保険者の総報酬に応じて負担してもらい、それによって生み出される財源を国保に充当するとしている。国保が厳しい財政運営を余儀なくされているという構造的な問題を抱えていることは十分理解している」とする一方、「現時点で国保に安易に財源をつぎ込むことは後期高齢者の支援金の負担も重くなる被用者保険加入者の理解が得られるとは思えない。まずは国保の効率化や予防保健の充実、かかりつけ・家庭医制度の確立と地域医療の改革を徹底的に行うべきであり、それを抜きに後期高齢者支援金の全面総報酬割で生み出された財源を国保に投入するのは本末転倒」などと述べた。堀内委員は「都道府県に医療費抑制の責任を負わせる仕組みをつくる」とした上で、「都道府県が医療費の目標を定めることになるが、地域医療構想とあわせ、病床機能の再編・削減等を促進することになる。地域医療崩壊、患者追い出しを加速させ、患者・家族・医療現場に過酷な負担をもたらすことは許されない」などと批判した。

■「医療費適正化の指導の徹底等を」―― 附帯決議案
附帯決議案には、▼患者申出療養について、患者が自ら申し出たことを理由に有害な事象が発生した際に不利益を被ることがない仕組みとすることと共に、患者申出療養の対象となった医療ができる限り速やかに保険適用されるような措置を講じる、▼持続可能な医療保険制度を構築するためには、増大する医療費の抑制が不可欠であることに鑑み、今回の改正による医療費適正化の取り組みに加え、現在実施されている実効性のある取り組みの普及・促進を図る等、医療費適正化の指導の徹底を図る――などが盛り込まれている。

マイナンバー制度等の改正案が審議入り ~衆院本会議

「個人情報の保護に関する法律及び行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律の一部を改正する法律案(個人情報保護法及び行政手続番号法=マイナンバー制度=改正案)」が4月23日、衆議院本会議で審議入りした。山口俊一・情報通信技術(IT)政策担当相が趣旨説明し、「個人番号の利活用を推進するため、健康保険組合が行う特定健康診査に関する事務等における個人番号の利用など、個人番号の利用範囲を拡充する」などと述べた。

OECD「都市における高齢化」報告書の日本語版を公表 ~国交省

国土交通省は5月1日、OECD(経済協力開発機構)が同省や富山市・横浜市の協力も得て実施した「都市における高齢化(Aging in Cities)」報告書の日本語概要版を公表した。同報告書は「高齢社会における都市の持続可能な成長に向けて、その機会を生かすための考察及び手法を提案するもの」と位置付けられている。
PartⅠ「高齢社会と持続可能な都市開発」は、①高齢社会の課題と機会、②高齢社会における行動に向けた戦略、③高齢社会における協業に向けたガバナンス――などで構成。高齢社会の課題として、▼社会保障費の増大、▼人とのつながりが低下したことによる社会的な孤独、▼高齢者にとって、より一層困難になる仕事・サービスへのアクセス――などを指摘している。
PartⅡ「ケーススタディした都市」では、富山と横浜のほか、マンチェスター(英国)、フィラデルフィア(米国)、ヘルシンキ(フィンランド)などを紹介。富山については「コンパクトな都市構造を目指すことにより、高齢者の自律的な活動を促し、全市民の暮らしやすさや都市の経済的な発展を実現しようとしている」などと、横浜については「民間部門と既存住宅地の再活性化に取り組み、高齢者のニーズに対応しつつ、高齢化についての認識を高め、市としての政策課題の実現に市民の力を集結させている」などと説明している。

同一建物への訪問診療「次回改定で、よく考えて対処」 ~衆院厚労委で塩崎厚労相

塩崎恭久厚生労働相は4月22日の衆議院厚生労働委員会で、前回の診療報酬改定で同一建物居住者への訪問診療料が大幅に引き下げられたことに伴う影響について、訪問診療を行う医療機関や訪問診療を利用する人数は減少する傾向にないとの調査結果を示した上で、次回改定での見直しに関し、中央社会保険医療協議会で検討を進めるとした。それに当たっては、在宅に力を入れていく必要性を強調し、「よく考えて対処したい」と述べた。

■「田村前大臣は見直しも含め検討と答弁」── 維新・牧委員
牧義夫委員(維新)が「昨年の診療報酬改定で、大変、現場で混乱が生じているようである」として、「同じ建物への訪問診療料が大幅に劇的に引き下げられた。あるエリアを24時間体制でカバーしている医療施設があるが、地域のニーズに応じ、新たに医師を雇い入れ、新たなクリニックも建設して対応しようとしていたところ、こういうことが起こり、福祉医療機構から借り入れたお金もどうやって返したらよいか分からない、全く立ち行かない状況になっている」などと指摘。その上で、「地域医療をどう考えるか、これから先どういうビジョンを持って医療を提供する体制を地域でつくっていくのか、あまりにフラフラしているのではないか。病床の規制にしてもそうだが、将来に向けて一定の予見可能な制度設計をしないと、現場でこういう混乱が生ずるということだ。来年の診療報酬改定に向け、田村前大臣は見直しも含めて検討するようなことを答弁していたが、大臣の考えを」と答弁を求めた。

■「懸念の有無、改定までの間に耳を大きくして聴く」── 塩崎厚労相
塩崎厚労相はまず、「高齢者向け住宅などにおける医療機関が紹介料を支払って患者の紹介を受け、通院できる患者も含め、多くの患者に訪問診療を行うというような不適切な事例が指摘されたこともあり、平成26年度の診療報酬改定では、同一建物居住者への診療報酬を引き下げた」との経過を振り返ると共に、その運用に当たっては「重症の患者などに訪問診療を行う医療機関の運営に支障をきたさないように、緊急の往診を行った場合、一人ひとりの患者に個別に訪問を行った場合には、従来どおり高い点数が算定できることとしている」と述べた。改定による影響については、「改定の前後でどういうことになっているのかを調べたが、高齢者向けの住宅などに訪問診療を行う医療機関の数と訪問診療を利用する人数、これ自体は減少する傾向は見られなかった。この結果を踏まえて、在宅医療を推進するための評価の在り方について、中医協において、次期診療報酬改定に向けて、さらに検討を進めていくということとされた」と説明。その上で、「懸念のようなことがあるのかどうか、改定までの間に耳を大きくして聴いた上で、いずれにしても方向性としては、これからは在宅というのが診療においても力を入れていかなければいけないので、それについての影響はよく考えて対処していきたいと思う」と理解を求めた。

社会福祉法人の内部留保等に関する再質問主意書等に答弁 ~政府

政府は4月28日までに、参議院の櫻井充議員(民主)の「社会福祉法人における内部留保及び介護保険制度に関する再質問主意書」と福島みずほ議員(社民)の「外国人家事労働者の受入れに関する質問主意書」に答弁書を送付した。

■「内部留保を前提に報酬の引下げは適切でない」── 民主・櫻井議員
櫻井議員は、▼財務省主計局は「今後は内部留保が蓄積しない水準まで介護報酬水準を適正化することが必要」としているが、内部留保の定義すら確立されていないことを政府が認めている以上、まずは定義を確立し、社会福祉法人や施設ごとの差異について調査すべきで、内部留保はあることを前提に介護報酬の引下げを行うのは適切ではない、▼介護報酬改定において、介護職員の処遇改善に取り組むことができなかった場合は2.27%以上の引下げとなり、各社会福祉法人の経営に甚大な影響を及ぼすことは明らか。内部留保の社会福祉法人ごとの差異も分からず、どの程度の事業者が処遇改善に取り組むことができるのか分からないにもかかわらず、内部留保はあると前提し、報酬全体をマイナス改定しても処遇改善できるとする根拠を明らかにしてほしい、▼財務省が指摘する内部留保が少ない社会福祉法人は賃上げの実行は難しいと考えるが、内部留保が少ない法人はどのように賃上げを可能とすると想定しているのか明示されたい――などと質問。政府は次のように答えた(抜粋)。

平成27年度の介護報酬改定は、社会福祉法人の「内部留保」の状況を直接考慮したものではなく、事業者の収支差等を勘案して、適正化を行ったものであり、「内部留保はあるということを前提に介護報酬の引下げを行うのは適切ではない」との指摘は当たらないものと考えている。平成27年度の介護報酬改定においては、改定後においても全体としては事業者の安定的な経営に必要な収支差が残るように各サービスの報酬を設定しつつ、介護職員の賃金を1人当たり月額1万2,000円相当引き上げるため、介護職員の処遇改善加算の充実を図っている。事業者に対して、介護職員の賃金の改善に要する費用の見込額が処遇改善加算の算定見込額を上回る賃金改善に関する計画を策定し、都道府県知事等に届け出るとともに、事業年度ごとに処遇改善に関する実績を都道府県知事等に報告することを求めているため、処遇改善加算は処遇改善に着実に結びつくものと考えている。

■「在留資格『介護』の外国人福祉士、訪問系も?」── 社民・福島議員
福島議員は、「在留資格『介護』で受け入れる外国人介護福祉士は、施設だけでなく訪問系サービスでの就労も想定しているのか」などと質問。政府は「今国会に提出している法律案において創設することとしている在留資格『介護』をもって在留する外国人については、本邦の公私の機関との契約に基づいて介護福祉士の資格を有する者が介護又は介護の指導を行う業務に従事する活動を行うことを認めるものであるところ、当該活動が行われる場所は、介護施設その他の施設に限定されるものではないと考えている」などと答弁した。

将来課題として健保の適用見直しと民間保険拡充を提示 ~経済同友会の医療・福祉改革委

経済同友会の「2014年度医療・福祉改革委員会」(委員長=御立尚資・ボストンコンサルティンググループ日本代表)はこのほど、「デジタルヘルス-システムレベルでのイノベーションによる医療・介護改革を」と題した政策提言を発表した。同政策提言は、①日本の医療・介護の現状、②デジタルヘルスによるイノベーション、③イノベーションの可能性:重点的に取り組むべき領域、④イノベーション実現に向けて――などで構成。このうち、④の「将来課題:健康保険制度の適用範囲見直しと民間保険の拡充」では、以下のように指摘している(抜粋)

今まで、保険収載されていない医療手法と収載済みの医療手法を組み合わせる、いわゆる「混合診療」について大きな論争が行われてきた。その主たる理由は、情報の非対称性が大きい医療(介護)というサービスが、市場メカニズムの中で適切に選択され、淘汰されていくかについて両極端の見方があるからだ。
一方、国民皆保険の枠組みを維持し、保険収載される治療法の選択を市場に任せない、としても、我々がどのレベルまで自己負担すべきか、との議論がある。
これは、混合診療の是非の議論とはまったく別のものだ。
高齢者の自己負担分適正化や介護保険の適用範囲見直しをはじめとして、今後、一定の自己負担部分の増加は不可欠であろう。その部分をカバーする民間保険の拡充もまた必要となる。
医療制度の持続可能性の観点から、公的保険/税投入の範囲をどうすべきかという議論の重要性は言うまでもない。この中で、必要以上に抑制的な混合診療のあり方を是正するとともに、自己負担分についての民間保険拡充も、議論のテーブルに載せなければならない。

介護保険第1号保険料が全国平均で月額5,514円に ~厚労省

厚生労働省は4月28日、第6期計画期間(平成27~29年度)の介護保険の第1号保険料やサービス見込み量等を発表した。
介護保険料は第5期の4,972円から542円増加し、全国平均で月額5,514円と初めて5,000円台に達した。32年度には6,771円、37年度には8,165円になると見込んでいる。月額保険料の最高は奈良県天川村の8,686円、最低は鹿児島県三島村の2,800円で、地域差が約6,000円となっている。また、都道府県別の平均では、沖縄県が6,267円と最も高く、埼玉県が4,835円と最も低くなっている。
サービス見込み量等は、在宅介護が352万人(26年度実績値)から384万人(29年度推計値)、居住系サービスが38万人から47万人、介護施設が95万人から106万人と見込んでいる。37年度には、在宅介護が491万人、居住系サービスが60万人、介護施設が123万人となる推計等も示している。

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