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医療経営情報 2015年6月18日号

2015/6/19

◆単身高齢者の4割以上が「孤独死を身近に感じる」
65歳以上高齢化率、過去最高26% 高齢社会白書

政府は6月12日、2015年版高齢社会白書を閣議決定した65歳以上の高齢者は14年10月1日現在で3,300万人(前年比110万人増)、総人口に占める割合の高齢化率は26.0%(同0.9ポイント増)となり、過去最高を更新した。1人暮らしの高齢者が増加傾向にあり、高齢者人口に占める割合は10年の調査時で男性11.1%(05年比1.4ポイント増)、女性20.3%(同1.3ポイント増)に上った。調査は全国の65歳以上の男女2624人を対象に、14年12月に実施。有効回収率は56.4%だった。

15年版高齢社会白書の要点は、「団塊の世代」(1947~49年生まれ)の全てが65歳以上となる今年、高齢者人口は3395万人になると推計。42年に3878万人でピークを迎えた後は減少に転じるが、①総人口が減少する中、高齢化率は上昇している。その対応に②地域活動を通じたコミュニティーの再構築などを提案している。2060年には65歳以上が総人口に占める割合は39.9%に達し、4人に1人が75歳以上になるとしている。

同日公表された内閣府の「1人暮らし高齢者に関する意識調査」によると、「一緒にいてほっとできる相手」は、子どもがいない男性の場合、「当てはまる人はいない」が51.4%で最も多かった。子どもがいない女性の場合は「兄弟姉妹・親戚」(33.8%)、「友人」(31.8%)、「介護サービスの人」(同)と続いている。
一人暮らしの高齢者は13年時点で17.7%と、10年間で約4ポイント上昇した。孤独死を身近に感じるかについては「とても感じる」が14.5%、「まあ感じる」が30.1%だった。孤独死を身近に感じる人が4割以上にのぼったことなどが明らかとなった。

介護が必要になった際にどこで介護をしてほしいかについては、日常生活を行う能力がわずかに低下した程度なら66.6%が「現在の自宅」を希望した。一方、一人で立ち上がったり歩いたりできない状態だと「特別養護老人ホームなどの介護施設」が42.6%で最多となった。
現在の楽しみを複数回答で尋ねると「テレビ・ラジオ」が78.8%と最も多かった。「親しい友人や同じ趣味の人との交際」が53.1%、「新聞・雑誌」が44.0%、「食事・飲食」が42.2%で続いた。

◆外国人医師が日本で診察―国籍関係なく都内4医療機関で
国家戦略特区東京圏会議 15年中に聖路加、慶応、順天堂
――東京圏国家戦略特別区域会議

政府は6月15日、「東京圏国家戦略特別区域会議」を開催し、東京圏の区域計画案について討議した。この日の会議では、外国人医師が日本で、母国以外の外国人患者を診察できる特例(外国人医師による外国人診療)が都内4カ所の医療機関で認められた。これは特例活用の第一号のケースとなる。
聖路加国際病院(中央区)と聖路加メディローカス(千代田区)、慶応大病院(新宿区)、順天堂大順天堂医院(文京区)に米、英、仏の計5人の外国人医師が配置され、15年中に国籍にかかわらず外国人を診察できるように政府は特区申請→正式認定を急ぐ。5人の配置は、聖路加と聖路加メディローカスに米国人2名、慶応大/英国人1名、順天堂大/英国人1名、仏国人1人計2名。
国内で増加する外国人居住者、同観光客等の短期逗留者への言葉等の対応と5年後の東京五輪を見据えた医療環境整備が狙い。

国家戦略特区は、内閣が掲げる成長戦略で、指定された区域の規制を緩和して産業の国際競争力を強化し、国際的な経済活動の拠点をつくることなどが目的。根拠法の国家戦略特別区域法は、2013年12月に施行された。医療分野でも、医療機器の薬事承認の迅速化や、医療保険・介護保険の住所地特例の対象拡大など、さまざまな動きがある。
また、区域計画の作成や、認定区域計画・実施に関する連絡調整や協議のため、東京圏や関西圏、沖縄県などに関する区域会議が組織されている。

この日の東京圏区域会議では、東京都は有楽町駅など6地区の再開発事業について、手続きの簡素化など都市計画法の特例の適用を提案した。舛添要一知事は都内全62市区町村から特区の提案が出そろったとして、これまで9区だった特区の指定範囲を都内全域に広げるよう国に要請した。
6地区の事業では、有楽町駅周辺の旧都庁舎跡地に、都と民間事業者が国際会議やイベントで大型集客できるビルを建て、国際ビジネスや観光の一大拠点を整備する。都庁のある西新宿では、都庁前の街路に道路法の特例を使って食やフリーマーケットのにぎわいを創出するのに合わせ、住友不動産が空き地に屋根付きの巨大な広場を造る。6事業とも2016~17年度の都市計画決定を目指す。

東京圏区域計画案の一部に指定されている千葉県成田市では医学部・附属病院の新設が検討されている。これは2014年12月9日の東京圏会議では千葉県成田市に関する協議のため「成田市分科会」の設置が決められた。同分科会では、国際的な医療人材の育成を目的に、医学部・附属病院の新設が検討されている。今回の会合では、この成田市から、取り組み状況に関する資料が提出され、そのなかで、「医学部新設に関連する規制緩和要望」(事業内容)が提示された。
主な事業内容は、医学部新設の解禁(国際的な医学部の新設)では、医学部新設に関する手続きや制度改革などについてスピーディーに進めることが要請された。病床規制に関する医療法の特例(附属病院の新設)では、医学部新設の解禁とともに、「基準病床数とは別枠で附属病院の病床数を認めてもらう規制緩和に関する要望」に取り組んでいることが示された。

◆<病院ベッド>最大20万床削減目標 政府の25年推計
医療費抑制への施策 首都圏、大阪除く41道府県で削減
――医療・介護情報の活用による改革の推進に関する専門調査会

政府の「医療・介護情報の活用による改革の推進に関する専門調査会」(会長=永井良三・自治医科大学長)は6月15日、将来の需要推計に基づく2025年の必要病床数が、現状から最大20万床減少する推計をまとめた。具体的には現在134万7,000床ある全国の病院のベッド数を、10年後には115万床程度にしたいというもの。同調査会は「これは入院ではなく、自宅や介護施設で療養できる人がいるため」としているが、一方で医療介護のバランスとなる「受け皿整備」が同時に課題となることも必至だろう。
この推計は、専門調査会の下に設置された「医療・介護情報の分析・検討ワーキンググループ(主査=松田晋哉・産業医科大医学部教授)が、厚生労働省の「地域医療構想策定ガイドライン等に関する検討会」がまとめた推計方法を基に算出した。

国民が医療機関で病気やけがの治療を受けるのにかかった費用の総額を示す「国民医療費」は、政府の試算で平成24年度で39兆2,000億円余りに上っており、医療費の抑制に向けた施策の検討を急いでいる。
政府は、団塊の世代が75歳以上となる2025年の病院ベッド数を、13年の134万7000床より最大約20万床削減できるという推計を発表した。入院治療の必要性が低い人は在宅や介護施設へ移ることを前提にしているが、受け入れ態勢の整備が課題だ。

推計では13年度1年分の診療報酬明細書(レセプト)などを基に試算した。対策をせずに高齢化が進んだ場合、25年の必要ベッド数は約152万床に膨らむ。しかし、在宅や介護施設への移行を進めれば、必要病床数は115万~119万床程度になり、13年より約20万~16万床削減できるとしている。内訳は、緊急で高度な手術が必要な高度急性期が13万床▽一般的な救急治療をする急性期が40.1万床▽リハビリをする回復期が37.5万床▽長期療養をする慢性期が24.2万~28.5万床。

都道府県別(地域別)では北海道で1万5,000床程度、福岡県で1万4,000床程度を削減、鹿児島県の35%減を含み41道府県で削減が可能とする一方、東京都、大阪府、千葉、埼玉、神奈川3県などでは増加数が多く病床が1割前後不足する。

各都道府県は今後、地域事情を加味しながら25年の必要ベッド数を絞り込み、医療提供体制とあわせた「地域医療構想」を16年秋までに策定する予定。しかしベッド数の削減には民間病院中心に地元の抵抗が予想されるだけでなく地域住民の反対もある。そのため受け皿未整備のままでは「患者の追い出し」とられかねないために、在宅医療や介護サービスの充実が必要となる。政府は今後、地方自治体などと連携し、削減の具体的な目標を作成して達成を目指すとともに、在宅で充実した医療や介護を受けられる体制の在り方について検討を急ぐ。

◆経済財政諮問会議 経済再生と社会保障で議論
後発医薬品目標のさらなる前倒しを厚労相に求める
――内閣府

内閣府は6月10日、経済財政諮問会議を開催し、「経済再生と両立する財政健全化計画策定・社会保障」に関して議論した。民間有識者の伊藤元重議員(東京大学大学院教授)らは前回の議論をふまえて論点を提示した。
病床の適正化に関しては、地域差の見える化の具体的方法や、病床再編・削減の手段とプロセス(診療報酬体系の見直しによる誘導、改革が進まない地域における診療報酬の引き下げ、県の権限強化)などを明らかにすることが、実効性を確保するために必要と指摘した。
さらに、費用対効果評価の導入により保険収載を適正化し、後発医薬品の利用新目標を80~90%に引き上げ、市販品類似薬(スイッチOTC薬)の保険除外などを要請。また、医薬分業と調剤医療費の増大との関係を分析し、効率的な仕組みに改革することにより調剤医療費(技術料)の抑制や投薬・残薬管理の実現を求めた。

これに対し、塩崎恭久厚生労働大臣は資料を提出し、後発医薬品シェア新目標の2020年度末80%以上に関して、2017年度末に進捗評価を行い達成時期の前倒しを検討すると示した。また、次期2016年度診療報酬改定では適正化・重点化を進めつつ、「地域包括ケアシステムの構築」、「病床の機能分化・強化」、「チーム医療の推進」などの機能強化を進めると提示。
さらに、医薬品の費用対効果評価に関して、2016年度目途の試行的導入に向け中央社会保険医療協議会で議論中と報告。薬価の毎年改定に関しては、創薬意欲への影響、流通現場への影響、薬価調査・改定コストなどの課題をふまえた検討が必要と説明。次期改定に向けて、中医協で未妥結減算制度のあり方を検討すると述べている。民間議員からは、塩崎大臣に後発医薬品目標に関して、さらなる前倒し達成に向けて努力してほしいと意見が出され、持ち帰り検討することとなっている。

骨太方針の骨子案で歳出改革の重点分野に社会保障
6月10日の経済財政諮問会議では、このほか、骨太方針である「経済財政運営と改革の基本方針2015(仮称)」骨子案が示されている。
骨子案では、デフレを脱却して中長期的に持続する経済成長を実現するため、経済の好循環の拡大、潜在的な成長力強化、まち・ひと・しごとの創生に加え、公共サービスのムダ排除・質向上などの改革が必要と指摘。経済・財政一体化改革の取り組みとして、経済再生なくして財政健全化なしを基本方針として、「経済・財政再生計画(仮称、2016~2020年度)」を策定。

社会保障は特に歳出改革の重点分野として、「医療・介護提供体制の適正化」、「インセンティブ改革による生活習慣病の予防・介護予防」、「公的サービスの産業化の促進」、「負担能力に応じた公平な負担」、「給付の適正化」、「薬価・調剤等の診療報酬にかかる改革」、「後発医薬品の使用促進を含む医薬品にかかる改革」などに取り組むと述べている。また、2016~2018年度を「集中改革期間」と位置づけ、2018年度のPB赤字対GDP比マイナス1%程度を目安に進捗状況を評価する。
歳出改革として、「公的サービスの産業化」、「インセンティブ改革」、「公共サービスのイノベーション」に取り組む。公共サービスの質や水準を低下させることなく、経済への下押し圧力を抑えつつ公的支出を抑制して、聖域なく徹底した見直しを進めるとしている。他方、歳入面では、消費税率の10%への引き上げを2017年4月に実施し、安定的な経済成長を持続させる「経済構造の高度化、高付加価値化」を進めることなどを通じて新たな歳入増を実現すると述べている。

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