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医療経営情報(2015年6月25日号)

2015/6/30

◆医療・介護の基幹産業化を目指す施策が明確に
[日本再興戦略改定2015] 産業競争力会議

政府は6月22日、産業競争力会議を開催し、「『日本再興戦略』改訂2015」の素案を示した。日本再興戦略は、政府が進める成長戦略。2013年6月に閣議決定され、翌2014年6月には「『日本再興戦略』改訂2014」が閣議決定された。今回の「改訂2015」は、6月11日に骨子案が示されており、6月末には閣議決定されるとみられている。

素案は、医療・介護の基幹産業化を明確に打ち出しており、「医療・介護・ヘルスケア産業の活性化・生産性の向上」として、次の施策方針と工程が列挙されている。

(1)次世代ヘルスケア産業の創出支援(地域版次世代ヘルスケア産業協議会の設立を促進するとともに、それらをネットワーク化し、地域で成功したビジネスモデル等の横展開を強化することなど。2015年度中に実施)。
(2)医療の国際展開(外国人患者の受け入れに意欲と能力のある国内医療機関を 「日本国際病院(仮称)」として海外に発信することなど。2015年度中に検討)。
(3)医療等分野における番号制度の導入(マイナンバー制度のインフラを活用し、医療等分野における番号制度を導入することなど。2018年から段階的運用開始、2020年までに本格運用)。
(4)地域医療情報連携ネットワーク/電子カルテの普及促進(2018年度までに、地域医療情報連携ネットワークの全国各地への普及を実現し、また、2020年度までに、地域医療の中核的を担うことが期待される400床以上の一般病院における電子カルテの全国普及率を90%に引き上げることなど)。
(5)医療等分野政策へのデータ活用の一層の促進(医療介護データの政策活用推進に向けた具体的施策と実施スケジュールを盛り込んだ「医療等分野データ利用プログラム(仮称)」を策定する。2015年度中に策定)。

主な施策素案は次の通り。

○ 民間投資を促すため、政府と民間の目指す方向性を共有する「官民対話」を開始し企業の大胆な経営判断を後押し。
○ 中高年の転職や出向を受け入れる企業への助成制度を創設。女性活躍推進へ支援拡充。非正規労働者の「正社員転換・雇用管理改善プロジェクト」(仮称)を策定。
○ 男性の育児参加へ配偶者の出産直後の休暇取得率を2020年に80%に。13〜17年度を通じて約40万人分の保育の受け皿を整備。
○ 情報通信業に従事する外国人を20年に6万人へ倍増。
○ 解雇無効の判決が出た場合に職場復帰でなく金銭で決着する「解決金制度」は有識者らで議論し、結論を得る。
○ サイバー犯罪対策を強化し政府の監視対象に独立行政法人や特殊法人を追加。企業の取り組みの第三者評価を促進。
○ 400床以上の病院の電子カルテ普及率を20年度までに90%へ。
○ マイナンバー制度で17年度以降、個人番号カードをキャッシュカードやクレジットカードとして利用できるよう検討。18年をめどに自分の特定健診データを電子情報で把握可能にする。診療情報を収集し利活用。
○ 外国人患者の受け入れに熱心な医療機関を「日本国際病院」(仮称)として海外に発信。
○ ロボット技術の開発を促進。
○ 訪日外国人旅行者を早期に2000万人とし日本での消費額を年4兆円に。40万人の雇用創出。
○ 地方の免税店を20年に約3倍の2万店に。質の高い地場のサービス・商品を選定しブランドマークを付与。
○ 20年までに鉄道・バスのIC乗車券を全都道府県で導入する。
○ 農林水産物・食品輸出額を20年に1兆円へ伸ばす目標達成時期の前倒しを目指す。
○ 耕作放棄地の課税強化を本年度に検討。
○ 国際空港近くの卸売市場で輸出手続きが1カ所でできる仕組みを導入しモデル地区に。
○ 飼料用米は25年度に生産性を2倍に向上。
○ セルフ式の水素ステーションが可能になるよう規制を緩和。
○ 再生可能エネルギーの固定価格買い取り制度は見直しを検討。
○ 安全が確認された原発は再稼働を進める。電力・ガスシステム改革で料金を最大限抑制

◆「病床数削減の試算値」は参考値 都道府県へ厚労省通知
日本医師会「地域の医療現場を混乱させた」と抗議
――厚生労働省

厚生労働省は6月18日、「6月15日の内閣官房専門調査会で報告された必要病床数の試算値について」と題する文書を、各都道府県の衛生担当部長あてに発出し、直近の医療関係業界で焦点となっている「試算値」は、単純に病床数の削減を自治体に求めているわけではないなどとして、理解を求めた。

この試算値とは、政府が6月15日に開催した「医療・介護情報の活用による改革の推進に関する専門調査会 第1次報告」で示された、「2025年の医療機能別必要病床数の推計結果」を意味する。

主な内容に、医療施設調査による現状(2013年)の病床数の総計134.7万床に対し、2025年の必要病床数(目指すべき姿)を総計115~119万床程度と、現状より16~20万床減少するとした推計結果がある。この減少数は、正式な発表前に一部マスコミで報じられた。
例えば読売新聞は、6月16日朝刊で、次のように報じた。
「政府は15日、2025年に必要となる全国の医療機関の入院ベッド(病床)数の推計を正式発表した。
現在の入院中心の医療体制から、在宅医療への転換を図ることで、必要な病床数を現在より1割以上削減可能とする一方、新たに30万人以上の患者を在宅医療で対応するとした。各都道府県は、この推計値を土台に、10年後に向けた地域ごとの病床数の見直しに着手する。
内閣官房の有識者調査会がまとめた。25年には75歳以上の後期高齢者は今より500万人増える見通しだが、入院治療の効率化で医療費の抑制を図る。全国の必要病床数(精神、結核病床除く)は、現在の135万床より1割以上少ない115万~119万床にできるとした。地域別では、今後、高齢人口の激増する首都圏と大阪などを除き、41道府県で必要病床数が減る」という記事だった。

これに対し、日本医師会は6月17日に、「地域の医療現場を混乱させた」として遺憾の意を表したほか、第1次報告そのものついても、「地域の事情をふまえずに単純集計を公表したことは納得できない」とする見解を公表するなど、他の医療関係団体も含め、この厚労省発表は社会的な関心事となっている。

政府の「医療・介護情報の活用による改革の推進に関する専門調査会」が2025年の必要病床数の推計を公表したのを受けて、日本医師会の横倉義武会長と中川俊男副会長が6月17日の会見で、地域医療構想が、区域内で必要な病床を手当てする仕組みであることから、「単純集計の公表には納得できない」「(全国で20万床削減などの報道があり)地域医療の現場を混乱させるもので極めて遺憾」などとして、不快感を示したまた、各論では、平均在院日数のさらなる短縮化が求められている点に対して、「勤務医の疲弊を増すことになる」などとして、問題視した。

これに対して厚労省は、今回の文書で次の事項などをあげ、地域医療構想を策定している都道府県の担当者をはじめ関係者に、「正しい」理解を呼びかけた。
● 今回の推計値は、地域医療構想ガイドラインで示した計算方法などを用い、機械的に算出された「参考値」として位置づけられる。
● 地域医療構想は、2025年に向けての取り組みであり、個々の医療機関の医療提供 の方針などをふまえつつ、ていねいに調整していくもので、ただちに何らかの措置を講じさせるものではない。
● (病床数は)在宅医療なども含めた、地域での医療提供体制を、全体として検討していくなかで、需要に応じた医療提供体制、病床数となっていくもの。

◆がん対策推進基本計画中間評価報告書を公表 厚労省
全体目標の達成が難しいという統計予測で重点課題
――厚生労働省

厚生労働省は6月19日、「がん対策推進基本計画中間評価報告書」を公表した。基本計画は日本で科学的根拠に基づく、がん検診が十分ではなく検診受診率が諸外国より低いなどの指摘から閣議決定されたもの。
基本計画では、全体目標(2007年度からの10年間の目標)として、(1)がんによる死亡者の減少(75歳未満の年齢調整死亡率の20%減少)、(2)すべてのがん患者・家族の苦痛の軽減と療養生活の質の維持向上、(3)がんになっても安心して暮らせる社会の構築―が掲げられている。

報告書では、(1)は、年齢調整死亡率の推移が2005年の92.4から2013年は80.1になり減少傾向ながら、全体目標の達成が難しいという統計予測も出ており、喫煙率減少や、がん検診受診率向上をはじめとしたがん対策の一層の推進が必要と指摘。
(2)では、身体的苦痛や精神心理的苦痛の緩和が十分に行われていないがん患者が3~4割ほどいるため、緩和ケアなどの提供体制の検証と整備を求めている。
(3)では、家族に負担をかけていると感じていたり、職場関係者等に気を使われていると感じるがん患者が3割ほどいるため、がんの教育・普及啓発、がん患者への社会的苦痛の緩和等の取り組みを一層推進することが重要と述べている。

重点的に取り組む課題について、「放射線療法、化学療法、手術療法のさらなる充実と専門的に行う医療従事者の育成」に関しては、拠点病院の指定要件の改正やがんプロフェッショナル基盤養成プランなどにより、一定の進捗が得られているとして、今後、先進的な放射線治療機器の適正配置やがん診療に携わる専門医のあり方を検討することが重要と述べている。また、「がんと診断された時からの緩和ケアの推進」に関しては、拠点病院の医師に対して、緩和ケア研修会を受講するよう促すとともに、在宅医等が受講できる体制を構築することが必要と指摘。2013年12月に法制化された「がん登録」に関しては、国民への周知が不十分であり、一層の普及啓発が必要としている。

今後のがん対策の方向性についての概要は次の通り
(~これまで取り組まれていない対策に焦点を当てて~)
がん対策推進基本計画に明確な記載がなく、今後、推進が必要な事項

1. 将来にわたって持続可能ながん対策の実現
・ 少子高齢化等の社会・経済の変化に対応する社会保障制度の改革地域医療介護総合確保推進法に基づく地域における効率的かつ効果的な医療提供体制の確保等⇒がん患者を含めた国民全体が住み慣れた地域で自分らしい暮らしを人生の最後まで続けることができる体制の整備
・ 各施策の「費用対効果」の検証
・ 発症リスクに応じた予防法や早期発見法を開発・確立することによる個人に適した先制医療の推進
・ がん医療の均てん化と集約化の適正なバランスに関する検討
・ がん登録情報を活用した大規模データベースの構築

2. 全てのがん患者が尊厳をもった生き方を選択できる社会の構築

3. 小児期、AYA世代(29歳以下のヤングアダルト)、壮年期、高齢期等のライフステージに応じたがん対策
・ がん患者が「自分らしさと尊厳」を持って、がんと向き合って生活していくためにはがんに関する正しい情報を獲得することが重要⇒「がん患者を含めた国民が、がんを知り、がんと向き合い、がんと共に生きることができる社会」の実現・障害のある者に対する情報提供、意志決定支援、医療提供体制の整備
・ 難治性がんに対する有効で安全な新しい治療法の開発や効果の期待できる治療法を組み合わせた集学的治療の開発
・ 総合的なAYA世代のがん対策のあり方に関する検討(緩和ケア、就労支援、相談支援、生殖機能温存等)
・ 遺伝性腫瘍に対する医療・支援のあり方に関する検討
・ 認知症対策と連動した高齢者のがん対策のあり方に関する検討

◆健康情報拠点薬局=かかりつけ薬局+健康サポート
薬局あり方検討会 検討会本格化、今夏めどに方向性
――厚生労働省

厚生労働省は6月18日、「健康情報拠点薬局(仮称)のあり方に関する検討会」を開き、検討課題のひとつの「定義」について討議した。その結果、「地域包括ケアの一員として、国民の病気の予防や健康づくりに貢献している薬局」という意味の「役割」を担うとして出席委員から反対意見がなく一致、今後この方向をベースに進める。

この検討会は、6月4日の初会合で検討課題を提示しており、2015年夏ごろまでの取りまとめを目指している。初回は各委員が自由に意見を述べ、「薬局の本来業務とは何か」「薬局は儲け主義から離れてほしい」などの意見が出た。
第一回検討会では、(1)健康 情報拠点薬局(仮称)の定義、(2)健康情報拠点薬局(仮称)の基準、(3)健康情報拠点薬局(仮称)の公表の仕組み、(4)健康情報拠点薬局(仮称)の名称――などについて話し合う予定で、今後4、5回開催し具体的な方向性を取りまとめる。
健康情報拠点薬局(仮称)は、2013年6月14日に閣議決定した「日本再興戦略」のなかに、薬局・薬剤師を活用したセルフメディケーションの推進が盛り込まれたことに由来し、地域に密着した、健康情報拠点としてふさわしい薬局を意味する。2014年1月に日本医療薬学会が、厚生労働科学研究費補助事業としてまとめた「薬局の求められる機能とあるべき姿」を公表している。
この日は、健康情報拠点薬局の定義に関する論点として、(1)かかりつけ薬局との関係、(2)「健康サポート機能」の観点からみた役割―が示された。
(1)については、「健康情報薬局=かかりつけ薬局としての機能+優れた健康サポート機能」という考えが打ちだされた。「かかりつけ薬局としての機能」とは、患者情報の一元管理(副作用の確認や、重複投薬・残薬の確認など)や、24時間対応・在宅対応などを意味する。また、「健康サポート機能」とは、健康相談応需や、OTC医薬品の提供などを指す。
(2)では、健康サポート機能についてさらに深められ、具体例として、認知症 の疑いのある人の早期発見サポートや、禁煙サポートがあげられている。
この日の検討会で、健康情報拠点薬局の「定義案」として、次の文面が示された。  「かかりつけ薬局の基本的な機能を備えたうえで、要指導医薬品、一般用医薬品 等の適正な使用に関する助言を行うほか、地域住民のファーストアクセスの場とし て健康に関する相談を幅広く受け付け、必要に応じ、かかりつけ医をはじめ適切な 専門職種や関係機関に紹介するとともに、健康に関する情報提供を積極的に行うな ど、地域包括ケアの一員として、国民の病気の予防や健康づくりに貢献している薬局」。

第一回検討会では、 健康情報拠点として果たすべき役割として、(1)薬局利用者本人、またはその家族等からの健康や介護等に関する相談を受け、解決策の提案や適当な行政・関係機関への連絡・紹介を行っている、(2)栄養・食生活、身体活動・運動、休養、こころの健康づくり、飲酒、喫煙など生活習慣全般に係る相談についても応需・対応し、地域住民の生活習慣の改善、疾病の予防に資する取組を行っている――が提示されている。
厚労省は、2014年度は2億4000万円の予算を計上し、「薬局の認定制度」(高知県)、「高齢者等の残薬 対策事業」(埼玉県)、「在宅患者マッチング事業」(東京都)などのモデル事業を実施した。2015年度もモデル事業や基準策定のために2億2000万円を計上している。

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