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医療経営情報 2015年7月2日号

2015/7/9

◆「自治体胃がん検診」に内視鏡 厚労省が指針改定へ
乳がん・胃がん検診の論点案を提示 厚労省検討会
――厚生労働省

厚生労働省は6月29日、「がん検診のあり方に関する検討会」を開催し、乳がん検診、胃がん検診等に関する議論の整理、論点案などを議題とした。その中で市区町村の自治体が行う胃がん検診で、バリウムをのむ従来のX線検査に加え、新たに内視鏡検査が導入される見通しで、この日の検討会で了承された。
厚労省は今後、対象年齢や検診を受ける日程的な間隔を決め、指針を改定する見込みで来春の検診から導入される工程で進める。一部の自治体ではすでに独自の公的負担をして、鼻や口から内視鏡を入れる内視鏡検査をすでに実施していて、指針が改定されれば広がると期待される。

この日の検討会では、厚労省は検討会のこれまでの議論を整理し、マンモグラフィ単独による乳がん検診は40~74歳の乳がん死亡率減少効果を示す相応の証拠があり、胃エックス検査や胃内視鏡検査も胃がん死亡率減少効果を示す相応の証拠があることなどが示された。また、胃内視鏡検査の対象年齢は50歳以上が望ましく、間隔は2~3年でもよいことなども提示された。

検討会では胃がん検診に関する論点案は、主に次のように示された。
▽ 胃エックス検査のメリット・デメリット総合的に勘案した上で、引き続き、対策型検診として推奨する。
▽ 胃内視鏡検査を対策型検診として推奨することを、どう考えるか。また対象年齢 を50歳以上とすること、検診間隔を2年とすることを、どう考えるか。
▽ ヘリコバクター・ピロリ抗体検査、ペプシノゲン検査について、引き続き、知見の蓄積を行いつつ、がん検診との関係も含め、位置づけを検討していく。

これまでの検討会の経緯で、4月に国立がん研究センターが公表した胃がん検診のガイドラインで内視鏡検査を「推奨」としていて、検診に取り入れる科学的根拠があると判断された。がんセンターのガイドラインでは内視鏡検査の対象年齢は50歳以上がのぞましく、受ける間隔は「2~3年とすることが可能」としている。独自に公的負担を導入した地域では、がんの発見率が高まるなど成果も出ている。ただ、広く普及するには専門医の確保や自治体の負担増など課題もある。

現在は、厚労省の指針で、40歳以上の住民を対象にX線検査を年1回行っている。X線検査は引き続き推奨するが、対象年齢と受診間隔が内視鏡検査とはズレが生じる。全国的に自治体が導入するには、内視鏡の専門医の確保や検査施設の整備のほか、財政的な負担への対応などの課題も残る。こうした点の議論を続け、8月をめどに報告書をまとめる。

もう一つの議題である乳がん検診に関する論点案は、主に次のように示された。▽マンモグラフィ単独検診について、40歳以上の女性に推奨することを、どう考えるか。▽視触診について、40歳以上の女性に任意とすることを、どう考えるか。▽乳房超音波検査について、40歳代の女性のマンモグラフィと乳房超音波検査の併用群は単独検査群に比べて感度や発見率に有効性が示されており、超音波検査の位置づけを整理していくことを、どう考えるか、今後も引き続き討議していく。

◆東京都、指定難病医療費助成制度の対象拡大
筋ジストロフィーなど196疾病追加し306疾病
――厚生労働省

東京都は6月24日、厚生労働大臣が定める指定難病に関する医療費助成制度について、対象を拡大することを発表した。国が、2015年7月1日から、新たに196疾病を指定難病に追加し、全体で306疾病が対象となる。今回、新たに追加された疾病は、先天性ミオパチー、マリネスコ・シェーグレン症候群、筋ジストロフィーなど。
指定難病とは、原因が不明で治療法が確立していない希少な疾病で、長期の療養を要する難病のうち、一定の診断基準が確立しているなどの要件を満たし、厚労相が定める疾病を意味する。厚労省は「難病の患者に対する医療等に関する法律」に基づき、患者の医療費の負担軽減および治療研究を推進するために、一定の認定基準を満たしている場合、その治療にかかる医療費の一部を助成している。

今回の対象拡大による助成対象者は、次の基準のいずれかを満たしている必要がある。
(1)国の定めた病状の基準を満たしている。
(2)(1)に該当しないが、申請月以前の12カ月以内に指定難病にかかる医療費が3万3,330円を超える月数が3回以上ある。

申請方法は、特定医療費支給認定申請書などの書類を区市町村窓口に提出して行う。
●特定医療費支給認定申請書、臨床調査個人票(難病指定医が作成したもののみ有効)。
●住民票(世帯全員と続柄が入っているもの)。
●健康保険証の写し(本人と同じ医療保険の者全員分)。
●高齢者受給者証の写し(持っている場合)。
●住民税非課税証明書または住民税課税証明書(本人の加入する医療保険の被保険 者分)。
●同意書(東京都が保険者から、本人の高額療養費に関する情報提供を受けるため)。

◆厚労省、平成26年度「過労死等の労災補償状況」公表
精神障害1,456件、支給決定件数497件、ともに過去最多
――厚生労働省

厚生労働省は6月25日、平成26年度の「過労死等の労災補償状況」を取りまとめ公表した。それによると仕事上のストレスなどで「心の病」を患って、労災と認められた人が過去最多となったことがわかった
厚労省では、過重な仕事が原因で発症した脳・心臓疾患や、仕事による強いストレスなどが原因で発病した精神障害の状況について、平成14年から、労災請求件数や、「業務上疾病」と認定し労災保険給付を決定した支給決定件数などを年1回、取りまとめている。
「過労死等」とは、過労死等防止対策推進法第2条において、「業務における過重な負荷による脳血管疾患若しくは心臓疾患を原因とする死亡若しくは業務における強い心理的負荷による精神障害を原因とする自殺による死亡又はこれらの脳血管疾患若しくは心臓疾患若しくは精神障害をいう」と定義されている。支給決定件数は、平成26年度中に「業務上」と認定した件数で、平成26年度以前に請求があったものを含む。

調査結果の概略は次の通り。
1 脳・心臓疾患に関する事案の労災補償状況
(1)請求件数は763 件で、前年度比21 件の減となり、3年連続で減少した。
(2)支給決定件数は277件(うち死亡121件) で、前年度比29 件の減となり、2年連続で減少した。
(3)業種別(大分類)では、請求件数は「運輸業,郵便業」168 件 、「卸売業,小売業」 126 件、「建設業」97件の順で多く、支給決定件数は「運輸業,郵便業」92 件、「卸売業,小売業」35 件、「製造業」31 件の順に多い。中分類では、請求件数、支給決定件数ともに「運輸業,郵便業」の「道路貨物運送業」 120 件、77 件が最多。
(4)職種別 ( 大分類 ) では、請求件数は「輸送・機械運転従事者」 149 件、「サービス職業従事者」125件、「専門的・技術的職業従事者」 102 件 の順で多く、支給決定件数は「輸送・機械運転従事者」88 件、 「専門的・技術的職業従事者」44 件、「管理的職業従事者」37件の順に多い。中分類では、請求件数、支給決定件数ともに「輸送・機械運転従事者」の「自動車運転従事者」 143 件、85 件が最多。
(5)年齢別では、請求件数は「 50 ~ 59 歳」 251 件、「40~49歳」 222 件、「60 歳以上」198 件の順で多く、支給決定件数は「 50 ~ 59 歳」 111 件、「 40 ~ 49 歳」 93 件、「30~39 歳」39 件の順に多い。

2  精神障害に関する事案の労災補償状況
(1)請求件数は 1,456 件で、前年度比47 件の増となり、過去最多。
(2)支給決定件数は 497 件(うち未遂を含む自殺99件)で、前年度比61 件の増となり、過去最多。
(3)業種別( 大分類)では、請求件数は「製造業」 245 件、「医療,福祉」 236 件、「卸売業,小売業」213 件の順に多く、支給決定件数は「製造業」81 件、「卸売業,小売業」71 件、「運輸業,郵便業」63 件の順に多い。中分類では 、請求件数は「医療,福祉」の「社会保険・社会福祉・介護事業」140件、支給決定件数は「運輸業,郵便業」の「道路貨物運送業」41 件 が最多。
(4)職種別(大分類)では、請求件数、支給決定件数ともに「専門的・技術的職業従事者」347件、110件、「事務従事者」336 件、99件、「サービス職業従事者」193 件、63件 の順に多い。中分類では、請求件数、支給決定件数ともに「事務従事者」の「一般事務従事者」 210 件、56 件が最多。【 P20  表2-3-1、 P21  表2-3-2】
(5)年齢別では、請求件数、支給決定件数ともに「40 ~49 歳」 454 件、140件、「30 ~3 9 歳」419 件、138件、「 20 ~ 29 歳」 297 件、104件の順に多い。
(6)出来事別の支給決定件数は、「悲惨な事故や災害の体験、目撃をした」72件、「(ひどい)嫌がらせ、いじめ、又は暴行を受けた」69 件 の順に多い。

労働災害―労災認定とは、仕事で病気やけがなどをした際、本人や遺族の請求に基づいて労働基準監督署が業務に起因するものかどうかを客観的に判断する。認定されると療養補償などが給付される。過労の場合、労働時間やストレス度合いなどで総合的に評価される。厚労省は「過労死等防止対策推進法」が昨年成立したのを受け、「過労死ゼロ」をめざす防止策の大枠を今夏にまとめる。具体的には、労災が申請されたケースについて勤務の状況をくわしく調べ、働きすぎやメンタルヘルスの相談窓口を整える。
しかし現状では遺族などが求める長時間労働防止~残業時間上限制など~に踏み込むところまで至っていない。労働基準法の大きな見直し・改定が必要となるからだ。

◆国交省、病院不動産対象リートのガイドライン公表
7月1日適用 ヘルスケアリートで厚労省も通知
――国土交通省

国土交通省は6月26日、「病院不動産を対象とするリートに係るガイドライン」(以下、「病院リートガイドライン」=GL)を公表した。産業競争力の強化に関する実行計画において、病院等の不動産を対象とするリート活用についてのガイドライン策定が閣議決定されていた。適用時期は平成27年7月1日。

ヘルスケアリートとは、多くの投資家から募った資金をもとに建築物を建設し、賃貸などで得た利益を投資家に分配する投資商品。リートに病院不動産を売却することで、病院建設者が負担した初期投資費用を早期回収でき、借入金の借り換えリスク(金利上昇等)がなくなり、長期固定賃料で不動産支出額が安定するとされる。
病院リートGLには、リートの資産運用会社(鑑定評価の依頼者)は、不動産の鑑定評価が、評価対象不動産の事業特性を踏まえた当該事業の持続性・安定性について分析を行っていることを確認する旨の記載がある。
対象不動産は医療法第1条の5第1項に定められる病院の用に供されている(一部を病院の用に供されているものを含む)不動産。また、病院不動産の資産運用を行う資産運用会社が整備すべき組織体制として、(1)一定の経験を有する重要な使用人の配置、(2)外部専門家からの助言、(3)投資委員会などへの外部専門家の配置―などを認可要件としている。医療の非営利性や地域医療構想を含む医療計画の遵守するなどの病院事業特性を十分に理解していることなどを求めている。
このほか、病院関係者との信頼関係の構築などのため、資産運用会社が病院開設者に医療法等の規定・通知を遵守する旨を事前確認し、資産運用会社は取り引きに際して、医療法や医療計画等に適合しているか明確でない場合、国交省と事前相談するよう求めている。

●<病院不動産を対象とするリートに係るガイドライン>平成27年6月26日 国土交通省土地・建設産業局 (抜粋―要約)
1.目的
産業競争力の強化に関する実行計画(平成26年1月24日閣議決定)(以下単に「実行計画」という。)においては、「戦略市場創造プラン」関連として、「平成42年には、予防サービスの充実等により、国民の医療・介護需要の増大をできる限り抑えつつ、より質の高い医療・介護を提供することにより、国民の健康寿命が延伸する社会を目指すべきである。」とされており、施策項目「安心して歩いて暮らせるまちづくり」の中で、病院(自治体病院を含む)を対象とするリートの活用に関して、ガイドラインの策定等の環境整備を行うこととされた。

本稿は、実行計画等を受け、国土交通省として、関係省庁との連携の下、病院の用に供されている不動産の取引を行おうとする資産運用会社が、宅地建物取引業法(昭和27年法律第176号。以下「宅建業法」という。)第50条の2等に基づく取引一任代理等の認可申請等に際して整備すべき組織体制(4.)を示すとともに、リートと不動産取引を行う病院を開設し又は運営する者(医療法人の理事長のほか役員を含む。以下「病院関係者」という。)との信頼関係の構築、医療法等の規定及びこれに関連する通知の遵守等(5.)を示すことを目的としている。

2.適用対象
(1)対象とする不動産
本稿の対象とする不動産は、医療法(昭和23年法律第205号)第1条の5第1項に規定する病院(以下「病院」という。)の用に供されている不動産(その一部を病院の用に供されている不動産を含む。以下「病院不動産」という。)である。
(2)対象とする宅地建物取引業者
本稿の対象とする宅地建物取引業者は、宅建業法第50条の2等に基づき取引一任代理等の認可を得て、リートの資産運用会社として病院不動産の取引を行う、又は行おうとする宅地建物取引業者(以下「資産運用会社」という。)である。

3.適用時期
本稿の適用時期は、平成27年7月1日とする。なお、平成27年7月1日において、平成27年6月30日以前から引き続き病院不動産を運用対象としている資産運用会社に対する適用時期は平成27年10月1日とするが、資産運用を行うリートが平成27年10月1日より前に新たな病院不動産の取得を行う場合は、その取得の日を適用時期とする。

6月26日、国交省と同日で厚労省医政局が管内へ通知した病院不動産GLの要点は次の通り。医療機関が病院不動産を対象とするリートを活用する場合には、ガイドラインの内容を踏まえ下記の事項に留意するよう、所管の医療機関に対して周知いただくとともに、ご指導方よろしくお願いするという内容。

1.医療法等の規定の遵守(ガイドライン5.(2)関係)
医療機関においては医療法等の規定に抵触することがないよう適切に対応するとともに、特に次の点に留意すること。
・不動産投資法人、資産運用会社の関係者等が医療機関の経営に関与していないこと。
・賃借料等について、医療機関の収入の一定割合とするものでなく、近隣の土地、建物等の賃借料と比較して著しく高額でないこと。
・契約期間について、医業経営の継続性の観点から、長期かつ確実なものであること。
・医療機関の提供する医療の内容が引き続き医療計画に適合し、医療提供体制に影響を与えないよう実施すること(医療計画に反して変更されることがない等)。

2.都道府県等への相談(ガイドライン5.(3)a.b.及びガイドライン別紙関係)―略
3.資産運用会社との信頼関係の構築(ガイドライン5.(1)関係)―略
4.取引一任代理等の認可申請等に際して資産運用会社が整備すべき組織体制―略

【医療機関がリート活用する場合の留意点】
・医療機関において医療法等の規定に抵触しないこと
・リート関係者等が医療機関の経営に関与しないこと
・賃借料は、医療機関の収入の一定割合とするものでなく、近隣相場とすること
・契約期間は、医業経営の継続性の観点から、長期かつ確実なものであること
・医療機関の医療提供体制に影響を与えないよう実施すること
・医療機関はリートを活用・検討する場合には都道府県に事前相談すること
・賃料不払いとなる可能性があるときは都道府県に事前相談すること
・リートによる賃料の引き上げが行われないよう話し合いをおこない信頼関係を構築すること

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