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医療経営情報 2015年7月9日号

2015/7/15

◆骨太方針2015決定、「後発医薬品の使用原則化」は削除
甘利明大臣、「聖域なく骨太方針は歳出改革に取り組む」

政府は6月30日、今後の予算編成の指針となる「経済財政運営と改革の基本方針2015」(骨太方針)と成長戦略「日本再興戦略」の改訂版を閣議決定した。同方針は同日、開催された経済財政諮問会議で取りまとめたもの。6月22日に素案が示され、与党各党などと調整が行われていた。
骨太方針では、社会保障関係費の抑制に関しては骨太方針の焦点の一つ。財政と社会保障制度は現状のままでは立ち行かないと指摘。このため方針では、財政健全化について「2020年度に基礎的財政収支(プライマリーバランス=PB)を黒字化」という従来の目標に向け、具体的な計画を盛り込んだ。PBは、政策に必要な予算を、借金せずに税収でまかなえるかを見る指標。今回の計画では、PBの国内総生産(GDP)比での赤字幅を、15年度の3.3%から、18年度には1%程度に減らすという。
焦点の一つ、社会保障費の抑制に関して、効率化、予防等や制度改革に取り組むとして、1.5兆円程度の伸びを「目安」という単語を使い素案の文章に追記した件で甘利明経済財政・再生担当大臣(内閣府特命担当大臣)は記者団から説明を求められた。

甘利明経済財政・再生担当大臣は、1.5兆円程度の伸びを「目安」と表現したことについて、「目安、目標としての意味だが、経済物価動向の変化に対応する柔軟性を持ち、きちんとアローワンス(許容差―見込みしろ)として織り込みながら、改革は具体的な方途を項目別に示して骨抜きだと言われない書きぶりにした」と、実現性、説得力のある根拠を説明した。
今回の骨太方針に関して、「経済再生なくして財政健全化なし」という基本哲学が盛り込まれたと、経済財政諮問会議の委員の説明を借りて強調し、合わせて「骨太方針は歳出改革に取り組むとの特徴で一貫している」と説明した。
具体的には「デフレ脱却・経済再生」、「歳出改革」、「歳入改革」を3本柱として推進。安倍内閣のこれまでの取り組みを強化し、「経済・財政一体改革」を断行し、また、歳出改革は聖域なくすすめるとしている。

改革の重点分野に位置づけられた医療・介護を含む社会保障に関しては、素案と改革項目の内容は変わらずほぼ同様のまま。ただし薬価調剤等の診療報酬・医薬品等の改革に関しては後発医薬品の80%の目標達成期間などについての変更はなかったものの、最終調整で「保険制度における後発医薬品使用の原則化」の文言は削除されるなどの一部文言修正が行われた。
他方、特許の切れた先発医薬品の保険制度による評価の仕組みのあり方の検討に関しては「後発医薬品の価格等を踏まえ」と追記し、薬局全体の改革の検討に関しては、「かかりつけ薬局の推進のため」と付記して、目的を明確化している。
このほか削除や加筆・修正が行われた部分は、個人や保険者の取り組みを促すインセンティブ改革に関して、合併症予防を含む重症化予防を追加したほか、「がん対策加速化プラン」の2015年内めどの策定を明記した。

◆「医療・福祉」4月の売上高は3兆5,478億円、1.9%増
需要DIは-1.3 総務省「サービス産業動向調査(速報)」
――総務省

総務省は6月30日、2015年4月分の「サービス産業動向調査(速報)」を発表した。サービス産業の生産や雇用などの動向を把握するため毎月実施されている。サービス産業全体の月間売上高は27兆4,594億円で、消費税率引き上げのあった前年同月に比べ2.5%増。
「医療・福祉」全体の売上高は3兆5,478億円で、同1.9%増。このうち、「医療業」2兆8,113億円(前年同月比3.0%増)、「保健衛生」304億円(同15.5%減)、「社会保険・社会福祉・介護事業」7,060億円(同1.3%減)だった。

また、需要の状況(利用者数、契約数など)に関して調査票で集計した、事業所・企業ごとの需要量の増減(前年同月比)である「需要状況DI」(回答で「増加」の割合から「減少」の割合を引いた指標)も示されている。
需要状況DIは、サービス業全体はマイナス0.4で、医療・福祉はマイナス1.3。このうち、「医療業」マイナス1.9、「保健衛生」5.0、「社会保険・社会福祉・介護事業」マイナス1.4だった。

事業従事者数は、2,856.1万人で、前年同月比0.6%増。「医療・福祉」全体で673.6万人。このうち、「医療業」389.9万人、「保健衛生」11.3万人、「社会保険・社会福祉・介護事業」272.4万人だった。

総務省発表の概要は次の通り(要約)
調査の目的はサービス産業の生産・雇用等の状況を把握し、GDPの四半期別速報(QE)を始めとする各種経済指標の精度向上等に資することを目的としている。

1 サービス産業の売上高等(事業活動別の集計)
(1)月間売上高の推移
4月の月間売上高は、28.1 兆円。前年同月比0.1%の減少。

1.サービス産業の売上高等
▶ 月間売上高は、28.1 兆円。前年同月比0.1%の減少。
(3月の前年同月比(0.2%)に比べ、0.3 ポイント低下。)
・減少:「学術研究,専門・技術サービス業」、「教育,学習支援業」など5産業
・増加:「不動産業,物品賃貸業」、「情報通信業」など4産業
▶ 前年同月と比べた需要の状況は、-4.5(需要状況DI)。
(3月の需要状況DI(2.6)に比べ、7.1 ポイント低下。)
・「増加した」18.2%、「減少した」22.7%、「特段の変化はない」55.0%

2.サービス産業の事業従事者数
▶ 事業従事者数は、2836 万人。前年同月比1.3%の増加。
・増加:「医療,福祉」、「不動産業,物品賃貸業」など8産業
・減少:「運輸業,郵便業」

平成25 年4月分結果の概要
(2)産業別月間売上高
・減少:「学術研究,専門・技術サービス業」(2.2 兆円、前年同月比8.6%減)、「教育,学習支援業」(0.3 兆円、同5.1%減)など5産業
・増加:「不動産業,物品賃貸業」(3.8 兆円、同6.6%増)、「情報通信業」(4.3 兆円、同5.2%増)など4産業

(3)需要の状況
4月の需要状況DIは、-4.5。
前年同月と比べた需要の状況は、「増加した」が18.2%、「減少した」が22.7%、「特段の変化はない」が55.0%となり、「増加した」から「減少した」を減じた需要状況DIは-4.5 となっている。
(注)需要の状況は、事業活動ごとに、主要なサービスの需要量(利用者数、契約数、取扱件数など)について、前年同月と比べた増減である。需要の状況が「増加した」、「減少した」、「特段の変化はない」及び「わからない」の4つの回答の構成比を作成し、「増加した」から「減少した」を減じたものを需要状況DIとしている。

2 サービス産業の事業従事者数(事業所・企業等単位の集計)
(1)事業従事者数の推移
4月の事業従事者数は、2836 万人。前年同月比1.3%の増加。
(2)産業別事業従事者数
・増加:「医療,福祉」(666 万人、前年同月比2.2%増)、「不動産業,物品賃貸業」(164 万人、同1.9%増)など8産業
・減少:「運輸業,郵便業」(368 万人、同0.5%減)

◆2020年度適用に向け医師臨床研修制度見直し始まる表
「医師臨床研修制度の到達目標・評価のWG」開催
――厚生労働省

厚生労働省は7月2日、「医師臨床研修制度の到達目標・評価のあり方に関するワーキンググループ(WG)」を開催し、厚生労働科学研究「医師臨床研修の到達目標とその評価のあり方に関する研究」の一環として、(1)人口動態や疾病構造、医療提供体制の変化などをふまえた到達目標のあり方に関する研究、(2)診療能力をふまえた到達目標設定のあり方に関する研究・医師のプロフェッショナリズムをふまえた到達目標のあり方に関する研究――などについて報告があった。

現在の医師臨床研修制度は2004年(平成16年度)からスタートした。この改正によって研修医は指定を受けた研修施設でスーパーローテート(医師初期臨床研修制度)により総合的研修を行うようになった。またアルバイトをしなくても生活できる程度の金銭的保証があり、施設単位ではあるが人事評価も一定の基準で行われるようになった。
一方、大学病院では研修を受ける研修医が激減し、系列病院や地方に派遣していた医師を大学に引き上げたことから、地域の医師不足や地域偏在を起こした原因と経緯が、今回の見直しに生かされることになる。
現在検討されている到達目標等の見直し内容は2020年(平成32年度)から適用となる見込み。厚労省は2016年度中に検討結果をまとめ新たな目標と評価方法を適用させることを目指している。

医師臨床研修制度については、医道審議会・医師臨床研修部会が2013年12月にまとめた報告書のなかで、医師臨床研修必修化(2004年度)以降の人口動態・分布や疾病構造の急速な変化などをふまえ、医師偏在をなくすための到達目標などについて、研修内容や研修期間の検討、研修目標と評価を明確にすることにある。
このWGは、医師臨床研修部会の下部組織として設置され、「医師臨床研修における到達目標・評価手法のあり方」に関する取りまとめを行う役割を担っている。すでに2013年に2020年度に適用される次回の臨床研修制度見直しに向けて検討するよう提言されている。

今回、(1)では、「研修医の臨床知識・技術・態度の習得状況」について報告
している。これは、2014年3月末に臨床研修を終了した全研修医を対象に、自記式アンケートによって、到達目標に定められた98項目の臨床知識などの習得状況と、85項目の経験症例数について調査したもの。
回答者は5,905人(大学病院2,299人、臨床研修病院2,948人)で、次の事項などがわかった。
*全体と大学病院・一般病院別、また、弾力プログラムと継続プログラム別の習得状況に関し、医師臨床研修必修化前(2002年)から、2014年度までの推移を示したところ、「確実にできる」、「だいたいできる」などと回答した研修医の割合は、前年度とはおおむね変わらず、必修化以降の期間を通して全体としておおむね上昇傾向にあった。
*23項目で、臨床研修病院の研修医のほうが大学病院の研修医よりも、自信をもってできると回答した割合が多かった。13項目で、大学病院の研修医のほうが臨床研修病院の研修医よりも、自信をもってできると回答した割合が多かった。

◆仮称を「健康づくり支援薬局」に変更 薬局検討会
薬剤師の資質や地域連携の重要性を論点に
――厚生労働省

厚生労働省は7月2日、薬局・薬剤師を地域で活用するための方策を話し合う「健康情報拠点薬局(仮称)のあり方に関する検討会」を開催した。会合は6月4日に始まり3度目となるこの日、厚労省事務方は「健康づくり支援薬局(仮称)に関するこれまでの議論」を整理した論点について提示した。これまで厚労省は「健康づくり支援薬局」という名称について、「暫定的な略称として用いる」と断っていた。この日、仮称を「健康づくり支援薬局」に変更され検討会構成委員はこれを了解した。

「健康づくり支援薬局」(健康情報拠点薬局)は、2013年6月14日に閣議決定した「日本再興戦略」のなかに、薬局・薬剤師を活用したセルフメディケーションの推進が盛り込まれたことに由来し、地域に密着した、健康情報拠点としてふさわしい薬局を意味する。そのあり方について検討会は、6月4日の初会合から討議を重ね、6月18日の前回会合(2回目)では、「定義案」の文面が示された。
なお変更された名称は前回会合で「健康情報拠点薬局」の「拠点」という単語に替わる、たとえば「窓口」みたいなわかりやすい言葉はどうかという日本医師会構成員から提案が出ていた。事務方から「健康づくり支援薬局」を提案、日医側は「イメージしやすくなった」と賛成を示した。

今回提示された論点は、(1)かかりつけ薬局・かかりつけ薬剤あり方(健康づくり支援薬局との関係の整理など)、(2)健康づくり支援薬局の定義(かかりつけ薬局の基本的な機能を有することの必要性など)、(3)健康づくり支援薬局の要件について厚労省は次の8つの観点から議論を整理した。

厚労省は(3)の要件について、1かかりつけ薬局・かかりつけ薬剤師としての基本的機能/2薬剤師の資質/3薬局の設備/4薬局における表示/5医薬品の供給体制/6開局時間/7地域における連携体制の構築/8健康相談・健康づくり支援―の8項目が列挙された。各委員は次のような意見を述べた。
▽薬剤師の資質では、要指導医薬品、地域包括ケア、生活習慣病に関する基礎知識などの適切な使用について助言し、健康に関する相談応需、適切な専門職種や関係機関への紹介などを適切に実施できることが重要であり、必要となる「研修」を終了した薬剤師の常駐が必要ではないか。
▽薬剤師には健康づくり支援に資するという心構えと、相談に来た人からニーズを引き出すコミュニケーション能力が重要ではないか。
▽地域における連携体制の構築(薬剤師以外の多職種や関係機関と、あらかじめ連携体制を構築し、連絡・紹介先のリストを作成しておく必要がある)。
▽薬局の設備では、同課は「患者・薬局利用者とのやり取りが他の薬局利用者に聞こえないよう、パーテーションで区切るなどして、個人情報に配慮した相談スペースが必要ではないか」という問題提起も出た。
なお今年10月から始まる看護師の特定行為の研修制度では300時間以上の研修が求められるとされているが、今後、この「水準」をめぐっての論議も注目を浴びると思われる。

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