ホーム > 新着情報 > 介護経営情報 2015年7月10日号
◆厚労省、介護保険総合データベースに関し概念図説明
要介護認定データと介護保険レセプトデータの統合
――厚生労働省
政府は7月1日、「医療・介護情報の分析・検討ワーキンググループ(WG)」を開催し、(1)介護費用の地域差分析および(2)医療費適正化計画が議題となった。
今回示された(1)では、「経済財政運営と改革の基本方針2015」(2015年6月30日に閣議決定)などをふまえ、要介護認定率や1人あたり介護給付費の地域差の分析を通じ、保険者である市町村による給付費の適正化に向けた取り組みを促すため、制度的な対応も含めて検討することを意図している。内容は、(a)保険者向けの介護費用の地域差分析ツールの現状、(b)地域包括ケア「見える化」システムの構築――が柱となっている。
このうち(b)では、厚生労働省が直接収集した要介護認定データを中核とし、介護保険レセプトデータを統合した、「介護保険総合データベース」に関する概念や活用について、厚労省が説明した。
介護保険総合データベースとは、平成25年1月から、各保険者からの要介護認定データの収集を開始したもので、厚労省が直接収集した要介護認定データと介護保険レセプトデータの統合を行い、介護保険に係わる総合データベースを構築するのが目的。要介護認定データとは心身の情報に関する情報。介護保険レセプトデータとは、介護サービスに関する情報をいう。
厚労省の描く総合データベース概念図を言葉にすると、市町村・国保連合会からは匿名化を徹底し厚労省が必要な認定ソフト2009(SP3)で被保険者番号から突合するための管理番号が作られ送信される。ただし被保険者番号は送信されない。データを受けた厚労省はデータ統合し、市町村ごとの集計結果を全国へ情報提供する、という仕組みになる。
このデータベースを用いた集計・分析結果によって介護サービスの利用実態、要介護認定者の健康状態による必要な介護サービスの実態等を把握できる。これによって市町村の介護保険の適正な運営等に必要な資料を迅速、正確に得ることが可能となる。厚労省では「現在もデータ蓄積を進め、集計分析ができる体制を整えているので、引き続き情報提供にご協力いただきたい」と要望している。
その説明によると、地域包括ケア「見える化」システムの開発スケジュールとして、「2015年夏に1次リリースした後も、継続的に情報の充実・機能強化を実施」することや、「1次リリースは3段階に分けてリリースする予定で、現状分析と施策検討の機能を優先する」ことが紹介されたほか、このシステムのプロトタイプ(試作品)を活用した分析の例も紹介された。
このWGは、社会保障制度改革推進会議「医療・介護情報の活用による改革の推進に関する専門調査会」の下部組織にあたる。同専門調査会は、2013年8月に取りまとめられた社会保障制度改革国民会議報告書などをふまえ、地域横断的な医療・介護情報の活用方策などの調査・検討を目的としており、2015年6月15日には第1次報告を公表している。
また、WGの設置は、2014年8月に開かれた、同専門調査会の初会合で決められたもので、WGでは、客観的なデータにもとづく医療機能別病床数の将来推計などについての検討を、同年9月以降、進めてきた。
◆生産年齢2.36人で高齢者1人の社会保障支える
日本人は1億2,616万3,576人 過去最大の減少
――総務省
総務省は7月1日、「住民基本台帳に基づく人口、人口動態および世帯数」(2015年1月1日現在)を発表した。住民基本台帳法に基づく2015年1月1日現在の住民票に記載されている人の数と世帯数ならびに2014年1月1日から12月31日までの間の人口動態を取りまとめたもの。
人口動態統計は、出生、死亡、婚姻、離婚及び死産の各事象について、各種届出書等から人口動態調査票が市区町村で作成され、これを収集し集計したものである。速報の数値は調査票の作成枚数であり、日本における日本人、日本における外国人、外国における日本人及び前年以前に発生した事象を含むものである。
そのうち、日本における日本人についてまとめたものが人口動態統計月報(概数)であり、この月報(概数)に若干の修正を加えたものが人口動態統計年報(確定数)である。
全国の人口(日本人住民と外国人住民の総計)は前年比21万1,530人減少 (0.16%減)し、1億2,822万6,483人。このうち、日本人住民は前年比27万1,058人減少し、1億2,616万3,576人。2009年をピークに6年連続で減少しており、調査開始(1968年)以降最大の減少となった。
日本人住民の出生者数は100万3,554人で、調査開始以降最少になり、死亡者数は127万311人で、調査開始以降最多。自然増減数(出生者数から死亡者数を差し引き)は26万6,757人減で、自然減少数が8年連続拡大して調査開始以来最大の減少幅だった。
年齢別では、年少人口(0~14歳)は1,631万18人(構成比12.93%)、生産年齢人口(15~64歳)は7,717万2,787人(同61.17%)、老年人口(65歳以上)は3,268万764人(同25.90%)。
年少人口は1994年以降毎年減少しており、生産年齢人口も、1996年以降毎年減少。一方、老年人口は1994年以降毎年増加しており、初めて年少人口の2倍以上になった。単純に生産年齢人口を老年人口で割った場合、生産年齢2.36人で高齢者1人の社会保障を支えることとなる。
●生活保護の傷病者・障害者世帯は44万2,006世帯 厚労省
厚生労働省は7月1日、生活保護の被保護者調査(2015年4月分概数)の結果を公表した。被保護者数は216万3,414人(前年同月比3,567人増)で保護率は人口100人あたり1.70%。被保護世帯数は162万924世帯(同2万683世帯増)。このうち、傷病者・障害者世帯は前年同月比1万88世帯減の44万2,006世帯(被保護者全体の27.4%・同2.2ポイント減)、高齢者世帯は同4万2,839世帯増の79万2,209世帯(同49.1%・同5.7ポイント増)だった。
◆介護予防・日常生活支援総合事業額など政令改正
厚労省 介護保険最新情報Vol.487、Vol.488で通知
――厚生労働省
厚生労働省は7月3日付で、介護保険法施行令や医療介護総合確保推進法の一部施行に伴う関係政令の整備に関する通知などの事務連絡を掲載し、都道府県や市町村に内容を周知した。ここでは介護保険最新情報Vol.487、Vol.488 、Vol.489、参考としてQ&AのVol.486の各通知内容をまとめた。
Vol.487通知では、介護予防・日常生活支援総合事業の額やそれ以外の事業の額など改正政令の内容を説明。主な内容は次のとおり。
1 改正の趣旨
地域における医療及び介護の総合的な確保を推進するための関係法律の整備等に関する法律(平成26 年法律第83 号)の規定による改正後の地域支援事業に関する額に関し、介護予防訪問介護等の円滑な移行等のため、介護保険法施行令第37 条の13の規定の改正を行うとともに、関係法令について所要の規定の整備を行うこととした。
2 改正政令の内容
●介護予防・日常生活支援総合事業の額
・2014年度の特定予防給付・介護予防等事業の額を基にして、各年度の75歳以上被保険者数変動率を乗じて得た額等とする。
・2015年度から2017年度までは、特定事情により上限額を超える市町村は、2015年度の75歳以上被保険者数変動率を110/100に置き換えた上限額とする特例を置き、その場合2018年度以後は2017年度の実績額に応じた上限額とする。
・特別な事情により上限額を超える市町村は、個別協議により上限額を上乗せできる。
●介護予防・日常生活支援総合事業以外の事業の額
・平成26年度介護予防等事業以外上限額を基にして、第1号被保険者数変動率で算定する額と、個別協議により算定する特定包括的支援事業の額の合算額とする。
・平成27年度から平成29年度まで介護給付費等適正化推進市町村である市町村に関し、上限額の特例を置くこととする。
(第37条の13関係)
2 地域における医療及び介護の総合的な確保を推進するための関係法律の整備等に関する法律の一部の施行に伴う関係政令の整備等及び経過措置に関する政令の一部改正介護予防訪問介護等の介護予防・日常生活支援総合事業への移行を猶予した自治体においては、介護予防等事業については、移行前年度までの間は、従来の上限額を適用することとする。
・介護予防等事業の額:給付見込額の2%
・地域支援事業のうち特定包括的支援事業を除く事業の額:給付見込額の3%等
ただし、介護予防・日常生活支援総合事業以外の事業の上限額は平成27年度から改正後の介護保険法施行令の額を適用させる。また、介護給付費等適正化推進市町村への上限額の特例は介護予防・日常生活支援総合事業への移行初年度から利用できることとする。(附則第3条及び第4条関係)
3 施行期日
この政令は、公布日から施行すること。
▽「介護保険最新情報」のvol.488、vol.489の発出標題は次の通り。
・「介護保険最新情報Vol.488」 地域における医療及び介護の総合的な確保を推進するための関係法律の整備等に関する法律に関する関係政省令等の施行に伴う地域支援事業関係の規定に関する留意事項について」(厚生労働省老健局振興課・老人保健課,15/7/3)
・「介護保険最新情報Vol.489」 改正介護保険法に係る周知用のリーフレットの一部修正について」(厚生労働省老健局介護保険計画課,15/7/6)
▽6月29日公表の、介護保険最新情報vol.486の要旨(Q&A)は次の通り。
掲載された項目は今年3月2日~3日開催の「全国介護保険・高齢者保健福祉担当課長会議資料について―Q&A」で同会議に寄せられた質疑内容。「負担割合」、「特定入所者介護サービス費」、「不正受給にかかる加算金の運用基準」などが掲載。
・「負担割合」に関しては、2割負担および高額介護サービス費の世帯範囲を判断する場合、1人で施設などへ住所を異動した人については、住民基本台帳上の世帯を基準とするため、単身世帯と取り扱うと述べている。
・「特定入所者介護サービス費」の負担限度額(介護保険法施行規則第83条の8)に関して、保険者がやむを得ないものと認める場合には補足給付の支給が可能とされているのは、たとえば、緊急的に施設に入所したなど、被保険者本人の状況により入所時に認定証の提示が不可能であった場合を想定していると回答。やむを得ない場合に該当するか否かについては、各保険者が個々のケースの実態に即して判断するよう求めている。
・銀行等の金融機関への調査を補足給付の申請者全員・全金融機関に対して行うかに関して、全件実施する必要はなく、申告内容に疑義がある場合など調査が必要と考えられる場合に実施すれば足りるとしている。
・補足給付の申請の際、預貯金の申告を拒んだり、通帳の写し等の添付を拒んだり、同意書の提出を拒む申請者がいた場合は、適正な審査を行うことができず不支給とせざるを得ないと回答している。
◆国民生活は「苦しい」が過去最多62.4%
4世帯に1つは高齢者世帯 国民生活基礎調査
――厚生労働省
厚生労働省は2日、2014年の国民生活基礎調査を発表した。調査は、保健、医療、福祉、年金、所得などの国民生活の基礎的事項を調査し、厚生労働行政の基礎資料とするもの。2014年は簡易調査の実施年に当たっている。
調査は14年6〜7月に全国の世帯を無作為に抽出し全国で実施した。所得調査は6837世帯、世帯調査は4万6804世帯から回答を得、全国の数を推計した。
所得調査では高齢者世帯の平均所得は2.8%減の300万5000円だった。「生活が苦しい」と感じている世帯は全世帯のうち前年より2.5ポイント増の62.4%で過去最多となった。同省は「2014年4月の消費税引き上げが要因」とみている。
所得調査で生活を「大変苦しい」と答えたのは29.7%、「やや苦しい」は32.7%だった。児童のいる世帯では、「大変」と「やや」を合わせた「苦しい」が67.4%と70%近い高率だった。
2014年の1世帯当たりの平均所得は、前年比1.5%減の528万9000円で、ピークの1994年(664万2000円)の8割程度にとどまった。
世帯調査では、2014年6月時点で高齢者世帯が全世帯の24.2%と過去最高になり、児童のいる子育て世帯(22.6%)を、調査を始めた1986年以来初めて上回った。世帯あたりの子どもの数は平均1.69人で過去最低だった。
ひとり暮らしの高齢者は595万9000世帯で、高齢者世帯の48.8%となった。その中でも、女性のひとり暮らし世帯が約7割を占めている。
●[前年比人口] 65歳以上の高齢者世帯、全世帯の46.7%と増加傾向
2014年6月5日現在の全国の世帯総数は5,043万1,000世帯(2013年5,011万2,000世帯)で、平均世帯人員は2.49人(同2.51人)と減少傾向。
65歳以上の高齢者のいる世帯は2,357万2,000世帯で、全世帯の46.7%(同44.7%)。さらに、高齢者世帯(高齢者のみ・高齢者と18歳未満の未婚者のみで構成)は、1,221万4,000世帯(同1,161万4,000世帯)で、全体の24.2%(同23.2%)で、年々増加傾向となっている。一方、児童のいる世帯は1,141万1,000世帯で、全世帯の22.6%(同24.1%)、その平均児童数は1.69人(同1.70人)と減少傾向にある。