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社会福祉充実計画の考え方と、法人が準備すべきこと

2015/8/6

上田公認会計士事務所の 津田 です。
様々な重要法案の審議が重なり当初予定より遅れましたが、
社会福祉法の改正案が去る7月31日に衆議院で可決されました。

今回の改正案では、6月の弊事務所社福ブログにも記載がありますように、
以下の5点が大きな改正点です。
・経営組織のガバナンスの強化
・事業運営の透明性の向上
・財務規律の強化
・地域における公益的な取り組みを実施する責務
・行政の関与の在り方

 各改正項目につきましては、厚労省等からも資料が公表されており、
社会福祉法人が取り組むべき内容がかなり明らかになっております。

 ただし、財務規律の強化に関わる、いわゆる内部留保への指摘への対応として
法律案で示されている「社会福祉充実計画」につきましては、不透明な部分が
残されております。

「社会福祉充実計画」については、次のように規定されております(参照;改正案第55条の2)

A) 法人のBS純資産額  から
B) 「基準日において現に行っている事業を継続するために必要な財産の額
として厚生労働省令で定めるところにより算定した額」
を引いた金額(A-B)を「社会福祉充実残額」とします。

この「社会福祉充実残額」がある場合に、法人は、
社会福祉充実事業(基準日に行っている社会福祉事業若しくは公益事業、又は新たに行う
社会福祉事業若しくは公益事業)の実施に関する計画、つまり「社会福祉充実計画」を
作成することが義務付けられます。

なお、「社会福祉充実計画」は、作成に当たって公認会計士や税理士などの専門家の意見を
聴かなければならず、また計画を所轄庁に提出してその承認を受けなければなりません。

この「社会福祉充実計画」の基となる「社会福祉充実残額」の計算ですが、A)の純資産額に
つきましては、会計上明らかな数値がでてまいります。
しかし、B)の事業継続に必要な財産額の計算については、未だ明らかにされていません。
「厚生労働省令で定めるところにより」と規定されているので、省令発出が待たれますが、
参考となるのが、公益法人の遊休財産額の計算方法です。

簡単ですが、公益法人の遊休財産額の計算方法をご紹介しますと、
総資産△総負債△(控除対象財産△対応負債)となります。 (参照;公益法人認定法施行
規則第22条)
具体的な計算につきましては、所轄庁である内閣府が、毎年法人が提出する「定期提出書類
の手引きや様式(excel)を公開しています。この「定期提出書類」の別紙Cが、遊休財産額の
計算に関する書類です。

おそらく社会福祉法人につきましても、公益法人の「定期提出書類」のような様式が整備され、別表Cのような「社会福祉充実残額」の計算表が示されると予想されます。

では、現時点で社会福祉法人はどういった準備を行うべきでしょうか。

それは、法人の経営理念を改めて確認し、目指すべき法人の姿を明確にした上で、
どのようにして目標を実現するかを表現した中長期経営計画をつくり、ことです。

経済のグローバル化と少子高齢化社会という外部環境の変化の中、老人福祉、児童福祉、障がい福祉全ての分野で制度の改正が今後も行われてまいります。
その中で、既存の事業を継続し、かつ新たな事業を行い、地域福祉の担い手として社会福祉法人が役割を果たすためには、計画を立てそれを実行し続けることが不可欠です。
また、その中長期経営計画を資金面から説明する積立計画も当然必要です。

まずは、法人で今後どれだけの資金が必要となるかを算出して下さい。大規模修繕、人件費の伸び、事業の拡大など、ヒトとモノの充実に必要となる資金です。その上で、法人の貸借対照表をご覧下さい。そして、必要な資金が確保できているかを判断します。そして、資金収支計算書をご覧いただき、毎年どれだけ資金を上乗せできるかを見ます。最後に、事業活動計算書を見て、法人のサービス活動が右肩上がりに伸びているか、横ばいなのかを把握し、これからの経営戦略を立て、また中長期経営計画や積立計画に反映させていただくことが、今、この段階で法人が行うべきことだと考えます。

法改正の重要項目である「社会福祉充実計画」については、今後厚生労働省令やガイドラインが発表され次第、このブログ等でもお伝えしてまいります。

また、制度改正につきまして、弊事務所ではセミナーも実施いたします。
27年8月28日「介護訴訟リスクと社会福祉法改正における役員責任について」
(詳細はこちらからご覧ください)

27年9月3日「マイナンバー制度への対応と社会福祉法改正における経営組織の影響について」
(詳細はこちらからご覧ください)
受講ご希望の方は、チラシにご連絡先等ご記入の上、FAXにてお申込み下さい。

私ども上田公認会計士事務所は、社会福祉法人や公益法人など非営利法人支援に高い専門性を有しておりますので、制度改正にも安心してご相談いただけます。
運営上のお悩みがございましたら、ぜひフリーダイヤル等でご連絡下さい。

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