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歯科担当者のブログ~原単位分析を活用する~

2015/8/31

上田公認会計士事務所の洞口です。

今回から、日々の仕事内容について少し具体的なところを書くようにして、
読んで下さる方にイメージしていただきやすくなるようにしていきたいと思います。

当事務所では、試算表など会計事務所が作成する一般的な資料のほかに、
「原単位分析」という独自の資料を作成して、お客様に提供しております。

この「原単位分析」という言葉、なかなか耳慣れないものかと思います。

当事務所では、お客様からご提示いただくレセプト総括表や窓口収入月計表等のデータを用いて、
レセプト1枚当たりの単価や治療1回当たりの単価(日当点)、患者さんの平均来院回数など、様々なデータを集計しています。
これを毎月蓄積して過去データや業界平均データと比較をすると、自医院のポジジョンを確認することができます。

このデータを用いて、お客様にアドバイスをさせていただいた事例を紹介したいと思います。

午前診療を、9:00~13:00とされている医院の院長先生からのご相談でした。

先生「12:00~13:00は、お昼休みでないと来院できない患者さんが来て下さると思って開けているんだけど、患者さんが少ない気がするんだ。パートさんがいるし人件費倒れになって採算が取れていないように思うから、12:00までにしようと思うんだけど、どうかな?」

こういう相談でした。

私は、まずアポイント帳を開いていただき、該当する時間の平均来院患者数を計算しました。
ここでは2名とします。
次に、毎月ずっとデータを取って作成している「原単位分析」の中から、日当点の平均値を引き出してきました。ここでは700点とします。

これだけで、12:00~13:00の平均売上がわかります。
700点×2名で1,400点、14,000円です。

売上原価が2割ですので、粗利益は11,200円になります。

こちらの医院、この時間はパートDHとパートDAの2名がいますので、DH1,300円、DA900円で、人件費は2,200円です。
粗利益から人件費を引くと、9,000円になります。

他にも、この1時間の診療をするために発生している経費はあります。
ユニットを使えば水道光熱費はかかりますし、患者さんと連絡を取るのに通信費がかかりますし、お会計をする時に紙を使うので事務用品費も増えるでしょう。ただし、通常これらは多額には増えません。

これらの軽微なものを一旦除外して考えると、今回の医院は、12:00~13:00を開けておくことで、1日当たり9,000円の事業所得を生じさせているということになります。

平日の診療は週に4日ですので、9,000円×4日で36,000円。
月に換算すると36,000円×4週で144,000円。
年に換算すると144,000円×12月で1,728,000円。

この時間帯を閉めてしまうと、1,728,000円の所得を失う可能性があると考えられます。
もちろん、この時間帯を閉めても、患者さんが前後に時間帯に回って下さるかもしれないですから、
必ずしもこれだけの所得を失うと断言できるわけではありません。

しかし、人件費倒れで採算が取れていないという認識は、少し違うのではないかということは言えると思います。
(本当は、昼休みにゆっくりご飯を食べてゴルフの打ちっぱなしに行きたいから、という理由が裏にあったのかもしれませんが…)

今回の先生は、13:00までの診療を継続されることを選ばれました。

このように、何らかの経営判断をしようとする時に、原単位分析のデータが役に立つことが多いです。
また、その経営判断の材料を提供して、判断しやすくなるようにサポートするのが私達の仕事だと思っています。判断するのは、経営者であるお客様にしかできない仕事です。

原単位分析で実践しているように、1日当たり、1回当たり、1時間当たり、と小さな単位に砕いておくと、数字は扱いやすくなります。
口の中で食物をよく噛んで飲み込むと消化しやすく体に良い、というのと似ていますね。

とても便利な「原単位分析」のご紹介でした♪

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