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医療経営情報(2015年9月3日号)

2015/9/4

◆2016年度予算の概算要求は一般会計30兆6,675億円
厚労省要求・要望額―2015年度当初予算額に比べ2.5%増
――厚生労働省

厚生労働省は8月28日、国の2016年度予算編成に向けた「概算要求」の概要を固め明らかにした。まず全体の要求総額は102兆円台になる見通しで、3年連続で100兆円を超える過去最大を更新する。そのうち社会保障費や国債がなど多くを占めるが、ゆくゆくはこれからの編成作業で財務省が今年度並みへ圧縮したい考えが強い。すでに麻生財務相は常々公言しているように「歳出改革」を旗印に財務省のコストカッターの切れ味が試される。
厚労省の一般会計(年金や労働保険などの特別会計は含まない)の要求・要望額は、30兆6,675億円と、2015年度当初予算額に比べて、2.5%増にあたる7,529億円の増加。これは内閣府に移った保育所運営費などを加味すると、実質的に過去最大となる。
このうち、年金・医療などに関する経費は、28兆7,126億円で、前年度比2.4%増の6,748億円増となっている。この額は、「高齢化などにともなう増加額」として7月24日の閣議で了承されていた、6,700億円にほぼそった形といえる。

厚労省は、「戦略的な重点要求・要望」として、次の項目などを挙げている(カッコ内は主な内容)。
(1)予防・健康づくりの推進など(保険者によるデータヘルスの推進、後発医薬品の使用促進、歯科口腔保健の推進、かかりつけ薬局の推進など)。
(2)総合的ながん対策の推進(2015年中をめどに「がん対策加速化プラン」を策定し、対策を加速化する)。
(3)地域の福祉サービスに関する新たなシステムの構築(福祉ニーズの多様化・複雑化への対応や、地域の実情に応じた体制整備・人材確保に取り組む)。
(4)医療分野の研究開発の推進など(臨床開発インフラの整備、研究開発のための研究費の支援など)。
(5)国境を越えた厚生労働行政の展開(医師や医療従事者の諸外国への派遣などを実施し、ユニバーサル・ヘルス・カバレッジの達成を目指す)。

厚労省 予算概算要求の主要事項 (抜粋)
▽1.項目
▽2.主要事項(注・もっとも要求額の大きい事項のみ掲載)
▽3.要求(要望)額(単位:百万円)
▼前年度比減 ◎前年度比増
*1.―●第1 ・子どもを産み育てやすい環境づくり *2.―・児童手当制度 *3.―1,417,664 (▼)
*1.―●第2 ・女性・若者・高齢者等の人材力の強化 *2.―・重層的なセフィティネット構築 *3.170,404 (◎)
*1.―●第3 ・安心で質の高い医療・介護サービスの提供 *2.―安心で質の高い介護サービスの確保 *3.―2,848,796 (◎)
*1.―●第4 健康で安全な生活の確保 *2.―原爆被爆者の援護 *3.―140,375 (▼)
*1.―●第5 ・安心して勝利に希望を持って働くことのできる環境整備 *2.―地域に応じた良質な雇用機会の確保・創出 *3.―71,846 (◎)
*1.―●第6 ・自立した生活の実現と暮らしの安心確保  *2.―生活保護の適正化及び生活困窮者の自立・就労支援等の推進 *3.―2,977,692 (◎)
*1.―●第7・安心できる年金制度の確立 *2.―持続可能で安心できる年金制度の運営 *3.―10,953,175 (◎)
*1.―●第8・障害者支援の総合的な推進 *2.―障害者福祉サービスの確保、地域支援などの障害児・障害者支援の推進 *3.―1,604,223 (▼)
*1.―●第9・施策横断的な課題への対応 *2.―科学技術の振興 *3.―2,848,796 (▼)

◆効果的な社会保障改革実施へKPIの設定など初会合
社会保障ワーキンググループ  3つのWG設置
――公益財団法人 介護労働安定センター

政府は8月28日、経済・財政一体改革推進委員会の社会保障ワーキング・グループ(WG)初会合を開催し、検討項目および進め方、KPI(成果指標)の設定などを議論した。同WGは、骨太の方針2015に盛り込まれた「経済・財政再生計画」の実施に向け、社会保障分野を担当する。

7月に開かれた「経済・財政一体改革推進委員会」では、改革のKPIを設定し、工程表を作成することと、政府が目指す医療などの社会保障を含む「公的サービスの産業化」「公共サービスのイノベーション」の取組促進に向けた仕組み構築や、2020年度のプライマリーバランス黒字化に向けた2018年度の中間評価も実施することが決まっている。
委員会の下に「社会保障」「非社会保障」「制度・地方行政」の3つのワーキング・グループが設置される。委員は、有識者4人と専門委員10人から成り、経済財政諮問会議の民間議員が全員のほか、医療界からは産業医科大学医学部教授の松田晋哉氏が入っている

初のWGのこの日、初めに今後の進め方で事務方から次の3点が示された。
(1)ワーキング・グループの進め方について
(2)骨太の方針2015を受けた取組方針について
(3)地方税財政データの「見える化」について

(1)のWGの「検討項目の検討の進め方」に関して提案が示され、(1)「実施段階にある項目」と「2015年度中に行う事項が含まれる項目」は、実施状況を把握したうえで効果的な実施を促せるKPIの設定などを行うとしている。また、(2)「2016年度予算案関連の項目」は、検討状況(概算要求状況を含む)を把握したうえで、予算編成の基本方針の策定などを見据え、今後の取り組みを議論する。さらに、(3)「検討時期・実施時期を今後検討し、明らかにしていく項目」は、各項目の検討状況等を把握したうえで内容の具体化などを議論すると提案した。

たとえば、(1)では、地域医療構想策定による医療の「見える化」、病床の機能分化・連携の推進など、(2)では、介護人材の資質の向上や事業経営の規模の拡大、ICT・介護ロボットの活用、2016年度診療報酬改定での服薬管理・在宅医療などへの貢献度による評価や適正化、患者本意の医薬分業の実現などがあげられている。
また、「KPIの設定」に関しては、(ⅰ)医療・介護提供体制の適正化、(ⅱ)インセンティブ改革、(ⅲ)公的サービスの産業化、(ⅳ)薬価、調剤などの診療報酬および医薬品等にかかる改革――が提示され、たとえば、次の目標が掲げられている。
(ii)2020年までに、メタボ人口を2008年度比25%減/健診受診率(40~74歳)を80%。
(iii)2020年度までに一般病院(400床以上)の電子カルテ普及率90%/介護ロボット市場規模、2020年約500億円、2030年約2,600億円。
(iv)2020年までに、医薬品・医療機器の審査ラグ「0」

経済・財政一体改革推進委員会の検討体制(敬称略)
経済財政諮問会議(議長:内閣総理大臣)―(会長:新浪 剛史 会長代理:伊藤 元重)―(主査:榊原 定征)(主査:高橋 進)

【社会保障WG】
伊藤 元重 東京大学大学院経済学研究科教授
主査 榊原 定征 東レ株式会社相談役最高顧問
新浪 剛史 サントリーホールディングス株式会社代表取締役社長
伊藤 由希子 東京学芸大学人文社会科学系経済学分野准教授
鈴木 準 株式会社大和総研主席研究員
古井 祐司 東京大学政策ビジョン研究センター特任助教
松田 晋哉 産業医科大学医学部教授

【非社会保障WG】
主査 高橋 進 日本総合研究所理事長
赤井 伸郎 大阪大学大学院国際公共政策研究科教授
大橋 弘 東京大学大学院経済学研究科教授
羽藤 英二 東京大学大学院工学系研究科教授

【制度・地方行財政WG】
主査 高橋 進 日本総合研究所理事長
新浪 剛史 サントリーホールディングス株式会社代表取締役社長
佐藤 主光 一橋大学経済学研究科・政策大学院教授
牧野 光朗 長野県飯田市長
山田 大介 株式会社みずほ銀行常務執行役員

◆平成25年社会保障制度改革に関する意識等調査結果
年金や介護の充実を求める声 半数以上 厚労省
――厚生労働省

厚生労働省は8月28日、「平成25年社会保障制度改革に関する意識等調査」の結果を公表した。この調査は、社会保障制度への認知度や、給付と負担の水準などの意識を調査し、今後の厚生労働行政施策の企画・立案の基礎資料を得ることが目的。

調査結果の傾向は「年金や介護の充実を求める半数以上の声があった」ことと、社会保障制度を維持するための財源は、「どちらかと言えば税で賄うべき」が38.4%、次いで「どちらかと言えば社会保険料で賄うべき」が23.1%、というふうに「どちらか」という期待感が高い結果となった。
質問項目毎の特徴を並べると、社会保障制度に関する情報への意識では、情報の内容や提供状況について、「不満と感じている」が54.5%で、不満の理由は、「得られる情報が分かりづらい」が最も多く66.8%、次いで「得られる情報の量が少ない」が31.8%、「どのように情報を手に入れればよいかがわからない」が27.8%となっている。
社会保障制度改革への意識では、今後、充実させる必要があると考える社会保障の分野は、「老後の所得保障(年金)」が最も多く64.5%、次いで「高齢者医療や介護」が51.7%、「医療保険・医療供給体制など」が40.6%となっている。また、現在の税や社会保険料の負担水準は、「生活にあまり影響しないが負担感がある」が最も多く50.5%、次いで「生活が苦しくなるほど重い」が39.1%だった。
年齢階級別にみると、「生活が苦しくなるほど重い」は50~59 歳で最も多く43.4%となっている。
今後の社会保障制度を維持するための財源は、「どちらかと言えば税で賄うべき」が38.4%、次いで「どちらかと言えば社会保険料で賄うべき」が23.1%、「税で賄うべき」が21.1%、「社会保険料で賄うべき」が7.4%となっている。
なおこの調査は無作為に抽出した20歳以上を対象とし、1万138 人の有効回答を集計した。

【調査結果のポイント】
●社会保障制度に関する情報についての意識
社会保障制度に関する情報については、「見かけた時には興味を持って見るようにしている」が最も多く51.9%。29 歳以下では、「あまり興味はないが時々情報に接することはある」37.8%と「ほとんど接しない」31.7%を合わせて69.5%。
情報の内容や提供状況については、不満と感じている者が54.5%。不満の理由(複数回答)は、「得られる情報が分かりづらい」が最も多く66.8%。
社会保障制度に関する授業を受けたことがある者のうち、内容を覚えている者が38.0%、覚えていない者が61.5%。

社会保障制度改革についての意識
今後充実させる必要があると考える社会保障の分野(複数回答)は、「老後の所得保障(年金)」が最も多く64.5%。
現在の税や社会保険料の負担水準は、「生活にあまり影響しないが負担感がある」が最も多く50.5%、次いで「生活が苦しくなるほど重い」が39.1%。
今後の社会保障制度を維持するための財源は、「どちらかと言えば税で賄うべき」が38.4%、「どちらかと言えば社会保険料で賄うべき」が23.1%。
今後の社会保障の給付水準は、「維持すべき」が48.2%、「ある程度引き上げるべき」が29.4%。一方、負担の水準は、「現状程度とすべき」が43.6%、「ある程度減らすべき」が21.8%、「ある程度の負担増はやむを得ない」が20.7%。

◆厚労省 働く人の健康障害防止策「こころほっとライン」
9月1日から電話相談窓口開設 ストレスチェック制度対応
――厚生労働省

厚生労働省は8月31日、12月から施行されるストレスチェック制度に踏まえ、9月1日からメンタルヘルス不調やストレスチェック制度、過重労働による健康障害の防止対策に関することについて、全国の労働者等からの電話相談に応じる窓口「こころほっとライン」を開設すると発表した。
この電話相談窓口は、労働者やその家族のほか、企業の人事労務担当者も対象とされており、今年12月から実施される「ストレスチェック制度」(従業員50人以上の事業所に義務付け)に関して、ストレスチェックの受検、ストレスチェック結果の評価とセルフケア、医師による面接指導を受けることについての助言、事業場内における情報管理とプライバシー保護、ストレスチェックをめぐる不利益な取扱い等についても相談が可能だ。

ストレスチェック制度は、労働者のメンタルヘルス不調の未然防止を目的に、労働安全衛生法第66条の10に規定され、平成27年12月1日施行の新たな制度。これにより、事業者には、心理的な負担の程度を把握するための検査(ストレスチェック)の実施が義務づけられました(50人未満の事業場は当面努力義務)。ストレスチェックは、医師や保健師、また厚生労働大臣が定める研修を受けた看護師、精神保健福祉士が行う。研修所は別途、厚労省資料で紹介されている

【専用ダイヤル】
0120-565-455(通話料無料・携帯、PHSからも利用可能)
【 受付日時 】
月・火/17:00~22:00
土・日/10:00~16:00( 祝日、年末年始を除く)
【 対象者 】
労働者やその家族、企業の人事労務担当者など

■こころほっとラインで対応する相談例
<働く人のメンタルヘルス不調>
こころの悩み、人間関係の悩み、仕事の悩みについて

<ストレスチェック制度>
ストレスチェックの受検、ストレスチェック結果の評価とセルフケア、医師による面接指導を受けることについての助言、事業場内における情報管理とプライバシー保護、ストレスチェックをめぐる不利益な取扱いなどについて

< 過重労働による健康障害>
長時間労働による健康への影響、事業場における健康管理の状況、長時間労働の削減などの対策についてなお、相談者に対しては、相談内容を踏まえ、制度の説明や適切な機関への相談などの助言を行う。

ストレスチェック制度の導入マニュアルとは―
厚労省が7月9日に公表した、ストレスチェック制度の導入マニュアルの概要は次の通り。マニュアルはメンタルヘルス不調の未然防止を目的として労働者50人以上のすべての事業所で義務付けられたストレス検査の実施(年1回)に伴い、導入をスムーズに行うためのもの。

検査は、1回目を2015年12月1日から2016年11月30日までにすべての労働者に対して実施。労働者に質問票を配布し、記入後、本人に結果を通知して自らのストレスの状態について気付きを促す。ストレスの高い場合は医師の面接、仕事の軽減などの措置を実施し、職場環境の改善につなげる。
マニュアルには、ストレスチェックが何であるか、目的、手順、プライバシーの保護・不利益取扱いの防止などの注意が示されている。事業所では準備として、ストレスチェック制度の実施方法などを話し合い、社内規定として明文化し、すべての労働者に内容を告知する。また、実施体制や役割分担を決める必要がある。
労働者への質問票は(1)ストレスの原因に関する質問項目、(2)ストレスによる心身の自覚症状に関する質問項目、(3)労働者に対する周囲のサポートに関する質問項目が含まれていれば特に指定はない。医師などの実施者が質問票を回収、評価し、面接指導が必要か否か、本人に通知する。結果は第三者に閲覧されないように医師などの実施者が保存する)。
面接指導は、結果が通知されてから1カ月以内に労働者からの申出を受けて医師に依頼し、申出から1カ月以内に医師による面接指導を行う必要がある。面接指導の結果により、就業上の措置を実施し、結果は事業所で5年間保存される。

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