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介護経営情報(2015年10月16日号)

2015/10/19

◆介護キャリア段位制度の見直しで検討会スタート
厚労省、初会合で論点提示 目標の認定者数届かず

――厚生労働省
厚生労働省は10月8日、「介護プロフェッショナルキャリア段位制度の在り方に関する検討会」の初会合を開催し、「概要および進捗状況」、「今後の進め方」に関して議論を進めた。段位制度は介護分野の実践的キャリアアップの仕組みの構築を通じて、介護職員の定着や新規参入の促進を目指すもの。

段位制度は、キャリアアップ戦略として国家プロジェクトに位置づけられ、2012年度から内閣府が実施していたが、2015年度からは「介護職員資質向上促進事業」(国庫補助事業)として、厚労省に移管。2014年度までに、47都道府県で、7,817人のアセッサー(評価者)を養成し、全国的な評価体制が整備されている。
制度創設当初は、2020年にキャリア段位認定者を約13万人確保するため、創設後3年間で2万人、2015年度以降は各年度2万人程度の認定者を輩出する予定であった。しかし現状は、レベル認定者が688名、アセッサーが7,817名と、目標を大きく下回る。

今回、厚労省は段位制度により、(1)介護職員のキャリアアップの仕組みの構築、(2)職業能力評価の共通基準による段階的評価、(3)事業所内でのOJT(実務による職員のトレーニング)を活用した内部評価と人材育成、(4)アセッサーの評価技術の資質・平準化を担保、(5)「知識」と「実践的スキル」両面の評価――を行っていると説明。

8日の検討会で、座長は、慶応大学の田中滋名誉教授に決まった。検討会構成委員は、有識者、労働界、産業界、事業者等から16名あまりが初顔合わせした。この日、まず現行の段位制度についてフリートークを行った。その結果、様々な分野の声として「認知度が非常に低い。より効果的な広報が必要では」「現場の負担が大きい。今のままではかなり厳しい」「客観的な評価を担保する仕組みに不備がある」といった批判が続出。介護報酬と結びつけ、事業所や職員が挑戦するインセンティブを強めるよう求める声もあがった。
今後、介護職員の実践的な職業能力を評価・認定する制度の、効果的な運営と定着を図るため、現状と課題などを整理するとともに、介護職員の資質向上に向け、制度のあり方を議論するとしている。
検討会は月1回の割合で開催し、2016年3月をめどに取りまとめる予定。主な検討事項は次の通り。

(1)介護キャリア段位制度に関する現状と課題について
(2)介護キャリア段位制度の効果的な運営方法について
(3)介護キャリア段位制度の今後の在り方について

主な論点として、「制度の性格や位置づけ」、「レベル認定取得者を輩出した事業所への外部評価の仕組み」、「7段階評価のあり方(現在は4段階)」、「レベル認定取得者数の目標」を検討するとしている。
11月に開かれる第2回では、事業者からヒアリングを行う。12月以降は審議内容の整理と議論を進め、今年度中に取りまとめを行う予定だ。この間、現状と課題などを整理し、改めて制度のあり方を検討するとしている。

◆2015年4月~6月 医療事故報告件数836件 評価機構発表
事故内容「療養上の世話」が277件(全体の36%)で最多

――公益財団法人日本医療機能評価機構
中立的・科学的な第三者機関である公益財団法人日本医療機能評価機構は9月30日、2015年4月~6月における「医療事故情報収集等事業」の報告書を公表した。報告書の内容は、医療事故情報とヒヤリ・ハット事例の報告をとりまとめたもの。この期間に報告された医療事故は836件で、1~6月の累計では1,856件となった。
内訳は、報告義務対象医療機関から771件、参加登録申請医療機関(任意参加)から65件の報告があった。この4月~6月の報告件数を単純に1年分に換算すれば、今年も昨年の報告件数3,194件より多い報告が続いており、「医療事故を報告することが定着してきている」と評価機構では分析している。

その上で「将来、報告範囲に該当する事例が十分報告されるようになった段階で、特定の種類の医療事故がいくつも減少して行くことが観察されるとすれば、それは望ましいことと考えている」と、医療機関からの有用な事例の報告、分析、情報提供という改善サイクルを回し続けることが重要だとして、あらためて医療機関への協力要請と感謝の気持ちを表している。

この事業は、医療事故の発生予防・再発防止のために、厚生労働大臣の登録を受けた「登録分析機関」(現在は日本医療機能評価機構)が、医療事故などの事案に関する情報を収集し、総合的に分析したうえで情報提供していくことが目的。2015年6月30日現在、参加医療機関数は1,419。報告義務対象医療機関275、参加登録申請医療機関(任意参加)737となっている。
今回の個別のテーマは、「インスリンに関連した医療事故」「与薬時の患者または薬剤の間違いに関連した事例」「パニック値の緊急連絡に関連した事例」を取り上げている。

今回の報告書における報告件数836件のうち、報告義務対象医療機関からのものは771件でその報告の概要は次の通り。
事故の概要では、「療養上の世話」が277件(構成比35.9%)と最も多く、次いで「治療・処置」が230件(同29.8%)、「その他」106件(同13.7%)、「ドレーン・チューブ」53件(同6.9%)、「薬剤」51件(同6.6%)、「検査」37件(同4.8%)、「医療機器等」16件(同2.1%)、「輸血」1件(同0.1%)と続いた。
事故の程度では、「障害残存の可能性がある(低い)」が232件(同30.1%)と最も多く、次いで「障害残存の可能性なし」が204件(同26.5%)、「障害なし」160件(同20.8%)、「障害残存の可能性がある(高い)」78件(同10.1%)、「死亡」70件(同9.1%)、「不明」27件(同3.5%)の順だった。

同機構では「これまでに公表した報告書に対しては、医療事故の件数や内容に関する問い合わせや報道など多くの反響があり、医療安全の推進や医療事故防止に関する社会的関心が依然として高いことを実感している」という。ただし、任意の医療機関からの報告件数の伸びがやや鈍っているのが気がかりというが、これはこの事業開始からの懸案事項でもある。

◆高齢者向け見守りシステムが「グッドデザイン賞」を受賞
日立グループ 画期的なサ高住のエネルギー管理システム

――日立製作所
日立製作所は10月1日、同社グループ製作の「高齢者向けMEMS見守りシステム」が、日本デザイン振興会が主催する「2015年度グッドデザイン賞」で、「グッドデザイン賞」を受賞したことを発表した。

MEMSとは、マンションエネルギー管理システム。東京建物と日立アーバンインベストメントが開発した、サービス付き高齢者向け住宅「グレイプスフェリシティ戸塚」(神奈川県)に導入されており、今回、3社共同受賞となった。3社とは日立製作所、日立アーバンインベストメント、日立ビルシステム 。日立製作所が「グッドデザイン賞」、2社がエレベーターのコンセプトモデル「HF-1」で「グッドデザイン・ベスト100」を受賞した。

グッドデザイン賞は、1957年創設のグッドデザイン商品選定制度を発端とする、日本唯一の総合的なデザイン評価・推奨の運動。これまで59年にわたり、デザインを通じて日本の産業や生活文化を向上させる運動として展開され、のべ受賞件数は40,000件以上にのぼる。
今日では国内外の多くの企業や団体などが参加する世界的なデザイン賞で、グッドデザイン賞受賞のシンボルである「Gマーク」は、すぐれたデザインを示すシンボルとして広く親しまれている。
また、グッドデザイン・ベスト100は、グッドデザイン賞受賞対象の中でも、成熟分野での高度なものづくりや成長分野におけるデザインの可能性などの観点において、明日を切り拓く力をもつ、未来を示唆するデザインとして、審査委員会により特に高い評価を得た100件。なお、グッドデザイン・ベスト100は日立グループとして、初めての受賞となる。
今回、日立と日立アーバンインベストメントおよび日立ビルシステムが受賞した製品およびコンセプトモデルの概要は以下の通り。

●「グッドデザイン賞」受賞案件~高齢者向けMEMS見守りシステムについて
(1)高齢者向けMEMS見守りシステムの特長
MEMSの特徴は、各住戸の電力使用量、水道使用量、温湿度情報や在室、不在室情報などの生活情報を収集・蓄積し、解析を行うことで、居住者の変化をキャッチする。
収集した情報から居住者に異変が発生したと推測された場合、居住者の生活情報の変化を居住者本人、家族や介護スタッフに通知するシステムである。主にMEMSを活用して、各住戸の電力使用量、水道使用量、温湿度情報や在室/不在室情報などの生活情報を収集・蓄積し、解析を行うことで、居住者に異変が発生したと推測される場合、居住者の生活情報の変化を居住者本人、家族や介護スタッフに通知するシステム。
本システムは、東京建物株式会社と日立アーバンインベストメントが開発したサービス付き高齢者向け住宅「グレイプスフェリシティ戸塚」に導入されている。集合玄関にはハンズフリーセキュリティ(個人認証し自動ドアなどの開扉が可能なセキュリティシステム)を導入しており、認知症などの疑いがある居住者に対する徘徊抑止の見守りサービスも提供している。

(2)グッドデザイン賞審査委員評価コメント:
節電施策としてMEMSが活用される機会が増えている。その中で、エネルギー消費量を減らすだけでなく、使用方法を分析し、高齢者の生活に異変があったことを知らせる機能を追加するというものは、テクノロジーを活かした素晴らしいデザインで、高齢化社会において画期的なものである。高齢者の見守りサービスという側面から見ても、高齢者にとっても、サービス運用者にとっても、負担が少ないことも優れている点である。

(3)「グレイプスフェリシティ戸塚」ホームページ~「グッドデザイン・ベスト100」受賞案件~日立昇降機の基本コンセプトHUMAN FRIENDLYのコンセプトモデル「HF-1」について
①HUMAN FRIENDLYのコンセプトモデル「HF-1」の特長
HUMAN FRIENDLYとは、人間の無意識の行動に先回りして応えるデザインと技術を開発し、「人の行動に寄り添うエレベーター、エスカレーターを提供する」という日立昇降機の製品やサービスに関する基本コンセプトを指す。(以下略)

◆財務省、社会保障改革で独自の改革案、工程案を示す
「外来時定額負担」導入など利用者負担増へ提言

――財務省
財務省は10月9日、社会保障制度の独自の改革案と今後の改革工程(法案提出時)を財政制度等審議会に示した。後期高齢者の窓口負担の引き上げなど、高齢者に負担増を求めることなど44項目にわたる内容で、高齢化で膨らむ社会保障費を抑える狙いがある。
これは2020年度までの財政健全化計画の期間中に実施すべき社会保障制度改革案となる。6月末に閣議決定した「骨太の方針」で示された44項目の検討課題を精査し、改革の方向性や必要な法案提出の時期などを明示した。
財務省が示した社会保障改革の改革工程は次の通り。
▼生活習慣病の治療薬の処方ルールの明確化―早急にガイドラインなどを決めて実施へ
▼要介護認定率や1人当たり介護給付費の地域差の分析―今年度末までに実施
▼入院時の居住費(光熱費)の負担―来年末までに結論
▼高齢者の高額療養費の負担上限引き上げ―同上
▼介護用ベッドなど福祉用具の貸与価格やスペックの見直し―同上
▼かかりつけ医以外を受診した場合の定額負担―17年通常国会までに法案提出
▼高所得者の年金の一部支給停止―同上
▼医療や介護の地域差是正に向けた都道府県の体制の整備―同上
▼湿布や目薬、ビタミン剤などの市販品は保険給付外に―同上
▼後期高齢者の窓口負担の引き上げ―できる限り早期の取りまとめ

財務省は財政制度等審議会に改革案を示し、大筋で了解を得ている。同省が社会保障制度改革案を策定する背景には、高齢化に伴う社会保障費の急増がある。社会保障関係費は1990年度に11.6兆円で歳出全体の17.5%だったが、15年度は31.5兆円に達し、歳出の32.7%を占めまでに達している。
このため政府は6月に閣議決定した財政健全化計画に「年金・医療等」の伸びを今後3年で1.5兆円に抑える「目安」を盛り込んだ。
安倍政権は改革案を経済財政諮問会議(議長:安倍晋三首相)の専門調査会で進められている議論に反映させ必要な法改正を進めたい考えを示している。

今回の改革案は、最大の懸案である医療費の抑制をめぐっては、かかりつけ医以外を受診した場合に、現行の定率負担に加え個人が日常生活で通常負担できる少額の「外来時定額負担」を導入する案を示した。少額の負担額とは「日常生活で負担できる少額」としている。
実施の時期は、16年末までに結論を得たうえで「遅くとも17年通常国会に所要の法案を提出する」とした。しかし外来時定額負担は過去にも検討されたことがあり、その時には日本医師会などが「本来必要な受診まで妨げてしまう」と反対し、断念した経緯がある。今回も相当な難航が予想される。

毎月の医療費負担に上限を設ける高額療養費制度について、同じ所得でも70歳以上の高齢者は上限が低くなっていることを問題視。16年末までに改革案の詳細を固めるべきだとした。
介護分野では、軽度の要介護者が利用する訪問介護サービスのうち、掃除や食事の用意といった生活援助が全体の約4割を占めていることを踏まえ、原則として自己負担する仕組みに切り替えるべきとも指摘した。
さらに現行で原則1割となっている利用者負担の2割への引き上げや、軽度者に対する掃除などの生活援助の原則自己負担化も求める。現役世代並みの所得がある高齢者には、基礎年金のうち国庫負担分(税金で賄われている部分)の給付を停止することも求めていく。

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