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医療経営情報(2016年1月14日号)

2016/1/18

◆特定健診・保健指導の見直しへ合同会議初会合 厚労省
“特定健診後の介入では多くのハイリスク者を見逃している”

――厚生労働省
厚生労働省は1月8日、「保険者による健診・保健指導等に関する検討会」と「特定健康診査・特定保健指導の在り方に関する検討会」の合同検討会初会合を開催した。
(1)合同検討会の進め方、(2)特定健康診査・特定保健指導に関する検討体制、(3)構成員の発表――などを議題とした。

(1)に関して、厚労省は特定健診・保健指導の見直しに向けた検討の今後の進め方を示し、エビデンスの収集・分析などの技術的事項は健康局所管の「特定健康診査・特定保健指導の在り方に関する検討会」で検討すると提案。法令改正などの制度的事項は保険局所管の「保険者による健診・保健指導等に関する検討会」で検討し、必要に応じて合同検討会を開催し結果を共有して、本年(2016年)半ばに中間取りまとめを行うと述べた。
(2)に関しては、さらに検討が必要な健康診査などについて、厚生科学審議会の地域保健健康増進栄養部会・健康診査等専門委員会が「特定健康診査・特定保健指導の在り方に関する検討会」に対して検討を依頼し、検討会が中間・最終取りまとめを委員会に報告。他方、法令改正に関する事項については、「保険者による健診・保健指導等に関する検討会」が社会保障審議会・医療保険部会に中間・最終取りまとめを報告することなどにした。

(3)では、永井良三構成員(自治医科大学学長)らが特定健診に関して、脳・心血管疾患については、がん検診と異なり疾患そのものではなく、発症確率の高いハイリスク者をスクリーニングすると説明。このため、地域住民のコホート研究でハイリスク者の定義を決め、無作為化比較対照試験で発症率・死亡率減少の証拠が必要と述べた。
また、介入による心血管病の予防効果が明らかなハイリスク因子として、高血圧や、脂質異常症(高コレステロール血症)、糖尿病、喫煙をあげ、現在の特定健診後の介入では多くのハイリスク者を見逃していると指摘。ハイリスク者への介入方法を選定するための健診を重視すべきと述べた。

◆不正製造問題で化血研に業務停止命令 厚労省
「組織的な隠ぺい」と認定、過去最長の110日間

――厚生労働省
厚生労働省は1月8日、熊本市にある血液製剤などのメーカー「化血研」が、国の承認とは異なる方法で血液製剤を製造し、組織的に隠蔽を続けていた問題で、厚労省は化血研に対して処分の期間としてはこれまでで最も長い110日間の業務停止処分を命じた。
一般財団法人 化学及血清療法研究所(化血研)に対する「改善指示」については昨年12月25日、塩崎厚生労働大臣は「化血研」が40年にわたって国の承認とは異なる方法で血液製剤を製造し組織的な隠蔽を図っていた問題で、会社に対し「業務停止」も含めた厳正な処分を行う考えを示していた。
同社は不正を隠すために製造記録を偽造するなど、組織的に隠蔽を図っていたものと断定した。厚労省は8日、不正が発覚した去年5月以降、化血研に対し立ち入り検査を行い悪質な行為が確認できたとして、同社・宮本誠二理事長を厚労省に呼んで医薬品医療機器法に基づいて薬の販売などの業務を停止するよう命じた。業務停止の期間は1月18日からの110日間で、処分の期間としては過去最長となる。

これまでの一連の経緯をみると厚労省が、2015年12月に化血研への立ち入り検査を実施したところ、2007年10月~12月および2015年10月の計4回、2種病原体等であるボツリヌス毒素を、熊本県公安委員会への届け出をせず、事業所外に運んでいたことなどが確認されたことを受けた措置である。同社は過去に業界団体の調査や内部告発による国の立ち入り検査が複数回行われたが、処分を避けるために書類を偽造し不正の発覚を免れていたとみられる。

改善指示事項として、次の内容があげられている。
特定病原体等の運搬に関する手順書を新たに整備するなど、適切に運搬業務を実施できる体制の整備/特定病原体等安全管理委員会が、事前審査をするなど、運搬・保管などについて関与をはかる/病原体等を取り扱うすべての職員に対する、運搬業務に特化した定期的な訓練など教育訓練の徹底/特定病原体等安全管理委員会が実施する内部監査の強化/病原体等の保管などの記帳に関し、病原体等の受け入れ、払い出し、保管、使用、滅菌などに関する記録を適切に記録、整備し、漏れがないよう確認を徹底。
また、厚労省は今回の事案を受け、2種または3種病原体等の所持者に対し、特定病原体等の取り扱いに関する法令遵守の徹底を文書で指示した。
化血研は8日、メディア向けに記者会見は開かず、「再発防止に取り組み、信頼回復に努める」との談話を発表したが、社員約1900人の雇用は維持するとしている。

◆東京都などでインフルエンザ感染が拡大中 ―患者は前週比6割増
1月7日にインフルエンザの「流行警報」―最も早い流行警報

――東京都
東京都は昨年末までの1週間でインフルエンザの患者報告数が急増したことを受け、1月7日にインフルエンザの「流行警報」を出した。これは新型インフルエンザが流行した2009年を除き、感染症法に基づく調査が開始されて以来、もっとも早い流行警報です。都は予防・拡大防止により注意し、感染が疑われる場合には、早めに医療機関を受診するよう呼びかけている。
報告によると12月22日から28日までの1週間に都内の419カ所の医療機関においてインフルエンザの患者数が、1つの施設当たり32.9人となり、前週から1.5倍以上となっている。なお、都内の今シーズンのインフルエンザウイルスの検出状況は、AH3型が96.0%、B型が4.0%となっているという。
厚生労働省は、インフルエンザは「38度以上の発熱」「頭痛」「関節痛」「筋肉痛」などの症状が突然現れ、日本では例年12月から3月頃にかけて流行が見られるとしている。一度流行が始まると短期間に多くの人へと感染し、集団感染によって学級閉鎖などへとつながる。

国立感染症研究所は1月12日、2015年12月21~27日の期間中の感染症発生動向調査の結果を発表した。調査によると、同期間中に4,000人近くが各地の医療機関でインフルエンザ感染を確認されたことが明らかになった。
定点医療機関から12月21~27日(第52週)の期間中に報告があった感染者数は3,734。第51週は2,270人となっており、64%も1週間あたりの患者が増えた計算になる。第50週(1,690人)からの数値を見ると、1週間ごとの伸び率は34%、64%と推移しており、直近2週間で急伸していることがわかる。
昨年12月までの第52週において、都道府県別での患者が最も多かったのは北海道(532人)。以下は秋田県(359人)、東京都(304人)、神奈川県(231人)、大阪府(190人)となっている。
感染増に伴い、全国の定点当たり報告数(1医療機関あたりの患者数)も増加。第51週は0.46にとどまっていたが、第52週は0.76まで急上昇。第50週(0.34)から2週間で2倍以上になっており、「流行開始」の指標となる「1.00」へと迫っている。
インフルエンザは、せきやくしゃみなどによる飛沫(ひまつ)感染が主な感染経路となり、予防策としてはワクチン接種のほか、マスク着用や手洗い、うがいなどがある。また、感染しても特有の症状が出ないケースや検査タイミングによって正しい結果が出ないケースもあるため、家屋同士の協力など十分な備えや注意が必要となる。

◆医療事故調査制度、11月26件、12月の報告は36件
新制度スタートから3カ月の累計は81件、増加傾向に

――日本医療安全調査機構(医療事故調査・支援センター)
日本医療安全調査機構(医療事故調査・支援センター)は1月8日、医療事故調査制度の12月分の報告件数は36件に上ると公表した。2015年10月1日にスタートした医療事故調査制度にもとづくもの。昨年10月の制度開始から3カ月間の累計は81件。10月は19件、11月は26件と推移、やや増加傾向にある。

院内調査を終え、同機構に調査結果が報告されたのは6件、3カ月間の累計は7件。機構は、医療事故調査制度において医療事故調査・支援センターの役割を担う。36件の内訳は、病院32件、診療所4件。
診療科別や地域別の医療事故受付件数データは次の通り。
診療科別=内科6件、外科6件、心臓血管外科4件、精神科4件、循環器内科3件、整形外科3件。地域別=北海道2件、東北2件、関東信越13件、東海北陸5件、近畿8件、中国四国2件、九州4件。

「相談件数」は187件(累計597件)。内容による集計では211件(複数計上)で、「医療事故報告の判断」関連が45件(21%)、「手続き」関連67件(32%)、
「院内調査」関連46件(22%)、「センター調査」関連6件(3%)、その他47件(22%)だった。「医療事故調査報告」(院内調査結果)は6件(累計7件)。センター調査の依頼はなかった。

医療事故調査制度の11月の報告は26件、報告事例の取り下げ1件、院内調査結果報告も1件 だった。
日本医療安全調査機構は医療事故調査制度の11月分の報告実績を公表、件数は26件であり、10月報告分の1件が取り下げになったことが明らかになった。10月分の19件と併せ、10月の制度スタートからの累計は45件。院内調査を終え、同センターに調査結果が報告されたのは1件。報告件数について、常務理事の木村壮介氏は、「まだ少ないという印象はあるが、新たな制度における医療事故の定義で、どのくらいの報告件数になるかはむずかしい」と述べた。

都医師会には21件の相談、センター報告は4件、4件中2件は支援、報告書作成済みも1件だった。
東京都医師会が昨年12月下旬に開催した定例記者会見で、小林弘幸理事(順天堂学大教授)が都医師会に寄せられた医療事故調査制度に関連する相談事例を報告した。新たな事故調査制度がスタートした10月1日から12月16日までに、都医師会には21件の相談が寄せられ、そのうち4件が医療事故調査・支援センターである日本医療調査安全機構に報告された。4件のうち2件では都医師会が支援に入り、1件は調査報告書の作成が完了、もう1件も作成中という。21件の内訳は、8件がセンターに報告すべきかの判断に関する相談だった。

全国医学長病院長会議は定例記者会見で、同会議独自の「医療事故調査制度ガイドライン」を公表した。国立大学附属病院医療安全管理協議会作成のガイドラインに、同会議の「大学病院の医療事故対策委員会」の説明文を補記した内容だ。
説明文では、医療事故調査制度の趣旨について、「医療の安全面における質向上を構築することであり、医療事故にしばしば伴う患者側からの訴えや係争を直接的に取り扱うものではない」と説明。国立大学附属病院医療安全管理協議会作成のガイドラインでは、係争などを意識し、外部委員を「必要なら招聘」することも可能との認識を示している。

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