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医療経営情報(2016年1月28日号)

2016/2/1

◆施政方針―介護離職ゼロへ 50万人分整備・返済免除奨学金ほか
競争力会議―「成長戦略進化のための検討方針案」を議論

安倍晋三首相は1月22日、衆議院および参議院の本会議で施政方針演説を行った。安倍首相は「『介護離職ゼロ』、『希望出生率1.8』という2つの的を射抜くためにも、安定的な基盤の上に『戦後最大のGDP600兆円』というもう1つの的を掲げ、新しい『3本の矢』を放つ」と政権の方針を示した。
施政方針演説は次の7つの柱から成立している。
【1】戦後以来の大改革
【2】改革断行
【3】経済再生と社会保障改革
【4】誰にでもチャンスに満ちあふれた日本
【5】地方創生
【6】外交・安全保障の立て直し
【7】2020年の日本。

安倍首相は1億総活躍への挑戦の目標のもと、介護について、「『介護離職ゼロ』という明確な目標を掲げ、現役世代の『安心』も確保する社会保障制度へと改革を進めていく」と約束した。
具体的には、特別養護老人ホームやサ高住など多様な介護の受け皿を2020年代初頭までに50万人分整備するとした。また、今後25万人の介護人材を確保するため、介護福祉士を志す学生を対象とした返済免除の奨学金制度の充実や再就職準備金の支給をする。他にも仕事と介護が両立できるよう、介護休業中の給付を40%から67%に引き上げ、介護休業の分割取得や所定外労働の免除、短時間勤務などを可能にすると述べた。

さらに、「希望出生率1.8」の実現に関して安倍首相は、「1億総活躍の最も根源的な課題は、人口減少問題に立ち向かうこと」と意欲を見せた。子育て世代包援センターの全国展開や病児保育の充実を促進。2017度末までに合計で50万人分の保育の受け皿を整備し、保育士を9万人確保することで「待機児童ゼロ」を実現すると述べた。

安倍首相は演説の最後に、“私たち日本人に、「2020年」という共通の目標ができました”と述べ、「日本は変えられる」。“全ては、私たちの意志と行動にかかっています”。「15年近く続いたデフレ。その最大の問題は、日本人から自信を奪い去ったことではないでしょうか。しかし、悲観して立ち止まっていても、何も変わらない。批判だけを繰り返していても、何も生まれません」。「日本国民よ、自信を持て」―という激励で施政方針演説で結んだ。

政府は1月25日、安倍首相が議長の「産業競争力会議」を開催し、「成長戦略の進化のための今後の検討方針案」を議論した。方針案では、「希望を生み出す強い経済」の実現に向け、「質の高いヘルスケアサービスの成長産業化」を打ち出し、(1)ヘルスケア産業の創出支援、(2)医療・介護等分野におけるICT化の徹底、(3)日本発の優れた医薬品・医療機器等の開発・事業化、(4)「地域医療連携推進法人」制度の具体化――等を推進すると提案している。
特に(1)では、個人が健康・医療・介護情報などを管理・活用する仕組み「PHR」を推進。公的保険外サービスが、地域の医療・介護を補完しながら活用されるよう、医療機関・医療関係者を含んだサプライチェーンの構築や予防の取り組みなどの事業環境整備を図る。
また、疾病の寛解状態(治療等で症状が好転やほぼ消失し臨床的にコントロールされた状態)にある人が仕事・生活を継続するため必要な食事などの健康維持サービスや、人生の最終段階の支援サービスに関するコーディネート機能などの検討を進める。

*日本版PHR-「個人が健康情報を管理・活用する時代に向けて」 ~パーソナルヘルスレコード(PHR)システムの現状と将来~、と題したレポートを日本版PHRとして新たに健康サービス研究会が提唱している。▽個人の積極的な健康管理▽健康サービス事業の高度化▽医療保険者、企業等にとってのメリット▽蓄積されたデータの活用による新たな産業の創出▽健康情報を活用した健康サービス、等の内容が骨子。

◆事業主に立ち入り検査を強化、保険料追納を求めていく
厚生年金加入逃れ事業所 昨年9月末時点で約79万カ所

――厚生労働省
厚生労働省は1月27日、「厚生年金保険の保険給付及び保険料の納付の特例等に関する法律の施行状況に関する報告について(概要)」の同法律の施行状況を国会に報告した。
これは厚生年金保険の保険給付及び保険料の納付の特例等に関する法律に基づき、平成19年6月22日から平成26年3月31日までに総務大臣から厚生労働大臣に対し、記録訂正のあっせんが行われた事案と年金事務所において記録訂正が可能と判断した事案についての施行状況に関して国会報告されたものを公表した。

厚労省によると、事業主が従業員から厚生年金保険料を天引きしたにもかかわらず、保険料を納付しなかった等のために年金記録がない事案について、年金給付を行うことを可能とする措置を講じたもので対応を急ぐ。厚生年金の加入を逃れている可能性がある事業所は2015年9月末時点で約79万カ所。すでに日本年金機構を通じて調査しており、支払い能力があるにもかかわらず加入しない事業所には早期に立ち入り検査して加入を促す。
塩崎恭久厚生労働相は1月19日の閣議後記者会見で、厚生年金の加入を故意に逃れている事業所に対し立ち入り検査を強化する方針を表明している。「立ち入り検査の実施手順を見直す」と述べ、これまでより早い段階で検査することなどを検討する。厚労省と年金機構はこれまで刑事告発をしてこなかったが法律上は悪質な加入逃れは刑事告発できる。

Ⅰ.法律の内容及び国会報告の根拠
○ 本法律は、地方年金記録訂正審議会が、保険料徴収の消滅時効(2年)が成立した保険料分について、被保険者からの保険料天引きの事実があるにもかかわらず、事業主の保険料納付の事実が明らかでないと年金記録の訂正の答申を行ったもの等の場合、 厚生労働大臣は、年金記録の訂正を行うとともに、事業主等に対して保険料納付の勧奨等を行うことなどを内容とするもの。

Ⅱ.今回報告の概要(件数は累計)
1 地方年金記録訂正審議会の答申結果及び年金事務所の判断結果の概要。
年金記録を訂正する必要があると認められた厚生年金保険関係の件数等 ・・・1,445 件
(1)厚生年金保険関係の答申件数・・・・・・・・・・・・・・・ ・・  117 件

(2)特例法第1条第1項に基づく答申件数等・・・・・・・・・・・・・ 350 件
①事業主が保険料納付義務を履行しなかったと認められる事案 ・・・・・・・ 265 件
②事業主が保険料納付義務を履行したかどうか不明と認められる事案・・・・・99 件

(3)特例法第1条第 2 項に基づく訂正件数等 ・・・・・・・・・・・・・793件
①事業主が保険料納付義務を履行しなかったと認められる事案 ・・・・・ ・・745 件
②事業主が保険料納付義務を履行したかどうか不明と認められる事案・・・・・49 件

(4)政府管掌年金事業等の運営の改善のための国民年金法等の一部を改正する法律附則 第9条の規定により平成27年4月1日から平成27年6月30日までに包括的意見に基づき年金事務所において年金記録の訂正が可能と判断した件数 ・・・・・216 件
①事業主が保険料納付義務を履行しなかったと認められる事案 ・・・・・・・214 件
②事業主が保険料納付義務を履行したかどうか不明と認められる事案 ・・・・ 2件

2 特例法に基づく答申等により厚生労働大臣が記録を訂正した件数 ・・・・・1,359 件

3 特例納付保険料の納付の状況等 特例納付保険料の総額 ・・1億7,674 万 1,784 円 (1)年金事務所が納付を勧奨した件数・・・・・・・・・・・・・・・・・・1,265 件 (2)事業主から納付の申出があった件数・・・・・・・・・・・・・・・・・・972 件 (3)納付が行われた件数・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・688 件 (4)納付の申出がない事業主等を公表した件数・・・・・・・・・・・ ・・・0件
(5)公表後に納付を再勧奨した件数・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・0件

4 事業主が納付に応じない場合であって、一定期間経過した後、国が負担した特例納付。保険料の額に相当する額の総額等 。
(1)特例納付保険料相当額を国が負担した件数・・・・・・・・・・・・・・・0件
(2)国が負担した特例納付保険料相当額の総額・・・・・・・・・・・・・・・0円

5 年金記録確認第三者委員会における調査審議結果の概要。厚生年金保険関係のあっせん件数等 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・105,928 件
(1)厚生年金保険関係のあっせん件数・・・・・・・・・・・・・・・・15,472件
(2)特例法に基づくあっせん件数等 ・・・・・・・・・・・・・・・・・92,538件 ①事業主が保険料納付義務を履行しなかったと認められる事案・・・・・・80,239 件
②事業主が保険料納付義務を履行したかどうか不明と認められる事案・・・13,480 件

6 特例法に基づくあっせん等により厚生労働大臣が記録を訂正した件数・・92,538件
7 特例納付保険料の納付の状況等。特例納付保険料の総額・・96億9,237万4,274 円 (1)年金事務所が納付を勧奨した件数・・・・・・・・・・・・・・・・・84,985 件 (2)事業主から納付の申出があった件数・・・・・・・・・・・・・・・・73,984 件 (3)納付が行われた件数・・・・・・・・・・65,770 件(66億4,174万8,524 円) (4)納付の申出がない事業主等を公表した件数・・・・・・・・・・・・・ 9,492 件 (5)公表後に納付を再勧奨した件数・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 6,536 件

8 事業主が納付に応じない場合であって、一定期間経過した後、国が負担した特例納付保険料の額に相当する額の総額等
(1)特例納付保険料相当額を国が負担した件数 ・・・・・・・・・・・・・5,487 件
(2)国が負担した特例納付保険料相当額の総額・・・・・・26億9,379万4,827 円

◆医療情報データベース運用に向けて検討事項案を提示
「医療情報データベース(DB)検討会」の初会合

――厚生労働省
厚生労働省は1月20日、「医療情報データベース(DB)の運営等に関する検討会」の初会合を開き、「検討事項」案を提示した。
医療情報DB基盤整備事業は、2010年4月に公表された「薬害再発防止のための医薬品行政等の見直しについて(最終提言)」などにもとづいており、2016年度より本格的な運用がスタートする。この検討会は、このDBの運営などに関する課題について検討することを目的としている。
この事業は、独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)が協力医療機関のシステム構築を担うと共に、PMDA内に分析システムを構築し、この医療情報データベースを安全対策のために利活用することも大きな目的になる。
厚生労働省が公募により選定した協力医療機関(10カ所)を拠点とし、当該協力医療機関が保有している電子的な医療情報を網羅的に収集する医療情報データベースを構築し、将来的に全国で1000万人規模の医療情報データベースの連携体制を構築することを目指すもの。

PMDAは今後、協力医療機関のシステム構築を担うと共に、PMDA内に分析システムを構築し医療情報データベース基盤整備事業における医療情報の利活用要綱 (試行期間用)とするが、その目的は次の通り。

医療情報データベース基盤整備事業は、医薬品等のリスク・ベネフィット評価を含めた安全対策の向上を目的として、この目的を果たすために必要な医療情報の利活用のための基盤を整備するものである。
医療情報は、氏名、生年月日等の特定の個人(提供された情報が由来する個人及び当該個人の治療等に関与した医療関係者等を含む)を識別することができる情報を削除しても、その特性上特定の個人が識別される可能性を完全には排除できないことが懸念されることから、個人の尊厳と人権を守るため、本要綱により、本事業によって構築される医療情報データベース(仮称)に保存された医療情報を利活用する際の手続きを定めるものである。
本要綱は、平成25年度から平成29年度までの間(以下「試行期間」)適用する。 なお、厚生労働省及び独立行政法人医薬品医療機器総合機構(「PMDA」)は、将来的に、試行期間における実績を勘案した上で、手数料や罰則等の整備を含めて本要綱で定める利活用の枠組みを見直すこととする。

「検討事項」案は、次の項目を柱とする。
利活用の範囲(利活用の目的、利活用可能な者の範囲)/利活用のルール(情報の取り扱い、利活用の方法、利益相反)/運営に関する費用負担の枠組み(本格運用後に必要な経費、国費および安全対策拠出金による負担、利用者による負担)。
有識者会議は、次の事項を所掌する。
1.利活用申出の承認審査に関する助言
2.利活用申出にあたっての利害関係に係る基準の制定
3.利活用により得られた成果物等の公表に関する助言
4.利活用に係る情報公開及び利活用の状況に関する報告に関する助言
5.不適切利活用に対する措置に関する助言
6.複数施設統合データ処理センターの外部監査に関する助言。

今回は、今後の進め方案として次のスケジュールが示された。
●2016年6月~7月に、「中間報告書案の検討と確定」。
●2017年夏ごろに、個人情報保護法の施行状況をふまえて、「最終報告書の確定および公表」。

*協力医療機関
▼東北大学病院▼千葉大学医学部附属病院▼東京大学医学部附属病院▼浜松医科大学医学部附属病院▼香川大学医学部附属病院▼九州大学病院▼佐賀大学医学部附属病院▼北里大学・北里研究所附属病院(グループ)▼NTT病院(グループ)▼徳洲会(グループ)

◆東京都予算原案 保育・介護人材の掘り起しまで重点配分
介護人材確保関連事業に48億円、医療施設整備377億円

――東京都
東京都は1月20日、一般会計総額が7兆110億円となる2016年度予算原案を発表した。舛添要一知事が予算の3本柱の一つに挙げているのが「保育・介護・医療人材の確保」だ。人材の掘り起しや育成、定着までを総合的に支援する「福祉人材総合支援事業」などの新規事業を盛り込んだ。若者や福祉分野に関心の低い層を掘り起こし、人材の裾野を広げるのが介護人材対策の核となる。

予算の柱の一つである2016年度から新たに取り組む医療施設の整備では377億円を充てる。災害時の医療提供体制を抜本的に強化するため、広尾病院を移転改築するほか、新たな医療課題への対応などを見据えて、多摩メディカル・キャンパス全体の基本計画を策定する。23年度開設予定の首都災害医療センター(仮称)の整備に向けて、基本構想の策定などに着手する。また、医療機器産業への中小企業の参入を支援するため、医産学連携の医療機器開発支援センター(仮称)の整備も計画している。

重点項目には、▽史上最高のオリンピック・パラリンピックを契機に、さらに発展し続ける都市の実現▽都民の生活の質を高め、一人ひとりが豊かさを実感できる都市の実現▽日本全体の成長を支える、活力に満ちたグローバル都市の実現、を据え、それぞれに重点配分施策を設定し、予算を配分した。
主な重点配分施策では、東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会に前年度比18%増の621億円、障害者スポーツの振興に1230%増の258億円(基金積立金200億円を含む)、保育・介護・医療人材の確保に19%増の338億円、障害者就業支援に57%増36億円、成長産業と操業への支援強化とグローバルビジネスの活性化に42%増の108億円、観光の一大産業化に87%増の212億円、「水の都」東京の再生68%増の78億円を充てる。「水の都」東京の再生ではハード・ソフト両面で水上交通ネットワークの魅力を高め、気軽に利用できる環境を整備する。

2020年東京五輪の成功に向けた準備では、競技施設などの整備に532億円を充てる。 都市基盤の高度防災化では、木造住宅密集地域の不燃化・耐震化に943億円を措置。木密地域の不燃化を一層加速するため、特定整備路線の整備による延焼遮断帯の形成や、不燃化特区などを活用した市街地の不燃化促進などの取り組みを重点的・集中的に実施する。空地率の向上などにつながる防災生活道路などの整備や、最低敷地面積などを定めた地区計画の策定支援など、区市と連携した施策にも新たに取り組む。

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