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介護経営情報(2016年1月29日号)

2016/2/1

◆ロボットスーツHALを初の保険適用に了承 中医協
医療機器に 筋ジスやALS…患者の歩行改善に

――中央社会保険医療協議会
2年ごとの診療報酬の改定を審議している中央社会保険医療協議会(中医協、厚生労働相の諮問機関)は1月27日、総会を開催した。中医協は現在、診療報酬改定の個別改定項目の提示段階に入って審議続開中だが、この日は「医療保険適用」が適否かどうかを「ロボットスーツ『HAL』」(ハル)について区分C2(新技術、新機能)で保険適用することを了承した。これは4月1日付で保険収載される装着型ロボットでは国内初のケースとなる。

●医療機器に係る保険適用決定区分及び価格(案)
▽販売名 HAL 医療用 下肢タイプ
▽保険適用希望企業 CYBERDYNE株式会社

本品は、医療福祉機器会社「サイバーダイン」(茨城県つくば市)が開発・製造した。同社は筑波大学発のベンチャー企業。医慮保険の適用対象となったHALは、決定区分/C2の「医療用下肢タイプ」。主に、脊髄性筋萎縮症や球脊髄性筋萎縮症、筋萎縮性側索硬化症、筋ジストロフィーなどの患者の歩行を改善させるために活用することが想定されている。

▽決定区分/C2(新機能・ 新技術)
*特定保険医療材料ではなく、新規技術料で評価する。*技術料 診療報酬改定に伴い評価を検討する。推定適用患者数3,400 人 。

▽主な使用目的/本品は、緩徐進行性の神経・筋疾患のうち、脊髄性 筋萎縮症、球脊髄性筋萎縮症、筋萎縮性側索硬化症、シャルコー・マリー・トゥース病、遠位型ミオパチー、封入体筋炎、先天性ミオパチー、筋ジストロフィーのいずれかの患者を対象として、本品を間欠的に装着し、生体電位信号に基づき下肢の動きを助けつつ歩行運動を繰り返すことで、歩行機能を改善することを目的として使用する。

身体に着けて歩行能力を高める装置「ロボットスーツHAL」について、厚労省の専門家会議は昨年11月、全身の筋力が低下した難病患者のための医療機器として承認することを了承した。11月内に承認され、その後、保険適用を検討する段階に入っていた。
装着型のロボットが医療機器に承認されるのは日本では初めて。歩行を補助する福祉用具のHALよりも性能が高く、承認後は病院での歩行機能改善の治療に使える。HAL(歩行支援機器)は、初期費用約50万円、月額約15万円がかかるとされた。介護ロボットが広く利用されるようになるためには、相応の種類、品質、使いやすい価格などを実現しなければならず、高価格など諸問題解決が急務となっていた。
装置は、筋肉を動かそうとする際に生じる電気信号を、腿や膝に貼り付けたセンサーが読み取り、内蔵コンピューターで関節部のモーターを動かして歩行を助ける。「歩けた」という感覚を脳に送り返すことで歩く機能を取り戻せるという。
対象は、筋力が衰える筋ジストロフィーや筋萎縮性側索硬化症(ALS)など八つの難病で、自力では歩けない患者。24人が参加した臨床試験(治験)では、HALを使った訓練の後は、使わない訓練の後と比べ歩行距離が約10%延びたという。

◆かかりつけ薬剤師指導料、算定要件を提示 中医協
「かかりつけ薬剤師指導料」「包括管理料」も新設

――経済産業省
診療報酬改定の個別項目改定を審議している中医協の現時点の状況と今後の予定をまとめた。まず2016年度診療報酬改定は塩崎厚労相が1月13日に諮問し2月に答申が行われるのが大きな流れ。 昨年末決定した改定率、および社会保障審議会で決定した「基本方針」に基づき、2016年度改定について答申を求める内容だ。その内容のポイントは、診療報酬改定率は決定したものの「2回連続のマイナス改定」、「不適切な長期投薬是正」―削減対象は薬が“目玉”だった。
1月13日の中医協総会では、これまでの議論を整理した資料が取りまとめられ、約1週間、パブリックコメント(国民意見)を求めるとともに、2月上旬にかけて、この議論の整理を叩き台に2016年度改定内容を具体化し、答申を目指す。1月22日には、埼玉県浦和市で公聴会が行われた。公聴会は改定年度に各地で行われる。これは医療の現場や患者といった国民の声を改定審議にも反映させるため、中医協委員が国民の声を聴く機会を設けることを目的に開催する。

介護保険にも影響する重要な「かかりつけ薬局・薬剤師の評価」について1月27日の中医協総会で審議され、個別改定項目の中の「かかりつけ薬局・薬剤師の評価」に関する改定内容が示された。かかりつけ薬剤師・薬局の評価では、患者本位の医薬分業の実現に向けて、患者が選択した「かかりつけ薬剤師」が、患者に対して服薬指導等の業務をした場合の評価【かかりつけ薬剤師指導料】を新設する。

主な算定要件は次の通り。
[算定要件]
(1)患者の同意の上、かかりつけ薬剤師として服薬指導等の業務を実施した場合に算定する
(2)患者の同意については、患者が選択した保険薬剤師をかかりつけ薬剤師とすることの同意を得ることとし、患者の署名付きの同意書を作成した上で保管し、当該患者の薬剤服用歴にその旨を記載する。なお、患者の服用薬について、一元的・継続的な管理を推進する観点から患者1人に対して、1人の保険薬剤師のみがかかりつけ薬剤師として算定できる
(3)患者の同意を得た後の次の来局時以降に算定可能とする
(4)算定する保険薬剤師は、次の要件を満たしている旨を地方厚生局長等に届け出ていること
・薬剤師として一定年以上の薬局勤務経験があり、同一の保険薬局に週一定時間以上勤務し、一定年以上在籍している
・薬剤師認定制度認証機構が認証している研修認定制度等の研修認定を取得している
・医療に係る地域活動の取組に参画している
(5)患者に対する服薬指導等の業務はかかりつけ薬剤師が行うことを原則とする。かかりつけ薬剤師以外の保険薬剤師が服薬指導等を行った場合は当該指導料を算定できない

また、かかりつけ薬剤師の業務について、出来高による前述の【かかりつけ薬剤師指導料】の評価に加えて、包括的な評価【かかりつけ薬剤師包括管理料】も新設する。なお、包括範囲は「時間外等加算、夜間・休日等加算」、「在宅医療に係る点数」、「薬剤料」、「特定保険医療材料料」以外を包括とするとしている。

◆介護福祉関連機器、用具・用品、サービスの国内市場調査
介護福祉ロボット市場、5年後に155億円まで拡大 富士経済

――(株)富士経済
総合マーケティングビジネスの(株)富士経済(東京都)は、病気や加齢などによる心身的なマイナス部分を取り除き、「介護」「リハビリ」「介護予防」「自立支援」などを目的に使用する機器、用具・用品、サービスの国内市場(Welfare関連市場)を調査し、報告書「“Welfare”関連市場の現状と将来展望 2016」にまとめた。
この報告書では、機器・器具・システム(14品目)、消耗品・用具・用品(18品目)、サービス(5品目)の3カテゴリー37品の市場を調査・分析した。また、注目トピックスとして、高齢者施設動向、介護事業者における人材確保と育成、新規性と革新性の高い関連機器、用具・用品、サービス、産官連携の状況についてもまとめた。

要介護認定者は2015年に600万人を超え、それに伴い介護保険給付費用は2014年には9.3兆円に膨れ上がり、社会福祉費を圧迫している。また高齢者人口の増加は介護保険給付費用のみならず医療費でも毎年1~2%増加し、2014年度は約40兆円まで上がり介護保険給付費用と合わせ削減が急務となっている。そのような中、政府は2015年に介護保険法を改正した。この中には、一定額以上の所得世帯における自己負担率の引き上げ、介護報酬の減算などが盛り込まれておりWelfare関連市場の成長を鈍化させると懸念されている。一方で、これらの課題解決は新たなビジネスチャンスと捉え関連企業のみならず異業種からも注目を集めている。

<調査結果の概要>
■介護福祉関連機器、用具・用品、サービス市場
2015年の全体市場は8,268億円が見込まれる。2015年の介護保険法改正における市場への影響は、現在のところは軽微にとどまっているものの、福祉用具の購入や貸与で、高額な品目への影響が懸念される。
カテゴリー別にみると、機器・器具・システム市場において、最も構成比が高い品目は介護用電動ベッドで4割を超えている。徘徊・転倒防止機器や服薬支援ロボットは認知症対策で需要が増加している。介護福祉ロボットは市場成長期に移行している。
消耗品・用具・用品市場では大人用紙おむつの構成比が6割を超えている。口腔保湿剤などのオーラルケア、手すりなどの起立・歩行支援品目の伸長率は高い。消耗品は価格競争が進んでいる。
サービス市場では福祉用具貸与サービスの構成比が7割以上となっている。また、健康管理サービス、高齢者見守りサービスなど介護保険対象外のサービスの伸びが順調である。

<注目市場>
◆介護福祉ロボット(歩行・移乗)(機器・器具・システム)
2015年見込:16億円
2021年予測:155億円
2014年比:19.4倍

加齢から足腰が弱った高齢者や自力での歩行が難しい患者の歩行、要介護者の移動、リハビリ訓練などをサポートするロボットを対象とする。

経産省ロボット革命イニシアティブ協議会による「ロボット新戦略」では、2020年までに介護分野で500億円の事業規模を創造することを揚げ、助成金や優遇政策で後押ししており、多数の企業が市場参入を目指して開発、実証実験を進めている。また、厚生労働省も2015年4月より「地域医療介護総合確保基金」で介護施設への介護ロボット導入助成を実施している。これらが市場の追い風となり、今後拡大が加速すると予想される。

◆高齢者向けコミュニケーションロボット(機器・器具・システム)
2015年見込:5億円
2021年予測:17億円
2014年比:3.4倍

市場は2004年にタカラトミーアーツから「ユメル」、2005年に産業技術総合研究所が開発した「パロ」が知能システムから発売され、その癒し効果などが注目された。しかし、導入やメンテナンスなどのコストが高いことから、市場は緩やかな成長にとどまっていた。
近年は高齢者向けコミュニケーションロボットのみならず様々なタイプのロボットが開発されており、ロボットがいる生活に対し、違和感がなくなりつつある。厚生労働省による2015年度の福祉用具貸与品目としての採択は見送られたが、今後高齢者向けコミュニケーションロボットが採択されれば、市場は大幅に拡大すると期待される。

◆高齢者向けシューズ(消耗品・用具・用品)
2015年見込:60億円
2021年予測:87億円
2014年比:158.2%

市場は1995年に徳武産業が高齢者用ケアシューズ「あゆみ」を発売したことにより立ち上がった。その後、参入メーカーが相次いだことや、介護保険給付の対象外で購入者は全額自己負担となるが、徐々に認知度が高まり、市場は活性化した。
近年は左右サイズ別や片足だけの販売、パーツオーダー対応などがあることから、顧客層が重度な要介護者から一般シニアへ広がったことに伴い、市場は拡大している。今後も要介護度の高い人とアクティブなシニア層両方への販売を注力することで、市場は更に拡大していくと予想される。

◆福祉用具貸与サービス(サービス)
2015年見込:2,910億円
2021年予測:4,100億円
2014年比:149.1%

市場は貸与売上と貸与事業の介護福祉用品売上げも含む。
市場は2000年の介護保険制度開始とともに立ち上がり、高齢者人口の増加、要介護認定者数の増加を背景に順調に拡大し続けている。一方で、介護保険制度に頼るところが大きく、福祉用具貸与対象品目の増減、対象範囲の拡大縮小により市場が影響を受けている。今後は介護保険制度における福祉用具貸与対象品目にコミュニケーションロボットなどの追加が期待される一方で、絞り込みも懸念されており、2018年の法改正が分岐点と考えられる。

◆ロボット等の導入支援で介護の効率性向上めざす
第1回介護の「シゴト魅力向上懇談会」開催

――厚生労働省
塩崎厚生労働大臣の肝いりでスタートした第1回介護のシゴト魅力向上懇談会(1月12日開催)。その後、具体的施策と予算面で介護の生産性向上関係の施策(平成27年度補正予算案、平成28年度当初予算案)が正式に発表された。
同懇談会は、
1. 開催の趣旨等 介護の仕事や職場の魅力向上を更に進めるため、業務プロセスの改善とテクノロジー(介護ロボット・ICT等)の活用による業務負担の軽減、生産性の向上等について、先進的な現場の実践を踏まえた議論を行い、今後の政策の検討の参考にすることを目的として、「介護のシゴト 魅力向上懇談会」を開催する。
2. 検討事項・介護分野における業務プロセスの改善に向けた取組 ・介護分野におけるテクノロジー(介護ロボット・ICT等)の活用に向けた取組 ・その他 。

重点的な取組みは、在宅・施設サービス等の整備の充実・加速化 :在宅・施設サービス等の整備を前倒し、上乗せ(2020年代初頭までに約38万人分増→約50万人分増)。介護サービスを支える介護人材の確保 :介護人材の追加確保・介護者の負担軽減に資する生産性向上。 介護サービスを活用するための家族の柔軟な働き方の確保 :介護休業の制度改革や働き方改革。働く家族等に対する相談・支援の充実 :介護サービス等の情報提供など周知強化や相談・支援の充実。在宅・施設サービス等の整備の充実・加速化・都市部を中心とした在宅・施設サービス等の整備の加速化等。

平成27年度補正予算案、平成28年度当初予算案は次の通り。
●ロボット等の導入支援
【居宅サービス事業所における業務効率化促進モデル事業】 平成27年度補正:6百万円 平成28年度当初:1.3億円 介護事業所においてICTの活用による業務上の文書削減や業務の効率化の効果について検証するモデル事業を行うとともに、電磁的記録による保存が認められている書類について、自治体が文書による保存や利用者の押印を求めていることがICT導入の支障となる場合があること等も踏まえ、介護事業所におけるICTのより効果的な活用に向けたガイドラインを作成する。

●介護事業所における文書量の半減
【介護ロボットを活用した介護技術開発支援モデル事業】 平成27年度補正:1.5億円 施設全体の介護業務の中で効果的な活用方法を構築する視点が重要であるため、介護ロボットを活用した介護技術の開発を実現するためのモデル事業を実施する。
【介護ロボット開発等加速化事業】 平成28年度当初:3億円  介護ロボット等の開発・普及について、開発企業と介護現場の協議を通じ着想段階から現場ニーズを開発内容に反映、開発中の試作機へのアドバイス、開発された機器を用いた効果的な介護技術の構築など各段階で必要な支援を行うことにより加速化を図る。

▽塩崎厚労相の懇談会に臨む意気込み(コメント要約)
高齢化がさらに進むなか、介護職の魅力を向上し、離職を減らすため、業務の効率化、業務負担の軽減などについて議論を重ね、今後の政策の参考にすることを目的とした「介護のシゴト 魅力向上懇談会(座長=町永俊雄・福祉ジャーナリスト)」を行いました。
同懇談会には、介護の業務に詳しい経営者や、ICTの専門家やコンサルティング会社の方、福祉の現場で先駆的な取り組みをしている方などを迎え、今後、介護の仕事に誇りと自信を持っていただき、より魅力を感じてもらう仕事にしていくためにはどうしたらよいのか、ICTや介護ロボットを活用した介護職の負担軽減などについて議論を重ねていきます。
介護の仕事は本来、喜びを持って、あるいは誇りを持って働いていただいて良いはずの仕事です。より魅力を感じてもらう仕事にしていくにはどうしたら良いのかを考えていただきたい。単に表面的なことだけやってもだめだろうと思います。新しい地平線を切り開くイノベーションを起こし、これからの日本の高齢社会を乗り切るため、先駆的な話をまとめていただきたいと考えます。

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