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介護経営情報(2016年2月12日号)

2016/2/15

◆かかりつけ医、かかりつけ薬剤師など“対人評価”を新設
中医協が2016年度診療報酬の改定案を答申

――厚生労働省
中央社会保険医療協議会(中医協―厚労相の諮問機関)は2月10日、総会を開き医療機関に支払われる診療報酬の2016年度からの改定案(個別の診療行為ごとの新しい価格表―短冊)を塩崎厚厚生労働大臣に答申した。

答申の骨格は、患者の健康を日常的に把握するかかりつけの機能を推進するため、かかりつけ機能を果たす医療機関には診療報酬を加算する一方、かかりつけ機能を十分に果たしていない薬局への診療報酬は減額するという内容。この新しい診療報酬は今年4月から実施される。
なお、2016年度改定では、医師の人件費や技術料などの「本体」部分を0.49%引き上げる一方、薬の価格などの「薬価」部分は1.33%引き下げ、全体では0.84%引き下げることがすでに決まっている。

2016年度診療報酬改定のポイントは、①外来の機能分化・連携の推進のため、かかりつけ医の評価を強化する、②紹介状なしの受診時に定額負担の徴収を導入する大病院に対し、患者がアクセスしやすい中小病院や診療所で、患者を継続的に全人的な医療を提供する「かかりつけ医」の普及を目指す、③複数疾患がある認知症患者の主治医機能の評価として、「認知症地域包括診療料・加算」を新設するほか、3歳未満の小児が継続して受診する場合に「小児かかりつけ診療料」が算定できるようになる――など。

答申案は、できるだけ住み慣れた地域や自宅で医療や介護を受けられる「地域包括ケアシステム」を推進するため、患者の健康を日常的に把握する「かかりつけ医」や「かかりつけ薬局」への新たな診療報酬を設け、手厚く加算するとしている。小児科の外来で「かかりつけ医」として継続的に患者の診療を行う場合、最大で7120円の「小児かかりつけ診療料」を加算するほか、患者の服薬状況を一元的・継続的に把握し指導を行った際には700円の「かかりつけ薬剤師指導料」を加算するなどとしている。
一方、特定の病院などの近くにあって処方箋が集中していて、かかりつけ機能を十分に果たしていない、「大型門前薬局」については、調剤するたびに支払われる410円の「調剤基本料」を、最大で半額以下に減額する。

医療機関の役割分担を進める観点から、「7対1入院基本料」の施設基準が見直されるそして、大きな病院が高度な治療に特化できるようにするため、紹介状のない患者が大病院を受診する場合、初診の際は5000円以上、再診では2500円以上の窓口負担の徴収を義務化する。さらに、医療費の抑制に向けて、ジェネリック医薬品の使用を促進するため、現在、原則として新薬の60%とされているジェネリックの価格を50%に引き下げるとしている。

また、保険が適用される医療機関で必要以上に湿布の処方を求める患者がいることで医療費がかさんでいるとして、1回の処方につき原則70枚までに制限するとしている。
さらに、薬の飲み残しによる医療費のむだを減らすため、患者に処方する飲み薬の種類を2種類以上減らした場合、2500円を新たに加算する。

このほか、医療の充実が求められる分野では診療報酬を加算するとしている。救急医療を充実させるため、診療時間外の夜間や休日に救急搬送の患者を受け入れた際の診療報酬を6000円に増額するほか、地域のがん医療の充実のため、専従の医師が治療にあたる「がん診療連携拠点病院」がない地域でがん治療を行う病院が患者を受け入れた際は3000円を新たに支払うなどとしている。

薬価と保険医療材料の制度改革については、「革新的な薬・材料評価でメリハリをつける」とした中医協の結論が昨年12月末の同総会で決定されたが、その具体的な内容は今回の答申に反映されている。
革新的な新薬については評価する一方、特許が切れた先発医薬品については後発医薬品への置き換えを進めるなど、メリハリのある改革を行うのが基本的な考え方。市場拡大再算定の特例を新設し、年間1000億円超の売上がある薬の薬価を最大50%引き下げるのも特徴で、国費ベースで280億円程度の引き下げを行う。
従来の市場拡大再算定(年150億円超、かつ予想年間販売額の2倍以上)によっても200億円程度引き下げる。新規に収載される後発医薬品の薬価を、先発医薬品の0.6掛けから0.5掛けに下げるなど、薬価については引き下げ改革が目白押し。一方、革新的新薬については、現行の先駆導入加算を「先駆け審査指定制度加算」に変更し、最大加算率を10%から20%に引き上げるほか、新薬創出・適応外薬解消等促進加算の試行も継続する。

◆虐待判断件数、調査開始以来最高の300件 厚労省
2014年度介護施設従事者による虐待判断件数35.7%増

――厚生労働省
厚生労働省は2月5日、2014年度に通報があった高齢者に対する虐待は1万6039件で、前年度より87件(0.5%)増えたなどとする調査結果を発表した。この調査は「高齢者虐待防止、高齢者の養護者に対する支援等に関する法律に基づく対応状況等に関する調査」(06年度施行の高齢者虐待防止法)の結果で、全国の市町村や都道府県の高齢者虐待への対応状況をまとめたもの。

高齢者虐待防止法では、虐待の疑いに気づいた人に対して自治体への通報が義務づけられた。14年度の通報件数は、過去最多の2万5,791件。介護施設の職員らによる虐待と判断されたもののうち、施設別では特別養護老人ホームが最多の31・7%に上った。施設職員による虐待の被害者は613人で、認知症の高齢者が474人と77.3%を占めた。
要介護施設従事者等の虐待判断件数は前年度(2013年度)比35.7%増の300件で、相談・通報件数は前年度比16.4%増の1,120件と、ともに調査開始以来最高だった。
虐待の事実が認められた施設・事業所の種別は、「特別養護老人ホーム(介護老人福祉施設)」が95件(全体の31.7%)で最多。次いで「有料老人ホーム」67件(同22.3%)、「認知症対応型共同生活介護(グループホーム)」40件(同13.3%)、「介護老人保健施設」35件(同11.7%)の順だった。さらに、虐待を受けた高齢者のうち「身体拘束あり」は239人(同39.0%)だった。

養護者の高齢者虐待は、判断件数が1万5,739件(前年度比8件、0.1%増)、相談・通報件数が2万5,791件(前年度比481件、1.9%増)だった。虐待の種別では、「身体的虐待」が1万805人(全体の66.9%)で最も多く、「心理的虐待」6,798人(同42.1%)、「介護等放棄」3,570人(同22.1%)、「経済的虐待」3,375人(同20.9%)だった。さらに、被虐待高齢者の要介護度が重い場合に、虐待の程度(深刻度)は高かった。

市町村における高齢者虐待防止対応のための体制整備は、「高齢者虐待の対応の窓口となる部局の住民への周知」は81.7%の1,423市町村(前年度1,451市町村)が実施しているが、「関係専門機関介入支援ネットワークの構築」が48.7%の848市町村(前年度878市町村)、「保険医療福祉サービス介入支援ネットワークの構築」が49.2%の857市町村(前年度871市町村)と半数程度の実施に止まっている。また市町村における取り組みが多いほど、高齢者人口当たりの養護者虐待に関する相談・通報件数と確認件数のいずれも多かった。

養護者による高齢者虐待の内訳をみると、相談・通報者(複数回答)で最も多いのは、「介護支援専門員」で32%、次いで「家族・親族」(12%)、「警察」(11%)。
虐待の発生要因(複数回答)は、「虐待者の障害・疾病」が1,152件で最も多く、次いで「虐待者の介護疲れ・介護ストレス」(1,140件)、「家庭における経済的困窮(経済的問題)」(826件)と続いた。
虐待者と高齢者との関係は、「息子」が最も多く、41%を占め、ほかは「夫」(18%)、「娘」(16%)の順だった。また、「虐待者とのみ同居」しているケースがおよそ半数を占め、「虐待者及び他家族と同居」も含めると、8割以上のケースで同居していた。

*高齢者虐待防止法
介護疲れによる肉親の虐待などが後を絶たないことを受けて制定され、2006年4月施行された。高齢者への虐待を「身体的虐待」「介護の放棄・放任」「心理的虐待」「性的虐待」「経済的虐待」の5類型に分類。家庭内や高齢者施設で虐待が疑われる事例を発見した場合は、速やかに市町村に通報しなければならない。通報を受けた市町村は虐待防止や高齢者保護のための適切な措置をとると定めており、立ち入り調査などができると規定している。

◆大型団地を福祉拠点に 大都市圏で150ヵ所  国交省
空き家を介護職員の宿舎に 家賃補助で後押し開始 東京都

――国土交通省
国土交通省の社会資本整備審議会分科会が今年1月末に提示した、来年度から10年間の住宅政策の方向性を描く「住生活基本計画」案に、全国に点在する大型団地のうち150カ所程度に介護サービス施設などを誘致し、地域の医療福祉拠点に転用する主旨の構想が盛り込まれている。この計画案は2016~25年度までの10年間の住宅政策の方向性を示す「住生活基本計画」の原案で今春から具体的に動き出す。
分科会案は、これから加速する高齢化に備えて街づくりを進めることや、生活が苦しい人の住まいの確保を後押ししていくことなどが柱。都市再生機構(UR)の大型団地を地域の「医療福祉拠点」に発展させることや、空き家をより有効に活用していくことなどを打ち出している。不動産市場の活性化に向け、中古住宅の流通規模を25年に8兆円(13年は4兆円)へ倍増する目標も掲げる。

都市再生機構は、地域の医療福祉拠点として活用する23のUR団地を公表した。2018年度までに100団地程度で実施する予定だが、先行して23団地を選定。このうち豊島5丁目団地(東京都北区)での取り組みを1月末に報道関係者向けに公開した。
住み慣れた地域で高齢者が最後まで暮らし続けることができる住環境づくり「健康寿命サポート住宅」の取り組みで、既存のUR賃貸の住戸を改良すると共に、イベントなどで入居高齢者が出歩く機会を設けるなどハード、ソフトの両面で健康寿命の延伸に対応、入居者の募集を開始し入居者の意見を収集する。
「健康寿命サポート住宅」は、手すりの設置など転倒防止に配慮した住戸の改装を行うことで、ケガをしにくい・させない住宅として衰弱・要支援・要介護への移行を遅らせる。加えて、広場や公園、「落語と体操」などのイベント、コミュニティスペースでの活動など散歩したくなるような屋外空間や豊富な社会参画の機会を創出し、健康寿命を延ばす。

国交省は全国の主要な一般道にある「道の駅」の機能も強化する。地元特産品を買える免税店や診療所を設け、観光や地域福祉の中核拠点に育てる。すでに先進的な取り組みを行う全国数十カ所のモデル事業を選びシミュレーションを行っている。2015年現在、道の駅は全国に1030カ所あり、主に地方自治体が設置している(2015年現在)。

●介護の担い手の確保と災害への備える――東京都
東京都は来年度から、要援護者らの災害時の避難場所に指定されている介護施設の事業者が、雇用する職員の宿舎として空き家を活用していく構想をこのほど発表した。介護の担い手の確保と災害への備え、空き家問題の対策を同時に進めることが狙いだ。
東京都では、2025年までに約3万6000人の介護職員が不足すると見込まれている。空き家は約81万7000戸(2013年)あり、これらが今後の大きな課題として位置づけられてきた。

都内にある「福祉避難所」は、2013年4月1日の時点で約1200ヵ所。学校や公民館といった一般の施設では対応しにくい高齢者などの受け皿として、介護施設や障害者施設、保健センターなどが選ばれている。新たな補助の対象になるのは、この福祉避難所に該当する介護施設の事業者。もしもの時に素早く駆け付けられるよう、周辺の空き家などを職員用の住まいとして借りるケースだ。

金額は一か月あたり最大で7万円を想定。来年度の予算に約2億円の経費を盛り込む方針で、来月にも議会で提案する予定だという。こうした取り組みは全国でも珍しく、担当者は「家賃の補助で介護職員の待遇改善を後押しするとともに、災害時の対応力の強化や空き家の有効利用にもつなげたい」と話している。

◆消費者庁、特別用途食品認定拡大へ検討会スタート
糖尿病向け配食など、医療・介護の利用広げる狙い

――消費者庁
通常の食事がとれない病気の人などのために特別の配慮がされた食品を国が認定する「特別用途食品」を増やすことを目指し、消費者庁が2月9日、検討会をスタートさせた。糖尿病向けの食品などに対象を広げたり、表示も分かりやすくしたりして医療や介護での利用拡大を促す。今秋に最終報告をまとめる予定。
特別用途食品は同庁が審査・許可する。現在は栄養に特別な配慮を必要とする病気の人向けの「病者用食品」や、飲み込む力が弱い人向けの「えん下(げ)困難者用食品」など4区分があり、59点の食品が認められている。
一方、病院や介護施設向けに開発された食品は3千品目以上ある(日本健康・栄養食品協会の研究会調べ)。その大半は特別用途食品になっていない。
検討会では、医療・介護現場からの要望に基づき、新しい区分を追加することを検討する。例えば、糖尿病患者のための宅配食などは、現在は「カロリー制限食」などの表示で売られている。対応する区分を作れば、糖尿病向けであることを明確に表示できる。
口に入れた食品が誤って気管に入り肺炎になるのを防ぐため、液状の食品や飲料に「とろみ」をつける粉末状の調整食品を対象に加えることも検討する。

特別用途食品とは(消費者庁パンフレットから抜粋)
病者用、妊産婦用、授乳婦用、乳児用、えん下困難者用などの特別の用途に適する旨の表示をする食品のこと。保健機能食品制度」は、食生活が多様化し様々な食品が流通する今日、消費者の方が安心して食生活の状況に応じた食品の選択ができるよう適切な情報提供をすることを目的として創設された制度。
特定保健用食品―「保健機能食品」は、「栄養機能食品」と「特定保健用食品」の2つに分類される。分類は、ほかに一般食品(いわゆる健康食品を含む)、医薬品(医薬部外品を含む)がある。

特別用途食品とは、乳児、幼児、妊産婦、病者などの発育、健康の保持・回復などに適するという特別の用途について表示するもので、特別用途食品として食品を販売するには、その表示について国の許可を受ける必要がある。
特別用途食品には、病者用食品、妊産婦・授乳婦用粉乳、乳児用調製粉乳及びえん下困難者用食品がある。表示の許可に当たっては、許可基準があるものについてはその適合性を審査し、許可基準のないものについては個別に評価を行っている。 健康増進法に基づく「特別の用途に適する旨の表示」の許可には特定保健用食品も含まれる。
特定保健用食品(トクホ)とは?
特定保健用食品は身体の生理学的機能等に影響を与える保健機能成分を含んでいて、「お腹の調子を整える」など、特定の保健の目的が期待できることを表示できる食品。このような、「保健の用途」を表示するには、個別に生理的機能や特定の保健機能を示す有効性や安全性等に関する科学的根拠に関する審査を受け、消費者庁長官の許可を受けることが必要(健康増進法第26条)。 許可を受けたものには許可証票がつけられている。

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