新着情報

ホーム > 新着情報 > 介護経営情報(2016年2月26日号)

介護経営情報(2016年2月26日号)

2016/3/7

◆EPA介護福祉士の業務範囲を入院機関や訪問介護に拡大
外国人介護人材検討会 定員30人以上の特定施設入居者介護

――厚生労働省
厚生労働省は2月19日、「外国人介護人材受入れの在り方に関する検討会」を開催し、「厚生労働省はEPAの更なる活用方策に関する論点」を検討した。現在、2国間経済活動の連携強化のため、経済連携協定(EPA)に基づき、外国人介護福祉士候補者の受け入れが特例的に行われている。
受け入れの基本的なフレームとしては、来日後に語学研修と介護研修を受けつつ、受け入れ現場で就労・研修し(特定活動という)、4年目に介護福祉士の国家試験にチャレンジするもので、合格すればそのまま継続して就労、不合格の場合は1年後に再チャレンジし、重ねて不合格の場合は帰国することになる。
これまでの1年間の流れをみると、管理団体による指導不足や人権侵害の保護が不十分であることから、今後の在り方の基本的な考え方として 『技能等の修得・移転を確実に達成する受入れ機関についてのみ受入れを認め、あわせて、技能実習生の人権保護の強化や監理団体の監理体制の強化及び関係機関による監視体制の構築等を目指し、技能実習制度から不適正団体を排除する』としている。

EPAの活用方策の論点として、厚労省は(1)EPA介護福祉士候補者の受け入れ対象施設の範囲拡大、(2)1施設当たりのEPA介護福祉士候補者の受け入れ人数の下限見直し、(3)EPA介護福祉士の就労範囲拡大――について整理して提示した。

(1)に関して、「EPA介護福祉士候補者」は限られた滞在期間の中で介護福祉士国家試験に合格する必要があり、受け入れ施設には実務経験として認められる業務や研修体制などが求められている。今回、厚労省は受け入れ開始以降の経験を踏まえて新たな対象施設を、次のように提案した。
●定員30人以上の特定施設入居者介護
●定員30人以上の入所施設と併設する定員29人以下の介護老人保健施設・介護療養型医  療施設・地域密着型介護老人福祉施設・養護老人ホーム・地域密着型特定施設入居者生活介護
●定員30人以上の入所施設が本体施設のサテライト型の介護老人保健施設・地域密着型介護老人福祉施設・養護老人ホーム・地域密着型特定施設入居者生活介護

(2)では、身近に相談できる体制が取れるため、定員30人以上の入所施設や、同一敷地内にて一体的に運営されている通所介護等のいずれかにおいて、同じ国出身のEPA介護福祉士候補者がいる場合などに、1人から(現在は原則2人以上)の受け入れを可能にすることを提案した。
(3)では、「EPA介護福祉士」の就労範囲に制限をつける理由が乏しいため、介護福祉士の国家試験の受験資格要件で「介護」の実務経験として認められる業務範囲の訪問介護・入院医療機関など対象を全般に拡大する。

現在、検討会には2025(平成 37)年に向けて、最大で約 250 万人規模の介護人材 を確保するには、国内の人材確保対策を充実・強化していくことが基本にある。したがい外国人を介護人材として安易に活用するという考え方は採るべきではないという認識で一致している。
この点に関し、国内人材の確保に向けた具体的方策の在り 方については、現在、社会保障審議会福祉部会福祉人材確保専門委員会において検討を進めているところであり、それらを踏まえた「総合的な確保方策」をとりまとめるとともに、具体的な施策が講じられる予定である。

◆2018年度介護保険制度改正に向け本格議論始まる
社保審介護保険部会 「軽度者」が給付抑制の焦点

――財務省
介護保険制度の見直しを議論する社会保障審議会(社保審)介護保険部会が2月16日に開催され、「軽度者」が給付抑制、制度の持続可能性のためとされる「被保険者の年齢引き下げ」等が大きな焦点となる。
政府の制度に対する考え方は一つ。介護の必要度が低い軽度の人向けの生活援助サービスを介護保険から外すことや、利用者の負担を引き上げることで、少しでも経費の負担を減らしたいということ。いうまでもなく高齢化に伴って年々増え続ける介護の費用の伸びを抑え、保険料の上昇を抑えたいからだ。介護保険部会がどこまで制度の問題点に切り込めるかも注目される。

今後の予定は、2016年4月~17年4月までの1年間に次期介護保険法の取りまとめを行う。次に18年4月の施行までに制度の改正法案をまとめる作業を行う。介護報酬改定は17年4月から介護給付費分科会で18年4月まで議論を詰めていく。
今後、介護制度をめぐる大きなエポックは、今年4月から小規模通所介護地域密着化が開始される。17年4月には全市町村で新総合事業が開始される。17年の通常国会に介護保険改正法案を提出する。18年4月からはケアマネ事業所の市町村指定が開始される、などである。
今後の予定に向け社保審介護保険部会など担当機関には、特に介護制度の今後のありかたを決めるとされる本格的な議論が待っている。厚労省は今後、介護保険部会を月に1回から2回のペースで開き議論を深めていく工程を組んでいる。

この日の部会は冒頭に厚労省が介護保険を取り巻く状況を説明した。75歳以上の人口が急激に増え、給付費や保険料の上昇が続いていくという将来像を改めて強調した。続いて、最近の政府の動きを紹介した。昨年6月に閣議決定された「骨太の方針」を取り上げ、向こう3年の社会保障費の伸びを1.5兆円程度に抑えるという目安や、軽度者に対する介護の給付を見直すという記載が盛り込まれたと報告した。

最大の争点と予想されるのは、財務省からムダを指摘されていた軽度者への給付の削減、福祉用具・住宅改修の見直しだ。制度の持続可能性のためとして、厚労省は被保険者の年齢引き下げも論点にあげた。介護保険部会は介護保険制度のこれからを方向づけを議論する中核的な存在となる。すでに全国老人福祉施設協議会から「軽度者サービスの移行」に関する意見書が厚労相あてに届いている。

この日、厚労省から次期介護保険制度改正に向けた「主な検討事項案」が提示された。しかし検討項目に利用者負担や慢性期・介護ニーズ対応などが出たが、初回ということもあってか、具体的な中身には触れなかった印象だった。厚労省は介護保険制度の見直しにあたって、これまでの制度改正などの取り組みをさらに進めて、(1)地域包括ケアシステムの推進、(2)介護保険制度の持続可能性の確保―に取り組むことが重要と説明し、部会で今後検討する事項を提案した。

(1)では、地域の実情に応じたサービスの推進(保険者機能の強化等)を掲げ、「保険者等による地域分析と対応」、「ケアマネジメントのあり方」、「サービス供給への関与のあり方」を検討する。また、医療と介護の連携に関しては、「慢性期の医療・介護ニーズに対応したサービスのあり方」、「在宅医療・介護の連携等の推進」について議論する。現在、介護療養病床・医療療養病床(25対1)が提供している機能を担う新たな療養病床等の選択肢として、「療養病床の在り方等に関する検討会」がまとめた新施設類型を具体的に議論する見通し。
さらに、地域支援事業・介護予防の推進に関して、「地域支援事業の推進」、「介護予防の推進」、「認知症施策の推進」について検討。サービス内容の見直し・人材確保に関しては、「ニーズに応じたサービス内容の見直し」、「介護人材の確保:生産性向上・業務効率化等」を議論するとしている。

(2)では、給付のあり方に関して、「軽度者への支援のあり方」、「福祉用具・住宅改修」を検討することを提案。また、負担のあり方に関して、「利用者負担」、「費用負担:総報酬割・調整交付金等」を議論するとしている。このほか、保険者の業務簡素化(要介護認定等)や被保険者の範囲なども検討される見通し。

このように厚労省の主な論点は軽度者に対する給付や地域支援事業、ケアマネジメント、利用者の自己負担、認知症の支援、人材の確保などを議題に載せる考え。部会委員からは、軽度者に対する給付をさらに縮小する案に反対する意見や、人材の確保のために思い切った施策を打つよう求める声が多くあがった。厚労省は今後、来年の通常国会に介護保険法の改正案を提出する予定。年内にその内容を固めたい考えで、部会を月に1回から2回のペースで開き議論を深めていく工程を目論んでいる。

「軽度者向けサービス移行」の地域支援事業に懸念 老施協
全国老人福祉施設協議会は2月15日、「軽度者サービスの移行」に関する意見書を塩崎恭久厚生労働大臣と自由民主党に提出した。軽度者サービスの移行とは、財務省の財政制度等審議会から提案された軽度者向け介護保険サービスを地域支援事業へ移行するもの。

現時点での厚労省の対案は、軽度者に対する給付のあり方や利用者の自己負担、「総報酬割」の導入などを今後の論点として提示している。これまでの議論では、今より多くのサービスを地域支援事業に移行させたり、利用料を2割とする人を増やしたりする案が浮上している。

老施協は軽度者を介護保険制度のデイサービスの対象から除外することは、認知症利用者への対応を希薄化させるばかりか、家族介護を前提としかねない制度的リスクがあると批判。そのうえで、「改革が財政論に偏ったものになることに強い懸念と不安感を持っている」と述べている。老施協の東憲太郎会長は、政府が「介護離職ゼロ」に向けて打ち出した再就職の後押しなどの施策を取り上げ、「これで人材が確保できる、増えると言うのはかなり厳しい」と断じた。UAゼンセン日本介護クラフトユニオンの陶山浩三会長は、「根本の問題は処遇だ。先の人生に夢が持てない、という処遇に著しい問題がある。処遇が改善されれば人は自然と集まる」と主張した。

◆2015年医療・福祉業平均給与は前年比0.1%減の29万3,452円
確定値年報 産業全体では31万3,801円(同0.1%増)

――厚生労働省
厚生労働省は2月23日、「毎月勤労統計調査 2015年分結果確報」を発表した。常用労働者5人以上の約3万3,000事業所を対象に、賃金や労働時間、雇用の変動を調査しており、年報としてまとめた。

平均の月間現金給与総額は、医療・福祉業で29万3,452円(前年同月比0.1%減)、産業全体では31万3,801円(同0.1%増)だった。
医療・福祉業の現金給与総額の内訳は、定期給与24万8,570円(同0.9%増)、特別給与(賞与、一時金など)4万4,882円(同4.9%減)。産業全体では、定期給与25万9,244円(同0.2%増)、特別給与5万4,557円(同0.8%減)だった。
年次の推移を見ると、5年前の2010年に比べ、医療・福祉業は現金給与総額が1.3%減少し、このうち定期給与は0.2%の減少。なお、医療福祉業の中では、医療業で現金給与が同0.5%減少し、このうち定期給与が同0.5%増加。社会保険・福祉業等で現金給与が同1.5%減少し、このうち定期給与が同0.4%増加している。

月間の総実労働時間は、医療・福祉業では135.4時間(同増減なし)で、このうち、所定外時間(早出、残業など)は5.1時間(同4.3%減)。産業全体では、総実労働時間が144.5時間(同0.3%減)で、このうち、所定外労働は11.0時間(同1.0%減)だった。
また、労働者総数は、医療・福祉業は、644.7万人(同3.1%増)、このうち一般労働者449.1万人(2.2%増)、パートタイム労働者195.6万人(同5.4%増)。さらに入職率は2.01%(同0.16ポイント増)、離職率は1.82%(同0.10ポイント増)だった。

同日に厚生労働省は「毎月勤労統計調査(2015年12月分)確報」を発表した。常用労働者5人以上の約3万3,000事業所を対象に、賃金や労働時間、雇用の変動を調査している。
月間の平均現金給与総額は、医療・福祉業で24万8,271円(前年同月比0.1%減)、産業全体では25万9,702円(同0.4%増)だった。
医療・福祉業の現金給与総額の内訳は、定期給与23万3,892円(同0.4%増)、特別給与(賞与、一時金など)25万7,381円(同0.6%増)。産業全体では、定期給与23万9,310円(同0.4%増)、特別給与28万4,567円(同0.4%減)だった。

月間の総実労働時間は、医療・福祉業では133.9時間(同0.1%増)で、このうち、所定外時間(早出、残業など)は5.2時間(同7.1%減)。産業全体では、総実労働時間が143.8時間(同0.2%減)で、このうち、所定外労働は11.4時間(同0.9%減)だった。
また、労働者総数は、医療・福祉業は、652.6万人(同3.4%増)、このうち一般労働者453.4万人(2.0%増)、パートタイム労働者199.2万人(同6.4%増)。さらに入職率は1.28%(同0.06ポイント増)、離職率は1.35%(同0.18ポイント増)だった。

◆2014年度後期高齢者医療制度は1,626億円の経常黒字
厚労省 平成26年度 後期高齢者医療制度の財政状況等

――日本政策金融公庫
厚生労働省は2月9日、2014年度の「後期高齢者医療制度(後期高齢者医療広域連合)の財政状況等」について、速報値を公表した。2014年度の実質的な単年度収支(前年度国庫支出金等精算後)は801億円の黒字。収支状況は収入合計が13兆9,553億円、支出合計が13兆7,927億円であり、収支差引額(経常収支差)は1,626億円の黒字だった。
収入は保険料収入(1兆631億円)が被保険者数の増加などのため前年度比3.8%増加。また、国庫支出金、都道府県支出金、市町村負担金・後期高齢者交付金は保険給付費増加のため増加した。支出は保険給付費が13兆4,289億円にのぼり、被保険者数や1人あたり保険給付費の増加などのため、前年度比2.2%増加した。
被保険者数は2014年度末時点で1,577万人で、前年度末から2.1%(33万人)増加。一方、保険料収納率は全国平均で99.26%、これは前年度比0.01ポイント増加(改善)している。

●平成24年度後期高齢者医療制度(後期高齢者医療広域連合)の財政状況等について(速報)
後期高齢者医療制度の実施主体である都道府県後期高齢者医療広域連合の平成24年度の財政状況等について速報値が公表された。 主要点は次の通り。
・単年度収支(前年度国庫支出金等精算後)は285億円の黒字。
・前年度からの繰越金等を反映した収支は2,999億円の黒字。
・保険料収納率は、全国平均99.19%。

1.後期高齢者医療広域連合の財政状況
(1)収入・・・ 保険料収入(9,922億円)は、被保険者数増、保険料率改定等により対前年度比9.4%増となっている。また、国庫支出金、都道府県支出金、市町村負担金及び後期高齢者交付金は、保険給付費増により増加している。
(2)支出・・・ 保険給付費(12兆6,869億円)は、被保険者数、1人当たり保険給付費増等により対前年度比3.2%増となっている。
(3)収支状況・・・ 単年度収入(経常収入)13兆210億円、単年度支出(経常支出)12兆8,222億円であり、単年度収支差引額(経常収支差)1,988億円、前年度国庫支出金等精算後の単年度収支285億円となっている。単年度収支に前年度からの繰越金等を反映すると、収入合計 13 兆2,368億円、支出合計12 兆9,368億円であり、収支差引合計は2,999億円となっている。

2.被保険者数等
(1)被保険者数は、平成24年度末現在1,517万人で、平成23年度末より3.0%(43万人)増となっている。
(2)保険料収納率は、平成24年度全国平均99.19%で、平成23年度より0.01%ポイント減となっている。
(注)速報値であるため、数値は変わり得る。(出所) 後期高齢者医療事業状況報告及び厚生労働省保険局高齢者医療課調べ

お問い合わせ・ご相談はこちら

お問い合わせ・ご相談はこちら

お問い合わせ・ご相談はこちら

お電話
  • 【フリーダイヤル】0120-136-436
  • Tel.06-6222-0030
執務時間
  • 月曜日~金曜日
    午前9:00~午後5:30

お問い合わせメールフォーム

些細なことでも気兼ねなくお問い合わせください。「はい、日本クレアス税理士法人です」と電話を取ります。その後に「ホームページを見て」と言っていただけるとスムーズに対応できます。