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介護経営情報(2016年4月8日号)

2016/4/12

◆高齢者のQOL向上目指す「保険外サービス活用ガイドブック」
厚労・経産・農水3省 包括ケアシステム構築の参考事例集

――厚生労働省、経済産業省、農林水産省
厚生労働省、経済産業省、農林水産省の3省は、事業者及び地方自治体が公的介護保険外サービスを創出・活用するにあたって参考となる事例やノウハウを掲載した「地域包括ケアシステム構築に向けた公的介護保険外サービスの参考事例集」(保険外サービス活用ガイドブック)を作成し各省のニュースリリース、ホームページを中心として公開している。

経済産業省は、昨年 6月の「日本再興戦略」改訂 2015 の策定を踏まえ、公的保険外の介護サービスの活用を図るため、「地域包括ケアシステム構築に向けた公的介護保険外サービスの参考事例集」(保険外サービス活用ガイドブック)を厚生労働省、農林水産省と連名で策定した。この事例集は、全ての高齢者向けのサービス分野として、見守り、食事、買い物といった基本的な生活を支える分野だけでなく、旅行・外出や趣味なども含め、幅広い領域の具体的事例を、企業名等とともに掲載してある。

例えば、利用者から多く支持を集めるものとして、運動や介護予防、化粧・美容に関わるサービスが挙げられ、「コミュニケーションそのもの」を重要視するものが、サービス化・商品化の可能性につながると位置付けている。
経済産業省は、今後も引き続き、高齢者や家族、保険者、ケアマネジャー等がアクセスしやすい環境を整備したい考えだ。また、高齢者が地域で自分らしい暮らしを続けることができるよう、多様化するニーズに対応するとともに、保険外サービス情報の一元化を目指す方針。

厚労省のガイドブック作成の狙いは「全ての高齢者向けの保険外サービスの事例を調査したものではないが、サービス分野として、見守り、食、買い物といった基本的な生活を支える分野に留まらず、旅行・外出や趣味なども含め、幅広い領域の事例を取り扱うことを心がけた」という。
中でも「加齢によってできなくなったことのカバーする」すなわち、「マイナス状
態をゼロに戻す」サービスに限らず、介護予防や介護状態の改善につながるものや、「ゼ ロからプラス」の喜びや楽しみにつながる、つまり、QOL の向上に寄与するサービスを積極的に取り上げている。

団塊の世代が75歳以上となる2025年を目途に、重度な要介護状態となっても住み慣れた地域で自分らしい暮らしを人生の最後まで続けることができるよう、住まい、 医療、介護、生活支援・介護予防が一体的に提供される「地域包括ケアシステム」の構築を推進している。
今後、認知症高齢者や単身高齢世帯等の増加に伴い、 医療や介護サービス以外にも、在宅生活を継続するための日常的な生活支援等を必要とする高齢者の増加が見込まれる。そこに保険外のニーズが埋設されていてその発掘が不可欠となる。

こうした地域包括ケアシステムを補完・充実していくためには、介護保険等の社会保険制度や公的サービスに加え、ボランティアや住民主体の活動等である「互助」、市場サービス購入等である「自助」を充実していく必要がある。
一方で、現状の介護分野においては、介護保険内サービスと「自助」のサービスを併せて高齢者に提供することが必ずしも地域に根ざしておらず、高齢者の多様なニーズに必ずしも対応できていないという課題や、事業者及び自治体の担当者も、保険外サービ ス活用の事例が少ないため、踏み込むことに躊躇しているなどの課題が存在している。

こういった現状を踏まえ、昨年6月に策定された「日本再興戦略」改訂2015におい ては、『地域包括ケアシステムと連携した民間サービスの活用を促進するため、生活支援・介護予防サービス・介護食の分野において、事業者及び地方自治体が公的保険外サービス創出にあたって参考とする「保険外サービス活用ガイドブック(仮 称)」を策定し、地域に展開することが必須条件となっている。

◆救急搬送による「転院」のルール化を要請 消防庁・厚労省
「転院搬送における救急車の適正利用の推進」で各県に通知

――消防庁、厚生労働省
消防庁と厚生労働省は3月31日付けで、「転院搬送における救急車の適正利用の推進」について、通知を発出した。救急搬送件数は年々増加し、救急搬送人員数が10年前と比較して 3 割以上増加し、2011年には過去最多となった。

特に救急搬送人員数の約半数を占める軽症と中等症の増加が著しい。救命率に影響が出かねない、救急車の頻回利用など「不適正な利用の抑制」が必要と指摘している。
そのため、2015年度の「救急業務のあり方に関する検討会」で、救急出動の1割弱を占める転院搬送に関して、消防庁と厚労省が救急車の適正利用を促すガイドラインを作成した。各都道府県でガイドラインを参考に、消防機関、医療機関などの関係者間で、転院搬送での救急車の利用のルールを定めることが適正利用に有効としている。

検討会では具体的な提言を「消防機関以外の救急救命士の活用」「救急車の適正利用の推進」「緊急度判定体系の普及(ワーキンググループの設置)」など7項目の具体的な提言を行っている。なお提言には「東京五輪(オリンピック・パラリンピック)対応」も含まれている。
通知では、都道府県知事に対して、各地域のルール化に向けた合意形成支援を行うよう求め、ルール化の手順とガイドライン(「救急業務として転院搬送を行う場合のルール化について合意形成を行う際の参照事項」)を示している。

手順では、「都道府県の役割」は合意形成に向けた技術的な支援をすることと述べ、医療機関の救急車や消防機関が認定する患者等搬送事業者などの活用などを検討することを要請。さらに、「地域における合意形成」に関して、合意形成を行う区域を越えた転院搬送を行う場合などの区域間の調整を実施するよう求めている。
ガイドラインで示されている主な内容は、次のとおり。
●消防機関が救急業務として行う転院搬送は、原則として、緊急性または専門医療等の必要性がある傷病者で、医師が他の搬送手段を活用できないと判断する場合に実施する。
●消防機関が救急業務として転院搬送を行う場合、原則を踏まえ、「要請元医療機関が、あらかじめ転院先を決定し、受け入れの了承を得ること」、「原則として要請元医療機関の医師・看護師が同乗し、同乗できない場合は家族らに了承を得ること」、「要請元医療機関が消防機関に対し、転院の理由などを示した転院搬送依頼書を提出すること」などを関係者間で検討し、ルール化する。
●ルール策定にあたって、「他の救急業務に支障を生じさせる恐れのない転院搬送の地理的な範囲」、「消防機関と医療機関との間ですでに設けられている一定のルールに基づいた事項」、「その他、医療機能分化・連携の進展状況等を踏まえ、地域の実情に応じ、特に定める必要がある事項」などを検討する。

転院搬送について、横浜市安全管理局の広報が非常に分かりやすく説明されていて見本のように引用されている。
「転院搬送とは、いったん医療機関に収容された患者を当該医療機関において急な症状の悪化や、より専門的処置を必要とする場合に緊急に他の医療機関に搬送する必要がある場合に、医療機関からの依頼に基づき出場するものです。」(横浜市安全管理局HPから引用)
横浜市生活安全局のHPでは医師及び医療機関に勤務されている専門家向けに広報されている。転院搬送の用件に該当しない患者は民間救急やタクシーを活用してくださいと訴えている。医師や医療機関に勤務する人も救急車の適正な利用ができていないと言うくらい救急現場は厳しい現実に置かれている。

◆外来医療費約45億円、入院医療費は約71億円で全体の25.5%
国保・後期高齢者医療制度などを有識者ヒアリング 社会保障WG

政府は3月31日、経済・財政一体改革推進委員会の「社会保障ワーキング・グループ(WG)」を開催し、テーマは2点で一つは国保・後期高齢者医療制度、予防・健康づくりの社会システム化などについて有識者からヒアリングと後期高齢者・精神疾患患者による高度救命医療費の利用状況の説明があった。
具体的には(1)自治体の国民健康保険・後期高齢者医療制度医療・介護費分析から見えてくる医療費の使われ方、(2)予防・健康づくりの社会システム化、(3)社会保障制度のサステナビリティ(持続可能性)を維持するために医療介護情報をいかに活用すべきか-について、有識者が説明に立った。(1)広島大学大学院の森山美知子教授が「高度救命医療・在宅医療に関する分析」、(2)東京大学の古井祐司健康経営研究・特任教授が「データヘルス計画導入の有用性」、(3)産業医科大学の松田晋哉教授(医学部・公衆衛生学)が、情報のデータベース化の経験から「医療介護情報の活用の仕方」を、それぞれ説明した。
 
ここでは(1)を紹介する。広島大学大学院の森山美知子教授は「高度救命医療・在宅医療に関する分析」を示し、多くの後期高齢者が心不全、悪性新生物、脳卒中、呼吸不全、精神疾患などで高度救命医療費を利用している現状を報告した。
患者1人あたりの請求金額は、どの年齢層でも100万円を超えており、特に、心不全患者の外来医療費は約45億円で全体の14.6%、入院医療費は約71億円で全体の25.5%を占めていると指摘した。
 
また、精神疾患患者に関して、医療費の総計では「4つの病床分類に分類されない精神科を有する医療機関」が最も高く、26億円に上ると指摘。要因として、高度急性期や急性期の医療機関からの転院先として利用されているものの、社会復帰が困難等の理由から長期入院につながりやすいと推測している。
さらに、精神疾患に対する薬物療法には、不眠症や便秘、胃腸症状などの副作用があるほか、コントロール不安定時に適切な食事・身体活動が困難になるため、高血圧、脂質異常症、糖尿病などを引き起こし、高度医療の使用につながると指摘。心身状態、生活状況などを包括的に評価して、社会資源につなげる支援が必要と提案した。
このほか、「ジェネリック医薬品に関する分析」として、政府の目標値が2017年度中に70%以上であるのに対し、ある市の後発医薬品の使用割合は60.3%であると報告。目標値を達成すれば、12~15億円の削減が見込めると述べた。

2016・17年度の後期高齢者保険料、1人平均月額5,659円 
厚生労働省は4月1日、後期高齢者医療制度の平成28・29年度の保険料率を発表した。発表によると、平成 28・29 年度の被保険者一人当たり平均保険料額は、全国平均で月額 5,659 円となる見込み。平成 26・27 年度の 5,632 円から、2年分で 27 円(0.5%)増加)。
2016・2017年度の被保険者1人あたりの平均保険料額は、全国平均で月額5,659円(2014・2015年度の5,632円に比べ、27円・0.5%増加)となる見込み。
  
被保険者均等割額は、年額4万5,289円(2014・2015年度4万4,980円)、月額3,774円(同3,748円)。所得割率(所得比例部分)は9.09%(同8.88%)。平均保険料額は、年額6万7,904円(同6万7,585円)、月額5,659円(同5,632円)。年金収入別の保険料額で見ると、基礎年金受給者(年金収入78万円)で377円、厚生年金受給者の標準的な年金額(年金収入188万円)で3,213円と例示している。
  
都道府県別に被保険者1人あたりの平均保険料額を見ると、最も高いのは東京都の7,958円(2014・2015年度比139円・1.7%減)、逆に最も低いのは秋田県の2,963円(同167円・5.3%減)だった。

◆在宅でも施設でも食生活の向上を目指すことが重要に
在宅介護高齢者の介護食品の使用・調理実態を出版

――(株)矢野経済研究所
マーケットリサーチ会社の(株)矢野経済研究所(東京都)は、今年3月下旬にマーケットレポート「在宅介護高齢者における介護食品の使用・調理実態と製品評価」を発刊した。販売は現在、継続して行われている。

調査はインターネットで全国の在宅介護高齢者(65歳以上の介護認定者)1,007名を対象に調査したもので、「介護度別(6区分)」「嚥下度別(4区分)」「年齢別(3区分)」「性別(2区分)」で詳細な分析がされている。病態や食事指導、健康維持・増進策、不足栄養素などを把握して、高齢者の真の食ニーズが明確化されているので、在宅介護高齢者の食事状況を把握でき、予防・介護食品事業に活用ができる。

主食・主菜・副菜・デザート・おやつ・飲料ごとに食嗜好を把握できるのでメニュー開発に応用可能なことから、在宅配食サービスの利用状況を把握でき、販売提携先の開拓に利用できる。そのほか、介護食品ビジネスのマーケティング戦略立案や実行へのヒントが満載されている。

入院・在宅患者や入所・在宅高齢者のQOLを重視する傾向は益々強まっており、特に食事の質的向上は病院、高齢者施設、在宅のいずれにおいても喫緊の課題となっている。『介護食品』の市場は急速に拡大しており、“やわらか食”や“とろみ調整食品”など、新規参入が活発な製品が市場を牽引し、様々な機能性付加や味の改良を謳って品揃えを強化する企業は増加している。
参入企業の顔ぶれは、乳製品、調味料、冷凍食品、惣菜などの食品系メーカー、医薬品、介護用品、衛生材料などの医薬・医療品系メーカーなど様々である。本調査レポートでは、在宅で生活する介護認定高齢者を対象に、インターネット消費者調査『在宅介護高齢者における介護食品の使用・調理実態と製品評価』を実施した。在宅で生活する介護高齢者が食事で気を遣っている事や困っている事、既製品の介護食品の使用状況や製品評価、食材の買い物場所や品揃えの評価、調理の担当者や調理方法、在宅配食サービスの利用状況、食事をする際の不満や不便さなどの食事関連項目を中心に、罹患・通院状況、生活に関する不満や要望、健康や食に関する情報入手方法や相談者などの生活関連情報についても調査を行った。

特に食事の質的向上は病院、高齢者施設、在宅のいずれにおいても緊急課題となっている。入院あるいは在宅患者や入所・在宅高齢者のQOL(生活の質)を重視する傾向は益々強まり、特に食事の質的向上は病院・高齢者施設・在宅のいずれにおいても課題だ。そこで矢野経済研究所は、在宅で生活する介護認定高齢者を対象としてインターネットモニターを利用した消費者調査を実施した。

資料のポイント
▼全国の在宅介護高齢者(65歳以上の介護認定者)1,007名を対象に調査
▼介護度別(6区分)、嚥下度別(4区分)、年齢別(3区分)、性別(2区分)で詳細な分析をし、病態や食事指導、健康維持・増進策、不足栄養素を把握し、高齢者の真の食ニーズを明確化した
▼在宅介護高齢者の食事状況を把握でき、予防・介護食品事業の戦略立案に活用可能
・主食、主菜、副菜、デザート、おやつ、飲料ごとに食嗜好を把握でき、メニュー開発に応用可能
▼在宅配食サービスの利用状況を把握でき、販売提携先の開拓に利用可能
▼介護食品ビジネスのマーケティング戦略立案、実行のヒントが満載
書籍体裁:A4/253頁 書籍:定価237,600円(本体220,000円 消費税17,600円)

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