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介護経営情報(2016年4月15日号)

2016/4/20

◆10%消費税対応、薬価調査の有無2016年央までに決定 
中医協・総会 消費税率引き上げに向けた進め方案

――中央社会保険医療協議会(中医協)
4月13日、中央社会保険医療協議会(中医協)の総会が開かれ、「2017年4月の消費税率引き上げに向けた進め方案」を議論した。中医協構成委員から大きな異論は出されず、了承された。
10%へ消費税率引き上げの対応に関して、厚生労働省は3月30日に開催した診療報酬調査専門組織「医療機関等における消費税負担に関する分科会」での議論をベースにして総会に提案した。基本になった8%への引き上げ時に実施した医療経済実態調査、薬価調査等、投資調査の3種類の調査のうち、委員から医療経済実態調査は不要との声が多く出て、薬価調査等については意見が割れた。投資調査は次回の分科会で再度検討する。

厚労省からの提案内容は(1)薬価調査・特定保険医療材料価格調査、(2)医療経済実態調査、(3)医療機関等の設備投資に関する調査――の3項目にまとめて報告した。
(1)では、支払側委員からは患者・国民に過度な負担を掛けないよう、調査実施の上で 2%分(消費増税分)を上乗せすべきと意見が出され、他方、診療側委員からは調査の実施要否を慎重に検討すべきと意見が寄せられている。
薬価調査は未妥結減算の対応時期と重なり、現場の負担が大きいため、正確な価格把握は難しいのではないかとの声に対し、支払側委員からは「調査負担は理解できるが、1997年対応時も調査しており、調査を実施すべき」と主張している。
(2)は、支払側委員・診療側委員双方が、費用構造は1年で大きな変化がなく、現場の負担になるため、2016年に改めて調査を行う必要性は低いとしている。
(3)では、支払側委員・診療側委員ともに、前回(2013年)実施した調査は回答施設に偏りがある可能性や、回答率の低さなどの問題があり、調査を実施する場合、内容・方法を工夫する必要があると述べている。
  
これらを踏まえて、今回、厚労省からは総会に対して消費税率引き上げに向けた中医協の進め方を、次の通り提案した。
●薬価調査・特定保険医療材料価格調査の実施は、今後、中医協でヒアリングを実施した上、消費税率10%への引き上げに伴う薬価改定、特定保険医療材料価格改定の方法が決定していく中で、本年(2016年)央までに決定する
●医療経済実態調査は、消費税率引き上げに向けた調査は行わない
●医療機関等の設備投資に関する調査は、消費税分科会で引き続き議論を行い、報告を待つ

◆救改正行政不服審査法 審査請求期間を「3カ月」に改正 
総務省 不服を申し立てる制度を50年ぶり抜本的見直

――総務省
総務省は、行政処分に関し国民が行政庁に不服を申し立てる制度(不服申立て)について、 関連法制度の整備・拡充等を踏まえ、①公正性の向上、②使いやすさの向上、③国民の救済手段の充実・拡大の観点から、制定後50年ぶりに「国民ニーズ」の視点に立ち抜本的な見直しを行っている。
行政不服審査制度(3法案)とは ・行政処分に関し、国民がその見直しを求め、行政庁に不服を申し立てる手続。国と地方公共団体に共通に適用/税、社会保険、生活保護など、原則、全ての行政分野が対象 ・簡易迅速な手続により、手数料無料で国民の権利利益を救済する。

厚生労働省からは「介護保険最新情報」を通して全国関係機関に通知されている。これは行政資料として厚労省で開催された審議会、検討会、課長会議等の資料や通知等を掲載している。各都道府県、市区町村等の介護保険担当課等に通知される。
3月31日の介護保険最新情報vol.534~541では、「行政不服審査法及び行政不服審査法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律の施行」(vol.537)などに関する通知・事務連絡を掲載している。
 
通知では、4月1日からの、改正行政不服審査法の施行に伴い、介護保険審査会に対する審査請求期間が従来の60日から3カ月(90日ではなく3カ月とメ記されちる点に注意)に延長されたことや、行政庁が、不服申立機関などを適切に教示するとされたことを踏まえ、厚労省通知(2009年1月16日付)の「高額医療合算介護サービス費等の支給の運用等について」を改正したことを周知している。
その他の各種様式に関しても、審査請求期間が記載されているものは、期間を「3カ月」と修正したことなどを伝えている。
同日付の同vol.536では、「高額医療合算介護サービス費等の支給の運用等の一部改正」に関する通知を掲載し、各種様式を改正したことを伝えている。
 
同日付の介護保険最新情報vol.540では、「第三者行為の届出義務化等に係る留意事項」に関する通知を掲載。4月1日から、交通事故などの第三者による不法行為での被害に関する求償(保険者の市町村が不利益を損害賠償の形で第三者から償還請求すること)に関して、第1号被保険者に対して保険者への届出が義務化されたことを周知している。
また、被保険者の届出のほかに、主治医意見書の特記事項に事故の場合、記載を求めている。同日付の介護保険最新情報vol.541では、第三者の不法行為に対する求償について、「第三者行為による保険給付と損害賠償請求権に係るQ&Aの改正」に関する事務連絡を周知している。

◆フレイル(虚弱)予防の大規模研究に取り組む
東京大学高齢社会総合研究機構 千葉県柏市住民に

――東京大学高齢社会総合研究機構
今話題の新語―「フレイル」とは何か? 健常な状態と要介護状態(日常生活でサポートが必要な状態)の中間の状態として、日本老年医学会が2014年に提唱した。多くの高齢者は健常な状態から、フレイルの時期を経て要介護状態に至る。
東京大学高齢社会総合研究機構は2012年から、千葉県柏市の高齢住民を対象に、フレイル予防の大規模研究に取り組んでいる。その結果などから、要介護に陥りやすい高齢者の傾向がわかってきた。
約1,800人を対象とした食事調査では、3度の食事を1人でとる「孤食」の人は、1日1回でも誰かと食事する人と比べ、低栄養になったり歩行速度が遅くなったりする割合も高いことが判明した。
社会との関わりが薄れると、日々の活動量や、健康維持への意欲が低下してしまう。社会活動の低下は、体の衰弱の始まりの目安になるという。「閉じこもらない」ことが、フレイルの予防法になる。柏市では研究成果をもとに、計11項目の質問に「はい」「いいえ」で答える簡易フレイルチェック表を作成し、介護予防事業に活用している。
高齢者の衰え「フレイル」に注目 運動と食事で要介護を予防
高齢者医療に携わる専門職が参加している「日本サルコペニア・フレイル研究会」は昨年10月東京都内で研究会を開催した。今年は名古屋市で開く。
高齢者の身体機能や認知機能が低下して虚弱となった状態を「フレイル」と呼び、要介護予備群として注目されている。フレイルを早期に発見し、食事や運動など適切な対応で再び元気を取り戻し、健康寿命を延ばすことが可能になる。
サルコペニアは筋肉減弱症と訳し、フレイル(虚弱)と同一グループで呼ぶことが多い。要は「健康寿命の延伸」が最大の眼目だ。そのためには食力(しょくりょく=栄養補給)強化、筋力増強(サルコペニア化減少防ぐ)、さらに社会との接点を保ち、社会性を持続させる、または実践(社会参加)の3大要素を最重要視している。
後期高齢者の保健指導にとって最重要なのは「虚弱(フレイル)」対策とする提言を、厚生労働省研究班(班長=鈴木隆雄・国立長寿医療研究センター理事長特任補佐)が発表したばかり。

日本老年医学会が2014年に提唱した「フレイル」とは、健常な状態と要介護状態(日常生活でサポートが必要な状態)の中間の状態として、早期に対策すれば要介護に至るのを防げる、というのが同学会の基本的な考え方だ。

フレイルには、動作が遅くなったり転倒しやすくなったりするなど身体的な問題だけではなく、認知機能の障害やうつ病などの精神や心理的な問題、独り住まいや経済的な困窮などの社会的な問題も含まれる。

厚労省もフレイル対策を政策に取り入れ始めた。厚労省は、有識者検討会で具体策を練り、2018年度から全国展開を目指す。今年度の予算では、「高齢者の低栄養防止・重症化予防等の推進」に10.7億円を新たに要求している。
後期高齢者医療において、地域の実情に応じて、地域包括支援センター、保健センター、訪問看護ステーション、薬局等など活用し、課題に応じた専門職(管理栄養士、歯科衛生士、薬剤師、保健師など)が、対応の必要性が高い後期高齢者に対して相談や訪問指導等を実施することを目指している。

フレイルを簡単にチェックできる方法を考案
フレイルの定義は、(1)体重減少、(2)疲れやすさの自覚、(3)日常での活動量低下、(3)歩行速度の低下、(4)筋力(握力)の低下――とされている。
フレイルの状態に至ると、7年間の死亡率が健常な人に比べて約3倍、身体能力の低下が約2倍という報告がある。基準では筋力低下、体重減少などの身体的な側面が重視されている。
一般に、筋力は20~30歳頃にピークとなり、以後、徐々に低下していくが、60歳を過ぎると劇的に低下する。
国立長寿医療研究センターなどの研究班によると、1秒間に1メートル以下になると介護が必要になるリスクが高くなるという。横断歩道の青信号は毎秒1メートルの速度で渡れるように設計されており、横断歩道を渡れなくなると要注意だ。
また、握力も50歳を超えたころから徐々に低下する。生活活動に何らかの支援を必要とするような障害が出てくる握力の目安は、男性で25kg、女性で20kgだという。
東京大学高齢社会総合研究機構は、高齢者の筋肉量を簡単にチェックできる目安を考案した。題して「指輪っかテスト」。両手の親指と人さし指で輪を作り、ふくらはぎの一番太い部分を囲む。このとき隙間ができると、筋肉量が少なくなっている可能性が高い。

高齢者の筋肉強化 運動だけでなく栄養も必要
フレイルを防ぎ健康を回復するにはどうすればよいのだろうか。基本はやはり運動と食事だ。
筋肉を増やすためには、有酸素運動が必要とされており、ウォーキングがもっとも取り入れやすい。最低でも1日5,000~6,000歩を継続すると筋力の低下を防げる。
レジスタンス運動(筋トレ)にも筋肉量増加の効果がある。国立長寿医療研究センターによると、ジムなどでトレーナーの指導のもと筋トレを中心とした運動を行うと効果的だが、家庭でもセラバンドというゴムのバンドを用いて、安全に運動を行えるという。

◆老人ホームをセンサーで見守り きめ細かな介護提供
フィルケア 最新鋭の「ICT見守りシステム」を導入

――(株)フィルケア
東京都板橋区に最新鋭のICT見守りシステムを導入した有料老人ホームが誕生する。事故やケガの予防、睡眠など健康管理はICTにお任せ―といったキャッチフレーズを掲げ、入居者の状況に応じた、現在進行形の生活状況などきめ細かな介護サービスを提供するのがアピールポイント。
ICT見守りシステムはベッドセンサーや人感センサーによる入居者の情報と、室内温度などの環境計測データを収集し、分析する。介護スタッフはこれらの情報をパソコンやスマートフォンで確認しながら、入居者の「今」の状態をリアルタイムで見守ることができる。

経営母体は、住友林業(株)(東京都)のグループ会社で、介護付き有料老人ホームの運営を行う(株)フィルケア(横浜市)。同社はICT(情報通信技術)を活用した新しい見守りシステム、「ライフリズムナビ+Dr.」(以下:ICT見守りシステム)を導入した有料老人ホーム「グランフォレスト ときわ台」を今年11月に開設を予定すると発表、4月より入居募集を開始している。

関連会社の住友林業筑波研究所が実施した戸建て住宅の睡眠環境に関する研究で、ICT見守りシステムが、高齢者施設における入居者の状態や健康の管理に有効であるという検証効果が得られたことから、今回のICT見守りシステムの導入が決定した。
フィルケアでは、今後開設予定の有料老人ホーム「グランフォレスト」シリーズに、このICT見守りシステムを導入することを計画しており、板橋区の「グランフォレスト ときわ台」はその第一弾。「ときわ台」は、フィルケアにおける有料老人ホームとしては、11施設目で、ICT見守りシステムに加え、これまでフィルケアで培った安全・快適な介護空間・動線の提供や質の高い介護サービス・レクリエーションなどの運営ノウハウや経験を随所に活かした施設になっている。

ICT見守りシステムは、複数のベッドセンサー、人感センサーによる情報と、室内温度などの環境計測データを合わせて、収集・分析することができ、介護者がその情報をパソコンやスマートフォンで確認することで、入居者の“今”の様子を見守ることができる。
また、睡眠状態を管理することで、例えば昼間の睡眠時間が長く、夜徘徊してしまうような場合には夜間の睡眠の質を上げるために昼間の運動量を増やすなど、一人ひとりに合わせ生活習慣の改善に繋げられるとともに、介護者の負担軽減も期待される。希望される患者・家族には、日々データ化している入居者の健康状態を携帯電話に配信するなど、細やかなケアも提供可能。

■見守りシステム「ライフリズムナビ+Dr.」の概要
大阪市立大学 医学部 疲労医学教室(所在地:大阪市阿倍野区)と大阪市大医学部発のメディカルITベンチャー・エコナビスタ(株)(本社:東京都千代田区)が共同開発した「ライフリズムナビ+Dr.」を、当社のICTを用いた高齢者見守りシステムの研究結果を元に新たにカスタマイズしたもの。

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