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医療経営情報(2016年6月23日号)

2016/6/27

◆厚労省「費用負担が減るように一部の手続きの省略を認める」
新規申出審議の不明確な手続き指摘 患者申出療養評価会議

――厚生労働省
厚生労働省は6月13日、「患者申出療養評価会議」の第二回を開催した。制度開始から2カ月あまりの患者申出療養の現状が報告されたほか、患者から申出があった場合の審議の進め方などについて議論された。
「患者申出療養」とは2016年4月にスタートした新しい治療薬などを使った保険外診療と保険診療との併用を認める新しい仕組み。これまでの先進医療制度などと比べ、審査期間が短く、対象となる患者の幅が広いといった特長がある。
患者側から見た長所として「この制度を活用すれば、今まで『全額自費』か『保険』かの2択のみだった治療の選択肢の幅が広がる」との声が多い一方で、「患者が高額の費用を負担することになる」という指摘も相次いでいる。これは、制度活用のために必要な治療の実施計画書作成などに多額の費用がかかるため。現時点では患者申出療養の厚労省への申出はまだないものの、こういった懸念への指摘は当然であろう。
それに対し厚労省は、薬代などの実費のほか、患者申出療養のための実施計画の作成や治療開始後のモニタリングなどの費用も「社会的な妥当な範囲」で徴収できることを説明している。

この日は、(1)患者相談窓口の設置状況、(2)患者からの相談にかかる情報共有体制の構築、(3)今後の患者申出療養評価会議の開催、(4)審議参加の運用の見直し――などを中心に議論した。

(3)では、「患者申出療養評価会議の審議の流れ」などを議論。「患者申出療養の申出受理から告示の期間」に関し、患者申出療養の実施の適否は同会議で審議を行い、厚生労働大臣が申出を受理した日から原則6週間以内に告示する。
しかし、拙速な検討を避けるため、「構成員により指摘事項が一定数以上作成され、計画変更の可能性がある場合」、「構成員の評価が一致せず、慎重な検討が必要な場合」、「エビデンスに関する判断に慎重な対応が必要な場合」、「患者申出療養評価会議の座長が必要と認める場合」は、期間にとらわれず審議することを提案。6週間以内に告示できない技術名と理由は、同会議で公開するとした。
また、がんや難病などについては、下部組織である「患者申出療養技術審査分科会」で審査等が行われる。今回、厚労省は分科会で議論することとして、①患者申出療養として保険給付併用の申出があった医療技術、②患者申出療養として保険給付併用が認められた医療技術――に分けて提示。
提示では、①について「有効性、安全性等の技術的妥当性、試験実施計画等の妥当性」、「有効性、安全性等を踏まえた保険給付との併用の適否」、「実施可能な保険医療機関の考え方」を、②では「実績報告・総括報告等にもとづく評価」などを分科会で議論するとした。
さらに、新規申出の審議に関する事務的課題として「構成員の日程調整などのため、会議を速やかに開催できない」、「新規申出を、会議と分科会のどちらで審議するかの判断について、手続きの流れが不明確」、「新規申出で、6週間にとらわれず審議する判断について、手続きの流れが不明確」と指摘した。

このように、患者申出療養制度にはまだ課題が多いが、「結果的に時間と費用がかかる」という点に課題は集約されると言えるだろう。

◆「救急患者の受入体制」で事業内容の見直し図る 厚労省
5月の熱中症搬送人員数は昨年比116人減少  消防庁

――厚生労働省
厚生労働省は6月16日、行政事業レビュー(公開プロセス)を開催し、「救急患者の受入体制の充実」に関して外部有識者らによる評価を実施した。救急出動と搬送人員は直近15年間でいずれも増加傾向にあり、特に高齢者の割合が高くなっている。
救急搬送件数の増加に伴い、特に大都市部では医療機関への受け入れに時間を要するケースも発生している。全国的にも救急搬送件数が増加傾向で、医療機関への受け入れの照会に時間がかかり、現場滞在時間が長くなるケースが少なくない。特に首都圏や近畿などの都市部では、医療機関に受け入れられるまでの時間が全国平均を上回っており、地域間の格差が目立っている。
この日、外部有識者からは、「都道府県の中には受け入れ先の医療機関を確保できないケースもあり、昨年度の予算の執行率は20%にとどまっていた」ことを重く受け止めるべきという意見が出た。救急患者の受け入れ体制については、もはや「待ったなしの状況下」にあり「抜本的な改善策」が求められているとの声が多くみられた。

厚労省は、対策として(1)救急患者受入実態調査事業(2010年度創設)、(2)メディカルコントロール体制強化事業(2014年度創設)、(3)搬送困難事例受入医療機関支援事業(2014年度創設)――の取り組みを実施してきた。
(2)は、救急医療体制の強化のため、地域の消防機関などに設置しているメディカルコントロール協議会に専任の医師を配置するために必要な人件費などについて財政支援を行うもの。救急隊のメディカルコントロールとは、救急現場から医療機関へ患者を搬送するまでの間に救急救命士や救急隊員が行なう応急処置などを、医学的な観点から、その質を保障することをいう。

これについて、厚労省は論点として次のように示した。
メディカルコントロール体制強化事業、搬送困難事例受入医療機関支援事業について、都道府県の実態やニーズに合っているか検証すべき
メディカルコントロール協議会に対する補助のあり方を検証すべき

(3)は、長時間にわたり搬送先が決まらない救急患者を一時的であっても受け入れる医療機関に対して財政支援するもの。
これに対し、厚労省は適切な「カ所数」の見直しを図るとともに、救急医療機関が搬送困難事例の受入体制(空床、医師など)を確保するために十分な措置となっているか実態を把握・検証した上で、事業内容の見直しを図るとしている。

2016年5月の熱中症搬送人員数は昨年比116人減少 消防庁
総務省消防庁は6月20日、「2016年5月の熱中症による救急搬送状況」を公表した。消防庁によると、2016年5月に熱中症で救急搬送された人は、全国で2,788人(前年同月比116人減)。年齢区分別は、高齢者(65歳以上)が最も多く1,303人(全体の46.7%)。次いで、成人(18歳以上65歳未満)が868人(同31.1%)、少年(7歳以上18歳未満)が558人(同20.0%)、乳幼児(生後28日以上7歳未満)が59人(同2.1%)の順。
また、医療機関での初診時の傷病程度ごとの救急搬送人員数は、軽症が最も多く1,970人(同70.7%)。次いで、中等症750人(同26.9%)、重症41人(同
1.5%)、死亡1人(同0.0%)だった。さらに、都道府県別人口10万人あたりの救急搬送人員数は最多が沖縄県の9.69人で、熊本県4.98人、佐賀県4.56人と続いた。

消防庁は5月中旬以降、真夏日(最高気温が30度以上の日)が観測された地域が増え、屋外イベントで少年の熱中症による救急搬送事案が見られたと指摘。気象庁は6月以降、北日本と西日本、沖縄・奄美では気温が高くなると予報しており、消防庁はこまめに水分補給を行うことなどの注意を呼びかけている。

(補足)
行政事業レビューとは、各府省自らが、自律的に、概算要求前の段階において、原則全ての事業について、予算が最終的にどこに渡り(支出先)、何に使われたか(使途)といった実態を把握し、これを国民に明らかにした上で、外部の視点も活用しながら、過程を公開しつつ事業の内容や効果の点検を行い、その結果を予算の概算要求や執行等に反映させる取組み。行政の無駄の削減はもとより、事業の効果的、効率的な実施を通じ質の高い行政を実現するとともに、国の行政の透明性を高め、国民への説明責任を果たすために実施するもの。(総務省主管)

◆入院外1日あたり点数、「在宅医療」が前年比6.8%増
厚労省 2015年「社会医療診療行為別統計」の結果を公表

――厚生労働省
厚生労働省は6月15日、2015年「社会医療診療行為別統計」の結果を公表した。「社会医療診療行為別統計」は、医療行為や傷病の状況について、社会保険診療報酬支払基金支部、国民健康保険団体連合会に提出され、2015年6月審査分のレセプトのうち、ナショナルデータベース(NDB)に蓄積されている全数を集計したもので、医療の給付の受給者に係る診療行為の内容、傷病の状況、調剤行為の内容、薬剤の使用状況等を明らかにし、医療保険行政に必要な基礎資料を得ることを目的に毎年作成されている。
この統計は、前年までは「社会医療診療行為別調査」という名称で実施されていたが、「レセプト収集調査」の終了に伴い名称が変更された。
今回公表する結果は、医科81,741,701件、歯科16,542,570件、保険薬局50,102,782件のレセプトについて集計したものである。

医科入院を見ると、1件あたり点数は前年比0.9%増加して5万237.8点。1日あたり点数は同0.2%増え3,190.6点で、内訳を診療行為別に見ると前年比の増加率が大きい順に、「入院料等」2.5%増(1,216.3点)、「診断群分類による包括評価等」1.5%増(945.5点)、「初・再診」1.3%増(3.2点)。1件あたり日数は同0.10日増の15.75日だった。
医科入院外を見ると、1件あたり点数は前年比1.2%減少して1,309.6点。1日あたり点数は同1.7%増の827.4点で、内訳を診療行為別に見ると、前年比の増加率が大きい順に、「在宅医療」6.8%増(55.2点)、「注射」3.2%増(70.3点)、「リハビリテーション」3.0%増(11.0点)。1件あたり日数は同0.05日減の1.58日だった。

歯科の診療の状況は1件当たり点数が1,228.0点(対前年2.0%減)、1日当たり点数は667.1点(同2.1%増)。
薬局調剤を見ると、1件あたり点数は前年比2.4%増えた1,120.7点で、内訳は「調剤技術料」が同0.8%増の227.9点、「薬学管理料」が同2.6%減の48.4点、「薬剤料」が同3.1%増の842.5点。また、1回あたりの点数は同4.6%増加の894.8点で、内訳は「調剤技術料」が同3.0%増の182.0点、「薬学管理料」が同0.5%減の38.6点、「薬剤料」が同5.4%増の672.6点だった。

このほか、後発医薬品の使用状況(薬剤種類数に占める割合)は、総数では54.5%(対前年3.7ポイント上昇)、入院では52.0%(同5.5ポイント上昇)、院内処方(入院外・投薬)では50.4%(同3.4ポイント上昇)、院外処方(薬局調剤)では55.9%(同3.6ポイント上昇)。
「薬剤点数に占める後発医薬品の点数の割合」は、総数で13.9%(同1.4ポイント増)。このうち、入院が10.6%(同1.3ポイント増)、院内処方が13.9%(1.7ポイント増)、院外処方が14.0%(同1.3ポイント増)。他方、「薬剤種類数に占める後発医薬品の種類の割合」は、総数で54.5%(同3.7ポイント増)、入院が52.0%(同5.5ポイント増)、院内処方が50.4%(同3.4ポイント増)、院外処方が55.9%(同3.6ポイント増)だった。

◆介護給付費8兆9,005億円、前年比4.6%増 厚労省事業状況報告
要介護・要支援認定者数は606万人、前年度比22万人(3.8%)増

――厚生労働省
厚生労働省は6月13日、2014年度の「介護保険事業状況報告(年報)」を公表した。この報告は、被保険者・サービス利用者・保険給付などの状況について、保険者(市町村等)からの報告数値を全国集計したもの。被保険者に関しては、介護保険制度には40歳以上が加入し、「第1号被保険者(65歳以上)」と「第2号被保険者(40~64歳)」に分けられ、主に給付(介護サービス)を受けられるのは要介護(支援)認定を受けた第1号被保険者。

2015年3月末時点の第1号被保険者数は3,302万人で、前年度比3.1%増の100万人増加。このうち、要介護・要支援認定者数は606万人で、前年度比3.8%増の22万人増加。他方、要介護度別の構成比を見ると、要支援1が14.4%、要支援2が13.8%、要介護1が19.3%、要介護2が17.5%、要介護3が13.0%、要介護4が12.0%、要介護5が9.9%で、構成比は前年度とほぼ変わらなかった。

居宅(介護予防)サービスでは受給者数は累計4,492万人。要介護度別では要介護1が全体の22.4%を占め最多で、軽度(要支援1~要介護2)の受給者で72.1%を占めた。1カ月あたり平均で総数は374万人で、前年度に比べ4.7%増。
地域密着型(介護予防)サービスについては、受給者数は累計で462万人。要介護度別では、要介護3が24.6%と最多で、重度(要介護3~要介護5)の受給者が56.1%を占める。1カ月あたりの平均総数は38.5万人となり、前年度に比べ9.0%の増加。
施設介護サービスの受給者数は1,078万人で、要介護度別では要介護4が30.9%と最も多く、重度(要介護3~要介護5)の受給者が82.4%を占めている。1カ月あたり平均では、介護老人福祉施設49万人(前年比1.6%増)、介護老人保健施設35万人(0.7%増)、介護療養型医療施設7万人(6.9%減)だった。

保険給付を見ると、介護費用は9兆5,783億円で、前年度比4.4%増加(4,049億円増)。給付費は8兆9,005億円で前年比4.6%増(3,885億円増)。サービス別の1人あたり給付費(1カ月平均)は介護療養型医療施設35.2万円が最も多く、介護老人保健施設(老健施設)は26.6万円、地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護が25.1万円、介護老人福祉施設(特養老人ホーム)で25.0万円の順だった。

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