新着情報

ホーム > 新着情報 > 介護経営情報(2016年12月16日号)

介護経営情報(2016年12月16日号)

2016/12/21

◆厚生労働省、「混合介護」の全面解禁に否定的な姿勢を示す
利用者の負担拡大や自立支援の妨げになることに懸念

――規制改革推進会議
 12月14日、首相の諮問機関である規制改革推進会議の医療・介護・保育ワーキング・グループの会合が開かれ、厚生労働省は「混合介護」の全面解禁に否定的な考えを示した。利用者の負担が拡大する可能性を指摘するとともに、自立支援や要介護度重度化を防止する取り組みを妨げる恐れや、介護給付費増加につながる可能性についても指摘している。

 「混合介護」については、9月5日に公正取引委員会がサービス価格の自由化とともに提言。翌週の9月12日の未来投資会議でも「介護は保険外サービスとの組み合わせが必要」と打ち出し、10月6日の規制改革推進会議でも容認方向での検討を進めるとしていた。

 12月2日の国家戦略特別区域会議では、東京都の特区で「混合介護」の展開を検討すると小池百合子東京都知事が表明。「利用者の利便性やサービスの質の向上、さらには介護職員の処遇改善にもつながる大変よいアイデア」と述べるなど、積極的に推進したい意向をにじませていた。

しかし、実際に「混合介護」を解禁した場合の保険外サービスの料金設定や、トラブルが発生したときの対処法など、枠組みづくりがまだ進んでいないのが課題ではあった。今回の厚生労働省の見解発表は、そうした現状に対して警鐘を鳴らす狙いもあるものと見られる。

 また、社会保障費の抑制が大きな課題となっている現在、「混合介護」の解禁へと踏み切った場合に必要となる追加の行政コストが、利用者のメリットに見合うかどうかの検討が必要なのも確かだ。介護現場にかかる負荷も考慮しながら、慎重にルールを決めていく必要があると言えよう。

 一方で、訪問介護の現場では柔軟な対応が求められるケースが多いほか、保険外の介護サービスは介護報酬よりも低く設定しなければならないなど、現実と矛盾した規制が存在しているのも見逃せない事実。介護ビジネスのさらなる活性化を図る意味でも、早急な打開案が求められるのではないだろうか。

◆介護現場の「チームリーダー」、介護福祉士の業務経験5年以上に
より高い専門性を持つ人材育成のため、上位資格創設の提案も

――厚生労働省
12月13日、厚生労働相の諮問機関である社会保障審議会の福祉部会福祉人材確保専門委員会が開かれ、介護のチームケアでまとめ役を担う「チームリーダー」の定義や育成方法についての方向性が提示された。

厚生労働省は、「チームリーダー」について「高度な技術を有する介護の実践者」「介護技術の指導者」であるとともに、「ケアチーム内のサービスをマネジメント」できる人材であるべきと定義。OJTや労務管理を含めた総合的なマネジメント能力が必要であるとした。
必然的に、介護職員の中でも中核的な役割を担うことになるため、「チームリーダー」の対象者は介護福祉士の有資格者であるとともに、一定のキャリアを積んでいるべきだと位置付け。具体的な業務経験年数として、5年という数字を出している。

なお、介護福祉士実習指導者に求められる業務経験は3年以上、ケアマネジメントやケアプラン作成に携わるケアマネジャー(介護支援専門員)は5年以上の経験が必要とされていることからも、厚生労働省が「チームリーダー」に求める役割の重さが窺えよう。

「チームリーダー」のキャリアについては、公益社団法人日本介護福祉士養成施設協会(介養協)の井之上芳雄副会長からも意見が寄せられた。介養協では、2013年度より「今後の介護福祉士養成教育と養成施設のあり方」について、国庫補助などを受けて検討を重ねてきた。その結果、今後の介護現場は職業能力レベルが異なる人材が多く集まるとし、サービスマネジメントや地域包括ケアを推進できる専門性の高い人材が必要だとした。

そうした人材を養成するために、介養協の井之上副会長はより高度な介護福祉士資格の創設が必要だと提言。「管理介護福祉士」と仮に名付けたこの資格は、昨年10月にも厚生労働相あての要望書に盛り込まれていたが、「チームリーダー」の方向性が示されたタイミングで再度俎上に載せられた格好だ。

現段階では、「チームリーダー」やキャリアを積んでいる介護福祉士の基本報酬をいかにするか議論が進められている段階だが、上位資格を設けることで、段階的な報酬アップの設計ができる可能性もある。さらに、具体的なキャリアパスを用意することで、モチベーションを保ち、定着率を高めてサービスの質向上につなげることもできるため、今後どのように検討が進められていくか注目していきたい。

◆「ケアローソン」、ツクイとの連携で出店を加速
来年度末までに30店舗の展開を目指す

――株式会社ツクイ
12月15日、在宅介護を中心とした介護サービスを全国640カ所で展開する株式会社ツクイは、株式会社ローソンとの連携を発表した。「ケアローソン」と呼ばれるローソン社の介護拠点併設型コンビニエンスストアの出店を加速させるのが狙いで、2017年度末までに30店舗の出店を目指す。

ケアローソンは、2015年4月に1号店を埼玉県川口市でオープン。標準的なコンビニエンスストアの商品に加えて介護関連商品を充実させるとともに、店内に介護相談窓口や多世代が交流可能なサロンスペースを併設している。

しかし、介護相談窓口もコンビニエンスストアも同一の事業者が運営するモデルだったため、出店スピードが速いとは言えない状況だった。介護事業とコンビニエンスストア事業の双方のノウハウを磨かなければならないのも、出店スピードを妨げていたと推測される。

そこで、ツクイ社とローソン社は介護相談窓口とコンビニエンスストア部分を別々の事業者が連携して運営する店舗モデルを構築。既存のケアローソン3店舗で来年2月3日より運営者を変更し、介護相談窓口はツクイ社が、コンビニエンスストアはFCオーナーが担うスタイルとする。従来どおりのコンビニエンスストアの機能を保ちつつ、介護事業で34年の実績があるツクイ社のノウハウを最大限に生かすというわけだ。

近年、コンビニエンスストアは他業態との協業を模索してきた。とりわけ、ドラッグストアとコンビニエンスストアの一体型店舗は急増中。ローソンは、2009年にマツモトキヨシと業務提携をしたほか、昨年はツルハドラッグと提携して次々に併設点をオープン。ファミリーマートも、コクミンドラッグなど複数社と提携を進め、2018年度までにドラッグストア併設型店を1000店規模にまで展開することを目指している。

介護事業との連携の場合、相談窓口を開くことでケアマネージャーを常駐させる必要があるなど、人的コストがかかるのがネックではある。しかし、社会のインフラとなりつつあるコンビニエンスストアとの連携は、地域密着型の介護事業と親和性が高いことは言うまでもない。混合介護の解禁や、介護報酬のあり方などによっても変わってくるが、介護ビジネスの新たな展開を見据えるうえで、コンビニエンスストアの動きは注目しておくべきだと言えよう。

◆人型ロボット「Pepper」が介護業務をアシストするアプリ登場
音楽療法・回想療法用の豊富なコンテンツも用意

――株式会社グッドツリー
介護ソフト「ケア樹」を全国900以上の介護事業所に展開する株式会社グッドツリーは、11月25日にAI搭載の人型ロボットPepperを活用した介護アシストアプリ「ケア樹あそぶ for Pepper」の提供を開始。ソフトバンク株式会社のロボアプリマーケット for Bizで公開された。慢性的な人手不足に陥っている介護現場を支援する一手として期待される。

「ケア樹あそぶ for Pepper」は、Pepperを介護施設利用者とのコミュケーションや介護職員の業務支援に活用できるアプリケーション。Pepperは、日常会話を行うほか音楽療法や回想療法、体操、ヨガ、脳トレなどのレクリエーションを自動で進行するため、介護職員の負担を軽減できる。
また、グッドツリー社が提供する無料のクラウド型介護ソフト「ケア樹Free」との連携も可能。介護記録の漏れを防ぐためのアラート機能を備えているほか、写真撮影もでき、バイタルデータを記録することもできる。

コンテンツや各機能は、それぞれのエキスパートとコラボレーションして研究・開発を行っているのが特徴。音楽療法は、音楽療法デイサービスを展開する「ゆらリズム」と、回想療法は認知症プログラム「ミッケルアート」を開発・提供する静岡大学発ベンチャー、株式会社スプレーアートイグジンと、そしてアラートなどの介護職員をアシストする機能は、介護コンサルティングファームの株式会社オールスター・Labと共同で研究・開発している。

さまざまな要介護度や認知症患者など幅広い利用者に対応できるよう、20回以上の実証実験を実施しているのも安心要素。AMED(国立研究開発法人日本医療研究開発機構)の実証実験事業にも採択されているほか、アプリの効果はWHO(世界保健機関)の基準で評価している。アプリ使用料は月額9,000円、Pepperなどの初期費用や運用設定などのレクチャーを含む初期導入サポート費用は250,000円。

お問い合わせ・ご相談はこちら

お問い合わせ・ご相談はこちら

お問い合わせ・ご相談はこちら

お電話
  • 【フリーダイヤル】0120-136-436
  • Tel.06-6222-0030
執務時間
  • 月曜日~金曜日
    午前9:00~午後5:30

お問い合わせメールフォーム

些細なことでも気兼ねなくお問い合わせください。「はい、日本クレアス税理士法人です」と電話を取ります。その後に「ホームページを見て」と言っていただけるとスムーズに対応できます。