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介護経営情報(2017年11月10日号)

2017/11/28

◆通所介護、大規模型の基本報酬引き下げへ
「経営状況を踏まえ規模ごとにメリハリを」と厚労省

――厚生労働省 社会保障審議会介護給付費分科会
11月8日、厚生労働省の社会保障審議会介護給付費分科会が開かれ、通所介護(デイサービス)の基本報酬見直しについて議論が展開された。厚労省は、大規模型事業所の基本報酬を引き下げる意向を示している。

 これは、事業所の規模が大きくなるほど利益率が高い傾向があるためだ。10月27日に発表された「介護事業経営実態調査」によれば、小規模型の収支差率(収入を税引前利益で割った数字。税引前利益は「収支-支出」)は2.0%であるのに対し、通常規模型は3.4%、大規模型(I)は7.9%、大規模型IIは10.0%となっている(※1)。

 介護サービス全体の平均収支差率が3.8%であることを考慮すると、確かにこの数値は高く、大規模型デイサービスが好調であることを裏づけている。しかも、コスト面でも通常規模型は1人当たり2,715円であるのに対し、大規模型(I)は2,405円、大規模型(II)は2,400円と300円以上低い。スケールメリットが発生することを考慮し、そもそも大規模型の報酬単価は通常規模型よりも低く設定されているが(※2))、ここまで利益率に差があるうえにコスト面でも差がついていることで、厚労省も俎上に載せやすかったのだろう。「経営状況を踏まえて規模ごとにメリハリをつけたい」とコメントしていることも考慮すると、大規模型は(I)も(II)も引き下げられることは間違いなさそうだ。

(※1)
通所介護の規模は1日当たりの延べ利用者数でわけられている。区分は以下のとおり。

[利用定員18人以下]
地域密着型(小規模型)、利用者数は要件となっていない

[利用定員19人以上]
通常規模型:月301人以上750人以下
大規模型(I):月751人~900人
大規模型(II):月901人以上

(※2)
通所介護の基本報酬は、通常規模型をベースに設定されており、大規模型(I)は約2%、大規模型(II)は約4%低く設定されている。逆に、小規模型は通常規模型よりも約12%高い設定となっている。サービス提供時間が「5時間以上7時間未満」の場合の単位は以下のとおり(ここでは通常規模型と大規模型(II)のみ掲載)。

[通常規模型]
要介護1 572単位
要介護2 676単位
要介護3 780単位
要介護4 884単位
要介護5 988単位

[大規模型(II)]
要介護1 547単位
要介護2 647単位
要介護3 746単位
要介護4 846単位
要介護5 946単位

◆通所介護のサービス提供時間区分、見直しへ
現行の2時間から1時間に細分化する方針

――厚生労働省 社会保障審議会介護給付費分科会
厚生労働省は、11月8日の社会保障審議会介護給付費分科会で通所介護(デイサービス)のサービス提供時間区分の見直しを提案。現在は2時間ごとに設定されているのを、1時間ごとにする方針だ。

 現在の通所介護費は、2時間ごとに報酬の単位が変わる設定となっている。3時間未満は評価されず、実際に報酬を請求できるのは3時間以上。つまり、「3時間以上5時間未満」「5時間以上7時間未満」「7時間以上9時間未満」の3区分が存在している。要介護の段階によって単位が異なっており、たとえば要介護1の利用者がデイサービスを「3時間以上5時間未満」利用した場合380単位。要介護5の利用者の利用時間が「7時間以上9時間未満」だった場合は、1,144単位となる。

 時間区分を1時間ごとにしても、2時間分の合計単位が変わらなければ報酬額は同じだ。しかし、実情と照らし合わせると、実質的には報酬が引き下げられることになるだろう。なぜならば、今まではサービス提供時間が3時間を少し超えただけでも「3時間以上5時間未満」として請求できたからだ。実際、厚労省の調査によれば、サービス提供時間でもっとも多いのは「3時間以上5時間未満」だと「3時間以上3時間半未満」、「5時間以上7時間未満」は「6時間以上6時間半未満」、「7時間以上9時間未満」は「7時間以上7時間半未満」となっている。

つまりこれまでは、サービス提供時間が「3時間1分」であっても「4時間59分」であっても報酬額が同じになる歪な状態だったというわけだ。提供されたサービスを適切かつ公正に評価するためにも、必要な見直しだと言えるだろう。ただし、制度の不備な部分を“利用”して最大限の報酬を得ていた事業者にとっては、手厳しい見直しであり、経営計画の練り直しを余儀なくされるのではないだろうか。

◆通所介護に「生活機能向上連携加算」を創設
外部のリハビリ専門職と連携した機能訓練のマネジメントを評価

――厚生労働省 社会保障審議会介護給付費分科会
厚生労働省は11月8日の社会保障審議会介護給付費分科会で、通所介護(デイサービス)に「生活機能向上連携加算」を創設することを提案した。外部のリハビリテーション専門職と連携して機能訓練のマネジメントを行うことを評価する。

 通所介護で機能訓練を評価するインセンティブとしては、「個別機能訓練加算」がある。身体機能向上のための機能訓練を評価する「個別機能訓練加算(I)」(1日46単位)と、生活機能向上のための機能訓練を評価する「個別機能訓練加算(II)」(1日56単位)があり、いずれも専従の機能訓練指導員を配置することが要件となっている。

 しかし、この要件をクリアできている事業者は少ない。「個別機能訓練加算(I)」の加算届出状況を見ると、大規模事業所が58.3%と6割近くが届出をしているのに対し、小規模事業所で届出をしているのは16.6%と、2割以下にとどまっている。通所介護は小規模事業所が多いため、全体で見ても届出をしている事業所は23.4%であり、通所介護での身体機能向上に向けた取り組みは停滞していると言える。

 それに比べれば「個別機能訓練加算(II)」の届出を行っている事業所は多いが、それでも全体で35.5%。厚労省の調査によれば、届出をしていない事業者の7割近くが「機能訓練指導員を配置することが難しい」と回答している。新たな職員を雇用する余裕がないということだろう。政府・厚労省は「自立支援・重度化防止」を今後の介護保険の重要な柱と位置づけているため、打開策としてリハビリテーション専門職のアウトソーシング促進を打ち出してきたというわけだ。

厚労省は、具体的な連携先として訪問介護や通所リハビリテーション、リハビリテーションを実施している医療機関を挙げている。それらと共同でアセスメント(事前の予測・評価)を行ったうえで個別機能訓練計画を作成し、定期的に進捗状況をチェックして必要な場合は適宜見直しをするフローを提示した。人材を有効活用できるほか、双方での勤務時間を調整すれば人件費の増加も抑えられるだろう。通所介護の事業者にとっては、業務提携先を増やすきっかけにもなるため、提供できるサービス項目を増やしたり、双方の職員が刺激し合ったりする効果も期待できるのではないか。

◆介護報酬、来年度以降新設の事業所に電子請求を義務付け
既存事業所は条件付きで書面での請求も可能

――厚生労働省老健局介護保険計画課
11月7日、厚生労働省老健局介護保険計画課は「介護保険最新情報Vol.611」を発出。来年度以降に新設される事業所に、電子請求を義務付けることを明らかにした。

 来年度から、介護報酬の請求は原則としてインターネット経由、もしくはCD-Rといった電子媒体を提出しなければならない。ただし、常勤職員およびその他の従業員が来年3月末時点ですべて65歳以上である場合や、支給限度額管理が不要なサービス(※)1種類のみを行っている事業所は、例外的に書面(帳票)での請求を継続することができる。経過措置としての期限は設けられておらず、来年3月末までに審査支払機関あてに免除届出書を提出すればいい。

 この経過措置が既存の事業所のみに適用されるのは、免除届出書の提出期限を来年3月末までとしていることからも類推できる。しかし、例外規定のみを考慮して書面請求を前提に新規の事業所を設立する事業者がいないとも限らない。混乱を避ける意味も込めて、新設事業所は適用外だと改めて周知したというわけだ。つまり、来年度以降に新設する事業所は電子請求が可能な環境を整えなければならないということになる。たとえ、常勤の介護職員やその他の従業員が全員65歳以上であっても書面請求ができないと明記しているため、勘違いしないように注意したい。

 ただし、例外もある。来年度創設される介護医療院がそれだ。介護療養型医療施設から移行するケースが多いことが想定されることもあり、現在書面請求を行っている場合は、経過措置の対象となる。これは、「介護医療院を含む他のサービスへ移行した場合」も含めることが検討されているため、該当する事業所は新たな設備投資を行う必要はなさそうだ。

※支給限度額管理が不要なサービスは以下のとおり。いずれか1種類のみ実施している場合は、書面請求を行うことが可能。

居宅療養管理指導
特定施設入居者生活介護(短期利用以外)
認知症対応型共同生活介護(短期利用以外)
地域密着型特定施設入居者生活介護(短期利用以外)
地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護
介護予防居宅療養管理指導
介護予防特定施設入居者生活介護(短期利用以外)および介護予防認知症対応型共同生活介護(短期利用以外)

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