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医療経営情報(2018年1月11日号)

2018/2/5

◆2018年度診療報酬改定の個別協議に向け、支払・診療側が意見表明
支払側は原則、厚労省案を支持 入院医療の評価手法には注文つける

―厚生労働省 中央社会保険医療協議会総会
昨年12月22日、厚生労働省の中央社会保険医療協議会(中医協)総会で、支払側・診療側双方が2018年度診療報酬改定について意見を表明した。すでに診療報酬本体の改定率はプラス0.55%で確定しているが、個別項目の施設基準や点数設定については今後議論をしていくため、今回表明された意見は改定の方向性を占う重要な資料となる。本稿では支払側の意見を、診療側の意見は稿を改めて抜粋し紹介する。

まず注目したいのが入院基本料に対するスタンスだ。今まで、入院基本料は「7対1」「10対1」といった看護職員配置で切り分けられていたが、厚労省は12月の中医協総会で、全体的に再編・統合して診療実績を重視する設計に変更する案を提示した。支払側は、この厚労省案に賛意を示し、「国民目線からも、入院患者の状態や診療密度に基づく医療機能に応じた評価を導入するべき」としている。そのうえで、現在の「7対1」「10対1」の施設基準に導入されている「重症度、医療・看護必要度」のみでなく、いわゆるDPCデータの積極的な活用を図るべきだとした。具体的には、該当患者割合の基準値を現行の25%以上から30%以上まで引き上げることを求めたうえで、「急性期の入院医療が真に必要な患者をより適切に評価できるよう見直すべき」としている。なお、「救命救急入院料1および3」「脳卒中ハイケアユニット管理料」は「重症度、医療・看護必要度」の測定を要件化するべきとし、特定集中治療室においては、アウトカム評価に資するためDPCデータ内に入室時の生理学的スコアの記載を求めるべきだとした。

DPCデータについては、提出を推進するべきだとの姿勢を明確化併せて、積極的にDPCデータの提出を推進するよう求め、現在データ提出が要件化されていない「200床未満の10対1入院基本料」「回復期リハビリテーション病棟入院料1、2」「200床以上の回復期リハビリテーション病棟入院料3」「200床以上の療養病棟入院基本料」を算定する医療機関に提出を義務付けるべきだとした。

 紹介状なしの大病院受診時の定額負担に関しては、200床以上へと拡大する厚労省案を原則として支持。ただし、地域によって医療資源に格差があることなども考慮し、要件は柔軟に設定することを求めている。また、レセプト様式に患者住所の郵便番号を記載する見直し案については、患者の受診行動把握やデータ分析を行ううえで「有意義な見直し」だと評価し、被保険者番号の個人単位化やマイナンバー制度の活用を含め、今後さらに踏み込んで検討するべきだとしている。

◆診療報酬改定の個別協議に向け、診療側は初・再診料引き上げを要望
小児科外来診療料の引き上げや特定疾患療養管理料の見直し求める

―厚生労働省 中央社会保険医療協議会総会
12月22日の中央社会保険医療協議会総会で、2018年度の診療報酬改定の個別協議に向け、支払側・診療側双方が意見を表明。本稿では、診療側の意見を抜粋して紹介する。

まず求めたのが、初診料および再診料、外来診療料の引き上げだ。その理由としては、高齢者の増加に伴って診療時間が長くなっていることを挙げている。また、外来診療料は、医師の技術料の基本的な部分を占めるため、経営原資となっているとして、医療機関の健全な経営を確保するため、職員などの人件費や施設費といったコストに見合った点数に引き上げるべきだとした。

さらに、診療所や中小病院の再診料に関しては、地域包括ケアシステムの要であることを理由に、2010年度改定前の水準に戻すことを要求。2014年度改定で再診料は引き上げられたが、消費税率引き上げに伴う措置であり、2010年度改定で引き下げられた分が戻っていないと主張している。地域包括ケアシステムの確立に向けては、かかりつけ医機能の充実をより一層図るべきとして、地域包括診療加算・地域包括診療料、認知症地域包括診療加算・認知症地域包括診察料、小児かかりつけ診察料の要件見直しと点数引き上げも求めている。

入院基本料については、「看護職員配置数により格差がつく評価体系を改め、医療機関の設備投資・維持管理費用について明確に評価する」べきだとし、再編・統合を目指す厚労省案を原則として支持。一方で「重症度、医療・看護必要度」に関しては、現行の経過措置として定められている200床未満の「7対1」病棟における23%要件について、新たな評価体系を導入する場合は緩和措置の対象となっている医療機関に適切に配慮するべきとしている。

 また、一部の加算を除いて包括点数となっている小児科外来診療料は、医師の技術料を十分評価した点数へ引き上げるとともに対象年齢を拡大し、高点数の検査や診療情報提供料を包括から除外することを要求。現在、診療所の場合225点、100床未満の病院は147点、100床以上200床未満の病院は87点となっている特定疾患療養管理料は、月1回450点を算定可能にするとともに、新しい疾患概念や治療法が増加したことや、超高齢社会による疾病構造の変化に対応するため対象疾患を見直すべきだとしている。

◆医療法人、全体の2割が赤字 福祉医療機構調べ
減益の原因は人件費の増加と2016年度の診療報酬改定

――独立行政法人福祉医療機構
 独立行政法人福祉医療機構は、昨年12月26日に「平成28年度 医療法人の経営状況について」と題したレポートを公表。全体の2割以上が赤字法人であり、減益の主な原因は人件費の増加と2016年度の診療報酬改定にあるとしている。

 このレポートは、同機構の貸付先から提出された財務諸表データをもとに分析された結果をまとめたもの。分析の対象とした961法人のうち、事業収益10億円以上の法人が74.6%、従業員数100人以上の法人が81.4%を占めており、大規模法人の経営状況を俯瞰するのに役立つレポートであることがわかる。

 同機構の分析によれば、収支は「増収減益」。収益自体は上がっているものの、利益は下がっていることが浮き彫りになった。ちなみに、事業収益対事業利益率は前年度と比べて0.3ポイント下がり2.4%。一方で人件費率は前年度から1.7ポイント増えて58.1%となっており、人件費の増加が利益率を押し下げていると推測できる。

 人件費が上がったのは、2016年度の診療報酬改定の影響が大きい。医療従事者の負担を軽減させるため、看護補助者や医師事務作業補助者の配置で加算が得られるようになったことや、在宅復帰率が厳格に評価されるようになったことで、関係職種の増員が必要になったことがその背景にある。

 ただし、事業収益規模に比例して赤字法人割合が減少していることから、同機構は「事業収益規模が大きい法人ほど効率的かつ安定的な経営を行っている」と分析。従業員1人当たりの年間事業収益で見ても、事業収益10億円未満の法人が762万9,000円であるのに対し、事業収益40億円以上の法人は922万1,000円となっており、生産性の高さと事業収益の高さがリンクしていることがわかっている。リソースを人材確保に費やしても、効率化を進めることで適切な経営が実現できることを証明しているとも言えよう。

◆2016年度の指導・監査等実施状況を発表
診療報酬の返還額は約89億円 前年度より約35億円減少

――厚生労働省 保険局医療課
 昨年12月21日、厚生労働省保険局医療課は「平成28年度における保険医療機関等の指導・監査等の実施状況について(概況)」を発表。保険医療機関に求めた診療報酬の返還額は約89億円であることがわかった。2015年度の返還額は約124億円であり、対前年度比で約35億4,000万円と大幅に減少したこととなる。

 厚労省は、保険医療機関を定期的に調査し、保険ルールに違反している場合や違反が疑われる場合には指導・監査を行っている。甚だしいルール違反が確認された場合は、保険医療機関および保険医の指定を取り消される「指定取消処分」を受ける。その原因のほとんどは不正請求(架空請求、付増請求、振替請求、二重請求)だが、2016年度は保険医療機関、保険医ともに前年度に比べて減少。保険医療機関で指定取消処分もしくは指定取消相当処分とされたのは27件で前年度よりも10件減っており、保険医は21人で前年度よりも5人減っている。

 指導・監査の実施件数も前年度に比べて減少(※)。個別指導の件数こそ前年度比で120件増えているが、新規個別指導は322件減少。このことから、新たに違反の疑いをかけられた医療機関および保険医が減っていること、そして“グレーゾーン”にある医療機関や保険医が引き続き指導を受けている事実があることが読み取れよう。診療報酬の返還額が大幅に減っていることからも、厚労省の指導および監査が一定の成果を挙げていると言える。

 なお、指定取消処分や指定取消相当処分に至った“端緒”としては、半数以上が「被保険者等からの通報」によるものであることが明らかとなっている。医療にかかわらず、社会全体でコンプライアンス意識が向上しつつあることが、不正請求の抑制につながっているともいえるのではないだろうか。

※2016年度に実施された個別指導は4,523件(対前年度比120件増)、新規個別指導は6,173件(対前年度比322件減)、適時調査は3,363件(対前年度比801件増)、監査は74件(対前年度比16件減)。

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