新着情報

ホーム > 新着情報 > 介護経営情報(2018年5月2日号)

介護経営情報(2018年5月2日号)

2018/5/18

◆厚労省、認知症の意思決定支援ガイドライン案を提示
 支援を行う場所や支援の際の心がけなども盛り込む

――厚生労働省
 厚生労働省は、4月20日に「認知症の人の日常生活・社会生活における意思決定支援ガイドライン」の案を公表。同日からパブリックコメントを募集している。締切日は5月21日。

 このガイドラインを策定するに至った背景にあるのは、昨年3月に閣議決定された「成年後見制度利用促進基本計画」。「意思決定の支援の在り方についての指針の策定に向けた検討等が進められるべき」と明記されており、それを受けて厚労省が2017年度の老人保健健康増進等事業で認知症の人の意思決定支援に関する検討を行ってきた。ガイドライン案には、「意思決定支援の基本的な考え方(理念)や姿勢、方法、配慮すべき事柄等」を整理して示すことで、認知症の人が「自らの意思に基づいた日常生活・社会生活を送れることを目指す」とその趣旨に触れている。

 なお、意思決定支援者は、ケアを提供する専門職種や行政職員として「医師、歯科医師、薬剤師、看護師、ケアマネジャー、相談支援専門員、生活保護ケースワーカー、保健師、精神保健福祉士、民生委員、社会福祉施設、医療機関、認知症初期集中支援チーム、認知症地域支援推進員、認知症疾患医療センター、介護サービス事業所、障害・福祉サービス事業所、訪問看護ステーション、市町村」が挙げられている。そのほか、家族や成年後見人、地域近隣で見守り活動を行う人や、本人をよく知る人も明記されており、認知症の人の周辺にいる人すべてが目を通しておくべき内容となる。

 注目したいのは、意思決定支援を行う場所にまで言及している点だ。初めての場所や慣れない場所は緊張や混乱を招き、本人の意思が十分に表明できない場合があるとして、本人が慣れた場所で行うべきだとしている。つまり、自宅や認知症グループホーム、通い慣れた認知症対応デイサービスの施設など該当するとみられる。さらに、「大勢で囲むと本人は圧倒されてしまい、安心して意思決定ができなくなる場合があることに注意すべき」としており、できるだけ少人数での対応を求めている。

 また、専門職種や行政職員に対しては、適切な意思決定支援がなされたかどうかを確認・検証するため、「支援の時に用いた情報を含め、プロセスを記録し、振り返ることが重要」と要請。ケアマネジャーや介護サービス事業所は、音声や動画での記録も視野に入れて体制を整える必要がありそうだ。

◆日本介護支援専門員協会、ケアマネの利用者負担導入に反対を表明
「財政審の指摘は現実と乖離」「自立支援の阻害要因のリスク」

――一般社団法人日本介護支援専門員協会
 4月26日に一般社団法人日本介護支援専門員協会は、「居宅介護支援費の利用者負担導入論についての意見表明」と題した文書を協会のウェブサイトで公表。4月11日、財務省が財政制度等審議会財政制度分科会でケアマネジメントの利用者負担を導入するべきと提言したことに対し、明確に反対の意を表した。

 まず、財務省が「利用者負担がないことで利用者側からケアマネジャーの業務の質についてのチェックが働きにくい」と指摘していることに対しては、ケアマネジャーの業務内容を説明したうえで、利用者が利用料を支払うことで業務の質を適切に判断できるかどうか疑問だとした。ケアマネジャーは、自立支援を念頭において総合的かつ効率的にケアマネジメントを支援するのが役割。利用者の中には「自立より安楽を希望」したり、「介護サービスに依存する」人もいたりするため、その意向どおりのケアプランを作成すると自立支援につながらないケースもある。同協会は、「そのような事例においても、介護支援専門員は利用者との見解のすり合わせを丁寧に行い、利用者の自立した生活の実現に向けたケアマネジメントを実践」していると主張。利用者とのすり合わせのうえでチェック機能は発揮されるものだとし、「財政審の分科会の指摘は現実と乖離している」と反発した。

 さらに、今年1月に発表された介護保険事業状況報告をもとに、居宅サービスの受給額は支給限度額を大きく下回っていると指摘。「多くの介護支援専門員が過不足のない支援を行っている事の証左」と自信を見せ、利用者負担を導入する必要がないことを訴えた。また、利用者負担が導入された場合は「利用者・家族が作成するセルフケアプランが増える」と予測。当然ながら、必ずしも自立支援につながるプランになるとは限らないため「過度に(介護)サービスに依存する」ケースも生じ得るとしている。

 業界内の競争が激化することのデメリットにも言及。「自社サービスに偏ったセルフケアプラン作成を代行する事業者の出現」もあり得るとし、公正中立性から逸脱した「囲い込み」や「過剰なサービス提供」の要因となると警鐘を鳴らし、介護給付額が逆に増大する可能性があると訴えた。

 日本介護支援専門員協会は、ケアマネジャーで構成されている職能団体。2005年に全国介護支援専門員連絡協議会から発展し設立された。全国のケアマネジャーのネットワークを構築し、ケアマネジャーの資質向上と地位の確立を図ることで、保健医療向上と福祉の増進に寄与することを目的として活動している。

◆厚労省、指定申請書類のうち7項目を不要とする省令案を公表
「文書量半減」の取り組みの一環として 10月施行予定

――厚生労働省老健局振興課
 厚生労働省老健局振興課は、指定申請書類のうち7項目の提出を不要とする省令案を公表した。4月17日よりパブリックコメントの募集を開始。5月16日まで受け付ける。その内容を踏まえて早ければ5月下旬、遅くとも6月中旬までに省令を公布し、10月1日の施行を目指す。

 これは、昨年12月に閣議決定された「新しい経済政策パッケージ」に盛り込まれた「文書量半減」の取り組みの一環。文書量を減らすことでいわゆるペーパーワークの量を減らし、介護サービス事業者の負担を軽減させて「介護離職ゼロ」につなげるのが狙いだ。自治体が介護サービス事業者に提出を求める書類はかなりの量があるため、人的リソースの有効活用につながることも期待できる。厚労省は昨年12月22日にこの旨をまとめた事務連絡を各自治体に発出。地方公共団体へのアンケート調査を行い、提出不要な項目を洗い出した。

 提出が不要となった7項目は以下のとおり。
・申請者又は開設者の定款、寄附行為等
・事業所の管理者の経歴
・事業所のサービス提供責任者の経歴
・当該申請に係る事業に係る資産の状況
・当該申請に係る事業に係る各介護サービス事業費の請求に関する事項
・役員の氏名、生年月日及び住所
・介護支援専門員の氏名及びその登録番号

 今後は指定申請書類以外の文書も削減項目を洗い出していく。介護報酬請求関連文書や指導監査関連文書については、各自治体に調査依頼を行い、随時ヒアリングも実施する方針を固めている。2020年代初頭までに介護関連の文書量半減を達成する方針だ。

◆千葉市が介護ロボットの無料貸出事業を開始
介護ロボット普及と介護職員の定着促進が目的

――千葉市
 千葉市は、4月26日に介護ロボットの無料貸出事業を開始すると発表した。市内の介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)および介護老人保健施設(老健)が対象。介護ロボットの普及を促すとともに、介護職員の定着促進を図ることを目的としている。

 無料貸出を行う介護ロボットは、CYBERDYNE(サイバーダイン)社製のHAL(HAL-CB02)。装着型の移乗介助機器で、腰への負担を低減させることができる。千葉市が2台を3年間レンタルし、12施設に貸し出す計画だ。第1期は今年6月上旬から10月末日まで2施設への貸出を予定している。貸出費用は無料だが、肌に貼り付ける電極シート(600枚2万2,500円・税抜)は消耗品のため、その実費は施設側が負担する形となっている。

 千葉市がHALを選んだのは、介護職の離職原因のひとつに腰痛があるからだ。腰痛により介護職を休業する人は、この10年間で約2.7倍まで増加しているという調査結果もあるほどで、利用者を抱え上げる動作がいかに腰へ負担をかけているかがわかる。そのため、介護の現場では移乗支援ロボットのニーズが高まっており、国も2015年度の補正予算で1施設・事業所あたり最大300万円を補助する方針をいったんは提示。しかし、申請数が想定以上に多かったことから92万7,000円に減額したところ、申請辞退が続出した。そうした経緯から、千葉市では導入費用助成だけでは普及が進まないと判断。その有用性をより広く伝えることも視野に入れ、無料貸出事業に踏み切ったというわけだ。

 そうしたことを踏まえ、千葉市では応募する施設に「新聞、テレビ、雑誌等のマスコミ関係者や市内の介護関係者等の第三者で介護ロボットの利用状況等に関する視察、見学を希望する者の受入れ」を求めている。また、ロボットを使用したことで介護職員の腰部負荷低減などの効果がどのように表れたか、評価をすることも応募要件に盛り込んだ。

 ちなみにHALの価格は1台210万8,000円。保守費用は1カ月2万円。助成金が92万7,000円ということは、施設側の負担額は120万円以上となり、簡単に手が出る金額ではないことが容易に想像できる。そうした意味では、期間限定とはいえ無料で試用できる機会が得られる千葉市の取り組みは有意義だといえる。他の自治体にも同様の取り組みが波及すれば、介護ロボットの需要が増し、開発事業者も増えて相対的に価格が下がることも期待できるのではないか。

お問い合わせ・ご相談はこちら

お問い合わせ・ご相談はこちら

お問い合わせ・ご相談はこちら

お電話
  • 【フリーダイヤル】0120-136-436
  • Tel.06-6222-0030
執務時間
  • 月曜日~金曜日
    午前9:00~午後5:30

お問い合わせメールフォーム

些細なことでも気兼ねなくお問い合わせください。「はい、日本クレアス税理士法人です」と電話を取ります。その後に「ホームページを見て」と言っていただけるとスムーズに対応できます。