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介護経営情報(2018年6月29日号)

2018/7/9

◆介紙オムツ処理機の実証実験を開始 介護の負担軽減が目的 パナソニックが初号機を今年度中に製作し、高齢者施設へ設置

――国土交通省
 国土交通省は6月22日に、紙オムツ処理機の実証実験を開始すると発表した。介護の負担軽減が目的で、処理機の初号機を今年度中に製作し、高齢者施設へ設置する。来年度には、その実証結果をもとに改善機を開発し、実証先を増やしていく方針だ。

 この実証実験は、「次世代住宅プロジェクト2018」と略称されている平成30年度サステナブル建築物等先導事業(次世代住宅型)として実施されるもの。パナソニック株式会社が提案したプロジェクト、「分離型紙オムツ処理による介護負担低減」が採択された。パナソニックは、汚物と紙オムツを分離して3分の1に減量化するオムツ処理機を製作して、高齢者施設に設置し、介護にまつわる負担が介護者・要介護者の双方にとって軽減されるかどうか検証する。

 具体的には、汚物処理室に共用設備としてオムツ処理機を設置。汚物は下水へ、紙オムツはゴミとして回収する。紙オムツを減量化させるため、塩化カルシウムを使用して高吸水性ポリマーから水分を排出。脱臭およびコンパクトなパッキングを行い、廃棄していくフローだ。パナソニックは愛知県などで特別養護老人ホームを運営する社会福祉法人サンライフと連携してオムツ処理を実施し、ユーザビリティ評価を行う。

国交省では、紙オムツを下水道で直接処理することを想定して1月に有識者会議「下水道への紙オムツ受入実現に向けた検討会」の第1回会合を開催していたが、一足飛びに下水道での処理を進めるのではなく、アプローチしやすい減量化への取り組みを進める形となった。

 使用済み紙オムツ処理問題を早期に解決できる路線へ切り替えた背景には、技術的な問題もさることながら、直近に要介護者が増加することが確実視されている状況がある。第一次ベビーブーマーである団塊の世代が全員後期高齢者となる2025年には、高齢者が30%を突破する見込みで、厚生労働省によれば介護人材が約38万人不足すると推計。担い手が絶対的に足りなくなる状況に加え、使用済み紙オムツの処理が介護施設に大きな負担をかけている現状もあり、早急な解決策の提示が求められている。そこで、「汚い」「臭い」「かさばる」の問題をまず解決しようというのが、今回パナソニックの提案を採択した理由だろう。実際にどの程度の負担軽減につながるのか、検証結果に注目が集まる。

◆老老介護、低所得者ほど負担が重い傾向
生活保護受給者の抑うつリスクは約3倍

――国立研究開発法人 国立長寿医療研究センター
 国立長寿医療研究センターは、老老介護の負担が低所得者ほど重くなる傾向があるとの調査結果を公表。もっとも所得の高いグループと比較すると、生活保護受給者は長時間介護リスクや抑うつリスクが高いとした。とりわけ、抑うつリスクは約3倍という結果が出ており、同センターは格差対策を講じることや、低所得者の介護負担が高い原因を明らかにする必要性を訴えている。

 この調査は、同センターの日本老年学的評価研究(JAGES)プロジェクトが2013年に実施したもの。要介護認定に該当していない65歳以上の男女を対象に、家族介護の実施有無についての質問に回答した1,782名の介護者および19,802名の非介護者のデータを分析している。

家族介護者の負担が重く、抑うつリスクが高いことは知られているが、所得によってリスクが異なるかどうかは調査研究されてこなかったため、同プロジェクトでは介護者1,782名に対して、所得グループごとの「週36時間以上の介護」「週72時間以上の介護」「抑うつ傾向」のリスクを比較。所得グループは、318万円以上の所得額があるグループを最上位とし、200~318万円未満、130~200万円未満、130万円未満、そして生活保護受給者の5つに分けた。その結果、最上位グループと比べて所得が下がるごとにリスクが高くなり、生活保護受給者のリスクは「週36時間以上の介護」で1.95倍、「週72時間以上の介護」で2.68倍、「抑うつ傾向」で3.10倍となっていることがわかった。

在宅介護は長時間にわたるため、その負担が重くなる。さらに、抑うつ傾向が高まれば介護者本人の健康を損なうリスクが高まり、当然、在宅介護の中断要因ともなりうる。今回の調査結果は、その支援の重要性に改めてスポットが当てられたという点で大きな意味がある。また、生活保護受給者は本来自己負担なしで介護保険サービスが受けられるにもかかわらず、介護負担の重さを感じている現実は、制度や体制を整えるだけで十分な介護が成り立つとは限らないことを示唆している。取りも直さず、国が進める地域包括ケアシステムを構築するうえでは、こうした介護者への支援も欠かせないことを意味しているといえよう。

◆ケアマネジャーの登録取消要件が緩和 「交付申請忘れ」は対象外に 改正法が施行

――厚生労働省老健局振興課
 厚生労働省老健局振興課は、6月27日に「介護保険最新情報Vol.659」を発出。同日から介護支援専門員(ケアマネジャー)の登録取消要件が緩和されたことを各都道府県知事、指定都市市長、中核市市長あてに通知した。今後は「交付申請忘れ」を理由に登録が取り消されることはなくなる。

 この通知は、同日に公布・施行された「地域の自主性及び自立性を高めるための改革の推進を図るための関係法律の整備に関する法律」(平成30 年法律第66 号)に基づくもの。ケアマネジャーは「介護支援専門員証」の交付を受けていないと業務を行うことができないルールとなっており、仮に未交付のまま業務を行えば登録が取り消されることとなっている。

 「介護支援専門員証」の有効期間は5年間。更新には研修を受ける必要があり、有効期限の6カ月前から更新手続きを受け付けている。しかし、日々の業務に追われながら研修を受けるのは決して簡単なことではない。うっかり忘れていて登録を取り消された事例もあり、関係団体からは要件緩和を求める声もあがっていた。

 今後、登録が取り消されるのは「情状が特に重い場合」となる。今回発出された「介護保険最新情報Vol.659」には、その具体例も掲載。再研修の受講や交付申請を行うよう指示したにもかかわらず、従わずに業務を継続した場合が該当するとしている。裏を返せば、自治体からの指示は最終警告ということであり、そこまでは“お咎めなし”とも受け取れる。現場の事情に合わせて自治体が判断できるルールへと変更されたというわけだ。

地域包括ケアシステムを構築するうえで、自治体と介護保険サービス事業者との間に立って連絡調整を担うケアマネジャーの果たすべき役割はますます増えていくと考えられる。今年度の介護報酬改定でも、ケアマネジメントを手厚く評価する項目が増えた。また、厚労省はケアマネジャーの欠格事由から成年被後見人を外す方針も明らかにしており、ケアマネジメントを質量ともに底上げしていきたい意向が強まっている。翻って考えれば、高いスキルと知識を持つケアマネジャーとの連携を強めることが、今後介護保険サービス事業者にとって大きなメリットを生むことになるのではないだろうか。

◆東京都の受動喫煙防止条例が成立 介護施設は「原則屋内禁煙」で喫煙専用室設置可能に

――東京都
 東京都の受動喫煙防止条例が、6月27日の都議会本会議で成立した。現在、国会で審議入りしている健康増進法改正案よりも規制対象が広く、従業員を雇用している飲食店は面積に関係なく「原則屋内禁煙」の対象となる。介護施設も同様に「原則屋内禁煙」として、喫煙専用室の設置が認められる形となった。

 もっとも厳しい「敷地内禁煙」の対象となるのは、幼稚園や保育所、学校、病院、児童福祉施設、行政機関など。このうち幼稚園や保育所、学校(小学校、中学校、高校)は屋外喫煙場所を設置することもできない。つまり、敷地内はすべて禁煙ということになる。

 介護施設も対象となる「原則屋内禁煙」は、「多数の者が利用する施設」が対象。喫煙専用室のみ喫煙を認める形で、裏を返せば建物内でも喫煙室を設置できるため、本質的な意味での受動喫煙防止にはつながらないともいえる。

 政府や都が受動喫煙防止に関するルールを制定しようとしているのは、2020年に東京オリンピック・パラリンピックが開催されるからだ。国際オリンピック委員会(IOC)と世界保健機関(WHO)が開催都市にスモークフリー(たばこの煙がない環境)を求めており、2008年の北京オリンピック開催以降、すべての開催都市で罰則付きの受動喫煙防止対策が実施されている。

 しかし、都の条例は政府案よりも厳しいとはいえ、世界基準と比べると“緩め”の規制となる。たとえば、イギリスやカナダのバンクーバー、ブラジルといったオリンピック開催都市では、教育機関をはじめ医療機関や官公庁、ホテル、飲食店、バス、タクシー、鉄道、船舶まですべて屋内禁煙を実施。喫煙専用室も設置していない。飲食店やたばこ生産者、たばこ販売業者などからの反発を受け、自民党が厚生労働省に緩和案を飲ませた形だ。

 なお、都の罰則は5万円以下。7月初旬に成立予定の健康増進法改正案も、医療機関に対する扱いは都条例と同様の「敷地内禁煙・屋外喫煙所設置可」で、罰則は喫煙者が30万円以下、施設管理者が50万円以下となっている。

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