医療・歯科・介護福祉業界の経営支援に強い大阪の公認会計士・税理士事務所

上田公認会計士事務所の　洞口幹生　です。

私は毎月、とある介護事業者様が主催する勉強会に参加させていただいています。
今月は、「デンマークの介護」についてたくさんのお話をお聞きしました。

3ヶ月間、デンマークの介護現場に入って学習された看護師さんが様々なお話をして下さいました。

動画や写真も盛りだくさん！
その看護師さんのiPhoneのメモリがいっぱいになってしまうくらい、熱心に記録をされていました。

その看護師さん曰く「実際にデンマークに行って体験してほしいから、あまり内容を紹介したくない気持ちもある！」とのことでしたので、ここでは一部だけの紹介に留めます。

・利用者より、ヘルパーが大事！？
デンマークでは、ヘルパーさんがとても大切にされます。
日本と全く違うところは、ヘルパーが公務員であることです。
また、ヘルパーになるための学校がありますが、ここに通うとお金がもらえるのです。
日本円で月に20万円程になるらしいです。
日本で考えると、勉強しながら20万円もの給与が保証されるのは大きなことですね。

他にも、面白い話があります。
デンマークでは、介助中に利用者が転びそうになった時、利用者を転ばせてしまうのだそうです。
いやいや、それはいくらなんでも作り話じゃないの…？
と思いましたが、事実としてそういうケースがあります。
考えられる理由としては、無理に利用者様を支えようとして、ヘルパーが肩や腰を痛めてしまうことの問題性を重視しているからだとか。
月に20万円も支払いながら育てたヘルパーを潰してしまうということを、国は何としても避けたいのではないでしょうか。
30kgより重い物を持ってはいけないというルールもあるそうです。

もちろん、利用者にケガをさせてよいわけではありませんから、介助中の姿勢やベッドで体位変換をする場合等に、ヘルパーの体に負担のかからない方法を徹底的に練習して身に付けます。
その動画を何種類も拝見しましたが、腕力で力任せに…というものとは程遠いものでした。

・利用者が主体となって、受ける介護を決めている！
日本だと、例えばデイサービスなら、朝迎えにきてくれる時間やお風呂の時間、リハビリの時間などは、大抵の場合には決められたスケジュールに沿って進められると思います。
しかし、デンマークでは、利用者に合わせて提供されるそうです。
毎日毎日決まった時間に起きたいわけではないし、早くシャワーを浴びたい日があればそうでない日もあるでしょう。
こうしたことは一例ですが、デンマークの方は、老いることが楽しみだという方が大半だそうです。
老いてからの生活が充実したものであるという希望が、国民全体に行き渡っているのでしょう。

私は、当事務所で約3年間、介護事業者様担当として業務をさせていただいてきましたが、外国の介護事情について興味を持つことがありませんでした。
この研修で、まさに目から鱗が落ちるような感覚を味わいました。

日本でも、施設や病院での介護から、在宅や地域での介護にシフトしようという動きが出ています。
デンマークはこれを1980年代に経験し、制度を構築してきました。
今では、「世界一住みやすい国」と評する声も多い国となっています。

参議院選挙も終わり、来月には国民会議の最終意見もまとまってきて、いよいよ大きく動き始めます。
自己負担割合引き上げ、要支援を含む軽度者を介護保険制度外にする…
メディアでは色々と取り上げられておりますが、しっかりと情報に目を通し、正しい判断をできるようにしたいものです。

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