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「在宅がん医療総合診療料」の連携に関する消費税の取扱い

2018/12/7

日本クレアス税理士法人大阪本部の 前本 です。

 

先日、在宅に力を入れている医院様から、在宅がん医療総合診療料で連携する訪問看護ステーションへの支払いは、消費税が課税なのか非課税なのかを質問されました。

当初私は委託だから課税だと安易に考えていたのですが、調べて行けば行くほど非課税では無いかと思い至りました。

 

そう思ったきっかけは、厚生労働省が公表している「疑義解釈資料の送付について(その8)」を見たときです。

その17ページ目に医療機関間での診療報酬の分配を行った場合など、健康保険法等の規定に基づく療養の給付等は、消費税が非課税となる(消費税法第6条)と言う「13.対診・他医療機関受診の取扱い」の記載があったためです。

 

消費税法上、健康保険法等の規定に基づく療法の給付等に該当すれば非課税、そうでなければ課税となります。

今回の事例は健康保険法等の規定に基づく療法の給付等に該当すると言えるかがポイントとなります。

 

ここは税の専門家でもかなり意見が割れました。

当会計事務所では事務所内でも詳しい者がいますし、更に外部の専門家とも連携をしています。

特に医療の税務など、医療と税の両方に詳しい者で無いと正しい答えを導き出せません。

今回の事例は私ひとりで判断するには大きな問題だと思い、多くの方に意見を求めました。

しかし、詳しい専門家でもどちらとも考えられるという意見が多かったです。

 

ただ、ここからは私の考えになりますが、「在宅がん医療総合診療料」は、連携した訪問看護ステーションでも単独で保険請求できるものを、他の医院がまとめて請求するというもので、その成り立ちから健康保険法等の規定に基づく療法の給付等に該当すると考えるのが素直な解釈だと思います。

たとえば、医院の受付スタッフが患者様にお薬を届けたからといって、在宅がん医療総合診療料の訪問要件を満たすことにはなりません。あくまで、医療の専門家である医師や看護師が訪問するからこの診療点数が取れるのです。つまり、提供しているのは間違いなく健康保険法等の規定に基づく療法の給付等だと言えるということです。

 

この点、疑義解釈資料の問いの中にかっこ書きで一定のやむを得ない場合に限るという文言があり、それに該当しなければ非課税とならないのではないか、という反対意見がありました。

しかし、そもそもこの文章は厚生労働省が公表している疑義解釈の1つであり、すべての非課税事例を網羅している訳ではありません。他方で、消費税法第6条に関する別表第一に健康保険法等の規定に基づく療法の給付等は非課税だとされています。私は、厚生労働省の疑義解釈の一事例よりも本来の法令に照らしてどうかを判断すべきだと考えました。

そう考えると、再掲になりますが、医療の専門家である医師や看護師が訪問するからこの診療料が取れるのであり、提供しているのは間違いなく健康保険法等の規定に基づく療法の給付等だと言えることから、非課税と解釈するのが自然だと思いました。

 

私は以上の考えから非課税だと判断したのですが、専門家によってはもしかしたら意見が違うかも知れません。(実際に、課税だという意見もありました)

ですので、税務申告を依頼している税理士等がいましたら、その方ときちんと検討してください。

また、将来、もしかしたら、課税とする判断を国税庁等が発表するかも知れません。もしそうだとしても、今現在調べて答えが無いものを専門家として判断した1つの答えということでご了承いただければと思います。

今回の判断結果は多少留保した部分もありますが、これらを踏まえた上で、何かしらみなさまのご参考になれば幸いです。

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