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介護経営情報(2019年2月22日号)

2019/3/27

◆社会保障審議会、4年ぶり会合を開催 社会保障政策を総合的に審議 「まちづくり」の観点から介護・医療の方向を検討するとの意見も

――厚生労働省 社会保障審議会
厚生労働相の諮問機関である社会保障審議会が、2月1日に4年ぶりとなる会合を開催。医療、看護関係団体や自治体関係者、学識経験者などで構成された28名の委員から、新たな会長として国立社会保障・人口問題研究所所長の遠藤久夫氏を、会長代理に総務大臣、岩手県知事などを歴任した東京大学公共政策大学院客員教授の増田寛也氏を選出した。

会合の冒頭では、大口善徳厚生労働副大臣が挨拶。「2040年頃までの人口構造の推移を見通すと、『高齢者の急増化』から『現役世代の急減』に局面が変化して表面化」していると述べ、超高齢社会と人口減少社会が同時に到来することに危機感を示した。その対策として「多様な就労社会参加」「健康寿命の延伸」「医療福祉サービス」の3つを柱として全世代が安心できる社会保障制度の構築を目指すとした。

続いて、厚生労働省の社会保障担当参事官から、「今後の社会保障改革について―2040年を見据えて―」と題した資料をもとに、2040年に向けた政策課題を提示。それを受けて出席した委員が各専門分野に基づいた意見を述べていった。その中で、今後の議論に向けて新たな切り口を示したのが会長代理の増田氏だ。テクノロジーの活用を具体的にどうするのかが喫緊の課題としたうえで、「まちづくり」の観点の重要性を指摘。「どういうまちづくりであれば介護しやすいとか、医療にとって好ましいというような観点を、今後より考えていくべき」とした。

また、増田氏はDID (都市計画上の人口集中地区 Densely Inhabited District)面積が広がったままで人口が減少している問題も指摘。社会保障のみならず、上下水道や電力といったインフラを維持することが困難になるとし、DID面積が広がっている都市の「まちづくり」を重要な論点とするべきだと訴えた。

今後、細部の審議は介護給付費分科会や医療部会といった下部組織で進めることとなる。しかし、増田氏が指摘した「まちづくり」の観点も含め、社会保障を広い視野で総合的に審議していく必要性が改めてクローズアップされた意義は大きいといえる。どのように具体的な政策に反映されていくか、各部会、分科会の議論を見守りたい。

◆訪問リハの要件、一時的に緩和 外部医師の診察が継続可能に 減算の経過措置を2年間延長と厚労省通知 2021年3月末まで

――厚生労働省 老健局老人保健課
厚生労働省老健局老人保健課は、2月5日に「介護保険最新情報Vol.697」を発出。「平成30年度介護報酬改定に関するQ&A(Vol.8)」として、訪問リハビリテーションおよび介護予防訪問リハビリテーションで、外部医師がリハビリテーションの計画・指示を担当している場合に減算となる経過措置の期限を、当初の今年3月末から2年間延長して2021年3月31日までとすることを通知した。外部医師に頼って訪問リハビリテーションを提供している介護老人保健施設にとっては、事業撤退の危機をいったん回避できたことになる。

訪問リハビリテーションの要件は、昨年4月に改定された介護報酬で大きく見直された。専任の常勤医師の配置が義務付けられたのだ。これは、利用者が医療機関を受診したり、訪問診療を受けたりした場合、別途診療報酬が算定されていたことが理由。つまり、医療機関と訪問リハビリテーションの事業所が同一法人だった場合、同じ利用者から介護報酬と診療報酬の二重取りが可能だったのである。制度設計上の瑕疵ともいえる状況であったため、「事業所の医師による診療」を要件化することで、介護報酬への一本化を図ったのだ。

もちろん、訪問リハビリテーション事業所にとって、すぐに常勤医師を確保するのは簡単ではない。そこで、外部医師が診療した場合は基本報酬から20単位減算するものの、1年間の経過措置を設けていた。

しかし、現場の実態は厚労省が想定したより厳しかったようだ。公益社団法人全国老人保健施設協会(全老健)が昨年12月に実施した調査によれば、訪問リハビリテーションを提供している介護老人保健施設の約半数が外部医師による診察を実施しているという。外部医師がそのまま診療を担うには、定められた研修を受講する必要があるが、施設側から外部の医師に受講を要請するどころか、その確認もしづらいことは容易に想像できる。実際、全老健の調査によれば、86.4%の施設が研修の受講の有無を医師に確認するのが難しいと回答。「このままでは訪問リハビリテーション事業から撤退せざるを得ない」との声もあがっていることから、全老健は、1月25日に厚労省へ経過措置延長の要望を提出していた。今回の通知は、その要望に対して満額回答を示した格好となる。

とはいえ、あくまで経過措置が延長されたに過ぎず、本質的な解決につながっているとはいえない。ただでさえ多忙を極める医師に研修を受講させるのが困難なことは変わらないからだ。かといって常勤医師を雇用するほどの余裕はどの施設にもないだろう。もともと制度設計の瑕疵から行われた見直しであり、外部医師が診療すること自体には問題がないはず。折しも、延長された経過措置が終了するのが次期介護報酬改定の2021年であるため、再度要件が見直される公算が高いといえよう。

◆財政審、財政健全化へ向けて「国民との直接対話」を増やす方針     第1弾として意見募集を実施中 ケアプラン有料化にも影響か

―財務省 財政制度等審議会財政制度分科会
 財務相の諮問機関である財政制度等審議会(財政審)財政制度分科会は2月4日、財政健全化に向けて公聴会など「国民との直接対話」する機会を増やし、そのインターネット中継やSNSでの情報発信、インフルエンサーとの連携などを推し進めていく方針を明らかにした。第1弾の取り組みとして、同日から意見募集を開始。テーマは「平成の財政を振り返る」「次の新たな時代に向けた財政健全化・効率化のアイディア」で、締切は4月5日。1,000字以内であれば様式は自由で、メールで提出可能となっている(メールアドレスは zaishin@mof.go.jp 、メールの件名は「平成31年度予算の編成等に関する建議への意見」と指定)。

 同日の会合では、財政健全化に向けた改革の方向性について、同分科会の委員の意見を整理したドラフトも公表。その中で「現状認識」として、「平成における財政状況の一段の悪化に歯止めを掛けられなかった事実は謙虚に受け止めなければならない」としつつ、「財政の深刻な状況や社会保障制度の持続可能性等の課題について、国民全体に広く浸透し、国民が十分に自らの問題として受け止めているとまでは決していえない」と指摘。その反省と、現在の財政状態に対する危機感の高さが、「情報収集手段が多様化している状況を踏まえた情報発信のあり方について検討を進める必要がある」と言わせているのだろう。

 また、今後の取り組み方についても言及。分野によっては「省庁横断的な問題設定も求められる」といたうえで、「外部有識者からの意見聴取も有益」としている。骨太方針を実質的に決定しているのが経済財政諮問会議の民間議員であるように、政策形成の主導権を従来の官僚中心型から民間へとシフトさせようとする意向が見える。少なくとも、表向きは民間の意見を取り入れた体裁を整えようとしていると考えられるため、今回の意見募集は介護分野を含めた今後の社会保障政策に影響を与えるかもしれない。

 なお、昨年11月に財政審が発表した「平成31年度予算の編成等に関する建議」に盛り込まれた介護・医療分野の具体策としては、介護保険利用者負担の引き上げやケアプラン有料化などがある。

◆介護医療院、3カ月でほぼ倍増 113施設7,414床に     初の新設施設も 東京、千葉など13都府県は未だゼロ 

―厚生労働省老健局老人保険課
 厚生労働省老健局老人保険課は2月1日、昨年末(12/31)時点の介護医療院の開設状況を公表。全国で113施設7,414床だった。昨年9月末時点では63施設4,583床だったため、施設数は3カ月で倍増近くまで伸ばしたこととなる。また、これまでは介護療養病床や介護療養型老人保健施設などからの転換施設ばかりだったが、昨年9月末から12月末までの3カ月間に初めて新設の介護医療院が登場したことも明らかとなっている。

医療機能を備えた介護施設をめぐっては、不安定な状態が続いている。その理由は、医療保険と介護保険の範囲が重なっているからだ。もとは医療保険を財源とする医療療養病床と、介護保険を財源とする介護療養病床に分けられていた。しかし、2006年の調査で、医療を提供する必要性が高い患者と低い患者が同程度混在していることが判明。医療を提供する必要がなければ、医療保険を適用する理由はないのは当然。適正な保険給付のためには医療保険と介護保険の役割分担を明確化するべきとして、介護療養病床は廃止となることが決定する。その受け皿として昨年4月に創設されたのが「介護医療院」だ。

介護医療院は、「医療機能」「介護機能」「生活施設」を備えた介護保険施設。「医療機能」とは、日常的な医学管理および看取り・ターミナルケアが該当する。医師48対1、看護6対1、介護6対1が施設基準となっている。スペックだけを見れば介護の進化系と映るため、スムーズに転換が進みそうに思えるが、実際はほとんど進んでいなかった。なぜならば、介護療養病床にも医師や看護職員は配置されているわけで、わざわざサービス種別を変更するメリットがないと感じる事業者が多かったのだろう。さらに、介護医療院へと転換するには「生活施設」の機能を追加しなければならないため、まとまった投資も必要となる。当然、それを補助する自治体の負担も増えるため、当初から及び腰だったと考えるほうが自然だ。昨年6月末時点で、介護医療院開設に必要な条例が制定されていない自治体が9つもあったことも、それを裏付けている。

そうしたなかで、まだ100強と絶対数としては少ないながら、開設数を右肩上がりに伸びているのは興味深いことだ。果たしてこのペースをどこまで持続できるのか、今後も注視していきたい。

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