ホーム > ブログ > スタッフブログ > 【医科・歯科ブログ】開業時の税務について
こんにちは、大阪市中央区 日本クレアス税理士法人大阪本部 稲本です。
さて本日は、開業時の税務についてお話しさせていただきます。
『開業準備費』という言葉をお聞きになったことはありますか?
『開業準備費』とは・・・
開業日前日までの間に開業準備の為に特別に支払う経費のことです。
例えば・・・
開業セミナーの参加費用とか、開業地を探す為の交通費やガソリン代、電話代や郵便代
それから建築や内装、医療機器などの業者関係との打合せの為の飲食代、他には
関係先への手土産代、開業時に必要な医療消耗品や薬品代、スタッフの採用費用、
開業時までの借入利息、ホームページやチラシなど開業広告費用などなどです。
開業に必要な支払なら経費になります。
よく、どのぐらい前まで経費になりますか・・・?と質問されることがあります。
対象期間については特に制限はありません、必要は支払であれば経費になります。
目安としては、開業にかかる期間がおおよそ1年ぐらい(個人差はあります)ですので、
開業時の半年ないし1年前ぐらいのものが経費になるとお考え下さい。
経費として認められる為には・・・
支払った際に受取る領収書(レシート)には支出日(領収書に記載済み)、相手先、
支出目的を記載してスクラップブックやノートに貼り付けて保存して下さい
例: 〇〇工務店△△さん 設計打合せ
この『開業準備費』の税務上の処理方法としては均等償却するか任意償却するかです。
均等償却する場合は開業準備費の総額を5年で均等に減価償却して経費に算入します。
任意償却する場合は開業準備費の総額の範囲内でいつでも(5年を超えても)減価償却費
として経費に算入することができます。
開業時はなかなか利益が出ない場合が多いので任意償却をお勧めします。
次に開業初年度の確定申告について・・・
開業しますと毎年確定申告をして所得税を納めることになります。
『青色申告制度』を選択すると色々なメリットがありますよ
例えば奥様や親に支払った給与が青色専従者給与として経費になります。(色々条件あり)
青色申告特別控除(現時点65万円)が利益から控除されます。
事業所得で赤字の時は翌年以後3年間にわたって繰越して翌年以後の所得から控除
できます。(損益通算後損失の場合)
この『青色申告制度』を選択するには開業日から2か月以内に青色申告承認申請書を
税務署に提出して承認を受ける必要があります。
最後になりましたが、よくいつ頃に開業するのが有利なのかという質問を受けます
何が有利かというと、開業以前の勤務医時の給与所得と開業時からの事業所得の通算に
よりたくさん還付になるのかという話です。
高い給与所得の場合は税率が高い為、事業所得の赤字との通算で還付が期待できるので
給与所得期間が事業所得期間より長い方が、例えば11月や12月開業が有利になると
考えられます。
開業以降の節税対策については、先ほどの『開業準備費』をいつ償却するかがポイントと
なります。
例えば・・・
開業当初の赤字の時や所得が少ない時に償却するより、開業後何年かして利益が大きくなり、累進課税が高くなり税効果の高い時点での償却をお勧めします。
開業当初は収入が少ないことや、開業時の借入の返済など事業の運転資金不足などが予想
されますので、なるべく長期にわたり税金を支払わないようにすることが節税対策のポイントですので、以下のようなパターンが考えられます。
1年目:開業初年度は赤字になる場合が多いと思われます。
2年目:青色申告によって1年目の損失を繰越すことができます。
3年目:開業準備費の償却をします。
今回開業時の税務についてお話しましたが、あくまでも概略であり、実務では
いろいろな解決しなければならない問題が出てくるものと考えられます。
日本クレアス税理士法人大阪本部は税務会計面だけでなく、経営面の
サポートもさせていただきます。お困りのことがありましたらお気軽にお問合せ下さい。