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今後の介護保険制度改革について

2019/8/19

こんにちは、日本クレアス税理士法人大阪本部の大藪です。

某社のご依頼で以下の内容をコラムに上げるので、ブログに記載しておきます。

 

財政制度分科会(平成31423日開催)の社会保障についての資料より、次回介護保険制度改正についての議論を踏まえると、介護事業者による勝ち組と負け組との二極化が今後ますます進むことが予想できる内容であったので、そのポイントをまとめてみたい。

 

第一に、「軽度者のうち要介護1・2の者の⽣活援助サービス等について、第8期介護保険事業計画期間中に更なる地域⽀援事業への移⾏を検討する必要がある」という議論がある。小規模な介護事業者は、主に在宅サービスを中心に運営している。在宅サービスの利用者の割合は、要介護1・2の者が比較的多いため、利用者の多くが地域支援事業に移行することが想定できる。そして、保険者の財政状態によっては、軽度者の介護報酬が今より更に削減される可能性がある。したがって、この議論が実現すれば、小規模な介護事業者にとっては不利な施策となる。

 

第二に、「在宅サービスについて、総量規制や公募制などのサービスの供給量を⾃治体がコントロールできる仕組みを検討すべき」という議論がある。総量規制や公募制が始まると、保険者から実力があると認められる一部の事業者以外は、新規に介護事業を開設できなくなる。今後、介護報酬の単価が上がることを期待できないため、新規開設できない事業者はじり貧になっていくと思われる。

 

第三に、「介護サービス事業者の経営の効率化・安定化の観点に加え、今後も担い⼿が減少していく中、介護⼈材の確保や有効活⽤、更にはキャリアパスの形成によるサービスの質の向上といった観点から、介護サービスの経営主体の統合・再編等を促すための施策を講じていくべき」という議論がある。今後、介護事業者によるM&Aが積極的に進んでいき、事業規模を拡大できる事業者とそうでない事業者との差が広がっていくであろう。

 

第四に、「制度の持続可能性や給付と負担のバランスを確保し、将来的な保険料負担の伸びの抑制を図る観点から、介護保険サービスの利⽤者負担を原則2割とすることや利⽤者負担2割に向けてその対象範囲の拡⼤を図るなど、段階的に引き上げていく必要がある」という議論がある。このことから、利用者による介護事業者選びが進むという意見が出ている。

 

以上より、次回介護保険制度改正は介護事業者の勝ち組と負け組との二極化が促進される施策になるものと思われる。介護業界は成長期から成熟期に入った。成長期では、事業所をどんどん増やしていけば、その分、法人の利益が増えるという時期であったが、今はそうではない。次回介護保険制度改正にむけて、自社の戦略を一度見直してはいかがだろうか。

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