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介護経営情報(2019年7月26日号)

2019/9/3

◆厚労省、10月創設の新たな特定処遇改善加算についてQ&A集を発出 全21項目 10月から算定するには8月末までに届出が必要

――厚生労働省
老健局
厚生労働省老健局は、7月23日に「介護保険最新情報Vol.734」を発出。内容は、10月に創設される「介護職員等特定処遇改善加算」についてのQ&A第2弾で、運用ルールや取得要件、届出の方法など実務面の疑問点に答える形となっている。10月から算定を受けるには8月末までに届出を済ませなければならないため、介護施設は早急に確認する必要がある。

「介護職員等特定処遇改善加算」は、豊富なキャリアを持つ介護福祉士を優遇することを目的に創設された。キャリアを積むことで給料が上がる構図を示すことで介護離職を防ぐとともに、介護職を目指す人を増やすのが狙いだ。税率が8%から10%に引き上げられる消費税を財源とすることから、税率引き上げのタイミングとなる10月1日から算定が開始される。

今回公表されたQ&Aは全部で21項目。内訳は、取得要件について8項目、配分対象と配分ルールについて11項目、その他で2項目となっている。取得要件については、まず喀痰吸引を必要とする利用者の割合に関する要件を満たすことができず「入居継続支援加算」が算定できない場合について、3カ月以上継続した場合に変更の届出を行い、算定できなくなるのが「4カ月目」であることを示した。

しかし、この3カ月の経過措置は、訪問介護における特定事業所加算には適用されない。喀痰吸引を必要とする利用者の割合についての要件を満たせず特定事業所加算(I)を算定できなくても、特定事業所加算(II)および特定加算(I)を算定できるのが理由だ。

なお、特定事業所加算(II)を算定できない場合は、特定加算(II)を算定することになるため、変更の届出をしなければならない。特定加算(I)の算定は、計画届出時点でなく、算定開始時点で配置等要件を満たしていればよいことも記されている。

キャリアパス要件については、一般社団法人シルバーサービス振興会が実施する介護プロフェッショナルキャリア段位制度を導入している場合、現行加算のキャリアパス要件(II)を満たし、職場環境等要件の「資質の向上」項目のひとつである「研修の受講やキャリア段位制度と人事考課との連動」の取り組みをしているものとして取り扱うと明示。特定加算についての取り組みについてホームページへの掲載などにより公表することを求める「見える化要件」については、事前に通知したとおり来年度から算定要件になると改めて示した。その理由について、公表するのが特定加算を含めた処遇改善加算の算定状況や賃金以外の処遇改善に関する具体的な取り組み内容であるため、今年度からではなく来年度からとなると説明している。ちなみに、事業所が独自のホームページを有していない場合は、事業所・施設の入口付近など、外部から閲覧可能な場所での掲示での公表でも要件を満たすとした。

配分対象について、「月額8万円の改善又は年収440万円となる者を設定」する際、「現に賃金が年額440万円以上の者がいる場合にはこの限りでない」とされているが、その趣旨について以下のようにしている。

・ 今回の特定加算については、公費 1000 億円(事業費 2000 億円程度)を投じ、リーダー級の介護職員について他産業と遜色ない賃金水準(=440 万円)を目指し、介護職員の更なる処遇改善を行うものである。
・ 特定加算による改善を行わなくとも、経験・技能のある介護職員のグループ内に、既 に賃金が年額 440 万円以上である者がいる場合には、当該者が特定加算による賃金改善の対象となるかに関わらず、新たに月額8万円の改善又は年収 440 万円となる者を設定しなくても、特定加算の算定が可能である。

配分方法について、「ただし、その他の職種の平均賃金額が他の介護職員の平均賃金額を上回らない場合はこの限りでないこと」とされていることについては、柔軟な取扱いを認めるものとし、「両グループの平均賃金改善額が等しくなる(1:1)までの改善」が可能とした。

◆社会福祉法人の連携化・大規模化は「あくまで希望法人の手段」 連携法人制度の創設検討を前に 社会福祉協議会の活用推進が本丸か

――厚生労働省
社会保障審議会福祉部会
厚生労働省は、7月22日の社会保障審議会福祉部会で、政府が積極的な推進を促している社会福祉法人の連携化・大規模化は「あくまで希望法人の手段」と繰り返し強調。小規模法人の経営統合を義務付けるものではないとのスタンスを示した。一方で、社会福祉協議会の積極的な活用を促したい意向をにじませており、社会福祉協議会に連携化・大規模化の中核を担わせることで、地域共生社会のインフラを整えようとする狙いが見えてきた。

人口減少や急速な高齢化、地域社会の脆弱化など、年々変化していく社会構造の中で、既存の社会保障制度や社会福祉制度では対応困難なニーズが発生している。社会福祉法人にはそのニーズを積極的に把握し、対応していくことが求められているが、生産年齢人口は加速度的に減少しており、人手不足問題は今後さらに深刻化することが確実視されている状況だ。地域包括ケアシステムを構築するためにも、地域で連携してサービスを提供することが必要であり、全体的に社会福祉法人の経営状態が悪化していることも踏まえ、連携化・大規模化の必要性が論じられるようになってきた。昨年11月に開催された未来投資会議・まち・ひと・しごと創生会議・経済財政諮問会議・規制改革推進会議の合同会議で発表された「経済政策の方向性に関する中間整理」でも、「経営の安定化に向けて、医療法人・社会福祉法人それぞれの経営統合、運営の共同化の方策や、医療法人と社会福祉法人の連携方策を検討する」と明記されている。

具体的な対応策として注目を集めているのが、社会福祉法人を主体とした連携法人制度の創設だ。4月から3回にわたって行われた有識者会議「社会福祉法人の事業展開等に関する検討会」で、検討を進めることが確認された。この有識者会議では、希望法人向けのガイドライン策定を進めることや、組織再編にあたっての会計処理について会計専門家による検討会を立ち上げるなどの方策も確認されており、社会福祉法人の連携化・大規模化を推進する動きが加速している。こうした急速な議論の進展が、連携化を義務付けるものと受け取られかねないものであったため、厚労省側が今回の福祉部会で改めて「あくまで希望する法人の自主的な判断のもと進められるべきもの」と強調した次第だ。

一方で、もうひとつの対応策として「社会福祉法人の事業展開等に関する検討会」で挙げられた「社会福祉協議会の積極的な活用」については、強力に推進していきたい意向を見せた。象徴的なのは、今回の会合から福祉部会の委員に大阪府社会福祉協議会会長の井手之上優氏が就任したことだ。井手之上氏は、「社会福祉協議会の役割が非常に大きい」として、社会福祉協議会のボランティアセンターを強化・活用していくことを提案。また、都道府県域での法人間連携はかなり進んでいるとして、「市区町村社協が中核になりながら施設と連携できる調整役を担っていくことが重要」とし、国側の支援を求めている。

厚労省が社会福祉協議会の積極的な活用を目指す背景にあるのは、地域共生社会の重層的なセーフティネットのために「断らない相談支援」の体制を整えようとしていることがあるだろう。長期的な引きこもりなどによる8050問題などを解決するためにも、現行の縦割り制度で対応するのは難しく、横断的かつ包括的な福祉インフラを構築する必要がある。そのための軸として、行政区分ごとに組織されている社会福祉協議会を活用しようというわけだ。社会福祉協議会の中でも、とりわけ市区町村社協は生活相談事業を展開しているところが多いため、前述した井手之上氏の発言とリンクしていることがわかる。ただし、社会福祉協議会は歴史があるだけに、行政のような体質を持っているところも多い。現在の多様的・複合的な福祉ニーズに対応しつつ、社会福祉法人を取りまとめる役割を果たせるかどうか、厳しい目を向けていく必要がありそうだ。

◆外国人材受け入れに必要な特定技能協議会への加入手続きを公表    配置基準の取扱いは「就労と同時に職員とみなす」と明示

――厚生労働省
老健局
 厚生労働省老健局は、7月19日に「介護保険最新情報Vol.733」を発出。4月に創設された新たな在留資格「特定技能」による外国人材受け入れについて、受け入れるために加入する必要がある特定技能協議会への加入手続きなどについて告知した。また、「特定技能」によって就労した外国人材は、介護報酬上の配置基準において「就労と同時に職員等とみなす」と明示している。

 外国人材を受け入れる法人・機関は、初めて「1号特定技能外国人」(※)を受け入れた日から4カ月以内に「介護分野における特定技能協議会」の構成員にならなければならない。特定技能協議会は、その分野の所管省庁と法務省や外務省、警察庁などの関係省庁、業界団体、学識経験者などで構成されており、特定技能外国人の受け入れに関する制度の趣旨や優良事例の周知、法令遵守の啓発、地域別の人手不足状況の把握・分析などを行う。

 加入する際には、まず地方出入国在留管理局へ在留資格認定証明書交付申請を行う際に、「介護分野における特定技能外国人の受入れに関する誓約書」を提出しなければならない。その後、4カ月以内に所定の申請システムへ必要情報を入力し、添付書類をアップロードしなければならない。これらの申請はwebフォームから行う。アップロードする添付書類は以下のとおり。
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・雇用条件書(参考様式第1-6号)
・1号特定技能外国人支援計画書(参考様式第1-17号)
・介護分野における業務を行わせる事業所の概要書等(介護参考様式第1-2号)
・日本語能力水準を証明する書類(介護日本語評価試験・日本語能力試験等の合格証明書、介護福祉士国家試験結果通知書、技能実習評価試験の合格証明書等)
・技能水準を証明する書類(介護技能評価試験の合格証明書、介護福祉士国家試験結果通知書、技能実習評価試験の合格証明書等)
・在留カード
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 注意したいのは、この一連の手続きは初回だけでなく、2回目以降も必要だということだ。2回目以降は、地方出入国在留管理局に誓約書と併せて「協議会入会証明書」の写しを提出する必要がある。

 また、3月に示された告示では「厚生労働大臣が行う必要な調査、指導、情報の収集、意見の聴取その他業務」と規定されているが、これは特定技能協議会が行う調査や、外国人介護人材相談支援事業実施団体が行う巡回訪問などを指すことも明記された。

※1号特定技能外国人とは
特定技能には「特定技能1号」と「特定技能2号」があり、「特定技能1号」の在留資格を持つ外国人は「1号特定技能外国人」と定義されている。なお、「特定技能2号」は「特定産業分野に属する熟練した技能を要する業務」に従事する外国人が対象。そのため、新たな外国人受け入れに関しては、原則として前者の「特定技能1号」を指す(「特定技能2号」の在留資格を持つ外国人に対し、事業所側が支援計画を策定する必要はない)。

◆法改正により小規模建築物の福祉施設への転用が容易に   3階以下、延べ面積200㎡未満が耐火建築物の対象外へ

――厚生労働省
 この法改正は、空き家の総数がこの20年で1.8倍に増加していることを踏まえ、既存の建築ストックの利活用を促進するためのもの。医療・福祉施設や宿泊施設、集客施設などへ転用する際の規制を緩和した形だ。これまで、延べ面積100㎡以上の建築物については建築確認手続きが必要だったが、100㎡以下に該当する建築ストックは全体の約3割にとどまるため、200㎡未満まで緩和した。これにより、約9割の建築ストックを建築確認手続き不要で転用できるようになる。

 また、これまでは3階建ての住宅を他用途に転用する場合、壁や柱などを耐火構造としなければならなかった。つまり、石膏ボードを張るなどの大規模な改修工事が必要だったが、今回の法改正によって耐火建築物の対象から外れたため、改修工事が不要となった。就寝用途がある場合は、警報設備などを設置する必要があるが、耐火建築物の対象外となるため竪穴区画も不要となる。階段室周りに準耐火構造の床・壁や防火設備で区画する必要がなくなるわけだ。

 福祉施設の中で、この法改正の恩恵を受けやすいのはグループホームだろう。3階部分を就寝用途に使う場合は、竪穴部分を間仕切り壁やふすま・障子以外の戸で区画しなければならず、戸は常時閉鎖もしくは煙感知器連動で閉鎖するものにするなど、遮煙性能を有する必要があるが、コスト面でも手続き面でも、従来に比べて転用のハードルが大幅に下がることは間違いない。

 認知症患者は、2025年までに高齢者の2割に該当する約730万人にまで達するとの見方もあり、グループホームの需要がさらに高まることは間違いない。一方で、現在、東京オリンピック・パラリンピックや首都圏の再開発ラッシュによって建設需要は高まっており、高力ボルトなどの建築資材は不足状態にある。施設整備にコストが嵩む状況はしばらく変わらないと見られるだけに、グループホーム事業を展開しようとする事業者にとって、今回の法改正は大きなビジネスチャンスとなるのではないか。

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