ホーム > FAXレポート > 歯科レポート > 月刊歯科医院経営ワンポイントアドバイス 2013年9月号
「まだまだ使える『院内紙』」■1.口コミによる受診 厚生労働省が実施している「受療行動実態調査」(2011年版)で、患者が医療機関を受診する際に重視する項目として、「家族・友人・知人からのすすめ」が上位に位置しています。つまり、 “口コミは医院の増患対策において重要なファクターである”ということがわかります。ただし口コミは、満足感から生ずる良い評判だけではなく、医院に対して否定的なものもあります。 帝国ホテルでは「10・10・10(テン・テン・テン)の法則」をサービスの教訓としているそうです。その法則とは、「信用、すなわちブランドを構築するには10年かかる。しかし、そのブランドを失うのはたった10秒なのです。そして失った信用、ブランドを盛り返すにはまた10年かかるということです。長い時間をかけてつくり上げたブランドも、たった10秒で崩れます。ですから、一瞬一瞬のお客様との出会いを本当に大事にしなければいけないのです。」(帝国ホテル顧問・藤居寛氏)というものです。この言葉からもわかるように、口コミは大きくマイナスに作用する評価でもあるため、医院は常に患者満足度の向上を念頭に、患者様との信頼関係の構築に努めなければなりません。 患者満足度向上の取り組みは、待ち時間の短縮、接遇応対の向上、患者アンケートの実施など様々ですが、来院患者とのコミュニケーションのきっかけとなり信頼関係の醸成に役立つ「院内紙」について、今回ご紹介します。 ■2.院内紙の活用 患者様は、待合で院内の掲示物を意外とご覧になっているものです。皆様の医院では、施設基準や算定要件に定められた院内掲示のほか、業者から提供されるポスターをただ漫然とベタベタ貼っていないでしょうか。また、それらのポスターが黄ばんでいたりよれよれになったりしていないでしょうか。それでは、待合室の雰囲気が暗くなるばかりでなく、医院への印象までも悪くなりかねません。そこで、古いポスター等を外して、オリジナルの院内紙を掲示してみてはどうでしょうか。院内掲示は、ホームページと同様に医療機関の広告規制の規制対象外であるため、患者様に対して様々な情報発信が可能です。院内掲示の工夫次第で、”ただの待ち時間”を、”医院をより深くご理解いただく時間”に変えることができます。内容は、医院の理念、医院が力をいれていること(ex.予防歯科など)、地域での催し物情報、グルメレポートなど何でもかまいません。また、医院名の由来などを紹介することは、自院の理念を伝える良い手段となるでしょう。 院内紙は、院内で掲示するだけでなく、患者様にお持ち帰りいただくことも想定し作成します。その際のポイントは以下のとおりです。 (1) テーマは身近なものにする (2) 診療内容を取り上げる際には、専門用語を避ける (3) A4サイズで作成する (4)診療所の所在地(地図)を載せる (5) 診療時間や電話番号を記載する (6) 自院のロゴやマークがあれば掲載する (7) 発刊の頻度は、月刊、隔月刊、季刊など無理のないようにする (8) 診療終了後、会計で領収書をお渡しする際に、 一言添えて院内紙を渡す 院内紙は、患者様が医院を家族や知人に紹介する際の一助となり、紹介を受けた人は名称や雰囲気について耳にしただけの場合に比べ、より医院をイメージしやすくなります。ホームページをお持ちの医院は、作成した院内紙をホームページにも掲載することをお勧めします。検索キーワードが増えるため、SEO対策にもつながります。 また、院内紙の作成は、職員全員で取り組むことが重要です。患者様がどのような情報を求めているのか、職員全員で考えることで、一体感が生まれ、職員間のコミュニケーションが円滑に図られるようになるといった副次的な効果も期待できます。 院内紙の紙面に、患者様からの投稿コーナーを設けるのもよいでしょう。俳句や写真などを募集し掲載することで患者様とのコミュニケーションがより深まります。 ■3.最後に 多くの人がインターネットを利用する時代ですが、お年寄り世代などさほどインターネットを利用しない人もいます。そのような方々には院内紙は非常に有効です。継続的に、患者様のニーズに応じた情報発信をし続けることができれば、医院のファンを増やすことができます。作成の手間から敬遠されていた医院は、まだまだ大きな可能性を秘めた院内紙の作成を再度検討されてみてはいかがでしょうか。 医業経営に関するお問い合せはご遠慮なく弊事務所までお申し出下さい。 |