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ウェルフェア・レポート 2013年11月25日号

2013/12/9

社会保障制度改革「プログラム法案」を可決、参院へ送付

~衆議院本会議

 社会保障制度改革の全体像や進め方などを示した「プログラム法案」が11月19日、衆議院本会議で与党の賛成多数で可決、参議院に送付された。

         

■「医療・介護を中心に制度改革を進めていくうえで重要」――与党

 採決に先立つ討論では、与党の自民・公明両党を代表して輿水恵一議員(公明)が賛成討論。「厳しい財政運営の中で給付と負担の在り方を含めた社会保障制度の見直しは避けられない。将来にわたり安心で持続可能な社会を構築していくために、その迅速かつ着実な改革の推進のために、本法案の成立は不可欠である」などと指摘した。

 主な賛成理由としては、「進めるべき改革の方向性と実施の時期を明記しており、特に医療・介護を中心に制度改革を着実に前に進めていくうえで極めて重要な法案だ」などと強調した。

 介護に関しては、「本法案は、介護サービスの提供体制について、住み慣れた地域で医療や介護、生活支援を総合的に受けられる地域包括ケアシステムの構築に向け、2014年の通常国会に法案を提出することを目指すとしている。本法案を受けて、安心して長生きができる地域の構築に向け、具体的な取り組みが迅速かつ計画的に進められる」などを挙げた。          

 

■「具体的な医療や介護などの改革内容が不明」――民主など野党

 一方、野党各党は反対討論。中根康浩議員(民主党)は、「具体的な医療や介護などの改革内容が不明であり、法律にする必要性が感じられない。見直しの対象となる項目や法案の提出時期は羅列されているが中身がなく、具体的に何をどのように変えるのかが全く分からない」などと批判した。            

 介護保険に関しては、要支援者に対する介護予防給付の市町村事業化を挙げ、「要介護度の進行の抑制、症状の改善のためには安定した今までどおりのサービスが不可欠。市町村事業に移行すると、市町村間で自己負担額、サービスの質や量の格差が拡大することも懸念される」などと指摘。特別養護老人ホームの重点化も挙げ、「要介護度が低い方であっても、認知症であったり介護する家族がいなかったりするなど、入所が必要不可欠な方もいる。入所が制限されれば、適切な介護を受けられなくなり重篤化していく恐れもある」などと反対した。

 

「持続可能な制度へ社会保障の重点化等は避けられない」

~衆院厚労委の参考人質疑で山崎参考人

 

 社会保障制度改革「プログラム法案」の衆議院での採決に先立つ11月12日の衆院厚生労働委員会では参考人質疑を行った。質疑では、6人の参考人から同法案の意義や問題点などが挙げられた。

 社会保障審議会介護保険部会の部会長で社会保障制度改革国民会議の委員も務めた山崎泰彦参考人(神奈川県立保健福祉大学名誉教授)は、「(国民会議の)報告書が示す方向性の中で、当面の改革にあたって特に留意していただきたいこと」として、「国民の負担増を抑制しつつ、持続可能な制度を実現するうえで、社会保障の重点化・効率化は避けて通れない課題」などと指摘。介護保険制度改革について、▼一定以上所得者の利用者負担の引き上げ、▼特養の中重度者への重点化、▼予防給付の見直し──などを挙げ、「厳しい改革を求めることになった」と理解を求めた。

 また、東日本大震災以降、宮城県気仙沼市を中心に病院や仮設住宅などで支援活動を継続している古屋聡参考人(山梨市立牧丘病院院長・気仙沼市立本吉病院非常勤医師)は、その経験に基づいて意見表明し、要支援者に対する介護予防給付の地域支援事業化などについて、「市町村任せ、その市町村の実情に応じてということでなく、もっと大きな枠組みで、国自体で取り組んでいただきたい」と要望した。

 

予防給付の市町村移行、訪問・通所介護に限定する修正案

~社保審介護保険部会に厚労省が提案

 

 介護予防給付の地域支援事業への移行(案)について、厚生労働省は11月14日の社会保障審議会介護保険部会に、これまでの方針を見直し、訪問介護と通所介護に限定して介護保険の対象から切り離し市町村事業に移行する案を示した。訪問看護や訪問・通所リハなどのサービスは従来通り予防給付で行うとしている。 

 厚労省はこれまで、要支援者に対する介護予防給付について段階的に廃止し、2017年度までに全市町村で地域支援事業へ移行する案を示していた。しかし、市町村間で提供されるサービスの質や量などの格差が拡大することを懸念する意見等が相次いだことを受け、方針を見直した。委員からは評価する声があった一方、後退との指摘も出た。

 厚労省はまた、一律1割となっている介護保険の利用者負担割合を見直し、一定以上の所得がある人は2割に引き上げる案も提示。その水準として、年金収入ベースで280万円以上か290万円以上(夫婦の場合は359万円以上か369万円以上)とする2案をあらためて示した。これについても、委員からは賛否双方の意見が出ている。

 

社会福祉法人の財務諸表の公表を義務化する案を提示

~社会福祉法人の在り方等に関する検討会で厚労省

 

 厚生労働省の「社会福祉法人の在り方等に関する検討会(第3回)」が11月18日に開かれた。この日は、法人の組織の在り方や透明性の確保など社会福祉法人のガバナンスを議題とし、「社会福祉法人の財務諸表の公表に関する対応方針(案)」などが示された。

 それによると、「社会福祉法人は地方公共団体に代わって社会福祉事業を実施している側面もあり、補助金等が交付され、税制優遇も受ける公益性の高い法人であり、国民に対して経営状態を公表し、経営の透明性を確保していくことは、その責務である」などと指摘。

 対応方針として、▼閲覧請求等の条件を見直したうえで、社会福祉法人に対し財務諸表を電子データ化してインターネット上で公表することを義務化(制度改正)、▼社会福祉法人に対し所轄庁への現況報告書(付属資料である財務諸表を含む)の提出を電子データで行わせることを義務化(様式例及び審査基準の改正)――などを挙げている。

 同検討会では9月27日の初会合で、「日本再興戦略」や「規制改革実施計画」などで示されている社会福祉法人の大規模化、複数法人による連携、法人経営の透明性の確保などへの対応の一環として、財務諸表の効果的な公表方法を年内に取りまとめる方針を確認していた。

 

社会福祉法人改革「不断の見直しを含め、在り方を議論」

~衆院厚労委で田村厚労相

 

 田村憲久・厚生労働相は11月13日の衆議院厚生労働委員会で、社会福祉法人改革について問われ、「これからも不断の見直し等を含め、在り方等の議論を進めていっていただきたいと思っている」と述べた。中島克仁委員(みんなの党)の質問に答えた。 

 田村厚労相は、社会福祉法人について、「内部留保がたくさんあるではないかという意見もあり、うまく使われていないという意見があることも事実だ。一方、特別養護老人ホームなどの改修費や建て替え費も一定程度は持たなければならない。そういうものをどう明確化していくかということもある」と説明。そのうえで、「経営状況の透明化は、日本再興戦略においても国民会議においても言われている。一方、社会福祉法人は小さい主体が多く、その財政の強化という意味からすると、大規模化をどう図っていくか、法人同士がどのような連携を図っていくかも一つ大きな課題に上がっている」と指摘した。

 そして、社会福祉法人改革に関し、「何よりも税制で優遇を受けているにふさわしい事業をきちんと地域に貢献してやれるか。そういう意味では、生活困窮者自立支援法などの担い手として期待するところも多々あり、そういうことも含め、この秋から(社会福祉法人の在り方等に関する)検討会を立ち上げて在り方を議論し始めている。国民の皆様に信頼を持っていただける社会福祉法人が大変重要なので、これからも不断の見直し等を含めて在り方等、議論を進めていっていただきたいと思っている」と述べた。

 

社会保障関係予算「“聖域なき”徹底した効率化を」

~経済財政諮問会議で民間議員

 

 政府の経済財政諮問会議(議長=安倍晋三首相)が11月15日に開かれた。この日のテーマは社会保障で、民間議員が「持続可能な社会保障に向けて」と題した資料を提出。「2014年度社会保障関係予算においては、費用対効果の明示、重点化・効率化の目標・KPI(重要業績評価手法)と工程表の設定を通じた“聖域なき”徹底した効率化が不可欠」と指摘し、▼医療・介護計画のレビューの活用、▼

 地域の実情に応じた医療・介護体制の構築――など6項目を提案した。地域の実情に応じた医療・介護体制の構築では、地域包括ケアシステムの構築について、「医療及び居住に関する施策との有機的な連携を図りつつ包括的に推進するよう、関連省庁及び自治体が有機的な連携を進めるべき。第6期介護保険事業計画(2015~17年度)に向け、省庁連携、国と地方自治体の連携の在り方を具体化し、市町村に提示すべき」などとしている。

 安倍首相は会議後、来年4月からの消費税率引き上げを取り上げ、「14年度予算において講じる措置が新たな国民負担につながることは厳に抑制していかなければならない。民間議員から指摘があったように、診療報酬の在り方をはじめとして自然増を含む社会保障の歳出の合理化・効率化に最大限取り組む必要がある」などと述べ、来年度改定の診療報酬の引き上げは難しいとの見解を表明した。

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